「・・・俺にお前の所に来いと言うのか?」
「可笑しな事か? 主ほど強い者を誘う事になんの不思議がある?」
軍の目の前に現れた一人の女性・・・ウェスペンタティア王国王女アリカは至極当然とばかりに呆れた表情の戒翔に問う
「いや俺が言うのも何だが・・・普通は身元の分からない者をそうホイホイと勧誘するか?」
「襲撃者ならばその様な事は聞かぬ。 私はお主が気に入っただから誘っている。 それにお主が望むのなら私の騎士として取り立ててやるのじゃ。」
「いやに好条件だな・・・そんなに俺をお前「アリカじゃ」アリカの所に入れたいのか?」
「そうじゃ。 今、私の国はヘラス帝国と戦争をしておる。 ヘラス帝国は強大な国じゃだから一人でも多く強い者を集めておるのじゃ。」
「(どうする? 完全な世界と事を構える前にこの世界の者との交流を持って情報を集めるか? それとも勧誘を蹴って単独で行動するか・・・)・・・」
『戒翔、その誘い受けた方が良いと思う。 1人じゃ出来る事は小さいだから王国に入れば多くの情報も手に入るし、戒翔の後ろ盾にもなってくれるはずだよ。』
戒翔が思案している中でバハムートが念話で提案をする。
「『・・・やはりそれしかないか。』アリカ、アンタの提案を受ける。 これから宜しく頼む。」
「うむ、赤き翼と共に心強い者が我が軍に入ってくれて助かるのじゃ。」
「赤き翼?」
「うむ、詳しい話は王城に戻ってからにするかの? 皆の者、戻るぞ!」
そう言ったアリカの一言に御付きの者と周囲の軍はキビキビとした行動で撤収する。
「何をしておる? 主も私と一緒に来るのじゃ。」
アリカの早すぎる行動に呆けているとアリカは憮然とした表情で戒翔の手を取って歩き出す。
「あ、ちょっ・・・自分で歩くから待てって!」
意外と強い力で引っ張るアリカに焦って言うがそれを聞かずにアリカに引っ張られ、アリカの乗る飛行船に乗り込まされ、王城に向かうのであった。
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「お主がアリカの言っていた者か。」
何故かアリカの推薦もありトントン拍子で話が進み王との謁見まで進んでいた。 戒翔は予想以上の成果に内心安堵し、僅かながらに緊張もしていた。
「ハッ、アリカ姫直々にお誘い頂き参上した次第です。 この身を持ってヘラス帝国の兵士達からこの国を守りたく思います。」
王の前で臣下の礼をしながら戒翔は考えていた事を述べていた。
「うむ、しかしお主の所属だがアリカの希望もあってアリカの騎士としてお主は働いてもらう事になる。」
「なッ!? 国王様それは」
「黙れ。 儂はお主達と話はしておらん。 目の前のこの者と話しておる。 そう言えばお主の名前を聞いておらなんだな」
「私の名は戒翔と申します。」
「ふむ・・・では戒翔よ後の事はアリカから聞くと良い。」
言う事は言ったのか国王は玉座から降りると謁見の間から出て行く。 それを見て戒翔も膝立ちの状態から立ち上がり謁見の間から出て行く。 その時に国王に進言しようとしていた者が睨んでいたが戒翔はそれを無視して出て行く。
――――――――――――――――
「で、これはどういう事だ?」
戒翔の横にはアリカがいるがその目の前にはアリカが言っていた赤き翼のメンバーだと思われる集団がいるが集団と呼ぶには少なすぎる。僅か四人しかいないのである。
「俺達を呼び出して何の用だ?」
「ナギ、この馬鹿者が! この方はこのウェスペンタティア王国の姫君なんだぞ!? 口のきき方を考えろ!」
赤毛の目つきの悪いちびすけが胡乱気に戒翔とその呼び出した本人を見て口を開くと生意気な口調で問えばその横にいた黒髪長身で眼鏡を掛けた青年が慌ててナギと呼ばれたその赤毛の少年を諌める。
「別に王族だがなんだか知らねェけど、俺は強い奴と戦う為に魔法世界に来たんだ。 くだらない事で呼び出して欲しくないだけだ。」
そう言ってフンと鼻を鳴らすナギを見て戒翔は苦笑する。
「なんだ、くだらない事では無い。 妾の横にいるこの者を我が軍に・・・いや、私の騎士としたのでな・・・その顔見せじゃな。 我が軍最強と名高い遊撃部隊の赤き翼と面識を持たせた方が後々やりやすいじゃろう?」
アリカの言葉にナギは一瞬だが戒翔を見るが興味無いとばかりにそっぽを向く。
「しかし、アリカ姫・・・言ってはなんですが、この者がそんなに強くは見えないのですが、貴女の騎士とするのは些か早計とは思わなかったのですか?」
長身の男は言葉を選びながらアリカに問い掛け、横目で戒翔を観察していた。
「ふむ・・・お主らの言も確かなのじゃが、ここの所このウェスペンタティア王国周辺であった事は覚えておろう?」
「・・・たしかここ一週間の間に小競り合いをしていた所を一人の人間が介入して止めていた事ですか? ・・・もしや」
「さよう、この者が噂の人物じゃ。 本人も認めておる。」
「・・・じゃあ、強いって事だよな? なら俺様と勝負しやがれ!」
話を聞いていたナギは戒翔に対して指を指してそう宣言する。
「・・・アリカ」
「なに、こやつ等にもお主の強さを見せてやればいいだけじゃ。 丁度、軍の大規模演習場が空いておる。 そこならば問題あるまい。」
そう言ってアリカは戒翔に告げる。
「了解。 ただ、俺が全力出すと後々面倒だからこいつらの実力次第でどの程度の力で戦えば良いかは俺が決めて良いか?」
「うむ、それでよかろう。」
「・・・所で俺もあの男の様に畏まった方が良いか?」
「公の場以外なら構わぬ。 妾もそこまで敬われるのは嫌いでな。」
「・・・承った。」
そう言って戒翔は赤き翼の面々に向き直ると不敵な表情をすると
「貴様ら全員で掛かって来い。 俺が全力を出すに値するか見極めてやる。」
そう言って魔力を一部だけ解放して周囲に魔力解放の衝撃が走る。
「・・・良いぜ、そう来なくっちゃ!」
同じく不敵な笑みを浮かべるナギに呆れた表情で白髪の少年が溜め息を吐き、後ろにいたフードのあるローブを来た青年は戒翔を観察するように見ていた。 眼鏡を掛けた青年は戒翔の起こした魔力風で何を感じたのか先程までの慌てた表情では無く一人の戦士の表情をしていた。
――――――――――――――――
「で、ルールはどうする? これはあくまでも訓練だ。 死んだりしたら訓練じゃなくなり元も子もないからな。」
「そんなの気絶かギブアップするまでだろ!」
言うや否や赤毛の少年は無詠唱の魔法の矢を二百発も撃ってくる。
「・・・ナハト」
《set up》
戒翔に直撃するかと思われたが、突如戒翔の体を包む様に光が発生するのと同時に迫っていた魔法の矢はその光に触れるのと同時に霧散する。
「なッ!?」
「ならばこれならどうじゃ! 【虚空の雷】」
白髪の少年が左手に魔力を集め魔法を発動し光の塊に向けて放つ。 するとその光の塊の中から黒色の光の奔流が奔り白髪の少年を吹き飛ばす。
「ぬぅ、あともう少し障壁を張るのが遅れとったら大怪我じゃすみそうにないのぅ」
落ちる前になんとか受け身を取った少年はその外見に見合わぬ言動で先程の攻撃に感想を漏らす。
「・・・さて、準備完了だ。」
そして黒色の魔力砲撃が止むのと同時に光の塊が霧散し、そこから現れた戒翔は上下共に黒い生地の制服・・・管理局時代に来ていた制服に身を包み、片手に刀の様な武器を携えて現れる。
「こっの!!!!」
そしてここで再びナギが戒翔に躍り掛かるが、戒翔はそのナギが突っ込んできた勢いを殺さずに簡単に投げ飛ばす。
「猪突猛進だな。」
「次は私だ! 喰らえ神明流奥義・・・斬岩剣!」
唐竹割の様な状態で戒翔の上から強襲する青年に対して戒翔は刀を青年に向けて翳し
「ナハト」
《atomic bastar》
「なッ!?」
剣先から放たれた朱色の砲撃が青年に当たるのと同時に爆発し、青年が驚きの声と共に吹き飛ばされる。
「詠春!? ならば・・・これならどうですか!」
そうローブの青年が叫ぶのと同時に戒翔の周辺に変化が現れる。
「体が重い・・・?」
「今の内だぜ! マンマンテロテロ・・・来たれ雷精、風の精。 雷を纏いて吹きすさべ南洋の風! 喰らえ! 【雷の暴風】!!!!」
ナギが呪文を詠唱し終わるのと同時に拳を振り抜くとその振り抜いた拳を起点として雷を纏った台風のような物が発生し、戒翔に迫る。
「・・・下らん。 中級魔法で俺を倒せるものか【断空剣】」
そう呟いて戒翔は迫りくる雷の暴風目掛けて振り下ろすとまるで巨大な剣に斬られたかのようにして雷の暴風は斬り裂かれ、その役目を果たす前に霧散してしまう。
「・・・貴様等の力はこの程度か? なら最強と言う名は返上する事をお勧めするな。」
「俺はまだまだ全力を出してねェ! 舐めんじゃねェ!!!!」
「なら俺にお前の全力を見せてみろ。 チビ助」
「言いやがったな! マンマンテロテロ・・・契約により我に従え、高殿の王。 来たれ巨神を滅ぼす燃ゆる立つ雷霆。 百重千重と重なりて、走れよ稲妻!」
「ッ!? ナギ、それはいけません!!!!」
「うるっせえ! アルビレオ、アイツは俺を虚仮にしたんだ! なら俺の力でブッ飛ばしてあの減らず口を言えなくしてやる! 喰らえ! 【千の雷】!!!!」
アルビレオと呼ばれたローブの青年はナギの呪文に慌てて制止するがそれを聞かず、ナギはそれを振り下ろす。 その直後、戒翔の周囲に莫大な量の雷が乱れ落ちる。
「はははっはははは! 見たか! これが俺の実力だ!」
高らかに笑うナギとそれを見て呆れた表情をするアルビレオ。 その光景に絶句する眼鏡の青年と厳しい表情でその光景を見る白髪の少年。
「・・・ナギよ、まだあの男は倒れておらんようだぞ?」
「・・・は?」
「まったく、対軍用魔法を使って来るとか後の事を考えないのか貴様は・・・」
荒れ狂う雷の中から涼しい表情をした戒翔は体を虹色の光に身を包んで歩いて来る。
「な、なんでアレを喰らって無傷なんだよ!?」
「・・・俺の特殊技能と言うか固有特殊魔法【聖王の鎧】の力・・・元々は俺専用では無いがまぁここでは特に意味は無いか・・・」
そう告げる戒翔は剣を構える。
「それじゃ、散々そっちに攻撃させてやったんだ・・・今度はこちらから行くぞ!」
《breakimpulse》
「ぐあッ!?」
剣先から放たれた黒色の魔力弾が目にも止まらぬ速さで駆け抜け、眼鏡の青年を撃ち抜く。
「詠春ッ!?」
「何処を見ている? まだ俺の攻撃は終わっていないぞ?」
《Trident smash》
三条の雷の奔流が白髪の少年を吞み込む。
「お師匠ッ!?」
「・・・お前は果敢にも攻めてこないのな?」
「いえいえい、隙を窺っていたのですがその前に全滅してしまいそうなので私が仕掛けてみただけですよ?」
懐に飛び込んだフードの男は爽やかな表情をしつつも苛烈な拳打を打ちこんでいくが、その全てを反らし、いなし隙を見て魔力を纏った拳で応戦する。
「・・・お前も普通の奴とは違うな」
「・・・どうしてそう思うのでしょうか?」
「ただの・・・勘だ!」
《Dexizasuta heat》
拳から極太の熱線を放つがローブの男が使った黒い球体に方向を逸らされて命中はしなかったものの逸らされた先の地表は溶けてガラス細工の様にドロドロとしていた。
「・・・人に放つ魔法では無いのではないのですか?」
「貴様等は人外の様な集まりではないか。 少数で対軍行動が可能なのだからこの程度の魔法を処理できないでどうする?」
《photon lance genocide shift》
「これは・・・」
「撃ち・・・砕け!」
周囲に広がる無数の魔力弾の光景に絶句するローブの男に向けて戒翔は腕を振り下ろす。
’ドドドドドドドドド!!!!,
直後、大量の破砕音と爆撃音を伴いローブの男に金色の槍が殺到する。
「アル!」
「後はお前だけだな・・・赤毛のチビ助」
倒れ伏す赤毛の少年、ナギの周りには戒翔の魔法で倒れ伏した赤き翼の面々。 その中心で倒れたナギは戒翔に向けて恐怖と怒りと後悔の念が入り混じった視線を向けられていた。
「・・・ここまで脆弱な者達が王国最強の遊撃部隊・・・か。 笑わせてくれる!」
「ならテメェはなんの為に戦争に参加した!」
「貴様等は上辺しか見れていない・・・こんな茶番の戦争なぞ早々に終わらせる。 今日はもうそのまま全員仲良く寝ていろ・・・ナハト」
《rod form》
徐に空に上がった戒翔は剣を杖の形態にするとその杖の先を空高く掲げ大規模な術式を足下に展開する。
そして地表からキラキラとした物が上へと上って行く光景を見てナギと僅かながらに意識を失っていなかった眼鏡の青年とアルビレオは上がって行く粒子状の物の行く先を見て絶句する。
《starlight bureika》
「な、なんだこれ・・・」
「・・・化物ですね。」
「こんな力を持った者がいるとは・・・洞察力が無いな私は」
「今は眠れ。 英雄の素質を持つ者達よ・・・貴様等が戦う舞台はもう目の前に迫っているのだからな・・・この敗北を持って更なる高みへと上れることを願っているぞ」
そう静かに告げて戒翔は掲げた杖の先をナギ達の方へと向け、超弩級の魔力砲撃を撃ち込んだ。