「確か、この辺りだった筈だが・・・」
降り立った戒翔は周囲を見回しながら樹海の森の中を歩いて行く
「・・・誰かいるのか?」
暫く歩いていると近くに気配を感じた戒翔は立ち止り、気配のする方に顔を向ける。
「に、人間の方がなんの様なんですか・・・? わたし達亞人を捕まえに来たんですか?」
樹の根っこの辺りから現れたのは戒翔の腰より背の低い幼い少女は怯えながら戒翔に問う。
「いや、上を通っていたら樹が独りでに動いていたから不思議に思って調べに来ただけだ。 何も君をどうこうするつもりは無い。 第一、亞人とか人間とか区別する事自体間違っているんだけどな・・・」
「・・・え?」
「だってそうだろ? 俺と君はこうやって対話できている。 多少なりとも姿形が違い、能力の違いがあるだろうが俺も君も同じ人間だ。 上の連中は自分達こそが最上の存在だと思っているがそれは大きな間違いであり、人の傲慢だ。」
「・・・わたしにはよくわからない。」
「そうか・・・君みたいな女の子に言う事じゃ無いかもしれないな。」
「・・・私の名前はブリジット、お兄さんのお名前は?」
「俺の名前は御坂戒翔・・・こちらの世界の呼び方ではカイト・ミサカだな。」
「カイトさん」
「この辺りは大丈夫そうだし、君も早く親の所に帰りな。 この辺りの樹を一応調べてから俺も帰るとするさ。」
「・・・その樹が動いていたのは多分、私の所為だと思う。」
踵を返して樹を調べようとした所で戒翔はブリジットと名乗った少女の言葉に振り返る。
「・・・どういう事なんだ?」
「あの・・・わたし達一族は樹を操る事が出来ます。 ただ、私は他の一族の皆とは違って体の一部を樹に変えたりも出来るから他の樹を自由に操れるってお母さんが教えてくれたの。」
「そうか・・・それで、なんで動かしていたんだ?」
「木の実を集めるのに樹にお願いしたの。」
そう言ってブリジットは樹の根に手を当てて何事か呟くと樹は根っこを自ら抜いて見せた。 その光景に戒翔は驚き、目を見開いた。
「・・・凄いな。 ブリジット、君は自然の樹と対話も出来るのか・・・君の一族も同じことが?」
「一族の皆は出来ないみたい。 樹とお話出来ないけど、意志を伝える事位だって言ってた。」
「君は樹に愛されているんだな。 自然の樹に愛されし少女・・・まるでおとぎ話に出て来る子のようだな」
そう言って戒翔は根っこを抜いた樹に歩み寄りその樹の表面を撫でる。
「樹齢は百も行ってない筈なのにこうも雄大な姿をしているのいも不思議だが、ここは魔力が満ち満ちている・・・まるで聖域の様な場所だな。」
「・・・聖域って何?」
「ん~、ブリジット達に分かり易い物なら御神木がある様な所の事だな。 神聖なとか、その人達にとってや、信奉する様な所だな。」
戒翔の言葉にブリジットは良く分からないという表情をしていた。
「まだ難しいか・・・まぁ、ブリジットは樹に愛されている様だからそのうち分かるようになるだろうな。」
「そうかな・・・?」
「あぁ、何か困った事があったらこれにお願いしてみると良い。 必ず俺が駆けつけて助けてやるからな?」
そう言って戒翔はブリジットに着けていても不自然では無い鈍色のブレスレットを左の手首に着ける。
「ん・・・分かった。」
「そっか」
頷いたブリジットに対して戒翔は頭をゆっくりと撫でる。
「ここの事も分かったし、俺はそろそろ行くよ。」
「・・・行っちゃうの?」
「あぁ、俺にもやる事があるからね。」
「また・・・会えますか?」
ブリジットの視線に合わせてしゃがみ込んだ戒翔はブリジットの頭に手を置いてそう告げるとブリジットは明らかに寂しそうな表情をする。
「そうだな・・・この戦争が早く終わればまた会えるかもな・・・。」
「・・・」
「大丈夫、こんな事が起こらない様に俺も動いているんだからな・・・。 ブリジットも何か異変を感じたら絶対に逃げるんだぞ? 命があってこそ未来が、明日があるのだからな?」
そう優しく告げて戒翔は立ち上がってブリジットから離れる。
「絶対に・・・絶対にまた会える?」
「あぁ、俺もまたブリジットと会って話をしたいからな。」
「じゃあ、さよならは言わない! またね、カイトさん!」
そう言ってニコリと笑うブリジットに戒翔は呆気に取られていたが戒翔もブリジットに笑いかけて空を飛んだ。
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《戒翔、彼女に渡したのって》
「レプリカのJSだ。 俺の魔力を籠めてあって彼女が真に助けてほしいと思った時に発動するように設定してあるし発動したら俺にも分かるようになっているから問題は無い。」
空を飛ぶ戒翔はナハトと会話しながら次の街を目指す。 しかし、次の街で戒翔は衝撃の言葉を聞く事になる。