「伝令!伝令!カァァァ!次ノ任務ハァ!那田蜘蛛山ァ!那田蜘蛛山に向カエェェ!鬼が出没ゥゥゥ!既ニ隊士が数十名死亡ゥゥゥ!十二鬼月ノ可能性アリィィィ!」
「え、そんなに亡くなってるの!?早く行かなきゃ・・・!那田蜘蛛山ってどこ!?」
「南南東ゥゥゥ!南南東ゥゥゥ!案内スルゥゥゥ!コノ方向音痴ィィィ!」
「ありがとう陽太郎!行こう、山田くん!」
山田くんとの見回り任務中に鬼を見つけたため退治した直後、陽太郎が次の任務を言い渡した。隊士が何人も死んでいるなら只者では無いはずだ。確かに十二鬼月かもしれない。でも、上弦ならそう簡単に姿を現すとは思えない。過去の隊士が上弦の相対したのは全てたまたまで、十二鬼月と分かっている状態で会ったことは無いらしい。仮に下弦だとしても、下弦でそんなに亡くなってしまうものなの・・・?ふと首を傾げそうになったが、それは今考えることではない。とにかく先導を陽太郎に任せて私もそこに向かわなければ。
「十二鬼月!?まじかよ俺死ぬ!死ぬ!」
「私がいるから大丈夫よ」
「頼りにしてるからなシロ!あああ俺十二鬼月に会ったことねえんだよー!」
「頑張れ頑張れ、山田くんは出来る子!頑張れる子よ!」
「頑張るけどさー!」
しばらく陽太郎を先頭に走り続け、ようやく那田蜘蛛山に到着した。おどろおどろしい空気が山から漂ってきていて、確かにこれは沢山の人が亡くなっているだろうことが安易に予想できる。1度立ち止まり、山に入っていく。
山を進んでいくと、那田蜘蛛山という名の通り沢山蜘蛛がいた。この蜘蛛からは鬼の気配をうっすらと感じるため、自分達に触れられる前に歯車で潰す。山を登り始めて少しすると、突然人面の蜘蛛が足元に現れた。
「うおっ!鬼!?」
「・・・あ、山田くん待って!違う!」
「え?え?だってこれ、体蜘蛛だぞ!?蜘蛛の体に生首だぞ!?」
「人の気配するし鬼ではないわ。・・・もしかして鬼殺隊員?」
人の気配なのに人の姿をしていない、体が蜘蛛になっている誰かに聞くとコクコクと頷いた。どうやら言葉が出せないようだ。危ない、鬼じゃないって気づかなかったら切っちゃう所だった。仲間殺しは避けたいもんね。
「誰かわかんないけど、この山の鬼を倒すまで隠れていた方がいいよ。隊士を見つけても近づかないこと。鬼と間違えられて切られちゃうからね」
そう言うと、再度コクコクと頷いて蜘蛛になった隊士は木に登り始めた。ていうか、治るのかな・・・鬼にはなってないから治るかな・・・胡蝶さんなら何とかしてくれそうだけど私はその辺詳しくないからな・・・。
「よし、とにかく進もうか山田くん」
「お、おう。ありがとな、教えてくれて。仲間を切るところだった」
「仕方ないよ。あんな姿になってたし、言われなきゃ気づけないって。結果論だけど未遂なんだからもう気にしないほうがいいよ」
「そうだな・・・本当に、ありがとう」
「はいはい。・・・人を蜘蛛にする血鬼術の使い手がいるのかな」
「俺、虫嫌いなんだよ・・・なりたくない」
私だって虫にはなりたくない。嫌いではないけど好きでもないのだ。
46話目にしてようやく原作入り
遊郭編にシロを同行させるか
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させる
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させない