新説・恋姫†無双~一刀と愉快な?仲間達~   作:越後屋大輔

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やっとアニメ一話分が終わった。けど前作の一話分とほぼ同じ長さ。全然短めにならない……。


大四席関羽と張飛、義姉妹になるのこと

 崖の上にある山小屋には、自分の身長より長さのある蛇矛を手にした鈴々がいた。

関羽

「お前が鈴々か?!」関羽から口火を切ると、

鈴々

「鈴々は『真名』なのだ!真名は親しい同士で呼び合う名前だから、お前に呼ばれる筋合いはないのだ!」

関羽

「そうか。では改めて名を聞こう」

鈴々

「鈴々は張飛(ちょうひ)!字は翼徳(よくとく)!泣く子も黙る鈴々山賊団のおやびんなのだぁ!」

一刀

(まさかとは思っていたけど、こいつが張飛かよ!どうなってんだこの世界?)混乱する一刀を無視して、飛び下りてきた張飛こと鈴々。一刀は深呼吸して、気持ちを落ち着かせてから告げる。

一刀

「君の手下には村に帰ってもらったよ」

鈴々

「!?鈴々の友達に何をしたのだ?」

関羽

「なぁに。ちょっとしたお仕置きを、な」

鈴々

「お~の~れ~!仲間の仇、十倍返しなのだ!」

一刀

「あっ、聞く耳持たねえな。こりゃ」

関羽

「一刀殿……」

一刀

「うん?」

関羽

「ここは私に任せてもらおう」

一刀

「分かった。任せるよ」関羽と張飛。2人が互いの得物で打ち合いを始めた。

関羽

「うっ、重い!力押しでは不利か……」

鈴々

「うりゃあ!」

関羽

「ふんぬっ!」

鈴々

「にゃー!」

一刀

(スゲェな。流石関羽と張飛……)一刀はひたすら感心していた。

 

 勝負は日が暮れても決着が付かず、夜になっても打ち合いは終わらなかった。

関羽

「中々しぶといな!」

鈴々

「そっちこそなのだ!でも鈴々の本気はここからなのだぁ!」ガキィーン!これまでで、最大音量の金属音が山に響いた。張飛が振り下ろされた蛇矛を、関羽が偃月刀で受け止めた。

関羽

「惜しいな」

鈴々

「はぁ?何がなのだ!」

関羽

「これほどの力を持ちながら、やっている事といえば山賊ごっことはな……」

鈴々

「余計なお世話なのだ!」

関羽

「……張飛よ。お主、幼い頃両親を賊に殺されたそうだな」

鈴々

「それがどうしたのだ!」

関羽

「私も……幼い頃、賊に家族を殺された。父も母も……そして兄者も。以来私は誓った。もうこんな思いはしたくない、二度と悲しみを繰り返したりしないと。こんな事の起きない世を目指そうと」

一刀

(……そうだったのか)

鈴々

「それが鈴々と何の関係があるのだっ!」未だ互いに得物を打ち合いながら会話を続ける。

関羽

「お主は変えたいと思わないか?賊に殺され、戦に巻き込まれ、罪なき人々が傷ついていくこんな世の中を!」

鈴々

「うっ!うぅ……」

一刀

「関羽。もういいだろう」一刀は関羽を制すると鈴々の頭にポン、と手を置く。

一刀

「辛かったね、淋しかったね。それでも1人でずっと耐えてきたんだろ?もう我慢しなくて良い。泣きたい時は泣けば良い」

鈴々

「そうなのだ……鈴々は、ずっと淋しくて、それで……でもどうして良いか分からなくて……う、う、うわぁぁーん!」堰を切ったように涙が溢れだし、その場で大泣きする張飛。

 

関羽

「何だか妙な事になったな」

一刀

「まぁ良いんじゃない?一晩ぐらい」

関羽

「それもそうだな」あれから一刀と関羽は張飛に薦められて、今夜は山小屋に泊まる事になった。

 

 ~回想シーン~

関羽

「好きにしろって……それはどういう……?」

張飛

「さっき途中で泣いちゃったから勝負は鈴々の負けなのだ。勝った方は負けた方を好きにして良いのだ」

関羽

「イヤ。私達は別にお前をどうこうするつもりはない」

一刀

「張飛が庄屋さんや村の人達に謝ってくれれば、それで良い。明日は俺達もついていってやるから、さ」

関羽

「では、明朝村の入り口で待ち合わせとしよう。私達はこれで帰るぞ」鈴々は踵を返す2人を引き留める。

鈴々

「待つのだ!」

関羽

「どうした?」

鈴々

「よ、夜道は危ないのだ。だから今夜は泊まっていくと良いのだ」

関羽

「私は旅暮らしが長いからこれぐらい慣れている。どうって事は……」

一刀

「じゃあ、お言葉に甘えよっか」

関羽

「一刀殿?しかし……」だが張飛の悲しそうな目を見た関羽は、後ろ髪を引かれる思いにかられた。

関羽

「そうだな。一晩厄介になろう」

鈴々

「にゃはっ♪」

 ~回想シーン終わり~

 

 関羽は張飛に薦められて、風呂に入っていた。

関羽

「ふぅ~。久し振りの風呂は気持ちいい(しかし一刀殿は不思議な人だ。それとも異世界ではアレが普通なんだろうか?)」関羽の知る限り、男とは欲望に身を任すだけのケダモノ同然な存在だった。しかし一刀は貴族を思わせる気品の良さに、庶民的な親しみやすさを併せ持つ、何とも形容し難い……。

鈴々

「湯加減はどうなのだぁ?」風呂を沸かす張飛の声が扉越しに聞こえてきた。

関羽

「ああ。丁度良いぞ」同じ場所から一刀の声が重なった。

一刀

「張飛。火は俺が見ているから、お前も入ってくると良い」間を置かず、勢いよく扉を開けて浴室に突入した張飛は、湯槽に思いっきりダイブする。

関羽

「コラーッ!飛び込むんじゃない!」

鈴々

「にゃっ」一瞬縮こまる張飛だったが、

関羽

「全く!風呂の入り方も知ら……うん?」仁王立ちしている関羽を見て、目をパチクリさせている。

関羽

「何だ、どうした?」

鈴々

「胸、おっきいのだぁ」

関羽

「な……!」頬を染めながら思わず両手で胸を隠す。

鈴々

「どうしたらそんなバインバインになるのだ?」興味津々といった様子で尋ねる張飛に困惑する関羽。

関羽

「どうしたらって……そうだ、志だ。胸に大志を抱けば、その分だけ大きくなる!……,ハズ」因みにこの会話を聞きながら火の番をしていた一刀も、頬が真っ赤になっていた。決して風呂釜の炎のせいだけではないだろう。

鈴々

「ホントに?ホントにそれで大きくなるのだな?」

関羽

「まぁそういう説もあったりなかったり……」

鈴々

「ヨーシ!だったら鈴々も、大志を胸にいだくのだ!」

一刀

(意味分かってんのかねぇ……)

関羽

「……そうだな。そうすると良い、大志を抱くのは悪いことじゃないからな……」

 

 その後一刀も風呂に入っている間に張飛は布団の準備をしていた。

関羽

「スマンな。寝床まで貸して貰って」

鈴々

「良いのだ。負けたんだから一晩一緒に寝るくらいどうって事ないのだ!」第3者が聞いたら、何とも誤解を招きそうな表現である。

一刀

「じゃあ俺は奥の部屋を使わせてもらうから……」

鈴々

「お兄ちゃんも一緒に寝るのだ!」張飛は一刀の腕を引っ張り、関羽と3人で川の字に寝る。

一刀

「狭くないか?」一刀が聞くと張飛はにこやかに答えた。

鈴々

「別に良いのだ。それに誰かとこうして寝るのは久し振りで……その……父様や母様と一緒みたいで……」

関羽

「バ、バカな事を言うな!私は……お前みたいな子供がいる年齢じゃない。精々、姉といったところだ」

鈴々

「姉……お姉ちゃんなら良いのか?」

関羽

「まぁ、そうだな……」

鈴々

「じゃあ今日から関羽は鈴々のお姉ちゃんなのだ!」

関羽

「ま、待て。姉なら良いとはそういう意味ではなくてだな」

鈴々

「ダメ……なのか?」潤んだ目で張飛に見つめられた関羽は折れた。

関羽

「分かった分かった。お前の姉になってやる」

鈴々

「やったぁ!鈴々にお兄ちゃんとお姉ちゃんが出来たのだぁー♪」

一刀

「良かったな張飛……ん、お兄ちゃん?誰が?」

関羽

「一刀殿しかいないだろう。何を今更……」

一刀

「そ、そっか。勿論張飛さえ良ければ」

鈴々

「もうこれで夜も淋しくないのだぁ」本当に嬉しそうな張飛に、関羽はこんな話を切り出す。

関羽

「ならば張飛よ。私達と共に、世の中を変える為の旅に出てくれるか?」

鈴々

「世の中を変える為……?」

関羽

「尤も実際は、どうすれば世の中を変えられるかを探す旅。と、いったところなんだが……どうする?一緒に来るか?」

鈴々

「……当然なのだ!」

一刀

「よし、決まりだな。じゃあ明日に備えて、今夜はもう寝よう」

関羽

「ああ、お休み。一刀殿、張飛」

鈴々

「お休みなのだ」

 

 そして翌朝。関羽と一刀は張飛を連れて庄屋の屋敷を訪ねた。報せを聞いた庄屋は昨日の役人達と一緒に門の前に出てきた……顔中、青痣や瘤だらけで。

関羽

「しょ、庄屋殿?どうしたんですか、その顔は?」

庄屋

「関羽さんや……」

庄屋・役人達

「「「「失礼な事言って、すいませんでした!」」」」全員一斉に関羽へ土下座した。思い当たる節がある関羽は庄屋達を宥める。

関羽

「昨日の事でしたら、私はもう気にしてませんので……頭をお上げ下さい」

鈴々

「どうなってるのだ?」訳が分からない様子の関羽と張飛に対して、一刀だけがほくそ笑む。実は昨日、庄屋達の無礼にずっと腹が立てていた一刀が今朝早く1人で庄屋を訪ねて、幼少時からやっている剣道に例の『加速』を併用してボッコボコに懲らしめていたのだった。

 

 村のみんなに詫びを入れ、張飛は一刀、関羽と旅に出る。しかしその表情はどこか曇っていた。

関羽

「どうした張飛。もう村が恋しくなったのか?」

鈴々

「そうじゃないのだ。ただ、山賊団のみんなが見送りに来てくれなかったのだ。きっと鈴々が立派なおやびんじゃなかったから……」

一刀

「そうでもないみたいだよ」一刀が視線を向けた先を鈴々が見ると、山賊団の子供達が鈴々の旗を振りながら見送っていた。

子供B

「お~やび~ん!」

子供A

「武者修行して強くなってね~」

子供C

「みんな、おやびんが帰って来るの待ってるから~」

子供D・E

「「おやび~ん。ヒクッ、エッグ(泣)」」

鈴々

「みんな……」目に涙を貯める張飛だったが、

関羽

「泣くな。旅立ちに涙は不吉だぞ」

鈴々

「泣いてなんかいないのだ」左腕で涙を拭った張飛は強がって見せる。

関羽

「人は次に会う時まで、別れ際の顔を覚えているモノだ。立派な親分なら、そんな情けない顔を覚えていてもらいたくはないだろう?」

一刀

「だな。じゃ、笑顔で別れよう。手を振ってあげなよ」

鈴々

「うん!」一刀と関羽の言葉に頷くと、山賊団の方に体を向ける張飛。

鈴々

「みんなぁーっ!行ってくるのだぁー!」

 

乱れに乱れたこの世の中。そんな中、密かに野心を研ぎ覚ます者。己の力を試さんと、文武に励む者。守るべき者の為に闘おうとする者。様々な思いを胸に抱く者達が綾なす運命の糸が絡み、結ばれる。

関羽

「そろそろ外套はいらんなぁ」

鈴々

「もう春なのだ!」この世界に舞う、無双の姫達と異界より集いし野郎共の行く末をとくとご覧あれ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回、あのキャラが(ある一点を除いて)能力やこれまでの半生等新たな設定で登場します。
アニメとの違い
・庄屋と役人が一刀にボッコボコにされるのは作者のオリエピ。
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