とうとう最終選別の日になり、藤襲山に向かった。よく考えたら普通の鬼は藤の花に近づけないのに、よく最終選別に向かわせようと思ったな。ああ、昔禰豆子ちゃんに藤の花を貰った時のことも報告されていたんだろうか?それなら納得がいく。
この選別に向かう前に煉獄さんに口が酸っぱくなるほど念押しされた事が2つほどある。1つは血鬼術を使わないこと。もう1つは鬼を喰わないこと。これなら縛りプレイ未満だ。いざとなったら徒手空拳で戦える。仕留める時だけ刀で頸を落とせばいい。
そう意気込んで、7日間に及ぶ最終選別が始まった。そして、終わった。特筆するべきこともないくらいにあっさりと終わった。なんなら、鬼と戦うよりも日中身を隠す場所を探す方が苦労したくらいだ。7日間経ってから山を降り、進行役の2人から説明を受けて刀を作る鋼を選んだ。色変わりの刀っていっても、私の刀はきっと色は変わらないのだろうと少しだけ肩を落とした。
「カァァァ!カァァァ!至急!至急!お館様の元へ参られたしィ!急ゲ!急ゲ!カァァァ!」
「わ、え、お館様の所?・・・報告かな」
私につけられた鎹烏(そのうち名前をつけよう)が開口一番に言ったのは、お館様の元へ行くこと。最終選別突破の報告のためだろうか。というか、この烏はいつこの連絡事項を伝えられたのだろう。首をかしげながら、お館様の屋敷まで足を動かした。
お館様の屋敷につき、お館様の奥様に案内されて庭に回った。どうやら屋敷内から縁側まで出てくるらしい。数分待つと、子供に両手を引かれたお館様が姿を現した。
「おかえり、シロ。最終選別突破おめでとう。これで君も鬼殺隊の一員だね。最初、杏寿郎に君を鬼殺隊に入れてくれないかと打診された時は驚いたよ」
「そうですね。私も驚きましたし、お館様が許可を出されたのも驚きました」
「・・・本当は、ゆくゆくは鬼殺隊に入ってくれやしないかと思って協力関係を結んだんだ。だからこれは願ったり叶ったりな状況でね」
「計算通りだった、と?」
「ふふ、思いのほかシロが
つまり、最初から私を鬼殺隊に入れるつもりだったから煉獄さんの無茶な要望をあっさり通したわけか。この様子だと反対した他の柱をお館様が一蹴したのかもしれない。私が20年近く人を喰っていないことをリアルタイムで確認していたのはこの人だから。
「嬉しいよ。シロが入ってくれれば、鬼殺隊はもっと大きくなる・・・。それに、シロ。最近鬼すら喰っていないのに飢餓状態ではないだろう?」
「あっ・・・」
「七日間。最終選別中は鬼を喰わないように杏寿郎に念押しされていたね。そしてそれを守った。本来なら、それだけ栄養が取れなければ飢餓状態でおかしくなっているはずだ。しかしそれがない」
「・・・」
「シロ。私はね、君に期待をしているんだ。もしかしたら、君の体は変異していて人も鬼も喰らわずとも生きていけるようになっているのかもしれない。そうなれば、鬼舞辻はきっと君を探し出そうとする。尻尾を出すかもしれない」
・・・簡単な話、囮だ。いや、別にそれでもいい。仇に会えるのなら囮にされたって構わない。それ以上に私の思考を占めているのは、「人も鬼も喰っていないのに飢餓状態になっていないこと」。少々お腹はすいているが、どちらかと言えば鬼の飢餓状態というよりも1日ご飯を食べなかった時の人間時代の空腹感だ。本当に鬼を喰わなくていい体になっているのなら、それほど嬉しいことはない。
「鬼になってからの20年近く人を喰わず、人を守り、我々と協力関係を持ってからの1年も隊士と民間人の誰一人傷つけずに鬼を滅殺する・・・これほどの子が、鬼殺隊に相応しくないなんてことないだろう?」
その言葉は、私というよりも私の後ろの方に向かって放った言葉のように聞こえた。と、同時に背後の空気が複数揺らいだ。
「すまないね、この間の柱合会議でどうしても君を信じられないという子がいたんだ。だから証明するために、ここに来てもらっていた」
「・・・私が人を食べないと、証明は出来たのでしょうか」
「それは分からない。だから君自身に証明をして欲しい。・・・と言いたいところだけど、君は既に十二鬼月の下弦の鬼を倒しているからね。こればかりは、みんなの気持ちの問題になるだろう」
そう、私は既に下弦の鬼を倒している。鬼殺隊に協力をし始めて半年くらいのときだったか。柱は誰もいない上に下級隊士が複数いる状態で全員守り切って倒した。あの時は本当に頑張った。お館様の言うことも最もで、確かに鬼殺隊に鬼が隊士として入りまーすなんてなったら不評どころじゃないだろう。でもこれ以上証明のしようがないから、今まで通り私は鬼を倒すだけだ。
「期待しているよ、シロ」
「お館様のご期待に応えられるよう、尽力します」
この時点で竈門家の悲劇1歩手前
もう原作時の柱全員揃ってることにします。
信じられないってごねたのは皆さんご存知不死川さんです
遊郭編にシロを同行させるか
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させる
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させない