2度の人生と1度の鬼生   作:惰眠勢

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第11話 桃と藤

 私は藤の花が大好きだった

 

 

 前世では花など特に意識したことは無い。せいぜい、タンポポの綿毛で遊んでいたくらいだ。藤の花を好きになったのは今世からで、その理由は明確だった。鬼を近寄らせないために常に近くに置いて、持ち歩いていたからだ。藤の花の色が好きだ。匂いが好きだ。形が好きだ。好きだった。・・・好き、だった。

 

 でも今は、どうしても藤の花に対して嫌悪感を抱いてしまう。

 

 鬼は藤の花を嫌う。私は鬼だ。鬼が藤の花を嫌うのは当たり前だ。分かっていたけれどとてもつらい。好きなものを嫌いに思ってしまうのは、どうしてもつらい。好きな食べ物のアレルギーになってしまった時くらいにつらい。それからは出来るだけ、花屋や藤の花が咲いている場所には近づかないようにしていた。・・・今日までは。

 

 

「シロさん、これどうぞ!藤の花を見つけたんです」

 

 

 綺麗でしょう?この間のお礼です!と、禰豆子ちゃんに渡された藤の花。藤の花がどうしようもないくらい嫌いだったのに、今この時だけは藤の花が好きだった頃の自分を取り戻せた。目の前でニコニコしている禰豆子ちゃんを見て、言葉にできない感情で胸がいっぱいになった。衝動のまま禰豆子ちゃんを抱きしめて、何度も何度もお礼を言う。

 

「ありがとう、ありがとうねえ禰豆子ちゃん。私、藤の花が大好きなの。大事にするわ。ああ、枯れちゃうのがもったいない。本当に、ありがとう」

 

 そんな、お礼を言うのは私の方なのに・・・という禰豆子ちゃんに対して、首を振った。本当に、お礼を言うべきなのは私なのだ。あんなに好きだったものを嫌いになり、苦しんでいたのにそのつらさが昇華されてしまった。おそらく、自分から藤の花に近づいたら嫌悪感を持つだろう。禰豆子ちゃんだから、禰豆子ちゃんがくれたから私は好意的になれたのだ。

 

「もう、私がお礼を言いたいくらいなのよ。そうだ、今度お団子をおうちに持っていくわね。麓のお茶屋さんのお団子は全部美味しいんだから!」

「そんな!お礼のお礼なんて頂けません!」

「いいの、私があげたいの。ね?私のためだと思って、貰ってくれない?」

 

 そういうと、禰豆子ちゃんは申し訳ない気持ちが半分、楽しみな気持ちが半分といった表情をした。

 

「ちゃんとみんなの分買っていくわね。楽しみにしてて!」

「はい!ありがとうございます!」

 

 好きの気持ちを取り戻させてくれた禰豆子ちゃん。どうか、禰豆子ちゃんが、竈門家のみんながずっと幸せで暮らせますように。




ほのぼのパートという名のフラグ


基本的に原作通りの進め方にしますが、死亡キャラ生存ルートに持っていくか原作通りにするか悩みます。正直、オリ主とオリ主に鍛えられた伊之助なら誰も死なずに済ませられるんじゃないか・・・いやでも原作崩壊していいのか・・・?オリ主いる時点で原作崩壊か・・・?

遊郭編にシロを同行させるか

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