「・・・」
「・・・」
某月某日、昼。我が家に珍しい柄の羽織を着た黒髪の青年が訪ねてきた。いつだったか、どこかで見たことがある気がする。・・・そういえばお館様と初めて会った時に拘束を解いてくれたのがこの青年だったような。
何用で来たのか検討もつかないが、とりあえず家にあげてちゃぶ台越しに向かい合った。その状態で5分ほど互いに無言のままである。
「・・・聞いたことがある」
「え、と、何をですか?」
「鬼の話だ」
やばい、何を言っているのか何が言いたいのか皆目見当もつかない。鬼の話を聞いたことがある?いや、あなた鬼殺隊でしょう・・・?口数が少ないとか口下手とかそんな甘いものじゃない気がする。あれか、コミュ障か。
「人を喰わずに暮らしている鬼がいると、昔聞いた。鱗滝左近次という老人だ。知っているだろう」
「鱗滝さん?鱗滝さんのこと知ってるんですか?」
「ああ。俺はあの人に水の呼吸を教えて貰った」
なるほど。この人は鱗滝さんの弟子?みたいな存在で、昔鱗滝さんから私の話を聞いたと。なるほど、話が繋がった。というか最初からそう言って欲しかった。
「それを聞いた時に有り得ないと思った。そんな存在がいるわけないと。だが・・・」
そこで青年が口を閉じて、また数分経過した。その間話していいかどうか迷ったが、おそらく言葉をまとめているのだろうと思い黙って待った。私は待てる良い子。
「一年近く観察して、確かに人は喰わないだろうと判断した。経緯はともかく、今は同じ鬼殺隊だ。お前の強さは知っているから、その点については信用している」
「そ、それはどうも・・・?改めまして、鬼殺隊、階級癸のシロです。お名前を伺っても?」
「鬼殺隊・・・水柱、冨岡義勇だ」
お互い頭を下げて、3秒ほどしてから頭を上げた。やばい、気まずい。この後どうすればいいんだろうか。冨岡さんも立ち上がる様子がないし、私から何か言うべきなのか?何言えばいいの?今日はいい天気ですね?私にとってはいい天気だけど曇りはいい天気とは言い難いだろう。本当に話題がない。
「ああ、そうだ。そろそろご飯時ですし、ご飯食べていきますか?材料はある程度あるので食べたいものがあったら作りますよ」
「いいのか?・・・材料は何がある?」
「量が多いのは鶏肉、牛肉、ホッケ、鮭、野菜類ですね。ああ、じゃがいもとか大根とか買ったまま使えてなくて。そろそろ消費しないと・・・」
「・・・鮭大根は作れるか?」
「もちろんですよ!料理は得意なんです」
終始仏頂面だった冨岡さんが、鮭大根を食べた瞬間に微笑んだことをここに記しておく。
頂いたコメントに触発されました・・・!
遊郭編にシロを同行させるか
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させる
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させない