炭治郎くんと伊黒さんをエンカウントさせてしまった次の日の日没後、私は懐かしい狭霧山に来ていた。もちろん手土産も持ってきている。アポ無し訪問なので、迷惑そうだったらすぐに帰ることにしよう。
「鱗滝さーん!」
「・・・なぜここに来た」
「ふふ、ちょっとお喋りしに。今大丈夫ですか?」
「まあいい、入れ」
扉を軽くノックすると、すぐに扉が開いて鱗滝さんが出てきた。訝しげな雰囲気を醸し出しているものの、拒絶はされていなそうだからゴリ押しで中に入る。正直なところ、人だった頃の私を知っている唯一の人だから久しぶりに話したくなったのだ。あとついでに近況報告。
中に入った私たちは囲炉裏を挟んで向かい合った。手土産に持ってきたお団子は傍に置きっぱなしになっているが、まあ、痛む前に食べてはくれるだろう。
「義勇と炭治郎からお嬢ちゃんの話は聞いている。鬼殺隊に入隊したそうだな・・・ああ、昔の名前と今の名前、どちらで呼べばいい」
「えっと、シロで大丈夫です。昔の名前は覚えてなくて。それより、炭治郎くんを知ってるんですか?」
「ああ。炭治郎の育手は儂だ」
なるほど、つまり炭治郎くんにとって冨岡さんは兄弟子ということか。どちらもそんなこと言っていなかったから初耳だ。・・・もしかして、冨岡さんが炭治郎くん達を鱗滝さんに紹介したんだろうか?
「炭治郎とは知り合いだったそうだな。炭治郎にはシロの事を伝えていなかったから、驚いていた」
「そういえば、冨岡さんは鱗滝さんに私のことを聞いていたって言ってましたね」
「そうだ、義勇には伝えていた。・・・シロ、お前は鬼の中では異端中の異端だ。炭治郎に教えるのはまだ早いと思っていた」
「早い?」
「禰豆子はほぼ自我がない。話すことも人のように擬態して働くことも出来ない。お前という存在を教えて、あまり期待をさせてはいけないと思った」
「・・・禰豆子ちゃんも、私みたいになれるとは限らないから?」
そう聞くと、鱗滝さんは静かに頷いた。確かにその通りだ。炭治郎くんは優しい。私と禰豆子ちゃん、どう違うのか考えて1人で苦しむだろう。もしかしたら今も苦しんでいるかもしれない。恐らく一番最初の分岐点は、鬼になった直後に鬼を食べたか否かだと思う。私は鬼を食べて、それからも鬼を食べ続けてある程度満腹になったおかげで理性を取り戻せたのだ。きっと禰豆子ちゃんは鬼になってから何も食べずに睡眠で回復している。違いがあるとするならまずはそこだろう。あとは、あるとすれば前世の記憶だろうか。・・・本心を言うと、禰豆子ちゃんの理性が戻っていなくて良かったと思っている。鬼を食べるのが条件であるなら、そんな血なまぐさい条件満たしていて欲しくない。
「・・・そうだ、前に人の食べ物は栄養にならないって言ったこと覚えていますか?」
「もちろん覚えている」
「今は鬼を食べなくても大丈夫になってて、たくさん必要だけど人の食べ物で栄養を取れるんです!」
「体質が変わったのか?」
「多分・・・。それでも鬼を食べた方が少し強くなるので、たまには食べてるんですけど。やっぱり栄養として普通にご飯が食べられるのが嬉しくて」
ニコニコしながら雑談を始めた。鬼殺隊入隊のことは知っていたようだし、他に報告することも特にない。冨岡さんや炭治郎くんとやり取りをしているなら十二鬼月と戦ったことも知っているだろう。狭霧山に来てから3時間ほど、ずっとお喋りを続けていた。まあ主に伊之助のことだったが。
活動報告の方でネタ募集しています。是非よろしくお願いします。
あと、遊郭編についてもそのうちアンケート取ろうと思っています。→アンケート設置しました。
猗窩座戦から遊郭編まで4ヶ月あるのでそれまではオリ話かな・・・
遊郭編にシロを同行させるか
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させる
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させない