新説・恋姫†無双~一刀と愉快な?仲間達~   作:越後屋大輔

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『明けましておめでとうございます』何とかこの言葉が間に合う日に投稿できました。(ムリヤリ感は否めない)
(^_^;)


第三十八席賢と顔良、仲間になるのこと

 その晩、愛紗は風呂に浸かりながら先日の劉備の言葉を思い出していた。

『月?ほう……確かにこれは美しい。尤も関羽殿、貴女の美しさには及びませんが』思わずニヤける愛紗。

愛紗

「『そしてそれがより多くの人を救う事になる』……か」緩む頬へ手を当て、顔の火照りを押さえる。風呂から上がり寝間着に着替えると、今度は一刀の言葉が頭をよぎる。

『愛紗は綺麗だよ。俺が保証する』出会って間もない頃、真剣な面持ちでそう言ってくれた一刀。時には愛紗を侮辱する者へ、本人以上に怒ってくれる。そんな2人の男の間で愛紗は心を揺さぶられながら、風呂を後にした。その頃、我らが一行に寝室として与えられた大部屋では鈴々が寝間着をはだけた状態でグースカ鼾を掻いて眠っていた。

 

 翌朝、いざ出陣となったのだが、鈴々の顔色が良くない。目が虚ろな上、鼻水まで垂らしている。

朱里

「はわわ~!鈴々ちゃ~ん、風邪引いてるんですからちゃんと寝てなきゃダメですよぉ」それでも出陣しようとする鈴々を朱里は必死で止めていた。愛紗と一刀、馬超、忍はやれやれと呆れる。

鈴々

「鈴々は風邪なんて引いてないのだ!」

朱里

「熱があって、咳が出て、鼻水垂らしているんだから風邪に決まってるじゃないですか!」

鈴々

「熱があって咳が出て鼻水垂らしていても……」思いっきり鼻を啜る鈴々。

鈴々

「何とかは風邪引かないっていうから、これは風邪じゃないのだ!」意地を張って愛紗達の側まできた。

馬超

「何とかってお前……(苦笑)」しかし、今回は朱里も退かずに鈴々の出陣を止めさせようと、怒鳴り付ける。

朱里

「何言ってるんですか!?バカは風邪引かないなんて迷信です!バカだって風邪引く時は引くんですから、鈴々ちゃんは風邪引いてますぅ‼」

愛紗

「孔明殿。言ってる事は間違ってないが、もう少しお手柔らかに……」

一刀

「……孔明ちゃん、ドサクサに紛れて結構酷い事言うな」

理人

「バカバカ言い過ぎだろ」

「意外に毒舌家だったのね……」

朱里

「でも皆さん……」

鈴々

「鈴々はずっと愛紗と旅して闘ってきたのだ!なのに愛紗が出陣して、鈴々だけ置いていかれるなんて絶対ヤなのだ!」目に涙を溜めながら駄々をこねる。

愛紗

「鈴々……お主の気持ちも分かるが、そんな体で出陣する訳にもいかぬだろう?」どうにか説得する愛紗。馬超も援護するが

馬超

「そうだぞ。却ってみんなの足を引っ張る……」

鈴々

「行くーったら、行くのだ!絶対愛紗と一緒に出陣するのだぁーっ‼」ジタバタして諦めようとしない鈴々。しかし風邪を引いてる身、フラフラして倒れそうになる。

朱里

「ホラ、熱があるのに暴れたりするから。これで戦に行くなんてムリですよ」咄嗟に朱里が支える。

鈴々

「そ、そんな事ないのだ。鈴々は愛紗と一緒に……」

愛紗

「張翼徳。お主に任務を与える!」愛紗は鈴々をいつもの真名ではなく、敢えて字で( あざな )呼びこう言いつける。

鈴々

「……?」

愛紗

「我らが出陣している間、ここに残り、村を守ってくれ」

鈴々

「……っ」

朱里

「私も残ります。戦が長引いた時に備え、兵糧を準備しつつ、鈴々ちゃんと一緒に村の守備につきます」

鈴々

「朱里……」

愛紗

「うむ。劉備殿には私から伝えておく」

馬超

「村を守るなんて、張飛には荷が重いんじゃ……(ニカッ♪)」冗談混じりに馬超が言うと、鈴々はまたムキになる。

鈴々

「馬超は黙っているのだ!」

愛紗

「どうだ、留守を頼めるか?」

鈴々

「分かったのだ……愛紗がそう言うなら、鈴々は残って村を守るのだ」鈴々がようやく納得したので安堵のため息を吐く朱里。そこにふと地中から、何かを削るような音が響く。

愛紗

「これは……?」

理人

「ああ。来たのか」

鈴々

「何の音なのだ?」

「馬超ちゃんと鈴々ちゃんは覚えがあるんじゃない?」

朱里

「はわわ~!どんどん音が近づいてますよぉー!」

一刀

「ある意味渡りに船というか、思わぬ拾い物というか……」

馬超

「ひょっとして……あいつか!?」一刀、忍、理人の未来チームはすぐに察したが愛紗達には見当が付かなかった。

 

 音は一行の手前で止まり、地面をかなりの勢いで飛び出す影があった。その跡には人が10人ぐらい埋まりそうな、大きな穴が開いている。

 穴から飛び出してきたのは1組の男女。男の方は腕の肘から先をドリルに変えている。

「やっぱりアンタだったのね、賢」高坂賢と顔良だった。

「ああ、そろそろ一ヶ所に落ち着きたくてな、どうせならお前達と合流しようと思ったんだが……そうも言ってられねえようだな」

理人

「悪ぃが、これから1ドンパチ()り合うところだ」

一刀

「来て早々スマンが、手伝ってくれないか?」

「応っ!ところで幸太や流華は?一は曹操の下に居るとは聞いてるが」

「幸太は養子に貰われたわよ。養母さんも良さそうな方だったわ」

一刀

「流華は董卓に仕えている。俺達が知っている人物とは、まるで別人だけどな」

愛紗

「話は後にしないか?そろそろ合流しなければ。鈴々、村は頼んだぞ」

鈴々

「合点なのだ!」

愛紗

「うん!それでこそ我が妹だ」愛紗は鈴々何かあったら

耳元へ顔を寄せると

愛紗

早く元気になれ……」と、優しく囁く。

鈴々

「……うん」微笑んで返事をした鈴々は、そのまま意識を失ってへたり込んでしまった。

 

 

 劉備と共に馬に乗り、官軍との合流地点に向かう愛紗達。

劉備

「仕方ないですね。張飛殿、孔明殿抜きで闘いましょう」

愛紗

「申し訳ない……」

一刀

「代わりというのも変だが、もう1人連れてきたから」あれから相談して、賢と顔良が義勇軍に参加を決めた。今日は賢が屋敷に残り、顔良がついてきている。

 愛紗から話を聞いた劉備は一見、納得したように愛紗に笑顔を向けるものの、振り向いた際に誰にも気づかれぬよう、舌打ちをしていた。

劉備

「……ちっ!」愛紗は鈴々の琴が心配らしく、馬上から屋敷を振り返る。

愛紗

「……」

馬超

「どうした関羽?」

愛紗

「イヤ、何でもない……」そんな一行を見つめる怪しい男がいた。

??

「……ん、遠征か?」

 

 やがて官軍が天幕を張った本陣に着いた愛紗達。その中でも、

一際立派な天幕では可進が艶かしい姿で長椅子に寄りかかっていた。

可進

「皆、集まったようじゃな。ではこれより軍儀を始める……曹操」

曹操

「はっ!」官軍には愛紗達と何かと因縁のある、曹操も参加していた。

曹操

「反乱軍の籠る山は、まさに天然の要害。正面から力押しに攻めても、いたずらに犠牲を増やすばかり。まずは山を囲んで糧道を断ち、兵糧攻めにするのが上策かと」

一刀

(なるほど。勝ち戦のセオリーだな)

(流石、曹孟徳といったところね)

理人

(これなら味方の被害も少なくて済む)一刀達は曹操の案に感心している。更に続ける曹操。

曹操

「そもそも此度の反乱は、領主の苛斂誅求が( かれんちゅうきゅう )原因だとか。兵糧攻めで相手の士気が挫けたところで、これまでの施策の誤りを認め、降伏した者は罪一等を減じると告げれば、大半は山を下るハズ……上手くいけば闘わずして乱を治める事も可能かと」自信ありげに語る曹操だったが、可進はあまり良い顔をしない。

可進

「手緩いな」

曹操

「……!手緩い、とは?」

可進

「朝廷に楯突いた賊共を許すなど、手緩いにも程がある!それにこれ以上時をかけては、朝廷の威信に関わる。悠長に兵糧攻めなどせず、一気に攻め潰せ!」この可進の言葉に理人と賢がブチ切れた。

理人

「……ざけんなっ!だったらテメェが1人でやりやがれ!」

可進

「貴様ら……このワシに何と!こやつらをひったてい!」配下の兵に2人を捕らえるよう命ずる可進だが、当然敵う訳もなく炎を喰らい、鎧を溶かされそうになって慌てて離れる兵士。可進の表情が悔しさで歪む。

??

「あの~……宜しいですか、可進将軍?」可進が気の抜けるような声に目をやる。そこに一がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




1期最終回まで後2、3話あるかもなので根気よくお付き合い頂ければ、幸いです。

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