新説・恋姫†無双~一刀と愉快な?仲間達~   作:越後屋大輔

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お待たせしました……つーか待ってる人はいたのでしょうか?あのキャラが遂に復活です。前作と設定に変更がありますが、詳細は今後のストーリー展開の中で。


第五席一刀、友人と再会するのこと

 新たに張飛を加え、3人で旅を続ける一刀達一行。しかしどういう訳か、さっきから張飛の機嫌がよろしくない。

関羽

「どうした、お腹でも痛いのか?」関羽の問いに、張飛は頬を膨らませて、

鈴々

「おかしいのだ!」

一刀

「何がおかしいんだ、張飛?」

鈴々

「そこなのだ!鈴々は関羽達と兄妹の契りを交わして真名を預けたのに!親しい者同士は真名で呼び合うのが普通なのに、二人は鈴々を真名で呼んでくれないのだ!」

関羽

「確かにそうだが、知り合ってまだ間もないし……」

一刀

「先日も話したと思うが、俺は真名の風習がない国から来たから……」

鈴々

「鈴々は二人をちゃんと真名で呼びたいし、真名で呼んでほしいのだ……」

関羽

「分かった。では私から。名は関羽、字は雲長。真名は愛紗(あいしゃ)。これで良いか?鈴々」

一刀

「俺は北郷。字は……廃止された国の生まれだからなし。真名に当たる名は一刀。改めてよろしくな。鈴々」2人の真名(一刀の場合は少し違うが)を教えてもらった鈴々は、パァッと顔を輝かせて頷く。

鈴々

「うんっ♪」

関羽

「良い機会だから一刀殿も私の真名を預かってはくれないか?」

一刀

「ありがとう。これからは真名で呼ばせてもらうよ、愛紗」一刀が笑顔で応じると、顔を真っ赤にする関羽改め愛紗だった。

鈴々

「愛紗は何で赤くなっているのだ?」

愛紗

「き、気のせいだ!」

鈴々

「?」

一刀

「?」愛紗には気の毒だが、一刀は恋愛方面には相当な唐変木であった。

 

 次の町の境界に辿り着いた3人が街へ入ろうとすると、愛紗が警備兵に足止めさせられた。

警備兵

「そこのお主。間違っていたらすまない。最近噂の、黒髪の山賊狩りではないか?」

愛紗

「確かにそう呼ぶ者もいるようですが、自分から名乗っている訳では……」照れながら答える愛紗。

警備兵

「イヤ良かった。黒髪の綺麗な絶世の美女と聞いていたので、人違いだったらどうしようかと……」前回と同じく、愛紗の顔がひきつる。

鈴々

「愛紗は綺麗で有名なのだな」

愛紗

「ああ。黒髪が、な(怒)」

一刀

「あいつら、目が腐ってるのさ。愛紗は綺麗だよ。俺が保証する」

愛紗

「一刀殿!からかわないでくれ」

一刀

(本心なんだけどなぁ……)

 

警備兵

「ご領主様がお待ちです。さあどうぞこちらに」門番の案内でこの辺りを治める太守、公孫賛の屋敷の敷地内にある東屋までやって来た。ほどなくして、髪をポニーテールにした、影の薄そうな女性とクールな眼差しの美女と、一刀が良く見知った顔が現れた。

??

「お待たせして申し訳ない。私がここの領主、公孫賛(こうそんさん)だ」影の薄そうな女性が名乗ると、一刀と関羽はスッと立ち上がる。

公孫賛

「そのままで結構。それでこの二人が……」

??

「我が名は趙雲(ちょううん)。字は子龍(しりゅう)。お主達と同じく、旅暮らしの冒険者だ。現在は公孫賛殿の元で客将として世話になっている」もう1人の女性が自ら名乗る。そして最後の男が……

一刀

「え、忍か?」

「アラ?久し振りじゃない一刀。アンタもこの世界に飛ばされてきたのね」フランチェスカ学園で一刀と同じクラスであり、親友の1人の藤崎忍(ふじさきしのぶ)だった。因みにオネェだがそっちの気はなく、むしろかなりの女好きである。

愛紗

「一刀殿。こちらはお知り合いか?」

鈴々

「そういえば、お兄ちゃんと同じ服を着てるのだ」やはり忍もフランチェスカ学園の制服姿でこの世界にやって来ていた。

一刀

「ああ。俺と同じせか……国の友人だよ」事情を知らない人間もいるだろうと踏んだ一刀は言葉を濁すも

「大丈夫よ。あちし、公孫賛ちゃんと趙雲ちゃんには全て話してあるから」忍も一刀と似たような状況だったらしい。それから改めて自己紹介の続きを始める。

一刀

「俺は北郷。今更ながらこの藤崎と故郷を同じくしている」

「改めまして、藤崎よ。今はここで趙雲ちゃん同様、公孫賛ちゃんの客将をしているわ」

愛紗

「私は関羽。字は雲長と申します。そしてこっちが……」

鈴々

「鈴々なのだ!」

愛紗

「こら!真名ではなくちゃんと挨拶しないか……この者は張飛。以後お見知りおきを」

一刀

(公孫賛に趙雲って……忍、どうなってんだよ?)

(知らないわよ!アンタこそ何で関羽と張飛を連れてるのよ?)男2人でヒソヒソ話をしていると、趙雲がこちらに顔を向ける。

趙雲

「ところで北郷殿に関羽殿」

一刀・愛紗

「「はい?」」

趙雲

「随分と大きなお子さんをお持ちだな」

「一刀……アンタいつの間に……」

愛紗

「違う!私と一刀殿はそういう仲ではない。鈴々とは姉妹の契りを結んだのであって」

一刀

「つーか忍、お前は分かってて、わざと言ってるだろ!」

「ちっ……バレたわね」

趙雲

「成る程。で、どっちが受けでどっちが攻めなのかな?」

愛紗

「……なっ!」

鈴々

「う~ん。どっちかっていうと、鈴々が攻めなのだ」

愛紗

「良く意味も分からずに答えるんじゃない!」

一刀

「この世界にもそんな言葉、あるんだ……」

「攻めるの対義語は"守る"か"防ぐ"よね」

公孫賛

「バカ話はそれぐらいにして、まずは私に話をさせてくれ」

「アラごめんなさい」

一刀

「そうだった。で、公孫賛さん。俺達、というより関羽に何かご用が?」

公孫賛

「辺境の小領主ではあるがこの公孫賛、今の世を憂う気持ちは人一倍あるつもりだ。冀州(きしゅう)袁紹(えんしょう)江東(こうとう)孫策(そんさく)、都で最近頭角を表してきた曹操(そうそう)と、天下に志を抱く者は皆、有為な人材を欲しているとか。そこでだな、朝廷の権威もない今、乱れた世を正す為に是非お主達の力を!」

趙雲

「公孫賛殿。それは些か早計ではありませんかな?」趙雲が眉をピクリと動かす。

「何が言いたいの?趙雲ちゃん」

趙雲

「黒髪の山賊狩りの噂は私も旅の途中で耳にしました。しかし噂というのは、得てして尾ひれがつくもの……」

「つまり、その力量を試してから決めたらどうかって事ね。良いわ、あちしが関羽の腕を見てあげる」

愛紗

「貴方も大した自信をお持ちのようだな」

一刀

「油断するなよ愛紗。忍は実際、かなり強いぞ」

鈴々

「待つのだ!」

「?」

鈴々

「お前みたいに得物も持ってない女男、愛紗が出るまでもないのだ!鈴々がチョチョイのプーでコテンパンにしてやるのだ!」

愛紗

「これ、止さないか鈴々」

「言ってくれるじゃない。構わないわ、かかってらっしゃい」忍が人指し指をクイクイッと曲げて、鈴々を煽る。庭の広い場所に出る2人。鈴々は蛇矛を手に、忍は空手の構えをとる。

鈴々

「うりゃーっ!」

「おっと!」

鈴々

「食らうのだ!」

「イヤよ!」鈴々が振りかざす蛇矛を華麗に避ける忍。

鈴々

「逃げてばっかいないでかかってくるのだ!」

「それじゃ遠慮なく……『変身(トランスフォーム)っ』」忍の姿が忽ち、体長3メートルぐらいの虎に変わる。突進する虎のタックルをまともに食らい、鈴々は吹っ飛ばされる。

愛紗

「鈴々、大丈夫か!?」

鈴々

「ア痛タタタ……何が起きたのだぁ?」

一刀

「忍の能力は『変身(トランスフォーム)』。様々な生き物に姿を変えて、その力や特徴を完璧に模倣(コピー)出来るんだ。功夫(カンフー)の心得もあるから、能力抜きでも相当強い」

愛紗

「そういう事なら、私がお相手しよう」

鈴々

「愛紗!鈴々はまだやれるのだ!」

愛紗

「分かっている。ただ私が手合わせしたくなったのでな。いざ!」偃月刀を構える愛紗。忍は元の姿に戻ると、一瞬だけ功夫の構えを取るが、愛紗から『気』のようなモノを感じるとすぐに腕を下ろした。

「その必要はないわね。本当に強い相手は見ただけで分かるもの」

鈴々

「その言い方だと、鈴々がホントは強くないみたいなのだ」膨れっ面になる鈴々に、諭すように忍が言い添える。

「張飛。アンタは確かに強いわ。でもその強さを上手く使えていないの」

鈴々

「?」

趙雲

「それより公孫賛殿。お話の続きを」

公孫賛

「ん?あ、ああ。そうだな」

愛紗

「話の腰を折ってしまい申し訳ない。それで……」

公孫賛

「実は……恥ずかしながら、山賊退治に手間取っていてな。調べた結果、赤銅山(しゃくどうざん)という山に潜伏している、とまでは掴めたのだが……肝心の砦の場所が見つからなくてな」

趙雲

「それを知った私が、先日一計を案じたのだ」

一刀

「と、いうと?」

趙雲

「まず偽の商隊を編成して、その荷物に潜んでおく。そしてわざと山賊共に荷物を奪わせ荷物を運ばせる」

愛紗

「つまり、賊共自らに案内をさせようという訳か」

趙雲

「いかにも」

「でも賊の隠れ家に単身乗り込むなんて、ぞっとしない話よね」

趙雲

「虎穴に入らずんば虎児を得ず。どうだ関羽殿、北郷殿。私と一緒に賊共の隠れ家を訪ねてみないか?」

鈴々

「鈴々も行くのだ!」

「アンタにゃムリよ」

鈴々

「何でなのだ!」

趙雲

「良いか。荷物の中に潜み、賊の隠れ家に向かう間はずっと息を殺してなければならんのだぞ。お主のように根が騒がしく出来ている人間ではムリだ。恐らく一時でもジッとしていられまい」

鈴々

「ウゥー、そんな事ないのだ。鈴々はやれば出来る子なのだぁーっ!」

趙雲

「ほぉ~。では今ここでやってもらおうか」趙雲はニヤリと不敵な笑みを浮かべている、挑発にまんまと乗った鈴々。

鈴々

「お安い御用なのだ!」鈴々はドカッと椅子に座り直す。

鈴々

「こうやってジッとしていれば良いのだから、簡単なのだ!」そして……5分経過。

鈴々

「むぅ~……」体がウズウズしだしたのか、落ち着きなく貧乏揺すりをし始めた。

更に5分、計10分経過した時点で

鈴々

「はにゃ~……」ナゼか頭から湯気を出して気絶してしまった。そしてパニクっているのが、もう1人。

愛紗

「鈴々?大丈夫か?しっかりしろ!公孫賛殿、早く医者を!」

一刀

「落ち着けよ。愛紗」

「やっぱりね」呆れた忍はフゥーッとため息を吐いた。

 

 そんな訳で賊のアジトに乗り込む事になったのだが、その結果は如何に?それは次回の講釈で。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




・キャラ紹介
オリキャラ①藤崎忍
作者の前作の主人公。身長、体格は一刀とほぼ同じくらい。
一説には『ONEPIECE』のボンクレーの転生とも言われているとかいないとか……。
特異能力は『変身』生き物なら何にでも変身出来て、その生き物の力も流用出来る、また変身中も喋るのは可能。(前作と違い、無生物には変身出来ない)

アニメとの違い
・公孫賛の下にいるのは趙雲のみ→趙雲と忍が客将になっている。
・鈴々と手合わせするのは趙雲→忍

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