2度の人生と1度の鬼生   作:惰眠勢

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第16話 蝶と団子

「みたらし団子最高」

 

 

 今日は曇天。直射日光がNGな私としてはとても有難い天気だ。日中でも心置き無く外をぶらつける。

 鱗滝さんの元を離れた私は、また少し離れたところで暮らしていた。お金はまだ余裕があるから日雇いの仕事はしていない。久しぶりにお団子が食べたくなって茶屋に寄ったけどここは当たりだ。すごく美味しい。みたらし団子が1番美味しいが、三色団子も美味しい。なんなら白玉ぜんざいも美味しい。ここの店主は天才か?

 

「みたらしうま・・・磯辺もうま・・・最高・・・」

「あらあら、みかんの次はお団子ですか?」

 

 店先の軒下にあるベンチのようなものに座って食べていたら、隣に誰かが座って話しかけてきた。咀嚼はやめずに隣を見るといつか会った黒髪の女の子だった。

 

「・・・あ、蝶の人」

「胡蝶しのぶです」

 

 当たり前だが名前が思い出せなかった。そもそも1度しか会っていないのに名前を覚えておけという方が難しいと思う。顔を覚えていただけ褒めて欲しいくらいだ。

 

「鬼なのに、日中でも歩けるんですね?」

「直射日光はダメだけどね。雲で遮られてれば大丈夫みたい」

「ふふ、知れば知るほど謎が深まりますね。興味深いです」

「そりゃどうも」

 

 周りの目を気にしてか、声のトーンを落として胡蝶さんが会話を続けてきた。日光については、私もよく分かっていないから聞かれても困る。胡蝶さんもそれに気がついたようで深く聞いてくることは無かった。

 

「そういえば・・・お嬢さんの名前はなんでしょう?」

「うーん、それが覚えてなくて・・・一応シロって名前で通ってるよ」

「そうですか。ではシロさん。ちょっと着いてきてもらいたいのですが・・・いいですよね?」

 

 着いてきて欲しい、とな。胡蝶さんは鬼殺隊だし、鬼を連れていく場所といったら・・・どこだ?まさか鬼殺隊を束ねている人の所に連れていくとは思えないし。え、これ着いてっていいの?大丈夫?むしろ逆らったらこの場で殺される?分からなすぎて普通に怖い。

 

「その前に聞きたいんだけど、着いて行ったら殺されるの?」

「さあ?どうでしょうね」

「私が着いていくと思った?」

「旧水柱の鱗滝左近次という名を出せば着いて来る、と聞かされましたよ」

「・・・ちなみにそれは誰から?」

「ふふ、秘密に決まってるじゃないですか」

 

 え、怖い。普通に怖い。私誰に呼ばれてるの?何されるの?どこに連れてかれるの?鬼とはいえ、死ぬ時は死ぬって分かってはいるけどまだ死にたくない。鬼を地上から殲滅するまで死ねない。

 

「さあ、どうしますか?着いてきて、くれますよね?」

「・・・はーい」

 

 とりあえず、従わないとこの場で戦闘になる事だけは理解した。人とは戦いたくないし、まずは着いていくことにしよう。その先の事はその時に考える、ということで。




どこに連れていかれてしまうんだー?(すっとぼけ)
伊之助・炭治郎といつ頃再会されるか悩みますね!楽しい!

遊郭編にシロを同行させるか

  • させる
  • させない

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