ハイスクールD×D'Catastrophe Longinus 作:虚無の魔術師
旧校舎、オカルト研究部。
七十二の貴族悪魔の一つであり、この街の領主であるリアス・グレモリーとその眷属たち。
そして、教会からの使者である三人の聖剣使い。ゼノヴィアとイリナ、そしてラインハルト。
談話の筈のそれは互いに静かになって、何も起こらなかった。
「…………探り合いはなしで、簡潔に言います」
ようやく口を開いたラインハルトはそう告げた。懐から丸まった紙を取り出し、リアス・グレモリーに見せるように開いた。
「我々教会はエクスカリバーを三本奪われました」
「何ですって!?」
驚愕の声をあげるリアス・グレモリーだったが、その紙の内容を目にしたことにより、ようやく理解したらしく、ラインハルトの次の言葉を待っていた。
「主犯格はコカビエル。『
知らないものはいないと思いますがね、と付け足すラインハルトだったが、一誠が分からなさそうな顔をしているのに、リアス・グレモリーは顔を厳しくしているのにも気付く。
「そして、これが残るエクスカリバーの一つ『
「え?いいの、見せちゃって?」
「………いいわけないじゃんか」
自分の聖剣を見せつけるゼノヴィア、そして気になるのか質問してくるイリナにラインハルトは純粋に頭を抱えた。
「じゃあ、こっちが『擬態の聖剣エクスカリバー・ミミック』よ。能力はこうやって形を自由に変える事ができるの」
「……オレが持ってるのは、『
三人が自分の聖剣を見せ終えた(一人は渋々だったが)直後、リアス・グレモリーが口を開いた。
「それが堕天使の組織に奪われるなんて、とんでもない失態ね。しかも、聖書にも乗っている堕天使の幹部がでてくるなんてね」
「…………生憎、我々も賊の襲撃を受けていて……その隙を狙われましてね」
顔から表情を消し、真顔になるラインハルト。そして、彼は一枚の写真を提示した。
「実を言うとその賊の中にいたそうなんですよ………こういう奴が」
写っていたのは、教会戦士と殺しあっている蝙蝠のような羽を持った男たち………悪魔だった。
目の前の男が何を言いたいのかを察したリアス・グレモリーは険しい表情を見せた。
「………私たちが堕天使と協力してると言いたいのかしら?」
「可能性の話だ、可能性の」
「聖剣は堕天使だけではなく、悪魔も苦手としているので上層部も危惧しているんですよ。まぁ、オレもそうですが」
ライハンルト、及び教会の上層部の考えも分からなくもない。聖剣は対悪魔用の兵装の一つ、それが奪われたとされると敵対している悪魔を疑うのも無理はない。
だが、そうなると一つの問題がある。
「……という事は、貴方たちは三人だけで堕天使の幹部からエクスカリバーを奪い返すつもりなの?下手したら死ぬことになるわよ?」
「大丈夫よ」
「私もイリナと同意見だが、できれば死にたくはないな」
「……おう、ゼノヴィアがまともな事言ってるよ、あの
「どういうことだ、オイ」
ボソリと呟いた言葉に反応したゼノヴィアがライハンルトに掴みかかる。イリナが止めようとする中、リアス・グレモリーが理解できないというように言った。
「……っ!死ぬ覚悟でこの日本に来たというの?相変わらず、あなた逹の信仰は常軌を逸しているのね」
「我々の信仰をバカにしないでちょうだい、リアス・グレモリー。ねぇ、ゼノヴィア、ライン」
「まあな」
ラインハルトも声を出さずに頷いた。そもそも彼は信仰などをどうかとは思ってはいないのだから、どう答えてもいいのだが、
「教会からは堕天使に利用されるぐらいなら、エクスカリバーが全て消滅しても構わないと言われた。オレたちの役目は最低でもエクスカリバーを堕天使の手からなくす事だ。エクスカリバーに対する知識はオレたちのほうが上だしな」
それだけ言うとラインハルトは二人に目配りをする。
「それではオレたちはここで暇させてもらいます」
「あら、お茶を用意するのだけれど」
いえ、ご好意に感謝しますが……と断りをいれてここから出ようと出口の扉に手を掛けた直後、それが起きた。
「──もしやと思ったが、君は【魔女】のアーシア・アルジェントか?」
(………………馬鹿野郎ッ)
一誠の後ろに隠れていて見えなかったが、そこには金髪の少女がいた。その少女 アーシアの事はラインハルトは良く知っていた…………だからこそ、何も言わなかったのだ。
「貴方が噂になっていた『魔女』になった元『聖女』さん?まさか悪魔になっているなんて思ってなかったわ」
「………止めろ。ゼノヴィア、イリナ」
悪くなり始めた空気にラインハルトが二人を止めるが、関係ないと言わんばかりに彼女たちは続けた。
「…捨てきれないだけです。ずっと信じてきたので」
「そうか、ならば斬られるとい」
「──おい」
聖剣の柄へと手をやったゼノヴィアに低い声が当てられた。扉を開けようとした状態で放たれた威圧は凄まじいもので全員が動きを取れなかった。仲間であるゼノヴィアとイリナも硬直していた。
そんな二人に言い聞かせるようにラインハルトは言葉を紡いだ。
「別にお前らが何をしようが勝手だけど、
いいのか?『あの人』がこの事を知ったら、ただじゃすまないぞ」
それだけだった。
『あの人』という言葉を聞いた直後、二人の顔が変わったのだ。余裕から焦り──そして、『あの人』に対する畏怖へと。
「………………」
ゼノヴィアは冷や汗をかきながら、無言で聖剣から手を離す。イリナも同じように何も言えずにいたが、ラインハルトがアーシアの前へと駆け寄り、頭を下げた。
「……申し訳ありません、アーシアさん。ゼノヴィアたちは貴方の事を良く知らなかったので」
「……いえ、大丈夫です。その通りですから」
混乱しながらも彼女は謝罪を受け入れた。その様子に心配していたラインハルトは別の方向に目を向ける。
先程から三人に………正確には彼らが持つ聖剣に殺気を向けている金髪の青年 木場に。
「で、貴方は何者なんだ?さっきからオレの聖剣を睨んでるけど」
「君たちの先輩だよ。失敗作だったそうだけどね」
木場の周りに生み出されたのは複数の効果を持つ魔剣。その剣と木場の言葉から察したラインハルトは木場の正体を告げる。
「………ふぅん、つまり『あの計画』の生き残りですか、師匠から聞いていたけど」
「僕の力は無念の中で死んでいった皆の思いの結晶、この力で聖剣所有者を倒して、聖剣を破壊する!」
ピタリとライハンルトの動きが止まる。聞いてはいけない言葉を聞いたように硬直した彼はボソリと口にした。
………………コイツ、今なんて言った?
「聖剣を、破壊する、だと?」
突如、木場の周りに生み出された魔剣が砕け散った。音もなく、一瞬で。
それをしたと思われるラインハルトは『結晶の聖剣』を握り、二つの碧眼で木場を睨んだ。
「舐めるなよ、悪魔が」
冷たく冷ややかだが先程の二人を注意した声とは違う、明らかに一つの感情が籠った声だった。聖剣の先を首元に突きつけるように向け、金色の髪を振り払った。
「いいだろう、そこまで言うなら勝負してやる………そして、教えてやるよ。
自分がどこまで図に乗ったのかをな」
校庭に出た後、リアス・グレモリーの眷属、
その結界の中で睨み合っていた、木場とラインハルトは互いの得物を構えていた。
「遊ぶつもりはない、格の差を見せてやる」
聖剣を地面へと突き刺したラインハルトはそう告げる。突如、銀色の世界が作り出される、いや『結晶の聖剣』によって作り出された結晶が周りを包み込もうとしていたのだ。
「………嘘だろ!?」
校舎の近くで見ていた一誠はその光景に戦慄する。その結晶の波が結界の壁へと迫っていたのだから。
「真のエクスカリバーでなくともこれほどの威力。七本全部を消滅させるのは修羅の道か……」
結晶となり、刀身が砕け散った剣を捨てて、新たに魔剣を生み出した。炎と氷、二つの魔剣を手に持ち、木場はラインハルトの聖剣へと斬りかかる。
「この程度か……………舐められたものだな」
ぶつかり合った炎氷の魔剣が接触すると同時に、聖剣と同じ材質の結晶へと変化し粉々に砕ける。
悔しそうに木場は柄だけを投げると新たな魔剣を作り出す。
───身の丈以上の巨大な剣。
「君の聖剣の破壊力と僕の魔剣の破壊力。どっちが上か勝負だ!」
「その必要はない」
二メートルを超える巨大な魔剣を降り下ろそうとする木場に聞こえるか分からない声で呟いたラインハルトは聖剣から手を離し、真上へと投げ飛ばした。何のつもりだ、と全員が思う中───木場の方に走り出した。
そのまま素手で魔剣を降り下ろす木場の手首と襟を掴み、地面へと叩きつけた。身体への衝撃と共に木場の手から魔剣が離れる。
「がっ、ふ!」
埋め木場はすぐさま起き上がろうとするが、首に手刀が食い込んだ。意識を失い、崩れ落ちる木場にラインハルトは落ち着いた様子で見下ろす。
「………聖剣だけが強みだと思うなよ、悪魔の剣士」
空中に舞い、落下してきた聖剣を掴む。何度か振り回し、背中へと仕舞い込んだ。
「やることは終えた。帰るぞ、二人とも」
「あぁ、分かった」
「………えぇ」
一誠たちと同じように遠くにいた二人がラインハルトの近くに駆け寄っていった。そのまま何も言わずに去ろうとしたが、
「あ、そうだ。赤龍帝、言い忘れてた」
振り返ったラインハルトに一誠は理解できないように首を傾けた。そもそも初対面なので、何を言いたいのかは一誠はわからなかったのだが。
そんな一誠を気にする様子はなく、ラインハルトはとある事実を言い放った。
「『
今回の話で原作とは違うところ、
・新しく増えた聖剣『
・木場と一騎討ちして気絶させたラインハルト、曰くライハルさん。
・そして、ライハルさんが一誠に伝えた『
この三つです!