新説・恋姫†無双~一刀と愉快な?仲間達~   作:越後屋大輔

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長らく放ったらかしにしていましたが、久し振りにこちらを更新します。


アニメ第2期編
第一席義勇軍、大活躍のこと


~水鏡ナレーション~

 

 時は2世紀も末の頃、乱世に蔓延(はびこ)る悪を斬り裂かんと、美しき黒髪をなびかせ、青龍偃月刀を振るう関羽。ひょんな事から異世界より舞い降り、運命を共にする北郷一刀。

 その関羽と、固い姉妹の絆で結ばれた張飛。

 不思議な縁に( えにし )導かれ、二人の下へ(つど)った趙雲、馬超、黄忠とその夫、履真。履真の義弟、沙弥と一戒。そして諸葛孔明。更に一刀の仲間達。藤崎忍、高坂賢、伍代理人、野原幸太。無双の姫達と野郎共の闘いが今、再び……

 

 ガヤガヤ。義勇軍がこの桃花村に腰を落ち着けてはや数ヵ月。今、村はちょっとした賑わいを見せている。その理由はダンジョンの存在だった。因みにこの世界で、ダンジョンは魔窟と呼ばれている。

 言わずもがな、魔窟に住む魔物は倒すと金銀宝石と化して、売れば金になるのでここいら近辺を拠点にしている冒険者達が魔窟のお宝目当てに、こぞってこの村を訪れる。人が集まればそれだけ村にお金を落とす者もいる。その為、村が賑わっている。

一刀

「魔窟に入る人はこちらで受付を済ませてからにして下さ~い」

「魔窟の案内書を売ります。後、武器や鎧兜の手入れもこちらで承りま~す」

朱里

「素材の買い取りはこちらで~す」一刀、忍、朱里が中心になって魔窟の運営を行っていた。段々と豊かになった桃花村が、市に格上げされるのも近いのではないかと思われた。

 

 しかし世の中、そんなに甘くない。人が多く出入りするという事は、それだけ厄介事も増えるのが世の常である。そしてあわよくばその豊富となった財源ごと村を奪おうと、盗賊が攻めてきたのだった。

 

盗賊達

「うおおおぉぉぉぉーっ!」 これに果敢に向かうのは義勇軍。先陣を切った盗賊軍を迎え討つのは馬超隊と鈴々隊。馬超は馬に乗ったまま、槍を振るいながら敵の進軍を防ぐ。

馬超

「村を襲う賊共め!この錦馬超が相手をしてやるぜ」その頃別動隊の盗賊の先鋒は、猛豚将軍こと鈴々に蹴散らされていた。

鈴々

「おりゃおりゃーっ!鈴々様のお通りなのだぁーっ!出てこい大将!鈴々と勝負するのだぁーっ!」この様子を見て、今回は盗賊の大将格の役で登場した、いつものABCは絶望していた。

賊A

「チクショー。これじゃ身動きが……」

賊B

「……このままじゃ先鋒は総崩れですぜ」

賊C

「狭い谷に誘い込んだのは、罠だったんだな……」

賊A

「一旦退くぞぉ!広いところに出て反撃だぁーっ!」その叫びを合図に賊共は撤退していく。

鈴々

「コラーッ、逃げるなぁ!みんなぁ追撃するのだーっ!」興奮気味の鈴々を様子を見にきた履真が静める。

履真

「張飛待てよ」因みに履真と鈴々は、未だ真名を預け合っていない。

鈴々

「何で止めるのだ履真おじちゃん?今が好機なのだ!」

履真

「……って孔明殿の策、忘れたのか?」

鈴々

「あ。そうだったのだ……」

履真

「後はみんなに任せっぞ」

鈴々

「うん」

 

 谷を出ようと、方向転換を始めた賊共だったがそこには黄忠率いる弓兵部隊が控えていた。

黄忠

「孔明ちゃんの読み通り、こっちに逃げてきたわね……」草むらから'黄'の旗が立ち上がり、同時に黄忠率いる弓兵部隊が姿を現す。

黄忠

「賊共よ!武器を捨てて下ればよし。歯向かうならば黄忠が弓の餌食となれ!」

 

 別ルートを逃げるABC。

賊B

「お頭!伏兵がっ!」

賊A

「クソォッ、嵌められたか!?」ドン!ドン!ドン!崖の上から銅鑼の音が鳴り響く。見上げると趙雲隊が待ち構えていた。

「……今だ」星の合図で押された丸太は、ABC目掛けて崖を転がっていく。

賊ABC

「「「のわぁぁぁぁーっ!」」」

賊A

「走れっ!」だが、そうは問屋が卸さない。丸太の後方から馬で駆け下りる星が、賊共目掛けて跳ね上がる。

「地獄への道案内、この趙子龍が務めてやるぞ!」最後には3人だけになってしまった賊一味。流石に諦めて、尻尾を巻いて逃げようとしたが

賊C

「もう俺達しか残ってないんだな……」

賊B

「お頭、あれを!」お頭と呼ばれた賊Aが前方を見ると『関』の旗の揺らめきと共に、人影が姿を現した。

賊A

「関?関の旗……という事は?」その一瞬後、人影の姿がハッキリと見えた。賊達に顔を向け、睨み付ける

賊A

「ゲェッ!関羽!?」その人影の正体は関羽こと愛紗だった。

愛紗

「乱世に乗じて民を強いたげんとする賊共め!我が青龍偃月刀の……さびとなれ!」

 

 一方、履真は盗賊の問題を愛紗達に任せて、今日は未来チームに稽古をつけていた。念のため言っておくが、今日はたまたま愛紗達が盗賊退治に出張った訳であって彼らは前回、村を襲いにきた魔物を悉く( ことごと )屠っている。その為、今回は彼女達に活躍の場を譲って、自分達は訓練に徹しようとしたのだが……

一刀

「加速!」高速で日本刀を振りかざし左から攻める一刀だが、常人には目で捉える事すら出来ない刀の閃光を人差し指と中指だけで押さえ込む。同時に腕をドリルに変化させた賢が右へ回ったが、これも履真は手のひらを盾にして防いでしまう。

理人

炎車輪(えんしゃりん)!」燃え盛る炎の輪っかを履真に投げつける理人。だがそれも足でいなされる。更に両手から気功波を放ち、一刀と賢を吹っ飛ばす。

一刀

「嘘だろ……」

「……このオッサン、マジ強ぇよ」

理人

「ホントに40過ぎのオッサンかよ……?」

幸太

「俺が行く!」幸太は普通の人間には聞き取れない声を咆哮へ変えて履真に放とうとする。一種の音響爆弾だ。しかし履真の行動が一瞬早く幸太の口を塞ぎ、音響爆弾が口内で爆発して自滅する幸太。

「もうあちししか居ないわね……」忍は以前、この村のダンジョンで発見したゲイザーに変身してアイビームを浴びせる。これには流石の履真もダウン……と思いきや履真は咄嗟に、気功で作った膜で身体を覆い、難を逃れていた。最後は大の若い男が5人がかりで(子供も居るが)中年親父1人にボッコボコにされるという結果に終わった。

 顔良はリタイアした賢に薬を塗る。2人は相変わらず仲の良い恋人同士だ。幸太は義母である祭が診ている。

顔良

「もう!相変わらず無茶するんだから……」

「ホレ、こっちへ来い。母が治療してやろう」この様子をジッと見物していた履真の娘、璃々は手をパチパチ叩いて喜んでいる。

璃々

「お父さん、強ぉーい!」子供ならではの悪意ない一言にがく然となる男達がそこに居た。

沙弥

「あ~らら。こりゃまた派手にやられちゃったわねぇ」

一戒

「兄貴相手に勝てる訳あらへんねん」履真の義弟、沙弥と一戒はズタボロな一刀達を見てせせら笑うが、

一刀

「加速!( アッケラーティオ )

「変身!( トランスフォーム )ジャガー!」

「ドリルアーム!」

理人

「火炎放射!」

幸太

「……低周波」憐れ、日本刀を持つ一刀に追い回され、忍が化けたジャガーに噛みつかれ、賢に身体を穴だらけにされそうに、理人に焼き殺されそうになり、全身に流れる低周波に悶絶する沙弥と一戒。挙げ句、義兄に拳骨を喰らいアメリカンクラッカーのような涙を溢すバカ2名であった。

 

 その夜、庄屋の家では祝勝会が行われた。みんなが酒や料理に舌鼓を打っていると、できあがった庄屋が彼らを誉めちぎる。

庄屋

「イヤぁ、この辺り一帯に巣食っていた賊達も殆ど退治され、めでたい限り。これも皆さまのおかげと村民一同感謝しております」酔っているわりに足取りも軽く朱里の座る椅子の後ろに回ると

庄屋

「とりわけ、高祖劉邦を助け漢王朝の礎を作った陣平に劣らぬ孔明殿の知謀の数々。この庄屋、誠に感服致しました!」

朱里

「そんな!私なんてまだまだ……」恥ずかしそうに顔を赤くする朱里だが

愛紗

「そう謙遜する事はない。我ら義勇軍の勝利は、孔明殿の策に逐うところが多いのは事実だ」

「まあ、愛紗が一番おいしいところを持っていく場合が多いのはちと不満ではあるが……」と、気取って話す星だったがメンマ山盛りの自分の皿に、馬超が箸を伸ばすと、物凄い形相で睨み付ける。

「(ギロッ!)」

馬超

「ヒッ!」庄屋はそんな2人を放っておいて、話を続ける。

庄屋

「いやいや。関羽殿と並んで、北郷殿、藤崎殿、趙雲殿、野原殿、黄蓋殿、馬超殿、高坂殿、顔良殿、伍代殿、黄忠殿と我が桃花村の義勇軍は強者揃い!」

鈴々

「ん?鈴々が入ってないのだ!」抗議しようとする鈴々だが、庄屋は気にする事もなく捲し立てる。

庄屋

「中でも!戦場を豚に乗って駆け回る張飛殿の姿は勇ましく、兵達に猛豚(もうとん)将軍とよばれているとか!」鈴々はこの言葉に気を良くして

鈴々

「にゃはは~。そんなに誉められると照れるにゃーなのだぁ」

庄屋

「しかしこれも全て履真殿が陰になり、日向になり、義勇軍を纏めて下さるからこそ!」偽劉備こと青木幹人が抜けた義勇軍は、表面上のトップは居ないが実質は最年長の履真が仕切っていた。

履真

「止せよ。誉められんのはガラじゃねえ」

朱里

「いいえ。履真さんが大将だからこそ、兵の皆さんもついてきてくれるんです」履真のカリスマ性は他を惹き付ける魅力があった。ある種の人間たらしともいえる。

 一方で鈴々と馬超、沙弥と一戒は皿の上に1つだけ残った焼売を奪おうと、互いに箸をぶつけ合う。そして4人揃って履真に拳骨を落とされる……

一刀

(懲りないオッサン達だなぁ……)

「アラ?幸太、アンタは焼売の取り合いしないの?」誂うように忍が聞いた。

幸太

「やる訳ないっすよ。璃々だって見てるのに」流石に、自分より小さい子が居る前ではみっともないと思ったのだろう。

幸太父?

『だったらみっともなく焼売を奪い合っていたこの4人って一体……』

朱里

「あっ鈴々ちゃん。ほっぺに何かついてますよ」鈴々の頬に汚れを見つけた朱里が、手拭いで拭き取ろうとした。

鈴々

「止めるのだ~朱里。自分で出来るのだぁ」恥ずかしそうに朱里をはね除けようとする鈴々。

璃々

「鈴々お姉ちゃん、子供みたーい」璃々はそんな2人を見て、キャハハと笑う。が、ここで履真と黄忠の夫婦が急に厳しい顔つきになり璃々を咎める。

履真

「こら璃々。いくら親しい間柄といっても許可も得ず、真名を呼んではダメだろう?」

黄忠

「そうよ……ちゃんと張飛お姉ちゃんと呼びなさい」

璃々

「え~。だって鈴々お姉ちゃんいつも自分の事、鈴々って言ってるよぉ」

履真

「それでもだ。許しもなしに呼んだら、何をされても文句は言えんのだぞ」

鈴々

「別に良いのだ」

履真・黄忠

「「えっ?」」

鈴々

「璃々はもう家族みたいなものだから、真名で鈴々と呼んで良いのだ」

黄忠

「良かったわね。璃々」

璃々

「うん!鈴々お姉ちゃん大好き!」黄忠は娘に微笑み、履真も頭を優しく撫でる。そうして食事の席はしばし和やかな雰囲気に包まれた。

 

 それから一刻(いっとき)(約30分)後、履真は全員に庭へ集まるよう指示した。

愛紗

「履真殿……我らを召集して、一体何を?」

履真

「ああ。晩メシの時に考えついたんだが、俺達が義勇軍を結成して数ヶ月。この際、互いに真名を預け合わないか?」

 

 

 

 

 




切り方が変ですけど、これ以上は長くなりそうなので真名を預け合うのは次回に持ち越しにm(・・)m。後、こちらはドン亀更新が予測されるのでご了承を。

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