2度の人生と1度の鬼生   作:惰眠勢

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第63話 討伐

 

 前方車両が騒がしくなってきた。おそらく、他のみんなが一斉に起き出したのだろう。炭治郎くんや伊之助や煉獄さんの叫び声が聞こえる。それと同時に何かを破壊するような音も聞こえてきたため、きっと私と同様に蠢いている肉塊を切り続けているのだろう。煉獄さん達がいるなら前方は大丈夫だと思い、今いる7,8両目に専念することにした。ひたすら肉塊に歯車を叩きつけていると、大きな音と振動を響かせて煉獄さんがやって来た。

 

 

「シロ!余裕はないから手短に話す!君の歯車は好きに動かせるのだったな!出来るなら歯車に乗客を乗せて列車の外に避難させて欲しい!地面に降ろすと他の鬼に襲われる危険性があるから空中待機だ!出来るか!?」

「出来ます!」

「頼む!頚を切るのは任せろ!」

 

 

 そう言い残して、煉獄さんは肉塊の牽制を始めた。それを尻目にして大きめの歯車を量産していく。ついでに天井は邪魔だから真っ先にぶち抜いて壊した。歯車から乗客が落ちたりしないように、歯車を5つ組み合わせて正方形をつくり乗客をポンポン放り込んでいく。狭いし下の方にいる人は軽く潰されてしまうが、ギュウギュウではないし目を瞑って欲しい。パッと見て、1両につき乗客は30人いない程度だから3つ程正方形を作れば避難させられる。この列車は8両編成だから、合計120個の歯車を作って24個の正方形にすればいい計算になる。それくらいなら楽勝だ。

 1両ずつ移動して、手作業で乗客を放り込んでいく。10人前後入ったら空中に飛ばしてそのまま待機。列車は動いているから空中の歯車も線路沿いに飛ばし続けている。

 

 

「禰豆子ちゃん!善逸くん!」

「!!」

 

 

 前方車両に着くと、禰豆子ちゃんと善逸くんが一緒に戦っている所だった。急いでここの乗客も放り込んで援護する。乗客さえ避難できれば好きに暴れることができるだろう。迅速にこの車両の避難を終えて2人に暴れてもらうことにした。残るは運転席、となった所で絶叫と共に列車が大きく跳ねた。煉獄さんの移動とはまた違う揺れだ。・・・絶叫した鬼が、暴れているのだろうか。頚を切られたのか?

 

 

「わ、わっ!」

 

 

 列車が横転して、天井に開けた穴から放り出されたがなんとか空中で体を捻って着地をする。ギリギリ乗客が入った歯車は全員分空中に飛ばしていたからみんな無傷だ。意識を乗客から逸らし、煉獄さんたちを探す。

 

 

「炭治郎くん!煉獄さん!無事ですか!?」

「シロ!よくやってくれた、おかげで乗客は全員無傷だ!」

「いえいえ、って、炭治郎くんお腹どうしたの!?」

「えっと、それよりも、全員無傷って・・・?」

「それよりって、炭治郎くんの怪我の方が大変でしょうに!・・・私の血鬼術で、全員空中に避難させたのよ」

 

 

 それを聞いた炭治郎くんは、ほっとしたように息をついた。それと、運転手が列車に足を挟まれているから助けてあげて欲しい、と。ああ、そういえば運転席に着く前に横転してしまったのだった。運転手には悪いことをした。早く助けてあげないと。

 

 

 




シロちゃん、運転手は炭治郎くんのお腹刺した犯人だよ・・・

遊郭編にシロを同行させるか

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