2度の人生と1度の鬼生   作:惰眠勢

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第59話 姉弟稽古

 

 

 炭治郎がシロと全身訓練を行った翌日、その話を聞いた伊之助が炭治郎に食いかかっていた。曰く、姉貴と稽古していいのは俺だけだ、と。そして善逸も食いかかった。シロさんとキャッキャウフフしてたのかよ!!と。そんなに言うなら伊之助と善逸もシロさんに稽古をつけてもらえばいいと炭治郎は提案した。前日のうちに、しばらく毎日蝶屋敷に通うとシロから聞いていたからだ。

 

 

 

 

 

 そして、カナヲ達が道場に来る前の早朝にシロ達4人は集まった。

 

 

「ごめんねぇ伊之助、昨日来たら伊之助いなかったものだから」

「ぐーぜん居なかっただけだ!」

「偶然?・・・ふふ、そうね、偶然ね。伊之助がサボりなんてするわけないものね」

「・・・お、おう!」

 

 

 目が笑っていない。伊之助と話すシロを見て第一に善逸が思ったことであった。わざと騙されてはいるが、偶然という言葉を信じていないのが『音』で分かった。きっと居なかった原因を聞いているのだろう。

 とりあえず、最初は伊之助に譲ろうということでシロと伊之助が稽古をすることになった。今回は昨日とは違い、鬼ごっこの全身訓練ではなくただの手合わせだという。つまりは殴り合い蹴り合いその他もろもろだ。もちろん真剣・血鬼術はなし。伊之助は木刀を使い、シロは素手で戦うという。昔はそういう稽古をしていたそうだから、その方がしっくりくるらしい。炭治郎と善逸は道場の隅っこに寄って、見学をすることになった。伊之助とシロの準備が終わり、稽古が始まる。

 

 

 

 最初に動いたのは伊之助だった。シロは伊之助の上からの攻撃を上体を低くすることで躱し、そのまま鳩尾に向かって掌底を叩き込んだ。伊之助が少しだけ後ろによろけた隙に体勢を立て直したシロは、回転して勢いをつけた踵で道場の端まで蹴り飛ばす。それだけにとどまらず、壁にぶつかる前に壁と伊之助の間に入り込んで今度は下から上にかけて蹴りあげた。その後は落ちてきた伊之助を落ちる直前に反対側の壁まで殴り飛ばしておしまいだ。もちろん伊之助も抵抗していたが空中であるため上手く刀が振れず、それに対してシロは楽々と躱していた。

 

 それら一連の稽古を見ていた炭治郎は純粋に凄いと思って見ていたのだが、善逸はそうではない。

 

 

 

「(容赦ねえーーー!!!)」

 

 

 

 え?え?弟だよね?容赦なくね?見ろよあれ伊之助気絶してんじゃん!と、ガクガク震えて戦慄していた。

 

 最初に掌底を叩き込んでから地面に落ちるまでの間に3発も入れられた伊之助は、そのまま床でダウンしている。顔は見えないものの、気絶していることは明白であった。

 

 確かにシロは伊之助のことが大好きだ。大好きだからこそ、容赦をしない。死んで欲しくないからこそ、毎回本番だと思って手加減などせず稽古をしているのだ。本当の戦いで鬼が手加減をしてくれることなどないのだから。むしろ血鬼術を使っていない上に連打もしていない分甘くしている方である。

 

 

「あら、気絶しちゃった?・・・でも、本当に昔より強くなったね。よし、次は善逸くん?」

「エンリョしておきます!!!!」

 

 

 あんなの食らったらマジで死ぬって!!!

 

 

 




シロ「私は強くない(弱いとは言っていない)」
シロ「伊之助好き!(しかし手加減はしない)」

遊郭編にシロを同行させるか

  • させる
  • させない

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