2度の人生と1度の鬼生   作:惰眠勢

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第64話 猗窩座

 

 

 運転席に向かった私が見たのは、列車に足を潰されている運転手と運転手を助けようとしている伊之助だった。伊之助が運転手に向かって「這い出ろ!」と言うと同時に列車に体当たりをしたため、その隙に急いで運転手を引っ張り出した。

 

 

「伊之助、怪我はない?大丈夫?」

「おう!俺は親分だからな!」

「親分・・・?」

 

 

 親分がなんのことかわからないが、いつの間にか山の王兼親分になっていたらしい。運転手に簡単な応急処置を施した所で、ドン!という大きな音が聞こえた。煉獄さん達がいる方からだ。何か爆発でもしたのだろうかと思い伊之助と共に様子を見に行くと、そこに居たのは梅重色の髪の男・・・鬼だった。

 

 

「俺はつらい!耐えられない!死んでくれ杏寿郎、若く強いまま!」

 

 

 鬼が何かを叫んでいる。何を話していたのか分からないが、それは今考えることではない。煉獄さんが、以前見た事がある肆ノ型・盛炎のうねりを繰り出して鬼の攻撃を無効化している。その直後に鬼に近づき連続で攻撃を繰り出した。2人は接近状態であるが、私の歯車は標的追従型だ。煉獄さんに当たることは無いと即判断し、血鬼術・暴風湾曲波で数百個の歯車を飛ばした。もちろん、その間に鬼に近づく。数秒してから鬼は私の攻撃に気がついたが、煉獄さんの攻撃を防御しながらでは全てを破壊しきれないようで何発か当たった。

 

 

「シロ!俺より竈門少年を!」

「炭治郎くんはそこまで弱くないです!馬鹿にしないで頂きたい!」

 

 

 煉獄さんが言いたいことは分かる。自分は大丈夫だから、近くにいて危険な炭治郎くんを守れ、と言いたいのだろう。煉獄さんは『弱き者は助けるべき』と考えている。それはつまり、助ける対象は弱い者であるいうことだ。ふざけないでほしい、炭治郎くんは弱くなんてない。それにきっと炭治郎くんはこの強い鬼を放置してまで助けられたいとは思っていないだろう。勝手な憶測ではあるが。

 

 

 

 

「貴様は・・・ああ!貴様は見たことがあるぞ!あれはそう、明治の初期か中期だったな。恐らく貴様が鬼になったばかりの頃だ。弱かったな。非常に弱かった。本来なら記憶の片隅にも残らないほどの弱者だ!だがまあ、人を喰らっていなかったであろうにこの俺の攻撃を何度か躱して攻撃を入れたな!」

「・・・覚えてない」

「そうか!俺は覚えているぞ!簡単に首をへし折られていた貴様がよもやここまで強くなっているとは!名は何という?いや、答えなくていい!先程杏寿郎が言っていたな!シロというのか、俺は猗窩座だ!よし、戦おう!」

「さっきから戦ってるつもりなんだけど」

「そうか済まないな!では仕切り直しだ!」

 

 

 私の血鬼術は便利だが万能ではない。1度壊れたらまた作り直さなければいけないし、なにより私の半径1M以内でないと歯車は作れないのだ。つまり、遠距離攻撃をする時は歯車を作ってから目標に到達するまでに時間がかかる。近づけば近づくほど到達時間は短くなるが自分が攻撃を受ける可能性も高くなる。

 

 つまり何が言いたいかと言うと、体に当たる直前に破壊されると手も足も出ないのだ。猗窩座の口の中に作り出せればいいんだけど、そこまで近づく前に飛ぶ攻撃で吹き飛ばされてしまいそうだ。日輪刀を抜いたところで、ほぼ素人の私は強者に対して有効な技は使えない。

 

 煉獄さんも援護しようとしてくれているが、私の歯車が猗窩座と私を360°囲っているため近づけない。隙間から技を繰り出そうとしてもどこかしらの歯車に当たってしまうだろうし、援護が邪魔になってしまってはいけないと思っているのだろう。でも、この歯車の壁を一部でも無くしたら猗窩座はみんなの方に行ってしまいそうだからそれだけは防ぎたい。

 

 

「先程までの勢いはどうした?俺の体を何ヶ所も切り裂いていたのに、もう1発も当たっていないぞ!」

「うるさい!」

「シロ、人を喰え!今はまだ中途半端だが、それだけ強いのならば人を喰えばもっと強くなれる!至高の領域に踏み込める!そして俺と永遠に戦い続けよう!」

「私は人を喰ったりしないし、永遠に生きるつもりは無い!戦いだって、好きじゃない!」

「・・・そうか。なら、今殺してやろう」

 

 

 そう言うと、高速で移動して私の鳩尾を右手で貫き、左手で頚を掴んだ。頚からはミシミシという音がしている。もうすぐへし折られるのだろう。きっと首を握り潰して頭部と体を切り離し、後ほんの少しで顔を出す日光に晒して殺すつもりだ。だが、まあ、それでいい。

 足の力を抜いて、後ろ向きに倒れようとする。もちろん猗窩座は立ったままなので、歯車を猗窩座の背中にぶつけて倒れこませる。その上から歯車で地面に押しつぶせば完成だ。簡単に説明すると、上から歯車・猗窩座・私・地面という順番になる。歯車はかなりの圧力をかけているから、人だったら肉も骨も潰されているだろう。鬼だから押さえつけられている程度になってはいるが。

 

 

「っ、ぐ・・・!貴様、貴様も炙られて死ぬぞ!」

「ふふふ、それでいいのよ。心中しましょう」

 

 

 おそらく、きっと、絶対に。私ではこの鬼に勝てない。私は強くないと何度も言った。実際に私は強くない。心中でもしないとこの鬼は殺すことは出来ないだろう。と、思った時に煉獄さんが動く気配がして炭治郎くんの叫び声が聞こえた。「伊之助!動け!シロさんのために動け!」と。その数秒後に、猗窩座は歯車で圧迫されていた腹回りの肉を残して森の方に逃げてしまった。失敗した!失敗した!取り逃した!炭治郎くんと共に追わなければ、と思うと同時に肌が燃えるのが分かった。くそ、あと数秒、夜明けが早ければ!

 

 

「シロ!早く陰に隠れろ!」

 

 

 煉獄さんが叫ぶと同時に森の方へ放り投げられる。炙られたのが数秒だったからか、肌が少し焼け爛れただけで済んだようだ。それは置いておいて炭治郎くんの方に意識を向ける。「煉獄さんとシロさんの勝ちだ!」と叫んだ炭治郎くんは、疲労と怪我で深追い出来なかったようで膝をついて頭垂れていた。

 

 

 ・・・私は、勝てたのだろうか。これは負けだと思っていた。殺せなかった。だが、誰も死なせなかったという点を見れば勝利なのだろうか。もっと、もっと、守れるために強くならなくては。

 

 




鬼になった直後のシロちゃんは、鬼を見つけたら即殺せみたいなバーサーカーだったから猗窩座に喧嘩売って負けてます。でも覚えてない。ついでに猗窩座は終始ハイテンション。


全員幸せになれよ!!!って思って書いてます。どんどん原作変えてやんよ!!

遊郭編にシロを同行させるか

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