2度の人生と1度の鬼生   作:惰眠勢

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第54話 猪のお化け

 

「あ、炭治郎おかえり!なんかシロさんすっごい泣いてなかったか?」

「ただいま、善逸。それが、シロさんは昔の知り合いだったんだ。久しぶりに再会したら急に泣き出してしまって」

「ああ〜・・・昔の知り合いが鬼になってたりしたらそりゃあ泣くよなぁ・・・」

 

 

 シロさんと別れて部屋に帰ってきた俺は、善逸に簡単に説明をした。まあ、説明といっても昔の知り合いだったことくらいだけど。

 俺と善逸の話し声が大きかったのか伊之助が目覚めて、立ちっぱなしの俺のことをじっと見つめてきた。なんだ?・・・と、思ったら、飛び起きた伊之助が俺の脇腹に思い切り頭突きをしてきた。面倒な気配を察知したのか善逸は寝た。

 

 

「いっ!?なんだ、どうしたんだ伊之助!なんでいきなり頭突きをするんだ!」

「うるせぇ!権八郎今誰とイタ!?」

「炭治郎だ!あと大声出すと喉が悪化するぞ!」

「いいから答えやガレ!」

「シロさんだ!」

「誰だ!」

 

 

 よくわからないが、俺が誰といたのか気になっているらしい。隠す必要もないから答えたが、誰だと言われてしまった。・・・もしかして、シロさんの鬼の気配が俺から漂っているのだろうか?

 

 

「伊之助。俺が一緒にいたのは鬼殺隊の隊士だ。鬼だけど公認の存在になってる人だから大丈夫だぞ」

「そんなこと聞いてネエ!権八郎から姉貴の気配がするんだヨ!」

「姉貴!?伊之助って姉さんがいたのか!?え、で、でもシロさん慶応産まれだぞ・・・?かなり離れてないか・・・?」

「血なんて繋がってネエ!あと名前も知らネエ!そいつ今何処にイル!」

 

 

 ・・・驚いた。まさか伊之助もシロさんと知り合いだったとは。申し訳ないがシロさんが今どこにいるのかは知らない。何かあったら呼んでとは言われたが、それは鎹烏経由でという事だろう。さっき別れたばかりなのにまた呼び出す訳にもいかない。伊之助が会いたがっているし会わせたいのも山々なんだけど、難しいな・・・。

 

 

「あ、あー!猪のお化けーーー!!」

「うわっ!?」

 

 

 ゴンゴンと俺の脇腹に頭突きし続けている伊之助を見ながら思考を飛ばしていたら、突然扉がガラッと開いて知らない隊士が姿を現した。

 

 

「こんにちは!竈門炭治郎です!」

「お、おう、こんにちは、山田です・・・悪い、部屋間違えたわ・・・」

「大丈夫です!・・・ちなみに、猪のお化けって・・・?」

「あー、俺、ちょっと前そいつに襲われて刀盗られてんだよな」

「そうなのか伊之助?」

「弱者は覚えてネエ」

 

 

 話を聞くと、過去に伊之助に力比べを申し込まれて一方的にボコボコにされた挙句、刀を盗られ鬼や鬼殺隊について事細かに喋らされた、と。それだけでなくその後柱にも怒られたとしょんぼりしていた。何故生きているのかと問われた、と聞いた俺は同情心でいっぱいになった。

 

 

「まあ、鬼殺隊に入っているみたいでよかったよ。これで敵だったら、本当に取り返しがつかないことしちゃったことになるからな」

「・・・そういや、姉貴探すために鬼の情報集めてた時あっタナ」

「???」

 

 

 頭の中がハテナでいっぱいになった俺は伊之助に話を聞くことにした。伊之助によると、一緒に暮らしてご飯を作って貰ったり稽古をつけてもらったりしていた姉貴分が実は鬼で、それを伊之助が知ってしまったからいなくなってしまったと。己が弱いから代わりに鬼を退治してくれていて、自分は足でまといだから切り捨てられたに違いないと言っていた。

 

 だから強くなって姉貴分を見つけて一緒に鬼を倒すとも言っていた。伊之助曰く、その姉貴分は鬼は全て敵だと言っていたらしい。もちろん自分も含めて。だが、伊之助はそう捉えてはいないみたいで姉貴分以外の鬼を全て倒してまた一緒に暮らすのだと話していた。伊之助に家族がいないと聞いていた俺はなんだか涙が出そうになった。

 

 

 というか、ほぼ確実に姉貴分はシロさんだろうが、シロさんが足でまといだとか考えるだろうか・・・?

 




シロちゃんの前に山田くんが再会したぞ

遊郭編にシロを同行させるか

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