新説・恋姫†無双~一刀と愉快な?仲間達~   作:越後屋大輔

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アニメ2話がやっと終わった……
今回はほぼオリジナルストーリーです。


第七席一刀達、龍退治するのこと

公孫賛

「お主達はこちらへ。誰かこの娘と子供達を家に送ってやれ」

「はっ。さぁこちらへ、村まで我らが護衛して行こう」兵士数人が村娘と子供達を庇い、戦場となるここから避難させる。

公孫賛

「……これで領民は巻き込まずに済む。残りの兵は山賊共を討ち果たせーっ!」

兵達

「「「「応ぉーっ!」」」」

愛紗

「公孫賛殿」

公孫賛

「どうした関羽?」

愛紗

「山賊はお任せする。我らはあの人間とは思えぬ女を退治しよう」

公孫賛

「了解した。くれぐれも武運をな」公孫賛と兵達が山賊と闘う中、愛紗達は件の奇妙な少女に得物を突き付けて問う。

愛紗

「貴様!魔物か妖怪か?!」

??

「妖怪とは失敬な!我が名は摩昴(まぼう)。西海龍王敖閏が( ごうじゅん )一人娘である!」

鈴々

「デタラメ言うななのだ!」

摩昴

「出鱈目ではない!」

愛紗

「龍王とは誇り高き、神に準ずる存在ときく。その娘なら山賊などと手を組む訳がなかろう!」

趙雲

「仮に本当だとしたら、親御である龍王はさぞお嘆きになるだろうな」

一刀

「どっちにしろ、退治させてもらうよ」

摩昴

「たかが人間風情が!出来るモノならやってみろ!」

愛紗

「言われる迄もない!」愛紗は偃月刀を振るい、鈴々は蛇矛で切りつけ、更に趙雲が直刀槍『龍牙』で突く。対して摩昴の得物は三角鞭(ムチではなく三角形の分銅が鎖状に沢山付いた武器)。3人がかりで挑むも、10回、20回打ち合っても決着が着かない。

一刀

「こっちだ、化け物!」

摩昴

「化け物ではない!」日本刀の居合いで攻める一刀と徒手空拳をぶつける忍。

「アン!ドゥ!ゴラァ‼」しかし、摩昴の皮膚は相当頑丈らしく、刃や拳が当たっても傷1つ付ける事が出来ない。

摩昴

「人間のクセに中々やるな。では貴様らに敬意を表して……」そう言うと摩昴の回りに異変が起こる。体を包むような煙が立ちこもり、摩昴の姿が隠れる。サッと煙が晴れると真っ青な肌と鱗を持った龍、というよりむしろ西洋のドラゴンを彷彿させる姿が現れた。身長は10メートルを越し、その目には殺意が感じられる。

ドラゴン(摩昴)

「ハァーッハッハッ、人間共!龍王の力を思い知るが良い!」ドラゴンと化した摩昴は剛力を持ち、一撫でしただけで岩肌が崩れ落ちる。更に一息ごとに氷、炎、雷と様々なブレスを吐きちらし、流石の豪傑達もその勢いには力及ばず、一斉に吹っ飛ばされた。

趙雲

「龍王の名を騙るのは伊達ではないか」

「このままじゃ歯が立たないわね……」

鈴々

「こいつ強すぎるのだ!」

愛紗

「だが、これしきの事で!」

一刀

「負けてたまるかぁぁーっ!」満身創痍になりながらも摩昴に挑む一刀達。何度も挑んでは、吹っ飛ばされるを繰り返すが、諦める様子はない。

摩昴

「えぇーい、しつこーい!」尻尾で彼らをなぎ倒す摩昴。岩壁に叩きつけられてとうとう全員、気を失ってしまった。

摩昴

「ハハハッ!所詮は矮小な人間。やはりこの程度か」

公孫賛

「お~の~れ~、かくなる上はこの私が!」何の変哲もない剣でドラゴンに立ち向かうが、当然勝てるハズもなく、おまけに乗っていた白馬まで食われてしまった。

公孫賛

「何て事だ……やはり私は報われない運命(さだめ)の下に生まれてきたのか……」落ち込む公孫賛をの肩に目を覚ました忍がポン、と手を置く。

「仇ならとってやるわよ」そして一刀達を揺すり起こすと、真剣な顔でこう言う。

「1つだけあいつを倒す手があるわ。みんな、援護を頼めるかしら?」

一刀

「忍……お前、まさか!でも、体格に差がありすぎるんじゃ……」

「ええ。疲れるからホントは嫌だけど、そうも言ってられないわよ」

趙雲

「そうか。ならば私も協力しよう」

愛紗

「私もだ!」

鈴々

「みんなであのウソつき龍をやっつけるのだ!」

一刀

「分かった。無茶すんなよ……って言うだけムダか」

「アリガト」その一言だけ伝えると忍は右手を頬に添えて、摩昴と同じ姿になる。

摩昴

「まさか!貴様も龍だったのか!?」

ドラゴン(忍)

「あちしは人間よ!変身する能力を持ってるだけ。とにかく、これでアンタと互角に闘えるってモンだわ」

摩昴

「その程度の妖術にやられるものか!」

一刀

「妖術というより、超能力なんだが……」

愛紗

「よし、一気に叩くぞ!」スルーされた一刀の突っ込み。

鈴々

「合点なのだ!」

趙雲

「姉妹揃って猪武者か……ま、嫌いではないがな」忍と摩昴は互いの首に噛み付き、食いちぎろうと牙を立てている。その隙を狙って、4人で摩昴に得物をぶつける。

摩昴

「まだ無駄だと分からないか!何!?えぇーい、鬱陶しい!離れろ!」首を押さえている忍を振りきれない為、体の自由も利かない摩昴は一刀達を振り払えなくて次第に苛ついてきた。

 

愛紗

「奴に落ち着きがなくなってきた。今が好機だ!」一刀、愛紗、鈴々、趙雲は各自の得物を摩昴に突き刺す。堅牢な龍の足下がグラグラ揺れている。

鈴々

「もう少しなのだ!」龍王族の矜持か、最後の力を振り絞りその足を再度踏み締める摩昴。いつの間にか忍が消えていた。

趙雲

「藤崎殿!やはり勝てなかったのか?」

愛紗

「私達がもっと強ければ……」うちひしがれる愛紗達。と、同時に摩昴が苦しみだした。

 

一刀

「忍の奴、考えたな」

鈴々

「お兄ちゃん、どういう事なのだ?」

一刀

「今、忍がトドメを刺そうとしている」

愛紗

「トドメ?」

一刀

「忍が細菌……目に見えないくらい小さい、色んな病気の元になる生き物に変身して腹の中から攻撃しているんだ」

趙雲

「なるほど。外からの攻撃がダメなら中からと……」

愛紗

「なるほど。一度龍に変じたのは奴の体内に入り易い状況を作ろうとして……」

趙雲

「そこに私達が割り込んだ、その隙を狙って……という訳か」

一刀

「そ。俺達は陽動だった……って事」

鈴々

「う~ん、よく分からないのだ」一刀達が話し込んでいる間に摩昴はのたうち回っている。

摩昴

「ぐ、ぐるじぃ~!だすげでぐでぇ~」息も絶え絶えの摩昴の脇に突然、雷が落ち、その雷光が人の形を成していく。やがてそこには40前後に見受けられる美しい女性が立っていた。

??

「摩昴よ!このバカ娘が!お前は何と愚かな真似をしている!」

摩昴

「は、母上ぇーっ!」

??

「逃げるな!」女性は一瞬で摩昴を縄で縛り上げると一刀達に向き直り、自らの名を告げる。

??

「人間諸兄よ、私は西海龍王敖閏。この度は我が娘が大変な無礼を致し、面目次第もございません」西海龍王敖閏は一刀達に平伏した。

愛紗

「本当に龍王の娘だったのか!」

 

 頼りの摩昴が負けてしまったので山賊達は成す術もなく、一人残らず退治された。気づいたら忍も生還していたので(細菌に変身していたので誰も出入りを見極められなかった)公孫賛の屋敷に全員が集まり、今回の一件について話し合いをする。

公孫賛

「しかし西海龍王殿……」

西海龍王

「敖閏、とお呼び下され」

公孫賛

「では敖閏殿、ナゼご息女はこのような不埒な事を?」

敖閏

「百二十年ほど前、この娘は我が家に伝わる家宝の金剛石の首飾りを燃やしてしまいました。私は娘を勘当して反省させる意味でこの人界に放り出しましたが今日、偶然竜宮へ参る途中、噂を耳にして……」

趙雲

「それで事情を知って、こちらを訪ねた訳ですな」

敖閏

「はい。あなた方には何とお詫びをして良いか……」

鈴々

「違うのだ!」

愛紗

「鈴々!?」

一刀

「どうしたんだ?」

鈴々

「詫びるなら鈴々達にじゃなくて、村の人達になのだ!」

「そうね。張飛ちゃんの言う通りだわ」

愛紗

「詫びだけでは済まされぬかもしれんがな……」

敖閏

「恐れながら……龍の牙や骨はこの人界では大層な額になるとか。摩昴、自決せよ!その体を売り、賠償するが良い!」

摩昴

「い、嫌だ!母上、お許しをぉー!」

一刀

(……誤解を受けそうな発言だな)

「待って。被害者は村人だけじゃないわ。公孫賛ちゃんも愛馬を食べられちゃったのよ」

愛紗

「敖閏殿。一つ聞きたいのだが……私の知る伝承だと龍は馬に変われるというが、相違ないか?」

敖閏

「如何にも」

愛紗

「なら命を取る代わりに娘ごを、公孫賛殿の新しい馬にするのはどうだ?」

「良い案ね関羽ちゃん。龍馬なら子々孫々に渡って継承もできるし、一石二鳥だわ」

趙雲

「龍王ならそれなりに財はお持ちだろう?村人への賠償はそれで支払う方が良い」

一刀

「流石に我が子の骨を売った金、なんて彼らも貰いづらいでしょうしね」

公孫賛

「ではそのように取り計らうとしよう。敖潤殿、それで宜しいですかな?」

敖潤

「皆さんの寛大な処置に感謝します。どうぞバカ娘を存分にこき使って下さい」

 

 数日後、摩昴の変じた馬に跨がる公孫賛に見送られてその領地を出立する一刀、愛紗、鈴々。3人についていく趙雲と忍。

愛紗

「しかし良かったのか?我らは仕官する気はなかったが、趙雲殿はあのまま公孫賛殿のところに居れば一角の将として、兵を任せられたであろう?」

一刀

「忍だってスパイとして、さぞ重宝されただろうに……」

「確かに公孫賛ちゃんは良い人物だわ、けどそれだけよ。この乱世を治める器じゃないわね」

趙雲

「それに、何より影が薄い」

「何気に酷い事を言うわね……」

趙雲

「この広い蒼天の下、真に仕えるに値する人物はきっといる。それにお主達といる方が何かと面白そうだしな……うむ、これから長い付き合いになるだろう、真名を預かってはくれまいか?」

「じゃ、あちしも。一刀同様、真名とはちょっと違うけど」

鈴々

「勿論なのだ!」

趙雲

「では……我が真名は(せい)という。以後よろしく頼む」

一刀

「俺は一刀」

愛紗

「私は愛紗だ」

鈴々

「鈴々なのだ!」

「忍よ」

 

 5人となった一行は次の土地へと歩み出す。さてさて次回はどんな展開になるのやら……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




アニメとの違い
・最後まで出番がない公孫賛→大幅に出番が増えている
・星は山賊と戦闘中に真名を預ける→全て終わり、共に旅立つ時に真名を預ける

オリキャラ②
摩昴
西海龍王敖閏の娘。真名は不明。オリキャラといっても元ネタがあり、西遊記に登場する西海龍王の長男、摩昴太子がモデル(勿論、両方共男性)馬になるというエピソードも同様。実際西遊記で三蔵の馬になるのは摩昴の弟ですが。



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