新説・恋姫†無双~一刀と愉快な?仲間達~   作:越後屋大輔

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コンパクトにまとめるつもりが、かなり長くなりました……


第三十一席賢、温泉を掘り起こすのこと

 あれからようやく温泉の水脈を見つけた愛紗達。鈴々と朱里も一生懸命掘っているにも関わらず、尚香は1人側にある岩に腰かけて欠伸をしている。

尚香

「ねぇ、温泉まだ出ないの?シャオ退屈ぅー」

鈴々

「だったら少しは手伝ったらどうなのだ!」

尚香

「ヤだ!シャオお姫様だから、そんな汗臭い事はしないの」呆れる愛紗達だが、それを気にするでもなく、朱里に問う。

尚香

「そういえば孔明、出掛ける前に村の人達に色々聞いて、地図に何かを書き込んでいたけど、あれって何だったの?」

朱里

「温泉って水脈と地脈の交わる地点に湧く事が多いんですけど。そういう所には、よく怪異が起こると云われているんです……例えば、変な一日中雲にその上にかかっているとか、怪しい光の柱が立ち上るとか。だから村の人達にそういう言い伝えとか体験談を聞いて、その場所に印をつけておいたんです」スコップで地面を掘りながら答える朱里。

尚香

「ふ~ん。じゃ、ここもそういうトコの一つな訳ね」その後も尚香は手伝う様子もなく、温泉を掘り続ける愛紗達を尻目に退屈そうにしていると、草むらに一匹のウサギを見つけた。

尚香

「あっ、ウサギ!」逃げるウサギと追いかけっこを始めた。

尚香

「キャハハッ」

愛紗

「あ、おい!一人で遠くへ行くと危ないぞ!」愛紗の声も届かず、尚香は森の奥深くへ駆け出していく。が、すぐに慌てて戻ってきた。その後ろに熊を引き連れて……もとい、熊に追いかけられている。

尚香

「ヒィ~!と、と、虎!」

愛紗

「……熊だ」青い顔でその背中に隠れた尚香へ、冷静に突っ込む愛紗。

鈴々

「あっ、お前はランラン!」鈴々がそう呼ぶと、足にブレーキをかけて止まる熊。

鈴々

「やっぱりランランなのだ!」熊に近づいて首に抱きつき、

鈴々

「ランラン♪ランラン!♪」懐かしそうに熊にじゃれつく鈴々。

愛紗

「オ、オイ鈴々。ランランって?」

鈴々

「ランランは昔、鈴々が飼っていた熊なのだ!……」ここで鈴々は説明しながらも、しばらく回想する。

鈴々

「子熊の頃からずっと一緒に暮らしてたのだ。でも爺っちゃんが『もう大人になったんだからお山に帰してやれ』と言うから、泣く泣くお別れしたのだ……まさかこんな所で逢えるなんて、感動の再会なのだぁ」嬉しそうに熊へ頬を刷り寄せる鈴々。

愛紗

「イヤ……けど本当にその熊、昔飼っていた熊なのか?」

鈴々

「勿論なのだ!その証拠にランランはこっちの脇の下に毛の房があって……」鈴々は熊の左前足を持ち上げる。その脇には白い毛の房が……なかった。どうやら人違いならぬ、

鈴々

「ないのだ……どうやら熊違いのようなのだ……」顔から血の気が引いていく鈴々。次の瞬間、愛紗達と必死の猛ダッシュで逃げる。その跡を吠えながら追いかける熊。

 

 さて、あれから袁紹達はというと……

文醜

「斗詩!戻ってきてくれたのか!?」

袁紹

「早く縄を解きなさい!今なら私の下を去った事も不問としますわ」

田豊

「こんな時ぐらい、上から目線は止めて下さいよぉ~(泣)」3バカトリオを火の手から助けたのは高坂賢と顔良だった。

「あのバカ、相変わらずだな……(呆)」

顔良

「賢、そう言わずに助けてあげて。何だかんだいっても元主と元同僚だし、猪々子は幼馴染みでもあるし」

「まあ、斗詩がそういうなら……とにかく俺はエルフ……あの連中と交渉してみる」

 

 ところでどうして賢が耳の長い彼ら、エルフの言葉を話せるのか。実は未来チームの世界にもエルフはいて、人間とも友好な関係を結んでいる。そのせいか、聖フランチェスカ学園高等部ではエルフ語のカリキュラムもあり、和製英語ならぬ和製エルフ語も存在する。その為、幸太以外の未来チームメンバーは簡単な日常会話ぐらいのエルフ語は身に付いているのだった。

 

 ここからしばらく賢とエルフ達の会話になるが、諸事情により日本語表記とする。

『単刀直入に聞く。ナゼあの3人を処刑しようと?可能ならば当人達に代わり、命乞いをしたいが』

エルフ代表

『これは一種の神事である』この一帯の代表格の老翁エルフが代表として、賢との交渉に応じて答える。

『神事?あなた達に何か良からぬ事が起きるというのか?』

エルフ代表(以下老翁エルフ)

『我らは何代にも渡り、この地の温泉の水で田畑を耕すなど生活用水として、恩恵を受けていた。ところが、半月ほど前から温泉の湯が全く湧き出さなくなってのう。そこで再び湯が出るよう、その3人を贄として神に祈りを捧げる事にしたのじゃ』

『なるほど……元々湧き出していた場所とか分かれば俺が掘り起そうか?』

老翁エルフ

『そんな事が可能なのか!?イヤ、勿論ありがたい申し出なのだが……』

『任せろ』

 

 老翁エルフの案内で、温泉が湧き出していたという場所にやって来た賢と顔良。1人に対し、若いエルフ数人の監視付きを条件に、3バカトリオも処刑台から下ろされて同行していた。

老翁エルフ

『もし温泉が戻らなければ、儂らは再び儀式を実行する。生け贄に逃げられては敵わんからの』

『当然だな』生け贄を神に捧げたところで温泉が復活するとは思えないが、そもそも賢に3バカトリオを助ける義理はない。顔良に頼まれなければ、とっくに見殺しにしている。なので賢も了承する。

 

『あれが源泉の湧いていた場所か』案内されたのは、かなりの大きさの岩がごろご転がっていた河川敷だった。

老翁エルフ

『うむ。儂らも最初はあれを掘り起こそうと躍起になっていたのだが……いかんせん、岩が固くて重くての。手の付けようがないのじゃ』そこまで聞くと賢は両腕をドリルに変化させて、地下に向かって岩を削り始めた。ドリルが岩を削る音がエルフの集落一帯に響き渡る。

袁紹

「斗詩、あの男はさっきから耳の長い奴らと何を話してますの?」自分の命がかかっているにも関わらず、呑気な袁紹。

文醜

「麗羽様、ひょっとしてあの下にお宝が眠っているんじゃ……」

袁紹

「そう。それをわたくし達に献上しようといいますのね………まあ!何とも殊勝な心がけですこと」

田豊

「もう……そんな訳ありますかぁ!二人共お気楽過ぎますよ~」オーホッホと高笑いを上げる袁紹と残りのバカ2人にエルフ達の得物が一斉に刃を向ける。

3バカトリオ

「「「ヒィィィーッ!」」」

田豊

「ホラァ!言わんこっちゃない!斗詩ぃ、助けて~(泣)」

顔良

「え?えぇ~と、(焦)『рΣικκΩαΨγ。∂∇?』」顔良が覚えたてのエルフ語で(この人達に敵意はありません。許して下さいますか?)と、宥めると彼らも得物を納める。

田豊

「言葉分かるの?」

顔良

「賢に教えてもらって少しはね。でもこの人達の言葉ってスッゴく複雑で、発音が難しいのよ。通じて良かったぁ」ホッと胸を撫で下ろす顔良。

 

 そこから10㎞ほど離れた場所を未来チームが進んでいる。

幸太

「みんな、重機の音がしませんか?」幸太には当然聞こえる。仲間達も耳を澄ませてみると、確かに金属音がする。しかしこの世界に重機があるハズがない。

「かなりの大音量ね。これじゃ幸太でなくても聞こえるわ」

理人

「この音……重機じゃねえなら……まさか、賢か?」

「ちょっと待って下さい。音のする方向と衛星から送られた温泉の水脈を照らし合わせますね」一はタブレットを操作して衛星から送られた映像を受信する。

「あっ、一致しています!」

一刀

「行ってみよう!」一刀は『加速』を使い、一は空飛ぶ座蒲団で、忍は鳥に化け、理人は幸太を抱えて、足からのジェット噴射でその場所へ向かった。

 

 固い岩をどうにか3割ほど削って汗だくになった賢は、河川敷に座り込んで小休止していた。そこにやって来た一刀達。この世界に来てから今日までに登場した未来チーム6人が勢揃いした。

「お前らどうしたんだ!?揃いも揃って」

「こっちのセリフよ!」

一刀

「あっ、顔良。それに袁紹達……何でこの地にエルフが?」

老翁エルフ

『この連中は一体?』一が老翁エルフの前に立って問いに答える。

『ご心配なく。この男の仲間です』賢と同様にエルフ語で話す。言葉が通じているので一刀、忍、理人も老翁エルフから詳しい話を聞く。

 

 それから約1時間半、賢のドリルが完全に岩を貫通して温泉が復活した。地面から噴き上がる温泉から小さな虹が浮かぶ。居合わせた誰もが、3バカトリオですら、その光景に見惚れていた。

『爺さん、約束は果たした。あの3人の処刑は取り止めにしてくれるな?』

老翁エルフ

『そうじゃのう。確かにもう生け贄は必要ないしのう』老翁エルフは温泉が復活した事を知らせよと、若いエルフ達を集落まで走らせる。

袁紹

「まあ、よくやったと褒めておきますわ」命の恩人とも言うべき賢に対し、全く感謝の気持ちがこもってない言葉を放つ袁紹。

幸太

(……袁紹だけは処刑されても良かったんじゃないっすか?)

(俺もそう思うが……)

一刀

(思うが、何だ?)

(イヤ、惚れたモン負けっつーか……好きな娘に助けてほしいって頼まれりゃ、断れねえだろ?)

理人

(お前、いつの間にあんな可愛い娘と……)

(へえ。惚れっぽいアンタにしちゃ、一途なのね♪)

(う、煩えな!)恥ずかしがる賢を囲み、ニヨニヨ薄笑いを浮かべつつ、からかう一刀、忍、理人。幸太だけは袁紹にカチンときていたが……そんな中、恋愛事情には殊更興味のない一は、老翁エルフと温泉の使用権限等を話し合っていた。そこに愛紗、鈴々、朱里、尚香が血相を変えて飛び込んできた。

愛紗

「ハァハァ……全く、何が感動の再会だ!」

鈴々

「よく似ていたからてっきり……」

尚香

「てっきりじゃないわよ、てっきりじゃ!」

愛紗

「しかし闇雲に走ってきたから、場所が分からなくなってしまったな……」

一刀

「あれ?愛紗達じゃないか」

「こんな所で何してんのよ?」

愛紗

「一刀に忍。お主達こそ」

理人

「温泉なら見つかったぜ」

愛紗

「本当か?」

鈴々

「これで愛紗を曹操に取られずに済んで良かったのだ!」

 

袁紹

「いいですこと?この温泉はわ・た・く・し・が、見つけたのですから、ちゃんと感謝して入って下さいましね」温泉には袁紹達3バカトリオと曹操一派、我らが一行が入っている。混浴?と、期待した読者には申し訳ないが全員一が温泉宿から借りてきた、透けない素材で作られた湯浴(ゆあ)み着を身に付けている。一が温泉が戻った事を街に知らせに行って、そのついでに借りてきたのだが……その間に袁紹が言葉巧みに手柄を奪っていた。

「荀彧を追い出して路頭に迷わせる僕の計画が……(沈)」

曹操

「ふんっ、見つけたっていってもどうせ偶然でしょ?」落ち込む一と憎々しげに呟く曹操。

袁紹

「アーラ?そこの貧乳小娘が何か言ったみたいですけど……真直、聞こえまして?」

田豊

「ええ。何か僻みっぽい事を言っていたようですが、胸が小さいと心も狭くなるんですかね?」袁紹と田豊は豊満な胸を張り、自慢気に曹操を眺める。尤も、曹操も別に貧乳ではないのだが。この一言を切っ掛けに3バカトリオと曹操&夏候姉妹が激しい言い争いが始まる。尚香も加わり、更に収拾のつかない状態になる。

愛紗

「み、見るんじゃないぞ。これは子供の見るモノではないからな」と、両手で、鈴々と朱里の目を塞ぐ。あまりの下らなさにため息を吐く男達。

??

「そこまでだ!」高い位置にある岩から誰かが叫ぶ。全員で顔を上げて見てみると……

??

「乱世を正す為に、力を合わせなければならぬハズの者達が、些細な事でいがみ合うとは嘆かわしい!」それは以前、どこかで見た仮面だった。

袁紹

「そういう貴女は何ですの!?」

華蝶仮面

「私か?私はその名も……」

鈴々

「変態仮面なのだ!」

華蝶仮面

「変態仮面ではない!華蝶仮面だ!」

愛紗

「イヤ、だが、その格好はどうみても変態仮面にしか見えぬが……」全裸で手拭いを肩にかけただけの今の華蝶仮面は、確かに変態呼ばわりされても文句の言えない姿だった。本人もそれに気づいたらしく、

華蝶仮面

「……諸君、サラバだ!」バツが悪そうにその場を去っていった。残された全員、温泉の中でズッコケる。

鈴々

「何しに来たのだ?あいつ~」

 

袁紹

「ハァ~、何だか水を差されましたわ……」

「温泉だけに、ですね」

一刀・忍・賢・理人・幸太

「……」

「みんなしてスルーですか……?」

愛紗

「折角の温泉なのに争っていてはつまらぬ。ゆっくり湯に浸かったらどうだ?」

曹操

「それもそうね♪」

全員

「「「あ~、極楽極楽♪」」」

 

 ところで、当人達もスッカリ忘れているようだが、本来3バカトリオが探していた宝物。実は愛紗達を散々追いかけ回した熊が塒にしている洞穴に隠されていた。当然その価値が分かる訳もなく、敷物代わりにその上で踞って眠る熊であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




アニメとの違い
・全員で温泉に入るところと、愛紗達が熊に追いかけられるトコ以外はオリエピ。
・アニメでは湯浴み着はなし。

不定期公開、あとがき劇場(第2回)


「袁紹が温泉見つけたって事で良いのかしら?」
一刀
「まあ、あの場所に最初にいたのは確かだし……」
愛紗
「では全陣営、現状維持だな」
幸太
「あーっ!!」
朱里
「どうしたの!?」
幸太
「せっかくの温泉なのに、温泉卵作るの忘れてた……(泣)」
一刀・忍・理人
「「「下らない事で騒ぐな!(んじゃないわよ!)」」」
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