2度の人生と1度の鬼生   作:惰眠勢

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第18話 拒否権

「鬼が鬼殺隊に協力、ですか。ちなみに、拒否権はあるのでしょうか?」

「もちろん意思は尊重するよ。嫌だったら断ってくれて構わない。その為に拘束はそのままにしているからね」

 

 ・・・?・・・ん?拒否権はある、だと・・・!?

 正直に言って拒否権なんてないだろうと思っていた。拒否するつもりはなかったとはいえ、自主的に着いてきたとはいえ、暗に脅されて来たようなものなのだ。しかも縛られた上に周りの状況が全くわからない状態で。

 

「そもそも鬼殺隊に協力をしても君に得はない。鬼は全て敵という思想の子も多いし、たくさんの人の悪意に触れることもあるだろう」

「まあ、そうでしょうね」

「しかし私は長い年月をかけて君を観察してきた。人里で働き、交流を持ち、里の人間を守ろうと鬼をかなりの数倒してきた。私はそれを知っている。だからこそ、強くて優しい君に協力して欲しいんだ」

「私が拒否をしたら、どうするつもりなのですか?」

「その時は仕方ない。君が人に対して害がないのは知っているから先程までいた所に送るだけだよ」

「・・・ああ、なるほど。やっとこの拘束の本当の意味がわかりました」

 

 つまりは最初から拒否されること前提だったわけだ。耳栓、目隠し、おんぶは本拠地の場所を知られないため。到着しても外されないのは姿を見られないため。何も知らない状態なら、情報漏洩を防ぐ為に口封じで殺す必要は無い。最初から最後まで私のことを考えていたわけだ・・・鬼の、私のことを。縄はなんでか分からないけど、まあ、保険のようなものだろうか。勝手に解いたら敵対の意思有りとみなすということは、逆に言えば解かない限り敵対の意思は無いことになる。

 

「何度も言うがこの話を受けてくれたとして君に得はない。ただ私が協力して欲しいだけだ」

「念の為聞きますが、協力することになったとして私は何をすればいいんですか?」

「主に2つ。鬼殺の同行と、戦闘力の底上げ」

 

 早い話が鬼殺隊員の戦闘補助と、新入隊員達との手合わせといったところか。確かに鬼との戦いのときにこちらにも鬼がいれば結構な無茶が出来る。人と違って手足が引き裂かれたとしても時間が経てば治るから。手合わせだってそうだ。実践と同じ鬼が相手なら、対人戦闘訓練よりもよっぽどタメになるだろう。

 

「いいですよ。というか、まあ、最初から断るつもりは無かったので」

「そうか・・・そうか、ありがとう。ああ、その拘束は解こう。酷い真似をしてしまってすまないね」

「いいんですよ。鬼ですし、警戒して当たり前です」

「義勇、彼女の拘束を解いてやってくれ」

 

 はい、という声が天井から聞こえ、誰かが近くに降り立つのが分かった。天井にもいたんかーい。部屋の外に何人かいるのは分かっていたが、天井にまでいるとは思わなかった。忍者か。前世の忍者漫画を思い出しているうちに拘束が解かれて目隠しも外された。

 

「えっと、今日からお世話になります?シロ、と名乗っています。仕える立場になるなら、なんとお呼びすればいいんでしょうか?」

「・・・俺達はお館様とお呼びしている」

「ありがとうございますお兄さん。お館様、これからよろしくお願いします」

 

 

「ああ、よろしく頼むよ」

 

 




ちなみに観察して報告していたのは鎹烏です
原作数年前の柱が分からない・・・少なくとも無一郎が居ないことしかわからない・・・

追記
しのぶさんや義勇さんがいつ頃柱になったのか分からないので、現時点ではその点について言及はしません。柱かもしれないし柱じゃないかもしれません。

遊郭編にシロを同行させるか

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  • させない

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