最後のマスターとサーヴァント   作:雪兎 銀杏

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01.約束

 

『……え?ええええええええええーーっ!?』

 

 召喚室から響いた大声に、Dr.ロマンはすぐに反応した。

 なにか召喚に異常があったのだろうか?バーサーカーでも喚びだしてしまったのかもしれない。

 すぐにデスクから立ち上がり、召喚室へむかう。カルデアの構造はここ数年できっちり覚えていたので、すぐにたどり着くことができた。

 

「立香くん、なにかあったのかい?」

 

 なにか異常があったのなら、召喚システムの点検をしないといけないな…。

 そう思いながら自動ドアの中に入ると……

 

 赤い髪の少女に馬乗りになられている人類最後のマスターがいた。

 

「え?」

 

「マシュをたぶらかしやがってこの変態野郎!私は交際を認めた覚えはないぞ!」

「ち、ちがっ!付き合ってなっ…!」

「あぁっ!?こーゆーんは保護者の顔を通してからとちゃうんかワレェ!?」

「ひぃ、いや、ごめんなさいってちょっ…」

 

 修羅場だった。

 しかも色々勘違いしていた。

 ロマンはハっと我に返って二人を止めにかかる。

 

「二人ともなにをやってるんだ!離れなさい!」

 

 無理矢理赤い髪の少女を引き剥がし、立香の様子を見る。

 胸ぐらを掴まれて服装は乱れてはいるが、どこにも怪我はないようだ。

 ……というか、なぜこんなことになったんだろう。

 ロマンは赤い髪の少女に振り返る。

 

「君が、召喚に応じてくれたサーヴァントかい?」

「……」

「召喚に応じてくれて感謝する。僕はロマ二・アーキマン。一応このフィニス・カルデアの司令官をやっている。皆にはドクターとか、Dr.ロマンと呼ばれてるんだ。よかったらクラスと真名を教えてくれないかな?」

 

 つとめてにこやかに話しかけた。英霊の中には変わった者もいる。不遜に話しかけてマスターもろとも殺される、なんてこともあったらしい。

 …だけど

 なんだか様子がおかしい。なぜか女の子は目に涙を溜めていた。

 

「ドクター…」

「そう、ドクター、Dr.ロマンだ。よろしくね。知ってると思うけど、こっちは君のマスター、藤丸立香くんだ」

 

「……。はじめまして、マスター。私はルーラーのサーヴァント。訳あって真名は明かせないけど…よろしく」

 

 それが、一風変わったサーヴァント、ルーラーとの出会いだった。

 

 

 

 **************

 

 

 

 ルーラーというクラスのサーヴァントは少々変わった特性を持っている。

 まず通常の聖杯戦争では絶対に召喚されることはなく、現れるのは聖杯戦争自体に異常が出たときのみ。

 裁定者の名の通り、中立の立場をとり、本来ならルーラーはマスターが必要ないという。

 そしてその特性からか、真名看破と神明裁決という能力と、半径10キロメートルのサーヴァントの知覚能力を持っている。

 

 

 はずなのだが…。

 

 

「…え?半径10キロメートルの知覚?無理に決まってるじゃんアホか」

 

 あっさりと、ルーラーは自身の特性を否定した。

 

「え?じゃあ君どんなことができるの?」

 

 怪訝そうに、マスターである立香はルーラーに尋ねる。

 ルーラーは仕方なしというように自身の服の袖をまくった。その手のひらには三画の令呪が張り付いていた。

 

「真名看破はできる。あと神明裁決もね」

 

 神明裁決とは、聖杯戦争において違反行為をしたサーヴァントに課されるペナルティのことだ。

 ルーラーはその令呪をもってサーヴァントになにかを強制できるということだ。

 

「マスターには悪いけど、私はステータスも高いほうじゃないし、役立たずだと思うよ」

 

 そも、ルーラーとして振る舞おうと思ったのもその溢れかえるサーヴァントについての知識を使えると思ったからであり、実際、ルーラーは自分がなんのクラスかはよくわかっていなかった。

 もちろん英霊ではないし、正規のサーヴァントでもないのだ。

 しかし令呪が使える、というのは一つのアドバンテージである。

 以前マスターとして戦ってきたときはサーヴァントに宝具を使わせたり、消滅したサーヴァントを呼び戻したりと色々使っていたが、今はどこまで使えるのだろう。

 

「役立たず?そんなわけないだろ。前線で戦うだけが戦いじゃない。君に合った戦い方で、俺を助けてくれると嬉しいな」

「……。まあ、頑張るけどさ」

 

 その言葉に、ルーラーは顔をそむけてしまう。その耳が赤くなっているのを、立香は見逃さなかった。

(これがツンデレというやつか…)

 

「先輩、ルーラーさん、失礼します」

 

 立香のマイルームのドアの前に、眼鏡で私服姿のマシュが立っていた。

 

「あ、マシュ。やっほー」

「やっほー、です。ルーラーさん」

 

 マシュは親しげに声をあげるルーラーに顔を赤らめながら返す。

 そういえば、ルーラーはマシュに妙に親しげだな、と立香は思う。

 召喚したときも何故かマシュのことを言った瞬間に飛びかかってきた。

 あの場にマシュがいたらもっと大変なことになっていただろう…。

 

「なあルーラー、もしかしてルーラーって生前マシュの中の英霊と縁があったりする?」

 

 そうであるならば、マシュとえらく親しげなのも納得できる。

 立香の質問に、マシュも気になったのかルーラーに尋ねた。

 

「そういえば、ルーラーさんも真名を明らかにしてませんね。どうしてですか?」

「もしかして、マシュと同じでわからないとか?」

「……。いや、私は自分の真名を知ってる」

「そうなの?」

 

 ならどうして教えてくれないのだろう。なにか事情があるのだろうか。

 

「そうだね…。マスターがこの旅を終えて、世界を救ったら、教えてあげてもいいよ」

 

「…なら張り切らないとな!」

「そうですね!」

 

「約束だ、ルーラー。この旅を終えたら、君の名前を教えてくれ」

 

 

 

 

 **************

 

 

 

 サーヴァントステータス

 

 真名、藤丸立花

 クラス、??

 

 筋力、E

 耐久、E

 敏捷、E

 魔力、C

 幸運、A

 宝具、⁇

 

 属性:善性、人

 

 

 人類を救うのに失敗した世界線のマスター。世界を救うため【誰か】の取り計らいでサーヴァントになった。

 そのステータスはサーヴァントとしてはぶっちゃけ三流。

見た目についてだけど察しの通り赤い髪をサイドアップしてる。服装はこれから明らかになるということで…。

 

ルーラーを名乗ってますが実際はルーラーではない。真名看破はマスターだったときに手に入れた大量のサーヴァントの知識で補っている。神明裁決については後々…。

半径10キロメートルのサーヴァントの感知?できるわけねーだろ。




立花はぐだ子、立香はぐだ男
藤丸立花は立香に似てはいるが違う存在。
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