新説・恋姫†無双~一刀と愉快な?仲間達~   作:越後屋大輔

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前話を見直したら、理人が全く登場していなかったので書き足しました。ほぼ取って付けたようになってますが。
(^_^;)
長さとしてはこのぐらいが丁度良いと自分では思ってますが如何でしょうか?


第三十六席馬超、合流するのこと

 ~時間は昨日の夜に戻る~

 

 その晩賊との闘いに勝利した義勇軍は、庄屋の屋敷で宴会を開いていた。

庄屋

「いやぁ♪関羽殿達が義勇軍に加わってから、連戦連勝。この辺りもスッカリ平和になりました。しかし皆さんの武勇もさることながら、孔明殿の知略には恐れ入りました。正に昔、漢の高祖劉邦を助けて天下を取らせた張良にも劣らぬ名軍師ぶり!」酒の入った庄屋はひたすら朱里を褒め倒す。

朱里

「はわわ、そんな名軍師だなんて(照)私はただ皆さんにちょっとした助言をしているだけで……」謙遜する朱里だったが、鈴々が骨付き肉を食らいながら話の輪に割り込んできた。

鈴々

「そうなのだ。鈴々と愛紗とお兄ちゃん達が居れば、別に小難しい策なんて立てなくても、賊退治くらいチョチョイのプーなのだ!」

庄屋

「流石は張飛殿。勇ましい事ですな!」庄屋も酒が入っているせいで言動が一致しておらず、鈴々と笑い合う。

理人

「あろな鈴々。ひょひきふぉふぁいへりふるらら(組織を相手にするには)まるはひゅへんふぉらにゃ(まず作戦をだな)……」いつもは真面目で堅物な理人。酔っ払いながらも鈴々に説教するが、呂律が全く回らない。

一刀

「まあまあ理人。今日ぐらい堅い事は言いっこなしにしようぜ」今夜は珍しく、一刀の方がマトモだった。

 

 愛紗は宴会の騒ぎから離れて1人、ベランダで月を眺めている。その隣に劉備が歩み寄ってきた。

劉備

「関羽殿!」

愛紗

「劉備殿……」

劉備

「どうしました?何か宴で気に入らぬ事でも?」

愛紗

「あ、いえ。ただ……月があまりに綺麗だったモノですから」

劉備

「月……?」劉備が夜空を見上げると、今夜は満月が輝いていた。

劉備

「おお、確かに。これは美しい。尤も関羽殿、貴女の美しさには及びませんが」歯の浮くようなセリフをしれっと放つ劉備。そして爽やかな笑顔を愛紗に向ける。愛紗は恥ずかしそうに視線を逸らす。

愛紗

「な、何を言って……からかっては、困ります……」

劉備

「関羽殿……」

愛紗

「は、はい!?」

劉備

「いきなりこんな事を言って迷惑だとは思うのだが、この先私とずっと一緒に居ていただけないだろうか!?」愛紗は突然の告白に驚く。

愛紗

「え?そ、それってもしかして……」

劉備

「私のような者が貴女ほどの豪傑の主に相応しいとは思っていない。だが私とていつまでもこのままでいるつもりはない。賊を退治する事で名声を高め、より多くの兵を養い、いずれはひとかどの将として身を立てるつもりだ。その為にも、私には貴女の力が必要なのだ」長々と熱弁する劉備だったが

愛紗

「え?あ、ぁぁ……一緒に居てほしいってそういう事……」愛紗は思っていた告白と違って、不機嫌そうに呟いた。

劉備

「どうだろう関羽殿!私に仕えてはもらえぬだろうか?」

愛紗

「え、ええ。そういう事でしたら……」苦笑いで答えると、劉備がその手を取り、

劉備

「おお。承知して下さるか!」顔を愛紗の身に寄せてくる。愛紗が戸惑っていると、そんな2人の間に入ってくる者がいた。

一刀

「こんな所にいたのか。早く宴会に戻らないと、鈴々が料理を全部食べちゃうよ」ワザとおどけて見せる一刀。パニクった愛紗は思わず劉備を突き飛ばし、ナゼか柱に抱きついている。

一刀

「何、しているんだ?」答える代わりに誤魔化すように苦笑する愛紗。対して冷静を装う一刀だが、内心は苛立っている。愛紗が劉備と……いや、他の男と仲良くしているのが何となく面白くない。しかし当の本人もまた、その理由に気づいていないようだった。

 

 ~そして翌日~

 

 土から引き抜かれた馬超は、青い顔で地面に打ち付けられたまま意識を失っていた。

「脈があるわ。死んではなさそうね」馬超の手首を取って生死を確認する忍。

朱里

「とにかく庄屋様の屋敷へ……」

 

愛紗

「それにしても馬超。あんな所で行き倒れになっていたとは、一体何があったのだ?」夜になり、生気を取り戻した馬超は出された料理を貪りながら話す。どうやら空腹が原因で倒れたいたようだ。

馬超

「モグモグ……、ひふは(実は)、へいひょうにはうぇってふぁらふひゃひゅほーのはひろほふーれ、ほびんふぁほほをふいひむぁっへ」

鈴々

「何をいっているのか、全然分からないのだ」と言いつつ、馬超の前に並べられた皿からマンガ肉を盗み食いしようとした鈴々だったが、寸でのとこらで馬超に奪還された。

馬超

「だから、西涼に帰ってから、武者修行の途中で路銀が底をついちまって。腹ペコで困っていた時に、ホラ!あの大食いのチビ、許緒が山で野草をいっぱい摘んでたのを思い出してさ。あたしも探してみたんだけど、どれが食えるのかサッパリ分かんなくて……とりあえず、その辺に生えてたキノコを適当に焼いて食ったら、ある意味これが大当たり!すぐに目の前グルグルしてきて、しぱらくすると……耳のデッカいネズミやクワックワッ煩いアヒルとか見えてきて、気がついたらそいつらと一緒に一晩中、バカ笑いしながら山ん中走り回って、その挙げ句力尽きて、朝までバッタリ……って訳」これには全員が呆れた。

朱里

「馬超さんが食べたのは多分、サイケ茸だと思います。幻覚作用があって、並の神経をしていた人なら笑い死にしていたかも……」

理人

(その幻覚が何で某夢の国なんだよ?)

(……それを言っちゃダメよ)

一刀

(方々から叱られるって……)

愛紗

「ま、確かにこいつは並の神経じゃないな……」その馬超は満腹になったのか、その場で椅子に腰かけたまま、眠っていた。

 

 やがて夜も更けて一行も眠りにつく。馬超も床についていたが、ふと尿意を感じると目を覚まして外へ出る。

馬超

ヤバいヤバい。厠、どこなんだ?早くしないと漏れちゃう……」寝ぼけ眼で厠を探していると、屋敷の出入口に松明を持ち、腰に剣を帯した2人連れを見つけた。眠気が吹っ飛んだ馬超は大声で叫ぶ。

馬超

「て、て、敵襲だぁー!敵襲ぅー!敵襲ぅー!敵襲ぅー!」その声にムクリと起き出す愛紗達。

馬超以外全員

「「「「アハハハハハ!」」」」

 それから10分後……庄屋を始め、全員が寝間着姿のまま、客間に揃うと馬超以外のみんなが一斉に笑う。

馬超

「そ、そんなに笑わなくてもいいだろ?」真っ赤な顔で俯きながら、必死に弁解する馬超。

鈴々

「けどけど、見回りの兵士を敵襲と間違えるなんて、おっちょこちょいにもほどがあるのだ」

馬超

「しょうがないだろ。まさかここが義勇軍の本拠地になっているなんて、全然知らなかったんだから。武器持った奴が、夜中ウロウロしてたら勘違いするっての!」剥れてソッポを向く。

鈴々

「ププッ、あの時の馬超の慌てっ振りときたら……」背中を向けて肩を揺らす鈴々にカチンときていると、

愛紗

「こら鈴々。いつまでも人の失敗を笑うの良くないぞ……」そう言う愛紗も笑いを堪えきれずにいた。

馬超

「……って自分も笑ってんじゃん。こっちはビックリして、ちょっとチビっちゃったていうのに」

愛紗

「え?」

馬超

「ッハア!」つい失言した馬超を問い詰めようとする愛紗。

愛紗

「今何て……」

馬超

「何でもない!何でもないってばぁ!」そんな中、朱里が意外な助け船を出した。

朱里

「でも……これは良い機会かもしれませんね。今回の事は寝惚けた馬超さんの勘違いでしたけど、本当に敵が攻めてきた時の事も、考えた方が良いと思うんです」笑いは消え、全員が神妙な顔を朱里に向ける。

劉備

「一応、それを考えて兵士に見廻りをさせているのだが……」

朱里

「いいえ、それだけでは不充分です。村の何ヵ所かに見張りの為の櫓を( やぐら )を設け、いざという時にはこの屋敷に籠って闘えるよう堀を掘ったり、塀を高くすべきでしょう」

理人

「櫓には火柱で合図出来る俺と、鳥に化けられる忍が交代で常駐した方が良いな」

「それならより迅速に対応出来そうね」

劉備

「孔明殿のお考えも分からんではないが、何もそこまでする必要は……」劉備は今一つ納得しかねるようだが、

朱里

「劉備さん。備えあれば憂いなし、ですよ♪」かくして、堀と櫓の建設工事が始まった。朱里は設計図を見ながら、愛紗と劉備に細かな説明をしている。一刀、忍、理人の3人もそれぞれの能力を用いて作業を手伝う。それを眺めている鈴々に、馬超が声をかける。

馬超

「後少しで完成ってトコだな。ん?どうしたんだよ、仏頂面して」馬超がいつもと様子が違う鈴々に尋ねる。

鈴々

「気に入んないのだ」

馬超

「気に入らないって、孔明がか?」

鈴々

「そうじゃなくて、あいつの方なのだ」

馬超

「あいつって……劉備殿の事か?」

鈴々

「あいつ、闘いの時にはいっつも後ろの方に居て全然前へ出てこないのだ。大将のクセにとんだ臆病者なのだ」不貞腐れている鈴々。

馬超

「戦は……大将が殺られちまったら、それまでだからな。そういう闘い方もあるさ。ま、あたしはそういうのあんま好きじゃないけど……」馬超がフォローを入れる。

鈴々

「……それに賊のアジトから取り返したお宝、全部ここの蔵に仕舞って独り占めしているのだ!」

馬超

「独り占めって……それは軍資金にする為で別に自分の物にしているって訳じゃないだろ?」

鈴々

「馬超も愛紗と同じ事言うのだ……」

馬超

「え、そりゃまあ……普通に考えたらそうだろうって事で」

鈴々

「もう良いのだ!」

馬超

「オ、オイ張飛?」馬超が一旦は止めようとしたが、鈴々はムスッとしてそこから去っていく。

馬超

「やれやれ。大好きなお姉ちゃんを取られた妹の妬きもちってトコか……」そう思い直し、深追いするのは止めにした。一方そんな2人を目にした忍は作業員に断りを入れて、工事現場から離れると鈴々を追いかけていった。ふと鼻に冷たい感触を受けて空を見上げると、雪が降り始めていた。

 

 

 

 

 

 

 




アニメとの違い
・2人っきりになった愛紗と劉備の間に割って入ったのは鈴々→一刀
次回、またはアニメ1期分が終了後は本家をベースにしながらも、オリ展開や他作品を織り混ぜていこうかな?とも考えてます。現状、まだ決定ではありませんが。

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