新説・恋姫†無双~一刀と愉快な?仲間達~   作:越後屋大輔

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アニメ1期分がまだ完結していませんが、令和元年最後の投稿です。ご覧いただいている皆様、よいお年を。


第三十七席忍、劉備を疑うのこと

「待って鈴々ちゃん」駆け寄った忍は未だ膨れっ面の鈴々にこう告げる。

「アンタも劉備の事を疑っているのね……?」

鈴々

「……忍お兄ちゃんもか?」鈴々の顔つきが変わる。自分に同意する者がいるとは思わなかった、そんな表情だ。

「あちしもあいつは信用出来ないわ。だから色々調べてるのよ。いずれボロを出すまで、腹が立つでしょうけど今はまだ我慢してくれるかしら?」

鈴々

「分かったのだ」

「アリガト。じゃあちしは戻るわね」鈴々は作業場に戻る忍を呼び止める。

鈴々

「お兄ちゃん!」

「何?」

鈴々

「ありがとうなのだ!」鈴々はいつもの笑顔を忍に向けた。

 

 降りだした雪は翌日には止んだが、スッカリ積もって一面の銀世界が広がる。鈴々は大ハシャギしながら、早速外へ出る。

鈴々

「うわぁーっ!真っ白なの……ウプッ!」誰かに雪玉をぶつけられた。

鈴々

「誰なのだぁーっ!」鈴々が怒鳴ると、木の後ろから犯人が姿を見せる。地元の子供達のようだ。

子供A

「べぇーっ(笑)」

子供B

「悔しかったらここまでおいで!(笑)」

子供C

「おいでー!(笑)」

鈴々

「ムキーッ!今すぐ行ってやるから、覚悟するのだぁー!(怒)」鈴々は子供達を追いかけるが、途中子供達の掘った落とし穴に見事にハマる。

子供A

「や~い、ひっかかった(笑)」

子供B

「義勇軍っつっても大した事ねえの!(笑)」

子供C

「ね~の(笑)」

鈴々

「うぅぅ、一生の不覚なのだぁ……」穴の中でひっくり返り、思いっきり大股開き状態の鈴々だった。 

 

鈴々

「ヘックシ!」部屋に戻った鈴々は大きなくしゃみをすると、愛紗が持ってきてくれたタオルで、雪に濡れた頭を拭きながらボヤく。

鈴々

「全く!とんでもない悪ガキ共なのだ!」

愛紗

「そうか。とんでもない悪ガキ共か……」

一刀

「ハハッ、懐かしいな」愛紗と一刀は鈴々の言葉に微笑ましく笑う。

鈴々

「二人共、何がおかしいのだ?」ムスッとして問う鈴々。

愛紗

「いや。イタズラ好きの悪ガキと聞いて、お前と初めて会った事を思い出してな」

一刀

「今度は鈴々が落とし穴の餌食とか。因果は巡るモノだな」

愛紗

「『鈴々山賊団のお通りなのだぁ』てな」愛紗は当時の鈴々の真似をして、おどけて見せる。

鈴々

「……鈴々山賊団はあんなヘナチョコ共とは違うのだ」膨れっ面でソッポを向く鈴々を愛紗が諭す。

愛紗

「まあ、そう言うな。あの子達がイタズラしてきたのは案外、お前と仲良くしたいからかもしれんぞ」

一刀

「『一緒に遊ぼう』って話しかけてみればどうだ?」

鈴々

「仲良くしたいからイタズラするって、訳分かんないのだ。例えもし、そうだったとしても鈴々はあんな奴らと絶ぇーっ対仲良くなんてしてやらないのだぁーっ!」と、意地を張っていた鈴々だが……翌日。

 

鈴々

「鈴々義勇軍のお通りなのだぁ!」昨日の子供達を率いて豚に跨がり、かつて愛紗や一刀と出会い、育った村での山賊ごっこと全く同じ事をやっていた。道を爆進中、馬超とすれ違う。突然の事に驚いた馬超は鈴々達を避けようとして、尻餅をつく。

馬超

「コラァ!この悪ガキ共ーっ!」怒る馬超だが

鈴々

「これがホントのトンズラなのだぁ」

子供C

「なのだー」2人して、指で花の頭を上向きにして、そのまま走り去っていく。

 一頻り走り回った鈴々義勇軍は枯れ木が茂る広場で一休みしていた。鈴々が乗っていた豚は傍らで寝息をたてている。

子供B

「ねぇおやびん」

鈴々

「おやびんじゃなくて大将なのだ」

子供B

「じゃあ大将、次は何して遊ぶ?」

鈴々

「?う~ん……」

子供C

「お花見!」

子供A

「バーカ。まだ花が咲いてないのに、お花見なんて出来るかよ」

鈴々

「この村、お花見出来るようなトコがあるのか?」

子供A

「ここだよ、ここ」

子供B

「満開になったらスゴいんだよ!ブァーッと桃の花がいっぱい咲いて……」

子供A

「だからこの村、桃の花の村って書いて桃花村って言うんだ」

鈴々

「ふぅん……よーし!それじゃここの桃が咲いたらみんなでお花見するのだぁ!」鈴々が宣言すると、子供3人も拳を振り上げる。

子供ABC

「「「応ーっ‼」」」

 

 桃花村から遠く離れた、ある地の茶店で寛ぐ家族がいる。履真、沙弥、一戒の3義兄弟と長兄履真の妻、黄忠と夫婦の娘、璃々の親子3人連れ。夫婦は茶を飲み、幼い娘は叔父達と団子を食べている。

黄忠

「あなた、璃々。そろそろ行きましょうか」

履真

「ああ」

璃々

「うん!」顔を団子のタレまみれにした璃々が、元気よく返事をする。

黄忠

「あらまあ、口の回りがベタベタじゃない」黄忠はハンカチを取り出して璃々の口を拭く。沙弥と一戒も団子のタレで口の回りが汚れていたが、

履真

「いい年齢してみっともねえんだよ!」履真は義弟2人に拳骨を見舞うと、茶店の主人に金を払い桃花村の場所を尋ねる。

茶店主人

「へい。確かに」

履真

「時に主人。桃花村までは後どれぐらい掛かるか、存ぜぬか?」

茶店主人

「桃花村?ああ、最近義勇軍が旗揚げして、近くの賊共を成敗して周ってるっていう……」

履真

「ああ。その村だが」

茶店主人

「そうさなあ。ここからまだ山を二つ三つ越さにゃならんから、子連れの足だと四、五日はかかるかもしれんなぁ。もしかしてあんたら、義勇軍に参加するつもりかね」

履真

「ああ。以前世話になった関羽、北郷という若者が、その義勇軍で将になっていると風の噂に聞いて、力を貸そうと思ってな」一家は茶店主人から情報を得ると、黄忠は璃々の右手を、履真は左手を取って店を後にするその後ろから得物を担いで着いていく義弟達。茶店の主人が一家を見送って店内に戻ると、外套を纏った女に話しかけられる。

??

「主人」

茶店主人

「へい、何でしょう?」

??

「桃花村とやらの義勇軍の話、少し詳しく聞かせてもらえぬかな?」外套から垣間見れたのは誰であろう、あの水鏡の庵近くではぐれたハズの星であった。そして時を同じくして桃花村へ向かう、もう1組の者達がいた。

 

~ここからアニメ1期最終話分~

愛紗

「官軍からの参陣要請?」

劉備

「ああ!何でも州境で、領民がかなり大規模な反乱を起こしたらしい」嬉しそうに説明する劉備に愛紗の表情が曇る。

劉備

「討伐隊を何度か差し向けたが、一向に乱を沈める事叶わず、結局大将軍の可進自ら軍を率いて出てくる事になったのだが、我らの活躍がその耳にも届いたらしく『朝廷に尽くさんとする志しあらば我が陣に参ぜよ』と」

鈴々

「漢王朝の偉い人もやっと鈴々達のスゴさに気づいたぁーって事なのだ!」薄い胸を張り、自慢気な鈴々。

馬超

「成り上がり者の可進の下に付くってのはちょっと気に入らないが……この際大暴れして腑抜けた官軍の目を覚まさせてやろうぜ!」

鈴々

「お目々パッチリなのだ!」盛り上がる鈴々と馬超に対して、愛紗と朱里は慎重さを失わない。

愛紗

「孔明殿はどう思う?」

朱里

「そうですね……聞くところによると、各地で反乱が続発して官軍は今、猫の手も借りたい状態、とか。大将軍自らの出陣といっても、実のところ、さほどの兵力ではないのかも……」

愛紗

「なるほど。それで我らに声をかけてきたという訳か」

一刀

「しかし相手が賊じゃなくて、領民となると……」

理人

「何ともやり辛ぇな」

劉備

「理由はどうあれ、これはまたとない機会だ。ここで華々しい手柄を立てれば、我らの名は更に高まるだろう。そうすれば義勇軍に参ずる者も増え、我が軍はより強く、より大きくなれるのだ!」やたら興奮気味な劉備に全員ポカーンとしている。その中で忍だけは、劉備へジト目を向ける。

(……こいつやっぱり己の欲の為に動いていると見て、間違いなさそうね)その様子に気づいた劉備は慌てて取り繕う。

劉備

「あ、あっ……コホン、そしてそれがより多くの人を救う事になる」愛紗はその言葉に共感し、無言で頷くが忍はより疑いを募らせる。

劉備

「それでは、出発は明朝!みんな早速準備に取りかかってくれ」

愛紗、朱里、馬超

「はい!」

一刀、理人

「応っ!」

鈴々

「合点なのだ!」

「……」忍以外全員が返事をして、一旦解散となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




2020年の投稿はまだ未定です。出来れば一発で完結させたい……。
アニメとの違い
・忍が鈴々を呼び止めるシーン
・茶店の主人と会話するのは黄忠→履真
・桃花村に向かうもう1組は何者か?

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