下弦の鬼と上弦の鬼との連戦後、傷がすっかり癒えた私たちは通常任務に戻っていた。まあ、つまりはいつも通りの日常に戻ったということだ。とはいえ毎日ある訳でもないから、暇な日は色々な場所に遊びに行っている。今日は、退院してからしばらく行っていなかった胡蝶さんの所へ行こうと蝶屋敷に足を伸ばしていた。今日も曇りでいい天気だ。
「あ、なほちゃんにきよちゃんにすみちゃん」
「「「シロさん!お久しぶりです!」」」
蝶屋敷につくと、門から入ってすぐのところに普段お世話になっている女の子たちがいた。実験のために頻繁にここに来ているから、もう慣れたものである。運良く胡蝶さんはここにいて、診察室で隊士を診ているらしい。そろそろ終わった頃合いだろうということだ。いなかったらいなかったでいいかと思っていたから運が良かった。
屋敷内に入り、慣れた道を通って診察室へ向かう。そういえば、隊士がいるということは怪我をしてしまったんだろうか?ふとした瞬間に命懸けの職種(政府非公認だが)ということを思い出してしまい少しだけ胸が痛くなる。そう考えているうちに診察室の前に着いたため、扉の前から声を掛けた。
「胡蝶さーん、シロです。今大丈夫かしら?」
「あら、シロさん。今は・・・いえ、丁度いいかもしれないですね。入ってください」
扉はすぐに開いたが、胡蝶さんは一瞬だけ考え込む素振りをした。中に人が居るのは扉と胡蝶さんの隙間から見えたから、出直そうかと言ったが断られてそのまま診察室内に押し込まれてしまった。
中に入ると、モヒカン風の髪をした少年?青年?がいるのが分かる。炭治郎くんと同じくらいか少し年上と言ったところか。
「シロさん、彼は不死川玄弥くん。鬼を喰らうことで一時的に鬼と同等の体質になれるんです」
「っ!?」
「あら、そうなの?凄いのね!・・・それなら、鬼の肉を常に持ち運んでいれば好きな時に強くなれるのかしら?ああ、でも食べすぎると副作用とかあるのかしら」
「なるほど、それは考えていませんでしたね。副作用は今のところ無いようですが、常に持ち運ぶというのはいい案かもしれないです。ねえ、玄弥くん」
「は、ちょ、え?」
「その辺の鬼を狩る手伝いなら出来るし、なんなら私が提供するわよ!」
「確かに、日光を浴びなければ切り離しても消滅しませんし・・・不可能ではないですね」
不死川くん・・・不死川さんと同じ名字で面倒だから玄弥くんでいいや。玄弥くんを置いてきぼりにして、私と胡蝶さんは議論を交わした。話を聞くと、食べる鬼が強ければ強いほど玄弥くんも強くなるらしい。結果としては、まずは私の肉を食べた場合についての実験をするということになった。その辺の雑魚鬼と比べたら私の方が強いだろうから、他の鬼は試すだけ無駄だということらしい。後は相性が良ければ持ち運びのための入れ物調達と言ったところか。玄弥くんには若干引かれたけど気にしない。よく考えたら玄弥くんと私は初対面だったから、この後にきちんと自己紹介をさせてもらった。終始ドン引きされていた事は気づかなかったことにする。
胡蝶さんが初対面の鬼に自分の鬼化をバラした挙句、その鬼が自分の肉を提供するとか言い出したらそりゃあドン引くわ
遊郭編にシロを同行させるか
-
させる
-
させない