ハイスクールD×D'Catastrophe Longinus   作:虚無の魔術師

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《注意》今回の回からオリジナルの敵が出てきます。


乱入、テロリスト

「これは─────?」

「…………チッ、時間停止の神器か。見事に色々と止められてやがる」

 

違和感に身体を硬直させるラインハルトに、練は舌打ちを隠さず何処かを睨んだ。見ると周囲にいる者達がピクリとも動かない。

 

 

時間停止の神器。そんなものがあるのか?と首を傾げていたが、その直後リアスが反応した。

 

 

「まさか、ギャスパーを!?」

 

話を聞くとどうやらラインハルトも知らないリアスの眷属─────吸血鬼の転生悪魔が時間停止の神器を持ってるらしい。

 

しかし、練はどうでも良いと言うように窓際に移動するや否や顔をしかめる。

 

 

「どうやら仕組まれてたみたいだな、アザゼル」

 

窓際の外では空に浮かぶ無数の人影が光弾を飛ばしてきていた。サーゼクスやアザゼル、ミカエルの三人が空に手を掲げると、巨大なバリアのようなものが張られる。

 

しかし、時間停止で動けない者もいる以上、何とかしないといけないのは重要課題だった。

 

 

 

「その眷属は旧校舎にいるのか?ならまとめて消し飛ばした方が良いんじゃないか?」

「───確かに、その方が早く終わるな。やるか?」

「ッ!ふざけんじゃねぇよ!!」

 

あっさりと殺そうと言うヴァーリと練に一誠が怒鳴る。操られてるとはいえ、自分の仲間だ。そんな簡単に生かすか殺すかを決められていい訳がない。

 

 

 

だが、退こうとしないのは練も同じであった。ショットガンを装填し、その銃口を一誠に突きつけた。

 

 

「自惚れんな。テメェらの足手まといのせいでアザゼル達が死んだらどうする?まさか責任を取らねぇとは言わないよな?」

「────ッ!」

「五分待つ、その間にケリをつけてこい。出来ねぇなら俺が消し飛ばしてやる。テメェんとこの眷属もな」

 

あんまりな言い分だが、もう一つの意図があった。『自分達の失態ぐらい、自分達でやれ。その間は手を出さない』と。

 

 

まぁ、一誠とリアスは上等だと叫び眷属のいる場所へと向かっていった。その反応に練もいつもと変わらない反応を示す。いつもより軽めの舌打ちを。

 

 

そうしてるうちに、アザゼルから怒鳴られていた。

 

 

「ヴァーリ!練!外の連中を相手してこい!お前らじゃ魔法使い相手に苦戦はしないだろう!」

「───だそうだ、行くぞ」

 

分かったよ、ったく……と不愉快そうに悪態をつきながら練はヴァーリに連れられるように続いて外へと出る。飛び降りた二人は鎧を纏い、魔術師達を容赦なく殲滅していく。

 

 

 

 

「アザゼル、君は何故神器使いを集めていたんだ。和平というよりも戦争をしようとしてるみたいじゃないか」

 

問いかけるサーゼクスにアザゼルは様子を改める。そして似合わない程の静かな声で告げた。

 

「………備えてたんだよ」

「随分と物騒ですね、しかし只事ではないんでしょう?」

「あぁ、勿論お前らとじゃねぇよ。自衛の為ってはあるさ。俺達は少数だし、被害が多くなるだろうしな。他ならぬ『奴等』にだ」

 

そう言うアザゼルは口を開いた。自らが警戒していた敵の名前を告げるために。

 

 

 

 

「───『禍の団(カオス・ブリゲード)』」

 

 

そしてその名前はあっさりと明かされた。

 

 

しかし、アザゼルからではない。もう一人、他の誰かが発言したのだ。

 

 

一斉に全員が振り返ると部屋の入口に一人の青年が背中を預けていた。腕を組み、彼はふんと鼻を鳴らす。

 

 

「テメェらからしたらテロリスト扱いになる組織だ。ま、否定はしねぇよ。結局自分達から見た考えが一番だろうしな」

 

 

逆立った白い髪に、ギラギラと光る鋭い眼。両手にガントレットらしき白の装甲を付けている。

 

 

無防備。両手を広げ、やる気の無い様子の青年だったが、その目だけは例外だった。

 

 

「だが気に入らねぇなァ、俺は本気で気に入らねェ。テメェらが正義側に立ってるのには死ぬほど腹が立つぜェ。

 

 

 

 

だからさァ、悪魔のお前らも殺して良いよな?」

 

ゾッとする程冷えきった殺意の塊。無機質に見える眼に睨み付けられた悪魔達は戦慄した。ひっ!と悲鳴を上げるアーシアにも変わらず、寧ろ獣のような歯を自慢するような凶悪な笑みを見せつける。

 

 

 

しかし、その動きが止められた。ゼノヴィアはデュランダルを、木場は聖魔剣を。彼の喉元ギリギリに近づけていた。明らかな危険人物に二人は警戒して声を発する。

 

 

 

「────何者だ」

「下手な真似はさせない、大人しくして貰うよ」

「…………へぇ?何者かって?この俺が?」

 

突きつけられた武器に対して、青年は物怖じしない。それどころか舌を巻くように楽観としている。が、彼から徐々にそれが消えかけてもいた。

 

 

 

そこでようやく、違和感に気付いた。

ゼノヴィアと木場は自らの剣を彼の首もとに向けているが、少しずつ間隔が広がっているのだ。力を込めて押し込もうとするが通じない。

 

 

まるで()()()()()()に遮られてるように。そんな青年はギロリと二人を睨み付けながら、吐き捨てる。

 

 

 

「俺の名前は風刃亮斗、人間だ。テメェらとは違ってな」

 

直後、二人が弾かれた。まるで圧倒的な力の暴力を真に受けたように容赦なく吹き飛ぶ。そうして青年、風刃亮斗はゆっくりと歩みを始める。目線の先には、サーゼクス達がいた。

 

 

 

 

────不味い、この男は不味い!狙いは三勢力のトップを、魔王を殺すことだ!!

 

 

すぐにそう判断した。魔王がただの人間に負けるとは思えないが、彼には嫌な予感が浮かんでいたのだ。確実に、魔王ではなくても、他の皆を巻き込もうとすると。

 

 

その予感に従うように、ラインハルトの動きは迅速だった。

 

 

「木場!剣を───!」

「っ!」

 

返答はなかった。

代わりと言うように魔剣創造により生み出された魔剣を受け取り、風刃亮斗に斬りかかる。真上からの一閃は射程距離に入っている、避けられる筈もない。

 

 

しかし、やはり防がれた。()()()()()()()が亮斗という青年を覆うようにあると判断する。防護膜を想像させる力をよそに、亮斗は興味が湧いたようにラインをみる。そのまま装甲のついた右腕を構えた。アッパーを行うのかと一瞬思ったが、

 

 

 

視線がある場所に向いた。彼の肘の部位、装甲の端からキュィィィーーーーン! と吸引音が響く。よく見るとそこにはロケットのブースターらしきものとバイブがあった。

 

 

何かを収束させてる。嫌な予感がラインハルトの背筋を襲った。先程の二人を攻撃した半透明の力。

 

 

それは拳から放たれた捻れ狂う空気の塊。砲弾を見舞うような一撃で分かった。半透明な、荒れ狂う力の正体を。

 

 

 

(─────()ッ!!)

「自らの周囲に風を生み出し、凄まじいスピードで吸収と放出を繰り返してる───ッ!?」

「正解だァ、俺の『暴風の王(ストーム・ライド)』の仕組みに簡単に気付くとはなァ」

 

『暴風の王』、それが彼の神器名であった。

風を生み出し吸収を繰り返す事で爆発的な風を瞬間的に生み出す神器。先程の透明の壁も、風により護りなのだろう。

 

途端、風が砲弾となって牙を剥く。ラインはギリギリ首を動かすことで回避したが、元の場所を通り過ぎた風は、近くの壁をゴッソリと抉っていた。

 

 

 

「────ラインハルト!!」

 

声をかけたのはサーゼクス。その意図に気付いたラインは魔剣を思い切り風刃亮斗に叩きつける。風の防護壁によって防がれるが、それは問題ではない。

 

 

 

───重要なのは、動きを止めること。

 

 

 

「…………あ? テメ────」

 

 

ドォッ!! と真横から深紅の魔力が放たれる。目を見開いた風刃亮斗だったが、彼は避けることなくその魔力を直撃した。

 

 

爆発と轟音が響き渡り、砂塵が周囲に舞う。床ごと削り取ったからこその現象なのだろう。魔王の一撃に誰もが気を許した。

 

 

 

故に、信じられなかった。

 

 

「……………フフフ」

 

「─────おいおい」

 

笑い声が聞こえる。そちらの方を見るアザゼルの顔には汗が浮かんでいていた。それは他の者達も例外ではなく、魔王セラフォールと魔力で攻撃したサーゼクスも、驚愕を隠せずにいる。

 

 

 

それは無理もない。目の前の光景は予想を遥かに越えていたから。

 

 

「サーゼクスの『消滅』の魔力だぞ?直撃しといて無傷は無いだろ?」

 

そう、サーゼクスの力は『消滅』。その実力もあり、彼は現代にて最強の魔王と謳われている。その『消滅』の力も、そう簡単に防げるものではない。

 

 

なのに、亮斗と名乗る青年は傷一つ付いていない。何処かが削られたという訳でもなく、平然とその場に君臨していた。

 

 

よほど嬉しかったのか、亮斗は高らかと笑いを響かせる。この空間にいる全ての人間を気にしていない素振りだった。

 

 

「ハハッ、ハハハハハハハハハッ!! やっぱり『あの人』の言う通りだ!! 俺の、俺の力なら魔王なんぞ恐れる事は無い!! 現に! 俺は魔王サーゼクス・ルシファーの魔力を────完全に()()()()()!!」

 

おかしな言い回しに耳を疑った。

防いだのなら目に見えて分かる。だが制御できたとはどういう意味か。

 

 

それはまるで、魔王の魔力を操ったというような言い方ではないか。風を操るという神器を持つ、ただの人間が。

 

 

 

 

「────風刃亮斗、話には聞いていましたが、本当に魔王の魔力を無効化するとは……………やはりその実力は本物ですね」

 

声は静かに響き渡る。それを耳にしたサーゼクスとセラフォールは驚愕するが、その目の前で空中から魔方陣が浮かび上がる。

 

 

その中から、褐色の女性が姿を現した。彼女は風刃亮斗を落ち着きながらも賞賛し、サーゼクスに挨拶をした。

 

 

「ごきげんよう、現魔王のサーゼクス殿」

「────先代レヴィアタンの血を継ぐ者、カテレア・レヴィアタン。これはどういうことだ?」

「簡単です。我々旧魔王派は【禍の団】に協力することを決めました」

 

 

 

 

 

「無限の龍神 オーフィス、そして貴方達すら知らないもう一人の存在も…………いえ、これ以上は語るに及びませんね」

(…………もう一人の、存在?)

 

ラインハルトは怪訝そうに考え込む。その言葉を語る彼女の顔には余裕と自信があり、自分達が負けるとは思ってもいない。

 

 

そこまで思わせるような存在、無限の龍神(オーフィス)ならば分かるが、他にもいただろうか?

 

 

カテレアが語るのは世界の変革。今の三勢力を排して、自分達とオーフィス、そしてもう一つの存在が支配する世界を作ると。

 

しかし、話を聞いていたアザゼルが笑い出す。つまらないと言わんばかりに口を開いた。

 

 

「お前ら、こぞって世界の変革かよ」

「そうです。この世界は────」

「腐敗している?おいおい、今時そんなの流行らないぜ?」

「!我々を愚弄しているのですかアザゼル!!」

 

カテレアは憤慨し、全身から魔力を放出させる。端から見ていた亮斗はニヤニヤとした笑みで彼女を見ていたが、睨まれると同時にそっぽを向いた。

 

そして、再度アザゼルを睨みながら落ち着いた声音で話す。杖を片手に握りながら宣告した。

 

 

「良いでしょう、まずは貴方から倒します。風刃亮斗、貴方はサーゼクス達を押さえておきなさい。止めを差すのは私です、忘れないように」

 

 

「ハイハイ………こき使ってくれやがって。流石に無茶言うんじゃねぇよ」

 

 

呆れながら風刃亮斗は愚痴る。カテレアはアザゼルとの戦闘を始め、此方に視線は向けてない。やる気が無い仕草で片腕を動かし、

 

 

「ま、出来ねぇ訳じゃねぇがな」

 

掌から旋風が放たれる。ヒュンッ!! と何かが周囲の物全てを切断と同時に切り裂いていく。圧倒的な風の破壊。粉砕する火力の仮想砲弾とは違い、殺傷に特化した旋風の嵐。

 

 

ライン一人でも難しいのに、他の全員は守りきれない。時間停止で動けない者達も巻き込まれる可能性もあった。

 

───エクスカリバーを解放しても、この青年に勝てる自信がなかった。どんな風に考えても脳裏に勝利の方程式が浮かび上がらない。

 

 

「魔王は殺すなって言われてるが、これは雑魚どもは別に殺しても構わねぇって訳だ。気遣いがあって助かるぜ」

「─────させると思うのかい」

「本気を出すってか?やったらどうだ?そこの悪魔や旧校舎の連中を巻き込めるんなら「───皆、無事!?」─────────あ?」

 

 

凶悪な笑顔と共に言おうとした亮斗の言葉は突然この場に戻ってきたリアスによって遮られた。しかし亮斗はそんな事を無視して、目を見開き絶句する。

 

遮られた事で、あることに気づけたのだ。

 

 

「ばッ、時間が戻ってやがるだと!? ……………ま、さか!!」

 

 

驚愕して旧校舎を睨む亮斗。その一方でラインは慌てて一誠に声をかけた。

 

 

「一誠!大丈夫だったのか!?」

「あぁ!問題なくギャスパーと子猫ちゃんを助け出してきたぜ!」

「………………ギャスパー?もしかしてそっちの子の事??」

 

 

ん? と互いに見合う中、一誠はすぐに理解した。ラインは自分が悪魔ではないからという理由で部活には来ないのでその時紹介されていたギャスパーの事を知らないのだ。

 

 

 

「───あー、マジ?魔術師の奴等、何してやがんだ?人質を捕ったって息巻いてこの結果(ザマ)かよォ。…………足引っ張りやがって、あのボケどもがぁッ!!」

 

苛立たしそうに怒鳴り、壁を破壊する亮斗。荒れ狂う風により破片も残らず消し飛ばしても尚、怒りが収まりそうにはなかった。そう吐き捨てる亮斗は顔を動かす、その視線の先。

 

 

 

黄金の龍を見立てた鎧を纏うアザゼル。そして彼の一閃により圧倒されたカテレア・レヴィアタン。彼女の少し離れた場所に落ちた空き瓶を見て、

 

 

 

 

──────そろそろ、潮時か、と。

 

顔色も変えずに青年は風の力を操る。爆発的な風圧での跳躍を引き起こし、二人の元へと向かった。




オリキャラ 風刃亮斗の詳細の一部は次回出てきます。


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