2度の人生と1度の鬼生   作:惰眠勢

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第31話 お疲れ

 

 

 お館様の元を後にして、暇になった私は鬼殺隊稽古場に向かうことにした。最近暇になるといつもここに足を伸ばしている気がする。稽古場に着き、中を覗くと下級隊士達が稽古をしているのが見えた。丁度休憩中だったらしい山田くんと目が合う。

 

「あーー!シロ!戻ってきたんだな!!」

 

 ほんとだ!シロさんおかえり!怪我とかないですか!?など、稽古中だった隊士達が一斉に辞めて私に声をかけてきた。え・・・?何このまるで慕われてるような対応。

 

「え、えと、私鬼だけど、なんで鬼が鬼殺隊に入るんだよとか、思ってないの?」

「は?まだそんなこと言ってんのか」

「そうですよ!アタシ達、シロさんに命救われてるんですから!」

「シロさんがいなかったらとっくに死んでます!」

 

 これには驚いた。まるで、ではなく本当にこの子達に慕われていたらしい。隊士達が数人私の元から離れ、何かを持ってきたと思ったと同時に駄菓子やらパンやらを貰った。

 

「シロが戻ってきたらお疲れ様のつもりで渡すつもりだったんだけど・・・」

「アタシ達、みんな考える事一緒みたいね」

「どうすんだこの山盛りの駄菓子とパン」

 

 どうやらここにいる全員、私に渡す用の食べ物を持ってきていたらしい。私が持ちきれなくなったため、私の前にまるで祭壇のように山盛りに置かれている。それを見た隊士達はコソコソと相談話を始めた。

 

「ふふっ、みんなさえ良かったら一緒に食べない?」

「や、でもそれはシロにあげるためのやつだし・・・」

「みんなで食べた方が美味しいでしょ?ああ、今稽古中みたいだし、迷惑なら断ってくれていいのだけど」

 

 そう言うと隊士達は互いに顔を見合わせて、全然迷惑なんかじゃないと言った。丁度稽古の区切りが良かったそうなので、このままこの稽古場でちょっとしたお疲れ様会のようなものが開かれることになった。

 

 

 

「えっこのパン美味しい!」

「だろ!?すっごい行列だったんだからな!」

「ほんとに貰ってよかったの?すごく美味しい・・・ちょっと1口食べてみて」

「おわ、うま!これ1人ひとつしか買えなかったんだよなぁ」

「そんなに貴重なパンだったの・・・!?」

 

 1人ひとつしか買えないパンなんて、一体どこの高級パンだろう。今度違う味の高級パンを買ってきてあげよう。あ、こっちの駄菓子もうま・・・。

 

「そうだ、シロさん聞いてください!俺達、階級が壬に上がったんです!」

「そうなの!?凄いじゃない!みんな壬?」

「ふっふーん、俺は違うぞ!庚だ!」

「山田くん凄い!」

 

 本当に、本当に凄い。悲しくもハイスピードで隊士達が亡くなっていくのに、半分近くまで上がれるなんて本当に凄い。私は一応階級が1番下の癸からのスタートだから頑張らなければ。

 

 

 




自覚はないけど慕われていたシロちゃん


タメ口なのは山田くん。一人称がアタシなのは佐々木ちゃん。敬語なのは中村くん。みんなモブ。

遊郭編にシロを同行させるか

  • させる
  • させない

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