新説・恋姫†無双~一刀と愉快な?仲間達~   作:越後屋大輔

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もう少し長くても良いのかなぁ?これを読んでくれている方々はどうお思いでしょうか。


第三席庄屋、失礼な発言をするのこと

 宿屋を引き払った2人は昨日の内に購入しておいた調理器具や食材を使い、朝食の支度を始めた。いわゆるキャンプ式のスタイルである。

 関羽は大根を持って空へ放り投げると、落ちてくる大根へ華麗に包丁を振り乱す。その見事な包丁捌きで大根は綺麗な拍子切りになった。

一刀

「流石だな。けどもうちょっと普通に切れない?」

関羽

「ちゃんとした料理はあまりやった事がなくてだな……その……つい……」モジモジしながら白状する関羽。一方で一刀は至極まともに調理をしている。フランチェスカ学園高等部が全寮制なのもあって、一通りの家事は身に付いているのだった。

 

 朝食を済ませた後、鈴々が住むという山小屋を目指す事にした2人。その途中庄屋の屋敷の前を通ると、ワラワラと人が集まっていた。

関羽

「何だあれは?」

一刀

「行ってみよう」そこには派手な身なりの老人が10人ほどの兵士を相手に何やら訴えかけている。恐らくこの人物が庄屋なのだろうと、2人は推測した。

庄屋

「よろしいですかな?相手は子供とはいえ手のつけようのない暴れ者。くれぐれも油断は禁物ですぞ!」関羽は近くにいた女性に何が起きたのかを聞いた。

関羽

「この騒ぎは……何があったのですか?」

女性A

「何でも……今からお役人に、鈴々を捕まえてもらうんですって」

一刀

「子供相手に役人を?そりゃ大袈裟な」

女性B

「庄屋様、この間の落書きが相当頭にきなさって、今度ばかりは堪忍袋の緒が切れたらしくてねぇ」

女性C

「お役人も本物の山賊には怖くて手が出せないクセに、こんな時ばっかり……」

女性D

「捕まったらどうなるんじゃろ?」

女性E

「まさか殺されたりはせんと思うが、鞭でぶたれたりはするかもの。惨いモンじゃ」

関羽

「一刀殿……」

一刀

「うん。ここは俺達が……」2人は庄屋達の元へ駆け寄る。

関羽

「庄屋殿、お話し中のところ、申し訳ないが……」

庄屋

「何だお前は?」

関羽

「私は旅の冒険者で関羽と申す者。こちらは連れの北郷」さりげなく紹介されて、庄屋に頭を下げてから言葉を引き継ぐ一刀。

一刀

「聞けば鈴々なる者、大人でも手を焼く暴れ者とか。万が一役人の方々が怪我をしてもつまらないでしょう。ここは我らに任せていただけませんか?」

庄屋

「あんたらが?確かに物騒なモノを持っているようだが、本当に強いのか?」関羽の青龍偃月刀と一刀の日本刀を見て、訝しげに尋ねる庄屋に

関羽

「勿論、腕にはいささか覚えがあります。いくら暴れ者とはいえ、所詮は子供。本物に比べれば……」

兵士A

「あ!もしかして貴様が最近噂の、黒髪の山賊狩りでは?」

庄屋

「うっ!あんたがあの……!」

関羽

「イヤ。自分からそう称している訳ではないが……」兵士達は一斉に驚く。

兵士A

「黒髪が綺麗な、絶世の美女と聞いておったが……」

庄屋

「噂っちゅうモンは当てにならんな」失礼極まりない言い草に関羽の顔がひきつる。

関羽

「えーっと、それはどういう意味かな?(怒)」それを端で見ていた一刀は

一刀

(関羽は充分美女だろ?つーかこいつらこそ、揃いも揃って醜男のクセに。何様のつもりだよ?)黙ってはいたが、密かに腹を立てていた。そんな2人の様子に気付きもせず、グダグタ好き勝手な事をボヤく庄屋と兵士達。その様子を鈴々の子分が物影に隠れて、こっそり窺っていた。

 

 結局、鈴々の捕縛を任されて、山に入った関羽と一刀。

関羽

「この一本杉を左に行けば、あとは道なりだと言っていたな」

一刀

「そうだね……」歩きながら一刀は木の影の形がおかしいのに気付く。

関羽

「一刀殿、何を俯いて……?」

一刀

「関羽、上だ!」言われた関羽が見上げれば、一本杉の上に昨日のさっきの少年、鈴々の子分の1人が居た。左腕に石を幾つも抱え、2人目掛けて投げつけてきた。

子供B

「ここからは鈴々山賊団の縄張りだ。役人の手先は帰れ!お前らなんかにおやびんは捕まえさせないからな!」なおも石を投げる子供。それを偃月刀と日本刀で弾く関羽と一刀。

関羽

「ちょっと!危ないだろ!」

子供B

「エイッ!!エイッ!」

一刀

「……アッケラーティオ!」一刀は特異能力『加速(アッケラーティオ)』を使い、少年が居た木をバッサリと斬り倒す。少年はバランスを崩して、地面に激突しそうになる。『加速』を維持したまま、少年を素早くキャッチする一刀。

子供B

「フーッ。助かったぁ」

関羽

「それはどうかな?」顔の上半分、主に目の回りを黒くした関羽は少年を見下ろす。

一刀

「うわぁ……悪い顔してんな……」一瞬後に、少年の空しい叫び声が山に響いた。

 

 関羽にお仕置きされた少年は未だ後ろからついてくるものの、2人が振り返る度岩などに隠れる。関羽のお仕置きがよほど堪えたのだろう。

一刀

(トラウマにならなきゃ良いけど……)などと一刀が考えていると、草むらから鈴々山賊団の面子が飛び出してきた。

子供A

「やぁい、ブース!」

子供E

「バァ~カ!バァ~カ!」

子供C

「年増ぁー!」

子供D

「ちま~」最後の子供に至ってはまだ3、4才ぐらい。自分で何を言ってるか、理解すらしていないだろう。

関羽

「だっ……!誰が年増だ、誰が!」

一刀

「大人げないなぁ……」

子供達

「悔しかったらここまでおいで~♪」一刀と関羽を挑発する山賊団一同。ムキになって子供達へ攻めいる関羽。しかし足下に落とし穴を作った痕を見付けると、

関羽

「フフッ。子供にしては知恵を絞ったと褒めてやろう……だが!」ジャンプして回避する関羽。しかも途中でカッコつけて宙返りまで披露する。

一刀

(普通に脇へ逸れれば良いだけじゃ……)思わず無言で突っ込む一刀。しかし……

関羽

「うわぁ!」実はさっきの落とし穴痕はフェイクで、関羽が降り立った場所に本命の落とし穴が掘られていたのだった。

関羽

「うぅ。関雲長、一生の不覚……」

子供A

「やーい、引っ掛かってやんの♪」

子供E

「バッカでぇ~い」

子供C

「おしっこかけちゃえ~」

子供D

「ちゃえ~」

関羽

「コ、コラ!止めろ!」穴に落ちて、体勢が崩れたままの関羽が怒鳴るのも、どこ吹く風。その一番小さい女の子は構わず服の裾を捲りかけた。

一刀

「女の子がそんなみっともない事しちゃいけません!」一刀がいつの間にか子供達の目の前に現れて、叱責した。姉らしき年長の子供に女の子の服を整えさせてから、一刀は山賊団一同にお仕置きを施す。

一刀

「そぉれ、ぞうき~ん!」子供の腕の皮を絞る。

子供A

「ギャーッ!」

一刀

「グリグリーッ、万力~」横並びの子供2人のこめかみが(一刀から見て内側)重なった状態で、外側から拳で挟んでグリグリ攻撃。

子供C・D

「ヒィーッ!」

一刀

「泰山・富士山・エベレスト!」太っちょの子供の腕の肉を、三段階に三角へ引っ張り上げる。

子供E

「ギョエ~ッ!」こうして子供達全員にお仕置きを済ませた一刀。

関羽

「大人げないのはどっちだ……?」

 

子供B

「おやびんはお前らなんかに負けないからな!」

関羽

「分かった分かった……」

一刀

「鈴々の事は悪いようにはしないから、君達はもう村へ帰りなさい」

子供A

「ホントか?」

関羽

「ああ」

子供C

「村へ帰ればおやびんを役人に渡したりしない?」

子供D

「しない?」

一刀

「約束するよ」

子供B

「……だってさ」

子供C

「帰ろっか」一刀と関羽の言葉を信じて、スゴスゴと村へ引き返す子供達……だが、振り返って、

子供達

「「「バァ~カ、ブース、年増ぁ!お前らなんかおやびんにやられちゃえ!」」」

子供D

「ちゃえ~!」最後に捨て台詞を吐いて、逃げ帰っていった。

関羽

(全く!確かにあいつらに比べれば年上ではあるが……)

一刀

(……何だかんだ言っても仲間思いなんだな。ちょっと羨ましいかも)それぞれの思惑を胸にやがて鈴々の山小屋にたどり着いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




やっとアニメ一席の半分。オリキャラ登場の切っ掛けが中々掴めない……。
アニメとの違い
・関羽の大根切りに突っ込むのは飯屋の女将→一刀(女将は冒険者組合の受付にジョブチェンジし、関羽達も無線飲食していない為)
・子供B以外の鈴々山賊団にお仕置きをするのは関羽→一刀
・腕の肉を引っ張る時「定軍山、泰山」の2段階→ナゼか富士山とエベレストの3段階。


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