鬼殺隊員である胡蝶しのぶとの邂逅後、特に何も無かった。びっくりするほど本当に何も無かった。そこら辺の鬼を殺して食べて適当なところで日雇いの仕事を探してお金を稼いで暮らしていた。日雇いの仕事がない時は、前世の経験を生かしてセールスの真似事のようなことをしていた。まあ、各家庭を訪ねてお手伝いさんのようなことをしているだけだが。
「あら、炭治郎くん。今日も炭売り?」
「あ、シロさん!シロさんも炭どうですか?」
「ごめんねえ、私、あまりお金が無いのよ」
「そうですか・・・無理を言ってしまいすみません」
「謝らないでね、お金が溜まったとき、炭が必要になったら炭治郎くんから買うからね」
「本当ですか!?ありがとうございます!」
今日は曇りだから、日は射していない。直射日光はだめだが、なぜか雲で遮られていれば私は日の下も歩けるのだ。自覚はないが、鬼舞辻無惨の呪いを解いた影響だろうか?
「あ、シロちゃん!ちょっといいかい?」
「佐藤のおばさん、どうしました?」
「ちょっと腰を痛めてね。代わりに風呂桶を洗ってくれないかい?お駄賃は弾むよ」
「もちろんです、任せてください!」
炭治郎くんに別れを告げて、佐藤のおばさんの家に行く。佐藤のおばさんはちょっとしたことで呼んでくれるし、お駄賃を弾んでくれるから好きだ。現金だと言われるだろうが結局この世は金なのだ。金がなければなにも買えないし出来ないし、それは世界が変わっても揺らぐことは無い。お金大事!
「あれ、禰豆子ちゃん?どうしたの、こんなところで」
「シロさん・・・。あの、お米を買いに来たんです」
道をフラフラ歩いていたら、炭治郎くんの妹の禰豆子ちゃんがいた。傍らには米俵があり、米俵を買ったものの持って帰れないのだろうということがわかった。
「家まで運ぶの手伝うよ。禰豆子ちゃんじゃ大変でしょ?」
「あ、で、でも、私、シロさんに払えるお金が・・・」
「いいのいいの、私がやりたくてやるんだから、お金なんていらないよ」
ついさっきまでお金大事なんて言っていたが、幼い子が困っているなら話は別だ。子供は好きだ。助けてあげたい。それに、炭治郎くんたちを見ていると伊之助を思い出して懐かしい気分になってくる。伊之助に、会いたいなぁ。
禰豆子ちゃんの家に着いた。炭治郎くんはもう帰ってきていて、禰豆子ちゃんを心底心配していた。
「まったく、帰ったら禰豆子がいなくて心配したんだからな!」
「ご、ごめんなさいお兄ちゃん・・・」
「あ、えっと、ちょっと言い過ぎたな、ごめん禰豆子!そうだ、シロさんご飯食べて行ってください!お礼です!」
「・・・うーん、有難いんだけど、まだ街の人のお手伝いし終わってないんだ。今度頂いてもいい?」
「もちろんです!」
・・・真っ直ぐな瞳を見ると、どうしても伊之助を思い出してしまってつらかった。
禰豆子ちゃんの、口調が、分からない・・・!
遊郭編にシロを同行させるか
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させる
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させない