新説・恋姫†無双~一刀と愉快な?仲間達~   作:越後屋大輔

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おかしい。もっと先まで進む予定だったのに……
理人の名前ですが、漢字を『理一』から変更しました。読みは変わらず『りひと』です。
今回は漢時代側からのオリキャラが出てきます。モデルになっているのは……ほぼお分かりでしょう。
(^_^;)?


第二十三席孫尚香登場でコロン?のこと

 一行が山道を進みながら、茶店に差し掛かった時だった。3人の男が鈴々や朱里ぐらいの年齢の、へそを出した派手な装いをした少女を囲って、睨みを利かせている。

 店の主人であるゴツい男が少女の腕を掴んでいる。旅人らしい2人連れ、鼻が異様にデカい痩せぎすの男とズングリ体型の男は少女に暴言を吐いているようだった。その光景を見た愛紗と鈴々は、一刀達の制止を振りきって男達に突撃していった。

愛紗

「そこまでだ。か弱き者を虐げんとする悪党め、この場で成敗してくれる!」

茶店主人

「悪党って、おらはただ……」

鼻男

「ちょっと誰が悪党よ!?」

ズングリ男

「言いがかりも甚だしいでまんねん!」

愛紗

「問答無用!」鈴々と2人で茶店の主人と2人連れをボコボコにしてしまった。

一刀

「……あ~遅かったか」

 

~しばらく後~

 

愛紗

「えぇ?食い逃げ!?」

茶店主人

「んだ。さっきの娘っこ、飲み食いした後金払わずに逃げようとしたから。それで……」愛紗達にボコられて顔を傷だらけにした茶店主人と2人組が語る。

鼻男

「アタシ達もそれに気づいたから逃がさないように囲ってたのよぉ」

ズングリ男

「それなのに、おたくらのせいで逃げられたやないか」

愛紗

「あ~、いや。そうとは知らず、とんだ勘違いを……」

一刀

「申し訳ありません。あの娘が食い逃げした代金と、治療費は俺達が払います」

茶店主人

「まぁ弁償してもらえりゃ、おらはそれで良いだよ」

鼻男

「しっかし、腹が立つわねぇ。あのクソガキ」

ズングリ男

「ホンマや。一度シメたらんと気が済まんでまんねん」

一刀

「まぁまぁ、相手は子供ですから……」一刀が2人組を宥めていると、幸太の耳に呻き声が聞こえた。その声は茶店から道を挟んだ反対側の建物から聞こえてくる。

幸太

(何だろう?)疑問に思ったが、今はそれを口に出せる雰囲気ではなかったので誰にも話さなかった。

 

 その後、例の2人も街に向かう途中だったと聞いた一行は彼らと一緒に行動する事になった。

「トホホ……予定外の出費だわ……」一行の財布も管理している忍は落ち込み、愛紗は手を合わせて詫びる

愛紗

「スマン。この通りだ」

「……もういいわよ。過ぎた事だし」

朱里

「あの……忍さん。元気出して下さい」

鈴々

「そうなのだ」

一刀

「ところで、貴方達の名前をまだ聞いてなかったな?」空気を変えようと一刀が2人連れに質問する。

鼻男

「アタシは沙弥(さみ)よ。そんでこのブサイクが……」

ズングリ男

他人(ひと)をブサイク呼ばわりするほどの顔かいな。ワイは一戒(いっかい)言いまんねん」

沙弥

「まぁヒドい、ボクちゃん泣いちゃう」一刀達にも負けず劣らずのバカなやりとりに苦笑しつつ今度は朱里が訊ねる。

朱里

「街には何をしに行かれるんですか?」

沙弥

「兄貴に会いにね。アタシ達、幽州の桃園で誓いを交わした義理の三兄弟なのよ」

一戒

「兄貴はあの街でご領主の警備隊長をしとんねん」昔を懐かしむように目を細める沙弥と一戒。幸太以外の男子組は同じ事を考えていた。

一刀

(桃園の誓いって……劉備、関羽、張飛が盃を交わしたアレだよな)そんな彼らを呼び止める声がするが、全く気づいてない。

??

「……ちょっと」

理人

(この2人の名前も西遊記由来だし、何か色々ズレてるぞ……)

「……ねぇちょっと!」

(その内太公望とか西門慶とか、他の中国五大奇書の登場人物も出てきそうね……)

??

「ちょっと待ちなさいよ!」先を進む一行を声の主は駆け足で追いかけてきた。振り向くとさっきのへそ出し娘だった。

幸太

「ウッセーなあ、さっきから」

??

「何よ、聞こえてるんじゃないの!」へそ出し娘が叫ぶと、幸太は一瞬目を回してその場にコケた。

幸太

「頭、ガンガンする……」フラフラしながら立ち上がる。

朱里

「幸太君、大丈夫?」

鈴々

「耳が良すぎるのも大変なのだなー」

沙弥

「あーっ!お前はさっきの食い逃げ娘!」

一戒

「ようワイらの前に顔出せたモンやな!」

「アンタのせいでこっちは……」

??

「あんた達、中々見込みがあるわね。気に入ったわ、シャオの家来にしてあげる」

理人

「ハァ?何ぬかしてんだ。手前ぇ、燃やすぞ!」理人は手に火を纏わせた。

一戒

「怪我せん内に帰りや、嬢ちゃん」腹の虫が修まらない一戒は指をポキポキ鳴らす。

愛紗

「その……シャオとやら、全然話が見えないのだが?」

??

「ちょっと。初対面なのにシャオだなんて馴れ馴れしく呼ばないでよね!」

愛紗

「ああ……イヤ、すまん」

朱里

「自分でシャオって言ったのに……」呆れる朱里に食い逃げ娘は指を突きつける。

??

「煩いわよ、チビっ子その二!」

沙弥

「何さ。シャオだかシャチだか知らないけど、何で食い逃げ娘の家来にならなきゃならないのよ!?」

??

「魚なんかと一緒にしないでよ!ブサイクその一!」

幸太

「?シャチは魚じゃねえぞ?」

??

「どう見たって魚でしょ?何変な事言ってんのよ、チビっ子その三!」

鈴々

「ププッ、二人共チビっ子扱いなのだ(笑)」

一戒

「沙弥やんも思いっきりブサイク呼ばわりされてまんねん(笑)」小声で笑う鈴々をキツい一言が襲う。

幸太

「あの……俺達がチビっ子その2とその3だったら、多分チビっ子その1は鈴々じゃねえか……?」

沙弥

「あたしがブサイクその一ならブサイクその二は一戒じゃないの?」

鈴々

「誰がチビっ子なのだー!」

朱里

「私が言ったんじゃないのにぃー!」

一戒

「やっぱシメたる!」鈴々は朱里に怒鳴り付け、一戒はへそ出し娘に殴りかかろうとしたが、愛紗と一刀に制される。

??

「と・に・か・く。あんた達はこの江東の地に覇を唱える孫家の末娘、この孫尚香の家来になるのよ。分かったわね?」

一刀

(今度は孫尚香か……)

(でも変じゃない?)

理人

(確かに。これまでの流れでいけば孫尚香は男になりそうなモンだが)

 

 何だかんだと言いながら結局、尚香と連れだって街へやって来た一行。

沙弥

「じゃあ、あたし達はここで失礼するわ」

一戒

「縁があったらまた会いまひょ」沙弥と一戒は義理の兄に再会する為、領主の屋敷に向かう。

 

尚香

「さーて、晩ごはんはどこが良いかしら?あ!ここが良いわ。ここにしましょう!」食事処を物色していた尚香は一軒の料理屋を見つけると、その前に立ち止まった。

愛紗

「飯は宿を決めてからだ」サラッと言い放って、宿探しを続ける一行。

尚香

「えー良いじゃない。シャオお腹空いた!ねぇ、ご飯ーっ!」

愛紗

「お主、そもそも飯を食う金を持っているのか?」

尚香

「何言ってるの?そんなの家来のあんた達が払うに決まってるでしょ?」

愛紗

「……オイッ!」

尚香

「てゆーか、お金があったら茶店で食い逃げなんかする訳ないじゃない?」

一刀

「……なるほど」

朱里

「そこ、感心するところじゃないと思うんですけど……」一刀はともかく、尚香の厚かましい言い草に腹を立てた男達がいた。

理人

「どうでも焼け死にてえようだな手前ぇは!」腕を真っ直ぐ縦に振るい、火柱をあげようとする理人を幸太が制する

幸太

「理人さん。ここは俺が」その言葉に何かを察した理人。2人して、悪い笑みを浮かべる。

 幸太が唇をモゴモゴ動かすと、まるでバラエティ番組で罰ゲームを受ける芸人のようにのたうち回る尚香。

尚香

「痛ったーい!何これ!?痛い痛い!」

一刀

「……低周波かよ」

「えげつないわねぇ」

鈴々

「てーしゅーはって何なのだ?」

一刀

「詳細は省くけど、簡単にいえば低すぎて普通の人間には聞こえない音だよ」

「低周波は本来、医療に使われるんだけどこういう事も出来るのよ」

愛紗

「どうだ、少しは懲りたか?」

一刀

「反省するなら幸太に止めさせるけど……どうする?」

尚香

「ゴベンなざい!もう家来になれとか言わないから許してぇ~(泣)」涙目で謝る尚香を見て、幸太を制する愛紗。

 

愛紗

「話を戻すが、金がないならこれまでどうしていたのだ?まさか、ずっと一文無しで旅をしていた訳ではあるまい?」

尚香

「勿論、それなりの路銀は持ってたわ。前の街まではね。でも、そこで……」そう言うと髪に手をやり、何かを取り出して一行に見せる。5枚の花びらを型どり、真ん中に宝石を埋め込んだ髪飾りだった。

尚香

「コレ、買っちゃって♪」

愛紗

「……って!路銀全部はたいて、それを買ったのかぁ!?」

尚香

「だって欲しかったんだもーん。ホラ見てよコレ。キラキラして綺麗でしょ?お店で見た時、『これだーっ!』って一目惚れしちゃったのよねぇ。ああ、こうやって見てるとなんかウットリしちゃう……」ホントにウットリした顔で髪飾りを眺める尚香に呆れる一行は頭を抱える。

 

 その頃、沙弥と一戒は領主屋敷で門番に用件を伝えていた。

一戒

「ここの警備隊長にお会いしたいのだけどよろしいでっか?」

門番

「警備隊長……履真(りしん)隊長の事でしょうか?」

沙弥

「そうよ。義弟の沙弥と一戒が訪ねてきたと言ってもらえば分かるわよ」

門番

「はっ、しばしお待ちを」幸い門番はすぐに取り次いでくれた。警備隊の使う部屋に通された2人を男性が迎える。彼こそが沙弥と一戒の義兄、履真であった。

履真

「久し振りだなお前ぇら。息災だったか?」

沙弥

「ええ。おかげ様で」

一戒

「兄貴も元気そうで何よりでまんねん」

履真

「ああ……本当に最後にお前ぇ達と会えて良かった……」

沙弥

「えっ、兄貴、最後って?」

一戒

「どういう事でっか?」

履真

「何日か後、俺は間違いなく腹を切る事になる。そうしたらこの街に住む俺の女房と娘の事をお前ぇ達に頼みたい」履真は沙弥と一戒に全ての事情を話す。あまりに悲しい現実に、互いに抱き締め合って泣き明かす三兄弟だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




アニメとの違い
・オリキャラが絡むところ全て(説明が手抜きかっ!Σ( ̄□ ̄))。
オリキャラ⑧&⑨
沙弥&一戒
かつて義兄弟の契りを交わした3人の内、ブサイク2人組。いうまでもなく、あのシリーズのあのキャラが元になっている。長兄履真についての詳細は次回。

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