ハイスクールD×D'Catastrophe Longinus 作:虚無の魔術師
三勢力の会談直前。
ラインハルトとゼノヴィアは練によって連れてこられた。その場には、天界最高の存在であるミカエルとその護衛として知っている二人がいた。
騎士王 セルク・レイカーと紫藤イリナだった。二人はラインとゼノヴィアの存在に気付くが、何も言おうとはしなかった。
二人の登場にリアス達、オカルト研究部の面々が驚いていたが、リアスがすぐに練を睨みつける。敵意満々の視線にラインハルトは疑問を持つ。
練はすぐに答えてくれた。あっさりと、どちらかと言うと第三者をバカにするような声音で。
「悪魔どもに連絡しといた。二人は此方が連れてくるからさっさと行けって」
「貴方!二人ともに手を出してないでしょうね!?」
「出すかよ、テメェらじゃあるまいし」
勝手に連れて来た事に憤慨するリアスだったが、練はそんな彼女の姿を見て鼻で笑う。火に油を注ぎかねない行為に、
(本気で悪魔が嫌いなんだなぁ………)
二人は苦笑いしか出来なかった。その後練は二人から離れてリアス達と言い争いをしていた。どちらかと言うと、主にリアスが怒り、練が挑発するの繰り返しだったのだが。
止めに行くべきかと悩んでる中、
「君がラインハルトか、会いたかったよ」
声をかけてきたのは、自分と同じくらいの青年だった。しかし普通の人物には見えない程の銀髪美形で爽やかといあかクールと例えられる容姿。
「貴方は?」
「俺はヴァーリ。今代の白龍皇と言えば分かるだろう?アザゼルの護衛という訳だ…………まぁ、今はそんな事どうでもいい」
適当に話を区切ったヴァーリはあっさりと告げた。
「聖剣使いラインハルト。俺と戦ってくれないか?」
「……………オレと?何故」
「簡単だ。あの時の戦いを見ていた。直撃すればコカビエルを消し飛ばせるあの聖剣。アルビオンは本物のエクスカリバーだと言っていたが、あれを使って戦ってほしい」
その申し出にラインハルトは思わず顔をしかめる。エクスカリバーは完全に制御できてない。彼には王の因子があるとは言え、それでも未熟なものは未熟なのだ。
だからこそ、嘘偽り無く話すことにする。
「それは無理だ。オレはあの聖剣を扱える身じゃない。制御できずに終わるだけだ」
「なるほど、なら仕方ない。隣にいる彼女を殺してみよう。そうすれば覚醒して使えたりするんじゃないか?」
「─────」
言葉を飲み込んだラインハルトはゼノヴィアの前に立ち塞がるように、ヴァーリを睨む。この男は、ゼノヴィアを簡単に殺すと言った。それが本気だろうと冗談であろうと関係ない。
────ゼノヴィアに手を出すなら殺す。凄まじい殺気と共にラインハルトは虚空に手を伸ばす。それはエクスカリバーを呼び出す行いであった。向けられた殺気か、初めて見る
「おい馬鹿止めろ。そんな真似させると思うかお前に」
その間に入って来た練が止める。諌められた事でラインはハッとして引き下がるが、ヴァーリだけは違った。清らかな笑みを浮かべながら練に言ってくる。
「あぁ。出来れば彼と戦いたいんだが、勿論良いだろ?」
「駄目に決まってんだろヴァーリ。人様に迷惑をかけるなってアザゼルからも言われてただろ。それに二人は会談に来たんだ、相手なら俺が後でしてやるから」
「………そうだな、そうしよう」
少しばかり考えていたヴァーリだが、すぐに認めた。そのままアザゼルの所に戻る彼の姿を見ていた練は首を傾げていた。何か気になることがあるらしい。
「アイツ、やけにアッサリとしてるな。普通ならもっとしぶといのに」
「そうなのか?そうは見えないが」
「戦闘狂なんだよ、アイツは。強くなりたいというより戦いたいという方が勝ってる。心震わせる戦いがしたいんだとさ、何なら神にでも挑みそうだよ。その分俺がどれだけ酷い目に遭ったことか………。
あと自由奔放のアザゼルといい親馬鹿なバラギエルさんその他諸々─────あぁ、黒狗チームに入りたかった。まともな幾瀬さん達と一緒なら、一番良かったのにぃぃぃぃぃぃぃぃぃッ!!」
「…………苦労してるなぁ」
黒月 練という青年の側面の一つが見えた気がした。アザゼルという自由人とヴァーリという戦闘狂と他の者達に挟まれた結果、今のような苦労人の性格になったのだろう。
ハッキリ言って、同情する。そうとしか言えない。
「なぁ、ライン」
「ん?どうしたのゼノヴィア」
「さっき私がラインを庇ってくれただろ?………その、なんだ。………嬉しかった」
「そっかぁ、それは良かったよ」
「出来れば子作りをしてくれれば嬉しいんだが………」
「────────うん?」
思わずゼノヴィアに掴みかかり、問い詰めた。いや、その行為も当然だろう。彼女は前まで任務に忠実でありちゃんとした教会戦士であった筈……………では何故急にそんな事を「兵藤一誠や他の皆からの話を聞いてた決めたんだ」──────なるほど、そういうことか。
横で話を聞いていた練は若干と言うか割と本気で呆れていた。それと同時にひきつった顔で胃痛を訴えた彼の姿は忘れられない。
「─────」
「…………イリナ、どうした?気分でも───ッ!?」
騎士王と同行していた少女、イリナがジッとその光景を見ていた。気になったと声をかけた彼は言葉を失う。視線がその先に向いていた事から、その理由を察したのだろう。
ガタガタガタ!?と鎧を揺らしながら、イリナを見る。彼女から不意と漆黒のオーラが噴き出してるように見えてしまったのは錯覚かもしれない。
「………お師匠様、いえ騎士王閣下」
「か、閣下?イリナ、君は今までそういう風に呼んではなかったろう?」
「この会談が終わったら、私に修行をつけてください。とにかく強くなりたいんです」
「────や、止めてイリナちゃん!?そんな風に怖い顔しないでぇ!?怖い!怖いよぉ!!?」
………因みに最後の泣きつくような悲鳴は騎士王のものだった。多くの有名人が集まる中での行為なので、大半の人達には見られてる。
一誠は『え!?あの人がライン達の師匠なの!?』と、前から聞いていた人物像とかけ離れた姿に驚愕し、リアス達悪魔の多くは呆然とその光景を見ていた。
例外なのは彼に可愛がられていたと言われていたアーシア。すぐに駆け寄りたいとソワソワしていたが、悪魔だからと遠慮してしまい、キョドキョドと困惑している。
余程楽しいのか大爆笑するアザゼルに強者である騎士王に笑みを深めるヴァーリ。そしてラインとゼノヴィアの近くにいる練はカオスとも言える状況に崩れ落ちそうになっていた。
……………数分後。
「────私は『
……………えぇ、それが全員の心境であった。先程まであんな風な無様醜態を晒していたと言うのに、何故そこまで取り繕えるのかと。
会談の始まる前に自ら紹介していたのはセルク・レイカー。知らない者がいないようにと。補完するように自己紹介をしたのだ。
それから会談は始まりを迎える中、一つの出来事が起こった。
『神がいなくても世界は回る』、そう言った発言の後に一誠が噛み付いたのだ。相手は天界側のミカエル、どうやら聞きたいことがあったらしい。
何故アーシアや、ラインとゼノヴィアを追放したのかと。
気付きはしなかったが、それを聞いてた者達は様々な反応を見せていた。練は一誠に対して気に入らないと顔を歪めるが、どうやらその言い分にも何か思うところがあるらしく口を閉ざす。
セルク・レイカーは無表情である事に変わりは無いが、悲しそうに瞳を細めていた。
ミカエルは静かにその理由を話し、頭を深く下げて謝罪をした。ラインハルトは一瞬だけ目を伏せ、すぐに口を開いた。
「ミカエル様、オレ達は自分達が守るべきものを見つけました。それはゼノヴィアも同じです。貴方達の考えも理解出来ています、だからどうか謝らないでください」
彼は優しく笑みを浮かべて静かに告げた。敵意などはなく、本心からの言葉。ゼノヴィアもその通りだと言うように何度も頷いていた。
そして、ミカエルが隣に立つセルクに優しく声をかけた。自分の気にかけていたアーシア・アルジェントに対して、何か言うことはありますか?と。
────誰にも気付かれないように、セルク・レイカーはアーシアを見た。その眼は、感情がグチャグチャに混ざりきり、酷く歪んでいた。喉元を震わせながらも、彼は言葉を紡ぐ。
「────いえ。私からアーシア・アルジェントに語る事は何一つありません」
出てきたのは、冷徹な声であった。すらすらと言葉の羅列を事務的な動作で語っていく。感情と言うものがあまり感じられないそれは、アーシアへの拒絶を意味していた。
そして、それを見過ごせない男が一人いた。
「…………おい、どういう意味だよ」
「イッセー!駄目よ!」
(────イッセー!?)
(────馬鹿が)
怒りを押さえられない兵藤一誠にリアスは止めようと叫び、ラインと練が心の中で焦った。…………相手を誰だか分かっているのか!?
「言葉の通りだ赤龍帝。私は既に彼女への言葉を有していない」
「ッ!アーシアに何も言う事は無いのかよ!!ずっとアンタの事を気にしてたんだぞ!!死にそうな時も、アンタの事を言ってた!!」
「感情的だな。君はそれでアーシア・アルジェントを一度失ったのでは無いか?それにアーシア・アルジェントと私はもう関係ない。
悪魔となった以上、私は何も語ることは無い。それは彼女もよく分かっている筈だ」
「テメェッ!!!」
セルク・レイカーは天界・教会でも最強の聖騎士。それま多くの偉業を残している、
「なるほど、それが君の意思か。しかし理解しているのか?私は騎士王、神への祈りを捧ぐ教会最強の騎士。私の前に敵として立ち、生き延びれる者はいない。それは赤龍帝でも変わりはしない事実だ」
「………上等だ!テメェをぶん殴って、アーシアに謝らせてやる!神だとか何だとかより、アーシアへの言葉を考えやがれ!」
「────それは我らが主、亡き聖書の神への罵倒と受け取っていいのか?………命を賭けた言葉と判断するぞ」
何処かが完全に切り替わった。眼に見えぬ程の圧力が室内に響き、ミシミシミシィッ!!と天井や壁が悲鳴をあげる。部屋ごと破壊しかねない力を放ちながら、セルク・レイカーは片手剣を取り出した。
たった一振で何体もの強大な敵を殺してきた剣。自らの力で伝説の聖剣へと昇華させた名も無き武器を。
「ならば神器を構えよ。神への侮辱はこの
その四肢を砕き、内に眠る天龍共に
覇気に思わず、一誠は神器を構えていた。それを承諾と判断したのか、セルク・レイカーは聖剣をゆっくりと上へと構え───────
振り下ろすことは、なかった。決闘ではなく蹂躙を止める邪魔が入ったからだ。
「調子に乗るな、赤龍帝」
「貴方もだ、セルク・レイカー。今回の会談の意味を忘れてもらっては困る…………俺個人としては嬉しいが」
練とヴァーリが二人の前に立ち塞がる。彼の言葉を受けたセルク・レイカーはすぐさま剣を下げ、ゆっくりと引き下がる。
だが、ショットガンを向けられている一誠だけは違った。止めてきた練に対して喉の奥から怒りを吼える。
「クソッ!止めるなテメェ!絶対にアーシアに言ったことを────!」
「同じことしか言えねぇかお前は。そして気付け馬鹿。お前を止めようとしてる女の事を」
何だと?と言葉に詰まる一誠はすぐに気付いた。自分の隣、腰に抱き着く少女────アーシアの存在に。
そして彼女が涙を流していること。セルク・レイカーに挑もうとする一誠を止めようとしていると。
彼女は泣きじゃくりながら、声を漏らす。
「もう………良いんです………、私が悪くて………良いですから…………だから、止めてください………っ!」
そんな二人の事など関係ないと言わんばかりに練は言葉を続ける。自分自身の感情を吐き出すように。
「別に俺は、お前の事なんか気にしてる訳じゃない。寧ろ悪魔のテメェは嫌いだ。ここでぶっ殺してやりたいくらいにな」
「…………」
「だが、テメェの命を無駄にするな。テメェが死ねば、アーシア・アルジェントは悲しむぞ。自分の信頼する人間の手で殺されたとな」
言われた一誠は何も言えずに沈黙した。言うだけ言ったのに何故か不満気味の練は舌打ちをしてアザゼルの所へと戻っていった。そんな彼を見てヴァーリもやれやれと肩を竦めながら戻っていく。
「───セルク・レイカーさん」
「申し訳ありません、不出来ながら感情を抑えられませんでした。ご命令なら、自決して責任を取ります」
「…………分かりました、今回は不当にします。ですが、これは和平の為の会談ですので。過激な事は控えてください」
「ハッ、分かりました。この会談での私語は慎みます」
ミカエルの言葉にセルク・レイカーは静かに立つ。もうアーシアにも眼を向けること無く、ただの護衛に撤していた。
その後も色々と面倒事があったが、割愛させてもらう。簡潔に説明すると、アザゼルに食いかかる一誠に、静かに激怒する練が一触即発になりかけていたとかも。
「…………やれやれ、回りくどいのは無しだ。さっさと和平を結んじまおうぜ」
話は進み、三勢力の和平は決まりつつあった。途中では一誠や練、ヴァーリにラインハルトの意思が聞かれ、自らの決意を語っていく。
ヴァーリは戦いを、練はアザゼルの意向に従うと。ラインハルトはゼノヴィアや皆を守ると言い、一誠も似たような事を言っていたが────何か脱線して変なことを言っていた。
そんな事もあり、会談は終わろうとしていた。しかし、そう上手くはいかなかった。
─────さぁ、始めようかァ。
直後、『世界』がピタリと止まった。文字通り、比喩抜きの意味で。
ラインハルトとゼノヴィアの関係性。
ラインハルトからの見方
───戦友でもあり、今は悪魔でも大切な仲間の一人。でも手伝いくらいはして欲しいと切実に祈ってるらしい。あと子作りとかそんな言葉何処で覚えたのとか。
ゼノヴィアからの見方
───同じく戦友として見ている。色々とお世話してくれるからというだけでもなく、一緒にいたいらしい。
因みに子作り知識を教えたのは三馬鹿(ハゲと眼鏡)とその他諸々であり、イッセーはガチで無実(けど怒られた)