目を覚ますとその少年は記憶の大半を失ってしまっていた、名前すら思い出せない彼に対し、妹紅は近くにあった食べ物から名前をつける。お腹の空いた少年を気遣い、食べ物を分けてあげるのだがどうも少年が苦しそうにしていたのであった。
それではどうぞ。
どこか涼しげで懐かしい、ほろ苦い香りに目を覚ました。
天井は簡易的に取り付けたような木板。しかしながらしっかりとしていて、現代の建築方法とはまるで異なるようだ。
部屋はハイカラでモダンなレトロチックと統一感が無い。みたことのある道具もあれば、用途がわからない物まで沢山。
閑静な住宅街という訳でもなく、かといって特別騒がしい訳でもない。
とても涼しげで心地よい風にふと振り向くと、女性が火を炊いていた。
清潔感のあるさらりとした白銀の髪に見とれていたが、
こちらから声をかけようとしたのに併せて、彼女がニコッと笑いながら振り向いた。
「お目覚めかい?」
燃えたルビーのような瞳越しに自分が映っているのが見えた。凛とした唇に整った眉、柔らかそうな頬に思わず鼓動を感じてしまう。
「私は藤原妹紅。君が竹林で倒れていたからここまで運んできたんだ。 ....そうだ、君の名前は?」
会話に応えようとするがどうにも名前が出てこない。古びた水道管の錆のように詰まってしまってまるで思い出せない。
黙り込んでしまったのを気遣ったのか、妹紅は上から左へ、右から手前へと何かを探しているようだ。止まった視線の先は、囲炉裏でバチバチと音を立て、こんがりと焼かれた真っ赤な
「赤い甘藷...うーんと、あかい...甘藷....いも....あかいも.........そうだ、あかいも。そう呼ばせて貰うよ」
「あかいも、竹林は危ないから1人で入るんじゃないぞ。夜になると妖怪も出るし昼間でも危険だ、普通の人間が近づいていいとこではない。..........それはそうと...なんで竹林に足を運んだんだ?」
そうだ、どうしてここに居るんだろう。大事なの事なのにすっかり抜けてしまっていた。しかし、記憶を辿っても思い出せない。それどころか、自分が何者なのか、親の顔、どこから来たのかも思い出せなくなっていた。心にすっぽりと穴が空いてしまったかのような寂しい虚無感を覚えた。
「おーい。聞いてるかー?」
こくりと頷くが、どう返事すればいいか分からず戸惑ってしまう。
しかし適当な応えが見つからず、目線を下に落とした。
「もーしょうがないなー。家はどこだ?連れてってやるよ」
連続して投げかけられる質疑に対してひとときの静寂が会話を遮った。
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「あーもう、じゃあ暫くはめんどー見てやるからここに住みな。」
その時の表情はどこか嬉しそうだった。
とは言ったもののこの後も会話は弾まず、妹紅による一方的な質問が続くのみであった。それに対して俯くか黙り込むかの選択肢しか無かった。とその時、会話と会話の僅かな静寂に腹の虫が大声を上げた。それに思わず反応してしまい、目線は畳を見た。
「食うかい?」
顔を上げると目の前に現れたのは甘藷だった。
『....ありがとう、ありがとう』
口から思わず溢れた感謝の言葉に自分で吃驚した。
「おいおい、喋れるなら最初から喋れよ〜」
呆れながらも笑いながら背中をトントン叩いた。
手に取った甘藷は、冷えた手には熱かった。
両手を使い丁寧に割ると、同時に白い蒸気が天へ昇り紅紫色に光った宝石が見えた。大きな口を開き、間髪を入れず皮ごとガブリと齧り付いた。その甘藷のなんという甘さだろうか。言葉では表現出来ない。空腹は最高のスパイスとはこの事なのだろうか、今までに味わった事の無い満足感であった。全身が温められ、ホクホクした中身はしっとりとしていてベタつかないスッキリした甘さだった。
しかし、食べていると奥歯に違和感を感じた。
『痛っ....』
思わず声が出てしまった。幹部を手で抑えなければ痛みが誤魔化せない程であった。それを見かねた妹紅が表情を変え、僕の口を覗きこんだ。
「あ〜。古い歯が抜けかけてるのか。
よし、いっちょ抜いてやるか」
そう言いながら小さな身体へ馬乗りになってその手を躊躇もなく口へと伸ばした。
残念ながら完結しません。あくまでこれはサンプル品です。
いつか実現するならフルで書いて完結させてみます。(気が向いたらね。)書いた日の気分によって表現方法や文が変化してるので許してね。ちなみにあかいもくんの一人称は固定してません。というか出てこないのよね。「僕」とか「俺」とか入れた方が書きやすくはなるんだろうけど、イメージの幅を広げるなら違うなぁって。ちなみにこういうのって三人称視点で書くとすげぇ書きやすいのよね、個人的な感想を書けるから。これは基本一人称視点で話が進みます(たまに三人称視点でも書く)。僕の中のあかいもくん像を作ってその心情を考えながら書くので普通に疲れます。あかいもくんが僕に憑依してる気分になったので憑依華やってきます。