「場所が分からないから戦場を渡り歩いていた訳だが・・・どうしてこうなった?」
『マスター、誰に話しているのですか?』
現在、戒翔はあの後当ても無く戦場を渡っていたのだが軍に囲まれると言う状況に陥っていた。
《そこの男! 無駄な抵抗をしないで武装を解除し、大人しく投降しろ!》
遙か後方に浮かぶ鯨の様な戦艦から拡声魔法の通告が聞こえる。
「俺を力でどうにかしようと言うのか・・・。面白い」
『あの・・・マスター? 私はイヤな予感しかしないのですが・・・』
「目には目を・・・歯には歯を・・・力には力をだ!」
『ちょっ、マスター!?』
戒翔は左手に膨大な魔力を収束し始める。そっれを見ていたアルは悲鳴染みた声を出す。
「吹き飛べ!」
「「「うわぁぁぁー!?」」」
戒翔の叫びと共に引き絞った左腕を振り抜いた瞬間に暴風が吹き荒れ正面に展開していた部隊が紙の様に吹き飛んで行く。
「なんだ
吹き飛ぶ様を見て戒翔は呆れ顔で戦艦の方を見ていた。
《我々、連合軍に攻撃した事を後悔させてやる!》
「いや、先に喧嘩売って来たのはそっちだろ?」
戦艦に乗る指揮官らしき者の憤慨する声につい突っ込みを入れる戒翔だが、兵士達はお構いなしに槍に似た形状の杖を戒翔に向けて魔法の準備に入る。
「はぁ、めんどくさい。さっきので力量は大体分かったし・・・紅き翼を見つけて仲間にでも入るか。」
『既に居場所の目星位あるのですか?』
「大体な・・。
『なら、さっさとこの場を蹴散らして向かいましょう。』
「だな・・。 北のメガロか南のヘラス帝国どちらに向かうか・・・」
『紅き翼と会うならば北のメガロメセンブリアに向かうのが良いかと。ですが既に連合に喧嘩を売ったわけですからヘラス帝国に向かうのが決まっているような物ですけど・・・』
アルの言葉に戒翔は溜め息を洩らす。
「だよなぁ・・・だけど一目あそこの王女様には会っておきたかったけど・・・機会はまた「わらわになんの様じゃ?」は?」
戒翔の目の前には多数の兵士を連れたウェスペンタティアの王女、アリカ姫が戒翔の目の前に立っていた。
「なんじゃ、たった一人の不審者を連れて来るのにこの有様はどういう事じゃ。」
「姫様! この様な場所は危険です!早く安全な後方へ」
「ここまでやられておいて下がれるか!それにわらわには王家の血が流れておる。その血に恥じぬように行動しているに過ぎぬのじゃ。」
「とは言ったものの・・・こんな所で王女が出て来るとは・・・」
『メセンブリーナ連合の王都オスティア、ウェスペンタティア王国のアリカ・アナルキア・エンテオフュシア王女ですか・・・。王族特有の魔法無効化能力を有している人物で』
「魔法世界の後の災厄の王女か・・・。その実は民思いの人格者なんだがな。」
「何をブツブツ言っておる! 貴様は何者じゃ? 帝国の手の者か!」
「それこそ有り得んな。俺は渡り歩いていた所が戦場なだけであって帝国に身を窶している訳ではない。」
戒翔の言葉にアリカは顎に手をやり
「ならば妾の下に来ぬか?」
その一言だけの爆弾発言にアリカの護衛を含め、戒翔すら言葉を失った。