2度の人生と1度の鬼生   作:惰眠勢

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第5話 歯車

 前世で、私は物の分解を趣味としていた。時計を始め、ラジカセ、パソコン、プリンターなど色々なものを分解していた。数ある部品の中でも私は歯車がいっとう好きだった。ものによって、サイズも薄さも形も違う。デザイン重視のものもあれば機能性重視のものもあった。それらを並べて飾るまでが趣味の範疇だった。

 

 

 以前、珠世さんに血鬼術について教えて貰った。強い鬼は血鬼術という異能を使って戦うのだと。珠世さんも血鬼術を使って幻覚などを見せるのことが出来る。それを聞いて、私も血鬼術を使おうと考えた。それが出来ればもっとたくさんの鬼を殺せると思ったのだ。どんな血鬼術にしようか考え、思い至ったのは歯車だった。私の大好きな歯車。血で汚すのは本意ではないけれど、歯車のことならよく知っている。きっと使いこなせるはずだ。

 

 

 それから私は血鬼術の訓練を始めた。手探りでの状態だったが、数ヶ月で複数の歯車を作り出し操ることが出来るようになった。もちろん伊之助くんとの鍛錬も続けている。

 

 しかし歯車を作り出して操るだけじゃなんとも寂しいと思い、これでどうやって鬼を殺すか考え始めた。これに対しての答えはすぐに出た。噛み合わせた巨大な歯車の噛み合わせの部分に鬼を挟み、すり潰すのだ。すり潰した状態ならば再生する前に食べやすい。鬼は何度だって再生するが食べてしまえばもう再生しないらしいのだ。腹の中で再生するようなら私はとっくに死んでいる。つまり、鬼を殺す方法は2通りではなく3通り。日光か、日輪刀か、捕食か。なぜ腹の中で再生しないのかはわからない。そこも含めて珠世さんが研究中だ。

 

 そうだ、技を作ったのなら名前をつけた方がいい。名前は何にしようか。どうせなら格好いい名前がいいな。うーん・・・。

 

 と、ぼーっと突っ立って考えているときに鬼が現れた。丁度いい、さっきの技を使ってみよう。鬼が何か言ってるけど別に聞かなくていいや。身の丈ほどある歯車を2つ作り出し、鬼に向かって放つ。その歯車にはちょっとした細工がしてあり、ターゲットを捕捉するまで自動追従をする。壊さない限り、あの歯車から助かる術はない。

 

 

「ギィヤァァァァ!!」

 

 

 歯車が鬼を捕捉し、噛み合わせ部分に鬼の足が嵌る。その状態で周りだし、ゆっくりゆっくり足首、脛、膝と鬼の体が挽肉になっていく。そして挽肉になった部分から私が食べていく。うん、やっぱり美味しくない。そうだ、技名思いついた。

 

「血鬼術・圧砕細粉、って、どうだと思う?・・・なんだ、もう意識飛ばしちゃったのか」

 

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