「・・・」
「・・・」
某月某日、昼。我が家に冨岡さんが訪ねてきた。というか少し前にも全く同じ状況になっていたような気がする。気の所為ではないな、確実にあった。
今回も何用で来たのか検討もつかなかったが、とりあえず家にあげてちゃぶ台越しに向かい合った。その状態で5分ほど互いに無言のままである。ここまで以前と全く同じだ。
「・・・鬼に会った」
「はあ・・・?」
はあ・・・?(2回目)いや、鬼殺隊だし鬼に会うのはおかしい事ではないはず。つまり、普通ではない鬼に会ったと?私のように人を喰わない鬼だろうか?
「人を喰わない鬼だ。家族全員が殺され、無事なのは1人の息子だけだった。その息子の妹が、鬼に変貌していた」
よし、推測通り。私も冨岡さんの言いたいことがなんとなく察せられるようになってきたぞ。つまり、その妹が人を喰わない鬼だということか。1人で納得し、心の中でうんうんと頷く。もしかしたらその子と仲良くなれるかもしれない。ちょっとというかかなり会ってみたい。
「俺は最初、その鬼を殺そうとした。・・・が、色々あり兄の方を攻撃した」
「なんで」
なんで、え、なんで???なんでお兄ちゃんの方攻撃したの???鬼になってるのは妹の方でお兄ちゃんは人間のままでしょう?なんで攻撃したの???やっぱ冨岡さんよくわかんないわ。
内心で顔を覆って宙を仰ぐ。この人の思考回路が全然読めない。なんだか意思の疎通は無理に思えてきた。頭が痛くなりそうだ。これなら伊黒さんの方がよく喋るし分かりやすいぞ。
「その際、俺にやられそうになっている兄を鬼になった妹が庇った。鬼になったばかりで酷い飢餓状態だったろうにも関わらずだ」
「なるほど」
「・・・以前の俺だったら、それでも鬼になった妹を切っただろう。だが、お前という存在を知って少しだけ考えが変わった。だからそいつも人を襲わないと判断した」
「本当に人を襲わない鬼なら、私も会ってみたいですね。その2人は今どうしているんですか?」
「今は鬼殺隊に入るための修行をしている。鬼になった妹を人に戻す方法を探すそうだ」
鬼が人に戻る方法・・・本当にそんなものはあるんだろうか。その2人のことを考えるとあって欲しいと思うが、私自身そんな方法があるなんて聞いたことがない。
「それなら、そのうちその2人に会えそうですね。・・・今日もご飯食べていきますか?」
「頼む」
「了解です。また鮭大根にしましょうか」
今日が、冨岡さんの2度目の笑顔を見た日となったことは言うまでもない。
誰の話かは言わずもがな。でももちろんシロちゃんはそんなの知るよしもない。
あと冨岡さんの言葉選びが壊滅的すぎてシロちゃんが誤解してる部分もある
遊郭編にシロを同行させるか
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させる
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させない