新説・恋姫†無双~一刀と愉快な?仲間達~   作:越後屋大輔

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いつもより短めですが、話作りに手間取りました。
( ̄□ ̄;)


第九席文醜と顔良、絶体絶命のこと

 武道大会会場には、多くの参加者が集まっていた。

??

「さぁ始まりました、冀州一武道会!果たして優勝は誰の手に!?」本来の漢王朝には、いるハズがない実況アナウンサーが熱っぽく声を張り上げていた。

??

「本日の実況はわたくし、陳琳(ちんりん)が担当させて頂きます。ではまず、本大会の主催者にして冀州太守。超名門袁家の袁紹様より、開会のご挨拶を!」

袁紹

「ほーっほっほ。皆さん、私主催の武道大会にようこそ。本日は心行くまでお楽しみ下さいね!この袁紹……」

陳琳

「袁紹様のご挨拶を頂いたところで……」長くなりそうと判断した陳琳が話の続きをぶった切る。うやむやなまま挨拶が終わると、盛大な拍手と声援が響く。しかし良く見ると、文醜と顔良が"掌鼓"と"声呼歓"と書かれたプラカードを客席に向けて掲げている。当然ながら袁紹は、そんな部下の苦労など知る由もない。

 

陳琳

「それでは第一試合です。片や優勝候補筆頭と言われる鉄牛(てつぎゅう)選手!」紹介されたのは身長が2メートルはありそうな、巨大な斧を得物とするマッチョな髭男だ。

陳琳

「対するは本大会最小、もとい最年少の張飛選手。果敢にも飛び入り参加してきましたが、これは相手が悪いかぁ!?」鉄牛は楽勝と言わんばかりに、斧を鈴々に振り下ろす。しかし……

陳琳

「な、何と!?張飛選手、鉄牛選手の斧を防いだぁーっ!」鈴々は蛇矛で斧を受け止める。鉄牛が押し込もうとしても、ウンともスンとも動かない。

鈴々

「この程度では鈴々には勝てないの……だぁー!」鉄牛ごと斧を跳ね返す。哀れ、観客席まで吹っ飛ばされ、そのまま気を失う鉄牛であった。

陳琳

「張飛選手の勝利!これは序盤戦から大番狂わせだぁ!」陳琳が叫ぶと、会場が一斉にどよめく。

 

 続く第二試合には、先ほど張飛に武道大会について説明してくれた少女、馬超が出場していた。

陳琳

「第二試合は飛び入りの馬超選手。相手は槍の名手だそうですが……」槍の連続突きで攻撃する相手の女に対して、馬超は涼しい顔で回避と防御をひたすら続ける。その内に相手の息が荒くなってきた。

馬超

「もう終わりか?」

「何っ!?」

馬超

「じゃあこっちからいかせてもらうぜ」馬超の十文字槍『銀閃』が光り、高速で相手に突き刺さる。

「きゃあーっ!」その場に横たわる女に馬超は笑みを浮かべて言い放つ。

馬超

「安心しな。急所は外しておいた」会場からまたしても歓声が起こる。鈴々、馬超共に2回戦へコマを進めた。

 

陳琳

「……作者の文章力の都合で第三試合以降は省略して、一回戦最終試合です!」鈴々と馬超もこの試合を見ていた。先ほどの長身男の高坂が、鉄製で作られた杵のような得物を振るう熊を思わす大男を相手にしていた。対して高坂は素手である。

「お前みたいな優男、ペシャンコにしてくれるわ!」杵で高坂を打ち果たそうとする男だったが

馬超

「おい。あいつ大丈夫なのか?素手じゃ、あの鉄杵を防ぎきれないぜ」

鈴々

「油断大敵なのだ!あいつがお兄ちゃん達の仲間なら、きっと妖術みたいなのを使うと思うのだ」鈴々の言葉に、馬超の頭のテッペンに?が浮かぶ。

高坂

「あんまり目立ちたくはねえが……アレ(・・)を使うか『螺旋(ドリル)』!」右腕が回転するドリルと化し、男の鉄杵があっという間に穴だらけになる。

「な、何だ……今のは!?」相手が戸惑っている隙を見計らって、キックで場外に放り出す高坂。彼も2回戦に進出が決まった。

 

 「さて、作者のいい加減さもあって、遂に最終試合です!これまで勝ち抜いてきた三名で対戦して、今大会の優勝者が決定します!」決勝戦はバトルロイヤル形式で行われるようだ。

高坂

「(流石、歴史に残る武将の名を冠しているだけはあるな)やっぱりお前らが相手か」

馬超

「まさか本当に決勝まで勝ち上がってくるとはな……かかってこい!」

高坂

「お前らを倒して、優勝賞金は俺が貰っていくぜ!」

鈴々

「賞金は鈴々のモノなのだ!」蛇矛と槍と拳が激しく打ち合う。観客席は予想だにしなかった展開に声を上げるのも忘れ、固唾を飲んでこの闘いを見守っていた。

馬超

「デェヤァーッ!」馬超の十文字槍とドリル化した高坂の右腕がぶつかり合い、金属音が響く。

鈴々

「だったら足払いなのだ!」小柄な身体を活かし蛇矛で足を攻撃するが

高坂

「生憎、ドリル化出来んのは腕だけじゃねえんだよ!」爪先が高速回転して蛇矛を弾き返す。

鈴々

「うわぁ!」

馬超

「……くっ!」まとめて吹っ飛ばされた2人。何とかバランスをとって、体勢を立て直して顔を見合わせる。

鈴々

「……あいつ、強いのだ」馬超は鈴々に耳打ちをする。

馬超

「張飛。ここは一時(いっとき)の間、手を組まないか?」

鈴々

「どうするのだ?」

馬超

「二人で力を合わせてあいつをぶっ飛ばそうぜ。あたしが腕の攻撃を防ぐから、その隙にお前が足を刺せ」

鈴々

「合点なのだ!」打ち合わせ通りに馬超が高坂の腕のドリルを凪ぎ払い、鈴々が足を狙う。

高坂

「……そうきたか。けどな、俺がドリルに出来んのは腕と足だけとも言った覚えはないぜ」鈴々の攻撃を避けると、今度は膝の関節からドリルが飛び出す。慌てて距離を取った鈴々だが、僅かにかすり肩から血を流していた。更に口の奥歯までドリルに変形させて、馬超の槍を噛み砕いた。

高坂

「優勝賞金は俺が頂いていく!」と、ここまではカッコ良かったのだが……。

 

 グゥ~~ッ……高坂の腹の虫が盛大に鳴る。

鈴々

「なっ……?もっと真面目にやるのだ!」プリプリする鈴々、しかし……その鈴々の腹の虫も大きな音を立てる。

鈴々

「にゃはは……(苦笑)」

馬超

「何だよ、どいつもこいつも……揃って緊張感のない奴らだなあ」呆れていた馬超もまた……。

高坂

「……って、お前もかよ!?」さっきまでの張り詰めた空気が一転、客席からは笑いが起こり、会場は和やかなムードになる。

袁紹

「それまで!この勝負引き分け。よって三名共に優勝とします!」袁紹による突然の閉会宣言。今度は客席が一斉に白けたが文醜と顔良がさっきのプラカードを再び掲げると、拍手が響く。袁紹に仕えるばっかりに苦労の絶えない2人だった。

 

 その夜、馬超と鈴々、高坂は袁紹の屋敷で夕食をご馳走になっていた。何かのパーティーか?と思えるほどの大量に出された料理をたった3人で次々に平らげていく。

袁紹

「あなた達の闘いぶり、本当に見事なモノでしたわ。そこで相談なんですけど、良かったら我が袁家の客将になっていただけませんこと?」袁紹から話を切り出された3人は、

鈴々

「モグモグ……客将って何なのだ?」

馬超

「う~ん。まぁ、簡単に言やあお客さんって事かな」

鈴々

「客将になれば毎日こんなご飯が食べられるのか?」

袁紹

「勿論ですわ。朝、昼、晩と最高の料理人が腕を奮った料理をお出ししますわよ!」

鈴々

「じゃあなるのだ!」

馬超

「少しの間なら良いかな」

高坂

「異存はない。袁紹殿、ご馳走になったメシ分は働かせて貰うつもりだ」この話をこっそり聞いていた文醜は大慌てで顔良の部屋に急いだ。

 

 自室で上着を捲り、腹の肉を摘まみながら、空しそうにため息を吐く顔良。

顔良

「ハァーッ。この頃出陣してないから、やっぱり運動不足かしら?」

文醜

「斗詩、大変だ!」ノックもなしにいきなり扉を開ける文醜。恥ずかしい姿を見られた顔良は顔を真っ赤にしている。

顔良

「何よ猪々子!急に入ってこないでよ!」

文醜

「それどころじゃないって!麗羽様、張飛と馬超と高坂を召し抱えるつもりだぞ!」

顔良

「良いじゃない。あの三人強いし、きっと戦力の増強に……」

文醜

「何言ってんだ!?今でこそあたいらは麗羽様の一の側近だけど、あんなバカ強ぇのが来たら」

顔良

「うっ……確かにそうね」もし張飛達が側近にと迎え入れられたら、自分達の地位が危うくなる。文醜はそれを心配している。

顔良

「う~ん……そうだ!」何かを閃いた顔良が文醜に耳打ちする。果たしてこの2人の策とは一体……?

 

 

 




原作との違い
・作者に対する陳琳の突っ込みがやたらに多い。
・優勝は馬超と鈴々の2人→高坂も入れて3人
その他、今回は高坂の登場以外相違点は特になし
オリキャラ④
・高坂賢
一刀達の同級生。仲間内では一番の長身で見た目も良い。
手足や肘、膝等からドリルを突出させて武器とする全身ドリル人間。

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