アニメでは爺いだった張昭が最新作ではナゼかロリBBAになってました(どちらも本作には登場せず)。
(-_-;)
前話のあとがきを一部変更しました。
ようやく解放された一刀達3人。
孫権
「……関羽殿、北郷殿、伍代殿。すまなかった」
愛紗
「イエ、分かっていただければ……」事件当時孫家の者と一緒だった為、最初から容疑から外れていた朱里、忍、鈴々もホッと胸を撫で下ろす。
理人
「……しかし、真犯人は誰だ?」すると幸太が
幸太
「後で説明します。今夜、時間良いっすか?」
夜になり、孫権が姉の無事を祈っていると、叔母の孫静が部屋を訪ねてきた。
孫静
「孫権、まだ起きていたのですか?」
孫権
「叔母上……」
孫静
「孫策の容態が気になるのは分かりますが、そんな事では貴女の方が参ってしまいますよ」そこに配下の大喬、小喬が部屋に入ってきた。
大喬
「孫権様!……あっ孫静様」
孫静
「どうしたのです?こんな夜更けに!」
孫権
「まさか……姉様が!?」
小喬
「いいえ、その逆です!孫策様の容態は持ち直しました♪」
孫権
「……っ!」
小喬
「まだ意識が朦朧としてますが、医者が言うには峠を越したと……」
孫権
「良かった……姉様……本当に良かった……」
大喬
「しばらくは絶対安静ですが目を覚ましたら、会って話をしても良いと……」安堵の涙を流しながら泣き崩れる孫権。その脇で孫静はナゼか、苦々しい顔をしていた。
更に夜が深まった頃、我らが一行は幸太を囲むようにして集まっていた。そこには陸遜、甘寧も混じっている。
一刀
「じゃあお前は昨夜、事件のからくりを全部聞いていたんだな?」
幸太
「ええ。孫羌さん達が会議室で話していたのを聞いたというか、聞こえたというか……お家騒動に口を出す訳にもいかないので、黙ってましたが」
甘寧
「聞こえてきた?近くを通ったのか?」怪訝な顔で問う甘寧。
幸太
「イエ、客室で寝てましたけど……」
陸遜
「客室と会議室はかなり離れていますよぉ。聞こえるハズないと思うんですけど~?」
理人
「幸太に聞かれたくなけりゃ、長江を越えてから話さねえとな(苦笑)」
鈴々
「あのぐらいの距離、こいつには筒抜けなのだ」
忍
「この子の聴力は半端じゃないわよ」
愛紗
「と、いう事は……早ければ今夜にでも動きがあるな」全員が頷く。
朱里
「遅かれ早かれ結果は分かりますよ。後は孫羌さんと周瑜さんに任せましょう」
そして孫策の寝室に音もなく忍び込む、1つの影。その手に携えた一本の針で、寝入る孫策を刺そうとする。
孫策
「なるほど。その針の先端に毒が塗ってある、という訳ですか……ようやっと尻尾をだしましたね、叔母上」眠っていたハズの孫策が目を開ける。孫策の暗殺を目論んでいたのは叔母の孫静だった。
孫静
「……っく!」
孫策
「私の容態が回復したと聞いて、お忘れになりましたかな?」寝台から起き上がり、孫静を睨み付ける。
孫静
「孫策……そなた……」
孫策
「死にかけていたのではなかったのか、ですか?叔母上が私のやり方を快く思ってないのは分かっていましたが、まさか命まで取ろうとするとは……乱世とはいえ、嘆かわしい限りです」部屋の戸が開き、周瑜と孫羌が部下を連れて乗り込んできた。
周瑜
「孫静様。恐れながら反逆の罪で、お身柄を拘束させていただきます」兵士が孫静を捕り押さえる。
孫静
「兄上!これは全て、貴方と周瑜の企みか!?」
孫羌
「想像に任せる」妹に冷たく言い放つ孫羌。
孫静
「孫策!そなたは間違っている!どれだけのモノを得ようとも、その為に流されたおびただしい血がいつか孫家に仇なす事となろう!」羽交い締めにされながらも声を荒げる孫静に、負けじと言い返す孫策。
孫策
「母上の遺志を継ぎ、覇道を歩むと決めた時からそれは承知の上です!ですが叔母上。例えどれだけ血を流そうが、私には手に入れたいモノがあるのです!」
孫静
「……っ!」
孫策
「……連れていけ」兵士にそう告げると、ソッポを向く孫策。
その後、孫羌と周瑜は会議室にいた。
孫羌
「やれやれ、終わったな」
周瑜
「はい。全て滞りなく」
孫羌
「後はこれに名を連ねた者共の始末だな。此度の企てに際し作った連判状じゃ。反逆の動かぬ証拠となるだろう」孫羌は始めから、罠を仕掛けるつもりで先日の会議で重臣を集めたのだった。連中にしてみれば、孫羌に呉を継ぐ野心があると踏んでの反逆行為だったが、シスコンでもあった孫羌は亡き姉の遺志を汲んだ上で、孫策に王としての器を見い出し、その娘に王位を託したのだった。
孫羌
「……しかし、関羽とか申す者には悪い事をしたな」
周瑜
「あの時偶然、あそこに居たのが身の不運。と申せましょうが、まさか孫権様が本当は居もしない暗殺の下手人を捕らえるとは……想定外でした」つまり暗殺事件自体に犯人など始めから存在しない。全ては反逆者を炙り出す為、孫策と孫羌、周瑜が仕組んだ狂言だったのだ。恐らくは孫静が主犯であろう。
孫羌
「名軍師と智謀の士などと言われても、神ならぬ身である以上、全てを見通す事は出来ぬか」
周瑜
「恐れ入ります」互いに苦笑しながらの会話となる孫羌と周瑜。
孫権
「失礼します!」孫権が会議室に怒鳴り込んできた。
孫羌
「連華か。どうした?」孫羌の飄々とした態度に孫権は、更に声を荒げてしまう。
孫権
「どうした?ではありません!此度の姉様の暗殺騒動、叔父上と周瑜が裏で糸を引いていたそうではありませんか!」
周瑜
「……孫権様。その件に関しましては」
孫権
「周瑜は黙ってて!」
孫羌
「それで何を怒っておる?」周瑜は孫権の気迫に押されるが、孫羌は飄々とした態度を崩さずに話を聞く。
孫権
「姉様を囮に反逆者を炙り出す、それ自体も腹に据えかねますが……ナゼ私には何も知らせてくれなかったのです!?おかげでとんだ大恥を晒してしまったではありませんか!」
孫羌
「良いか?此度は反逆者共がどこに目を光らせているかも分からん状況にあった。だからこそ出来るだけ内密に事を進ませたかったのだよ。それにお主はまだ若い、恥をかくのも後学となろう」連中が細作、つまりスパイを張らせている可能性も考慮した上での判断と、姪に言い聞かせる孫羌。渋々ながら一応は納得して、引き下がる孫権。
周瑜
「……黄蓋殿お気に入りの、あの少年から聞いたのですな」
孫羌
「昨日はおろか、今の儂らの会話も全て筒抜け、という訳か……」孫羌は2人と会話しながらも、何やら考え事をしていた。
更に数日経ち、長江から出航する舟に乗り込もうとする我らが一行。しかしその中に幸太は居なかった。というのも……
黄蓋
「どうじゃ、ウチの子にならんか?」黄蓋が幸太を養子に欲しいと言ってきた。最初は固持した幸太だが、一刀達から『この世界に居る間なら良いんじゃないか』と、言われて最後は受け入れた。
そして、江東を旅立つ日。船着き場には晴れて?義理の親子になった幸太と黄蓋、孫権と尚香、陸遜が見送りに来ていた。
陸遜
「もっといっぱい書物のお話をしたかったのにぃ~」
朱里
「陸遜さん。私もです……」
陸遜
「気が向いたら、お手紙下さいね」
朱里
「はい!必ず」朱里と忍は陸遜との別れを惜しみつつ、握手を交わしていた。
忍
(あちしはアンタと関わるのはもう懲り懲りだけど……)と、忍が陸遜に内心でそう思っていたのは秘密である。
尚香
「この前は決着着かなかったけど、今度会った時は大きさ、形、色、艶、感度、弾力、味の七番勝負だからね!」
鈴々
「望むところなのだ!」どうしても胸で優劣を決めたい鈴々と尚香。ある意味、良いライバル関係になっていた。
愛紗
「……って、お主らまだそんな事を」
理人
「やっぱ燃やせば良かった……」
一刀
「まあまあ理人」愛紗は苦笑して、一刀は苛立つ理人を宥める。
孫権
「関羽殿、みんな。此度の事、そなた達には何と詫びてよいか……」孫権は一行に謝罪を述べる。
愛紗
「何度も申したように、その事はもう……」それに対して、誰も怒ってはいなかった。
孫権
「あの時、わたしはどうかしていたのだ。スッカリ気が動転していて、何の罪もないそなた達に疑いをかけてしまった……全く、人の上に立つ者として、あるまじき事だ」
愛紗
「『過ちを改めざる。即ち、これを過ちという』人間、誰しも過ちを侵す事はあるモノです。過ちを侵した後、それに気づき謝罪し、反省して同じ過ちを繰り返すまいとする。それが出来る貴女は人の上に立つ者としての資質が充分にあると、私は思いますが……」孔子の有名な言葉を引き合いに出す愛紗。
理人
「家族がいきなり命を狙われた、なんて聞けば当然だ。だから俺達もあんたを責める気はねえよ」様々な気持ちが溢れて、涙目になる孫権。
一刀
「黄蓋さん。幸太の事、宜しくお願いします」
黄蓋
「うむ、任せておけ。それとお主ら、儂の事は'
理人
「真名を?」
忍
「良いのかしら?」
黄蓋
「構わん。これからは儂もお主らの身内のようなモンじゃからな」黄蓋改め祭は、笑顔でそう返す。その傍らで幸太は照れ臭そうにしていた。
愛紗
「では、我らも。私は愛紗」
一刀
「一刀です」
理人
「俺ぁ理人」
鈴々
「鈴々なのだ!」
忍
「あちしは忍」
愛紗
「さあ孫権殿。我らの旅立ち、笑顔で見送っていただけますね?」微笑む愛紗に小さく頷いて、満面の笑みを返す孫権。
そして我らが一行を乗せた船は、目的地を目指す。
愛紗
「いやぁ、船旅というのは良いモノだなぁー。こうしてこうやってノンビリしているだけで目的地に着けるとは……♪」
鈴々
「本当なのだ。陸の上もこれで行ければ楽で良いのだ」さて、江東を旅立った一行。今度は何が待ち構えているやら。それは次回の講釈で。
アニメとの違い
・孫権が会議室に怒鳴り込むところと、黄蓋の登場部分はオリエピ。
・愛紗達は孫策暗殺騒動の裏側を知らずじまい。朱里は船上で怪訝に思っている→幸太がアッサリ種明かしをしている。
・陸遜と周瑜の会話で、陸遜が朱里の将来を楽しみにしていると言うのに対して、周瑜は末恐ろしいと感じている→朱里が本家ほど活躍していないのでこのシーンはカット。