ハイスクールD×D'Catastrophe Longinus   作:虚無の魔術師

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己の………己の小説の腕を呪いたい………(切実)


一時の平和

「───『新条』様の考えは分からない、あんなのに王殺しの魔剣を渡すとは。無駄だと思うが」

「まぁね!ボクもそれには同意だよ!けど『新条』様なりの考えがあるんだと思うよ!ボクらはそれに従ってればいいからね!」

「……………」

「おやー?後輩君、何か言いたい事でもあるの?何だって聞いてくれよ、ボクに答えられることなら何でも構わないよ!」

 

 

建築中のビルの内部に三人の人影がある。普通、作業員しか入れないものだが、勿論彼等は作業員には見えない。

 

寧ろ彼等をどのように表現するか分からない。一般人なら同族と、悪魔や堕天使に天使は違和感を持つだけだが、もし魔王達が遭遇すればすぐに分かるだろう。

 

 

 

 

 

 

────人類に、世界に仇なす存在であると。

 

 

「エクスカリバーの使い手、ラインハルト・ヴィヴィアン…………そこまで、危険な相手、か?」

「いやー、そっか。君としてはあまり知らないんだったね!あれは今んところ脅威じゃないよ、今んところは」

「そう、エクスカリバーは星の造り出した神造兵器。星を滅ぼしうる存在を滅する武器、その特性故に『今の我等』の天敵になり得る」

 

 

黒髪の少年、全身包帯の青年、顔半分を特別な布包む男。彼等全員男性だが、特徴と言うものがそれしか合っていない。様々な性格や容姿でありながら、何故か彼等は敵対すること無く話し合っていた。

 

 

 

「じゃあー誰行く?ボク?それともシルマ?ジャック君は後輩だから駄目だしねー!」

「気に、入らない。我等が、負けると、でも?」

「ならば、私が行こう。しかし、それはあの男が失敗したらの話だ。それまでは見学しておく」

「…………じゃあ行く事になるんじゃないかなー?」

 

 

それにしても、と。黒髪の少年が窓際に腰かける。彼が見下ろす先には大勢の人々の姿があった。老若男女、多くの人間を見渡して、彼等はあっさりと息を吐く。

 

 

 

「人々は何も知らず平穏に生きてるな。意味の無い贋作の幸せを、ただただ謳歌している」

「ヒヒ!だからこそじゃない!?無知な子羊を救済するのも、『我等』のやる事だからね!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「───ねぇ、具体的に何をする予定なの?遊びに行っていいって言われたけどさ」

 

「「…………あ」」

 

「え、………あ、って何?まさか何も考えてなかったの?マジで?」

 

三人はそれぞれ困惑し始めた。遊ぶと言っても何をするべきか本人たちもよく分かっていないのだ。

 

 

 

 

何せ彼等は元々教会戦士。主への信仰と敵の排除を任されていた教会の人間、遊びとは無縁であった。唯一してた遊びを挙げろと言われても彼等は頭を抱えて悩んでしまうだろう。

 

 

 

そんな中、ラインハルトがある提案をした。彼自身が思い付く限りの事を。

 

 

「ファミレスだったけ?あそこで食べない?調べてみたけどファミレスに行くのも遊びらしいよ」

 

近いのだが違う。

ファミレスで遊ぶと言っても、学生達がドリンクだけを頼んで数時間もゲームをしてたりする事を言うのだが、きっとラインハルト達の考えてることは別の事だろう。

 

 

 

現に今、ファミレスに入った彼等は普通に食事をしている。それを遊びと聞いてみて微妙になってしまうが、彼等の中でそうならば仕方ないと思う。

 

 

「そう言えば、私達って何処に住む事になると思う?お師匠様の話だと日本支部の施設になるかもしれないけど……」

 

 

イリナがドリンクを飲みながら疑問を口にする。食事を頬張っていたゼノヴィアが納得して頷く。

 

 

「確かに………もぐ、その件はあるな、もぐ、何とか、もぐ、しないと、もぐもぐ」

「食べてから話そうよ、じゃないと大変じゃない?」

 

 

大盛りの白米ご飯とハンバーグステーキに食らいつく少女をよそに、ラインハルトは少し前の光景を思い出した。

 

(………ファミレスで一誠に奢って貰ったのを思い出すなぁ。何時かちゃんとお代の分を返さないと)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「─────情報に聞いてた聖剣使い………まさかと思っていたが、いらぬ心配であったか」

 

彼等が食事をしている座席、そのすぐ後ろで武帝皇我は嘆息していた。意識を悟られないように真後ろの少年少女達を観察していたが、興味がないのかあっさりと止めた。

 

 

「皇我、誰か、いる?」

「いらぬ心配と言ったぞ、貴様はパフェでも食べているといい」

「うん、我、そうする」

 

机の向こう側から皇我に声をかけたのは、ゴスロリのワンピースを着た感情の薄い幼女。大盛りのパフェをチマチマとスプーンで食べる彼女の姿を見て、

 

 

 

「…………似合わん光景だぞ、《神王派》の『(キング)』であるこの俺がお守りをするとはな」

 

 

しかし、それでも彼ぐらいにしか出来ないだろう。同胞達でも行える者は少ないともいえる。経験の問題ではなく、度胸や覚悟の問題。

 

 

 

不満を口にする一方で、仕方ないとも感じていた。

 

 

 

「パフェ、美味しい、静寂、同じ?」

「知らんな。お前の望む静寂は今では無理だが、今はこれで落ち着いて貰うぞ────オーフィス」

 

 

皇我の言う通り、彼女こそがオーフィス。この世界で存在の一人、多くの性質から彼女は『無限の龍神』と呼ばれ、今現在は【禍の団】の頭目とされている存在。

 

 

その情報に違いはなく彼女こそが実質のリーダーではあるが、どちらかと言うと利用されやすい性質である。現に旧魔王というクソザコ(皇我の見立てからして)達に騙されて蛇を渡していたぐらいだから。

 

 

 

自分の目的に協力すると言っただけの相手に手を貸すなど、純粋無垢な性格上、《神王派》は彼女を他の派閥に利用されないように保護しているのだ。

 

 

 

勿論、純粋なので遊びたいとかの要求も聞き入れる。同行するのは基本的にトップの三人、《トライデントフォース》になるのだが、他の二人に擦り付けられた経緯があった。

 

 

 

黙々とパフェを口にするオーフィス(少し嬉しそうに見える)を見据えた皇我はもう一度ため息を吐き、チラリと窓の外を睨む。何処かの建物の一つ、建築途中であるビルの方を。

 

 

 

「───似合わん光景だぞ、本当に」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、ラインハルトは二人と別れて行動していた。

 

 

二人が別々の場所に興味があるらしく、『待ってるから良いよ、後で集合しよう』と話したので、ラインハルトも街中を一人で歩いている。

 

 

楽しそうな喧騒を耳にしていたが、それが彼を反応させるには至らない。脳裏に響くのは、練という青年からの伝言。

 

 

『聖剣を扱いきれてないとしたら、それは未熟だからじゃない。他にも要因があるんだろ?』

(…………そうだ、その通りだ)

 

 

肯定する彼の顔は苦しいものだった。美形とも称される顔立ちを歪ませ、彼は考えに明け暮れる。

 

 

(聖剣を渡してくれたヴィヴィアンさん達が言ってた。俺は『彼女』と同じくエクスカリバーを完全な状態で振るえるって。けど、俺は封印して欲しいと頼んだ)

 

 

それこそが理由であった。エクスカリバーを完全に扱えない封印は、ラインハルト自身が自らに掛けた制約そのもの。

 

 

 

(俺がエクスカリバー振るうべき相手はこの世界を滅ぼす脅威。それ以外で─────俺自身の我が儘でこの剣を使っていいのか?)

 

 

結論から言うと、躊躇していたのだ。

彼にとってアーサー王の聖剣、『彼女』から託された意思は、命を掛けてでも果たさなければならない使命である。私情によるもので全力の聖剣を使うのが許されるのか、それは彼が良き人間である証明である。

 

 

 

 

しかし、()()()()ではない。

 

 

彼がエクスカリバーを解放するのを躊躇う理由はもう一つある。それは彼自身が誰にも話していない正真正銘秘密の事実なのだ。

 

 

 

人混みの中を歩きながら、ラインハルトは自己への問答を繰り返していた。このままでいいのか、しかし自分の考えを簡単に捨てていいのか、と。

 

 

 

 

 

 

そんな最中、

 

 

 

 

 

 

 

「───久しぶりだな」

 

 

 

呼吸が、止まった。心臓の停止すら錯覚する程の驚愕を味わいラインハルトは硬直する。その声をラインハルトは知っている、しかし有り得なかった。自らの耳を疑ったが、それもすぐに意味がなかった。

 

 

 

 

目の前、視線のすぐ先に一人の男が立っていた。ローブを着込みその姿を隠しているが、ラインハルトはその男を知っている。顔や身体は隠されているが、声だけは忘れることが出来なかった。

 

 

 

街中で通り過ぎる人々に怪しい目で見られるのを無視して、男は被っていたフードを脱ぐ。明らかになった鋭い瞳がラインハルトの顔を捉え、気にしたとは言えない声音で吐き捨てた。

 

 

 

「死んだと思っていたが、まだ生きていたか」

 

 

中年の男。少し色が薄めの金髪を結い、全体的に大人しい雰囲気が醸し出される。その顔は皺が寄せてあり、老人に近い印象があった。

 

 

冷徹な視線を向ける男に、ラインハルトは震える。それ以外の行動を行うのが難しかった。それでも、言葉が喉から通った。

 

 

 

 

 

 

「父、さん………!」

「愚息よ、今ばかりは会いたかったぞ」

 

 

 

ハイヒルド・ヴィヴィアン。

正真正銘、ラインハルトの父親だった男の名前。そしてラインハルトの人生を狂わせた張本人にして元凶。

 

 

 

忘れられる訳がない。

彼にとってもそれは過去、乗り越える事が出来ない因縁。心身に染み着いた苦しみが今、鋭い牙を剥いて彼に迫っていたのだ。




ようやくラインハルトの過去に触れられますね。少しばかり複雑ですがよろしくお願いします。
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