頭チワワな狼に優しい葦名 作:破戒僧の右腕の袖
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葦名。
日の本でも辺境にあるこの国には、それは尊き水が流れ落ちる地だという。
【源の水】
山を育てればどんな場所よりも豊かになり、酒を作れば天上の物となる。
そんな国のある井戸の底、一人の男が項垂れていた.....。
カサッと、何かが落ちる音がした。
目をゆっくりと開けた男は、己が使命を思い出す......。
そうだ、我が主を.......取り戻さねば.....。
父上からの、鉄の掟を......果たさねば......。
思い起こすは、自分に生きる意味をくれた、義父の姿.....。
鉄の掟とは......そう.....。
『狼よ、父がおはぎを作ってやった。たんと食べ、立派な忍びになるのだ』
違う。確かに父のおはぎは美味かったが、今はそういう時ではないぞ狼よ。
『うむうむ。腕を上げたな狼よ。おぉ.....怪我をしてしまったか.....早う手当せねばな.......。とりあえず道玄に見せねばな』
違う。すり傷程度で大袈裟な父の姿は確かに印象的だが違う。
『うぃぃぃ.....我は梟だぞぉぉぉ.....おお!!狼よ!!こっちへ来い!!父に酌をしてくれぇぇぇ......何故か手が震えるのじゃぁぁぁ.......』
これも違う。何故ああも酒に弱いのかは不思議だが違う。
そうだ。そういえば父がおはぎの包みを持たせてくれたのだったな。
「むぐむぐ.......。美味い.......。」
よし。元気も出たぞ。これで主を救いに行ける。
そうとなれば早めにここを抜け出そう。
足を滑らせてから記憶が無いがまぁなんとかなるだろう。
なんやかんやあってコソコソと月見櫓に来た狼。
御子様が本を読んでおられる.....。
「......ん?おぉ!!狼よ!!来てくれたのだな!!」
御子様が抱きついてこられたので、少し驚いてしまった。
「驚かせてしまったかの?お主は可愛いから仕方ないのぉ♪」
頭を撫でられると父を思い出す.....。
力が強かったがとても安心したものだ。
「うむ、お主が来たならもうここにいる理由もないの。狼よ、これを受け取れ」
そう言って、御子様が刀を差し出された。
「狼よ.....今一度、我が忍びとなってはくれまいか?」
「御意」
父上から「とりあえず言っておけば良い」と学んだ御意で刀を受け取る。
この少し短いくらいが振り回しやすいのだ。
「ふふふ......そうだ.......お主は、ワシの物なのじゃ.......」
葦名の兵を掻い潜り出口でアシの葉笛を吹こうとしたら後ろにいた御子様と一緒に出口を歩く。
「のう、狼よ。ここを抜けたら、どこへ参ろうか.....」
「御子様と一緒ならば、どこへでも......」
「んっ......そ、そうかのぉ?では、どこかで茶屋でも開くとするじゃのう♪」
茶屋か.....。良いかもしれぬ......。おはぎが食える......。
「久しいな、御子よ」
ススキ野原で立ち尽くす侍と思しき者が語りかけてきた。
「叔父上の墓前以来か.....」
「弦一郎殿....」
御子様とお知り合いのようだ。
しかしあのような大弓を背負って重くないのだろうか.....。
御子様が前に出ようとなされたので、手を出す。
「御子さま.....危ないでございまする.....」
「狼....頑張るのじゃぞ!!!」
「お任せを」
刀を抜くと、弦一郎殿も刀を抜く。
「邪魔立てするか、御子の忍b「フレー!!フレー!!オ・オ・カ・ミィィ!!!」喧しいぞ竜胤の御子!!!」
御子様の声援を.....もしや羨ましいのか.....。
そうか!!弦一郎殿は御子様を好いて居られるのか!!
「弦一郎殿よ.....男色はいけませぬ」
「何を勘違いしている御子の忍び!!もういい!!葦名弦一郎、参る!!」
こんな感じです。好き勝手やってんなこいつらなぁ