ハイスクールD×D'Catastrophe Longinus 作:虚無の魔術師
「────死ね」
まず、最初に動いたのはシルマだった。黒く淀んだ尻尾を振り回し、コンクリートの床に叩きつける。それによって宙へと舞った断片の多くを、両手の連打で吹き飛ばした。
弾丸のような勢いで、瓦礫が射出される。現象だけを見たなら、キャノン砲で撃ち出されたものと言っても、信じられるかもしれない。
ラインハルトとゼノヴィアは、各々が有する聖剣でコンクリートの瓦礫を斬り捨て、粉砕していく。近くにいたイリナは転生天使独特の翼を広げて、何とか回避していた。
「───ゼノヴィア!」
「あぁ!!」
観察していたシルマが次の瓦礫を『装填』しようもする前に、ラインハルトは叫ぶ。ゼノヴィアは応えながら、デュランダルを彼の前に向ける。彼はそれを足場にした途端、ゼノヴィアはバッドのように振り払った。
よって、ラインハルトも砲弾のように飛来する。数メートルも距離が空いていたシルマへの距離を狭めることが出来た。
驚愕を隠せないシルマは『装填』を止めると、コンクリートの床を持ち上げた。盾のように前に出して、ラインハルトの進行を妨げようとするのかと思われた。
しかし、シルマは片腕に力を込めて、瓦礫に指を食い込ませる。
「────ふんッ!!」
直後、自らの片腕に強制的に接合させたコンクリートを投擲する。ラインハルトに向けてではなく、彼の足元の地面へと強引に叩きつけた。
「が、ぁああああっ!!?」
防御をしようとしたが、間に合わない。
破壊による発生した破片に晒され、ラインハルトの身体に傷が増えていく。続くように発生した衝撃波が炸裂し、ラインハルトは壁へと激突する。
様子を見ていたシルマは舌打ちをする。どうやら思いの外、軽傷だったらしい。ゆっくりと、追撃を行う為に動こうとする。
「させる、かぁッ!!!」
「ふぅん?」
死角からの声にシルマは振り返る。そこではゼノヴィアがデュランダルを放とうとする最中だった。もう一つの聖剣が迫り来る中、シルマは心臓の前に交差させる。
デュランダルはそれを物ともせず、両断する。強固とも思われていたシルマの腕を、いとも容易く。
それに興味を持ったのか、彼女の持つ聖剣を静かに見下ろす。
「…………デュランダル、か。伝説の聖剣、あらゆるものを切断すると言われる強力な剣──────だが無駄だ!!」
シルマが力を入れると、切断された両腕が完全に再生する。黒い影らしき闇も肌に伸びることで、傷跡の修復を完了させていた。
瞬時に、目を向けたシルマは手を伸ばす。再度、デュランダルを振るおうとするゼノヴィアの手首を掴み取った。
「!」
「邪魔をするなら結構、まずは貴様から潰してやろうか」
もう片方の腕が、大きく膨れ上がる。細胞の全てが結合して、金属以上の硬度へと変質していく。
宣言通り、ゼノヴィアという少女を潰す為に、巨大な鎚へと変わった腕が振るわれようとする。
「ゼノヴィアを離しなさぁぁぁい!!」
しかし、それより先に。
宙へと飛んだイリナが光の剣で斬りかかってくる。それを横目に見たシルマは背中の触手を動かす。まるで一種の腕のように器用に、イリナの光の剣を弾き防いでいく。
「ふん、なら受け取ればいい」
「まずっ………イリナ!避け───」
鼻を鳴らすシルマの意図に気付いたのか、ゼノヴィアが危険を報せようとするが、彼の方が早く動いた。
片手で掴んでいたゼノヴィアを放り投げた。光の剣で触手を斬っていたイリナの方へと。吹き飛ばされた仲間を前にした彼女は慌てて光の剣を掴み直して、身体を使う形でキャッチした。
「っと!ゼノヴィア!無事!?」
「あ、ぁ。何とかだが────」
それ以上、言葉が紡がれる事はなかった。
宙にいた二人を、巨大な鎚と化したシルマの腕が撃ち据えたからだ。問答無用の一撃、障害物もない上空だったからこそ、巨腕が直撃してしまい、二人はなす術もなかった。
トドメの一撃と言わんばかりに触手を引き放つが、容赦なく斬り伏せられた。彼自身が警戒していた、聖剣の力によって。
「おっ、戻ってきたか。エクスカリバーの担い手」
「───ゼノヴィア!イリナ!」
倒れた少女達の身を案じるが、返事はない。どうやら先程の一撃は彼女達の意識を容赦なく刈り取ったらしい。
歯噛みして、ラインハルトは二人を壁側に寄り添わせる。彼女達を背に隠して、エクスカリバーを身構えた。
しかしシルマは揺るがない。あくまで、まだ倒せる方法はあると言うように。
「さて、エクスカリバーの担い手。私のやろうとしてる事が分かるか?」
「………、」
「他の聖剣は構わんが、エクスカリバーの直撃を避けねばならない以上、私は遠距離から攻撃しなければならない。そして、君はそこの二人を守らなければならない。……………さて、もう一度言う。私のやろうとしている事が、分かるか?」
そう言いながらシルマは、近くに山積みにされているコンクリートの鉄材で乱雑に鷲掴みにする。掌に収まったそれを力で砕いて、砕いて、砕いて─────小さいかつ砲弾並みの瓦礫へと変えていく。
先程の『装填』よりも、多い数。もしあれが放たれればラインハルトでも簡単にはいかない。それにゼノヴィアとイリナを守りながらだと、余計に難易度が上がってしまう。
クソッ! とラインハルトは吐き捨てると同時に、勢いよく走り出した。部屋から逃げ出すようにスライディングを掛けながら、鉄製の階段を駆け上がっていく。
鉄骨を潰したままのシルマは薄い笑みを浮かべる。両手で砕いていた残骸を溢しながらも、天井を見上げた。
「ほぉ、考えたな─────」
ラインハルトが行ったのはただの逃走ではなかった。むしろ、戦況を変える一手を使ったに過ぎない。
残骸による投石。それ自体を防ぐ事は可能だが、気絶しているゼノヴィア達が巻き込まれる危険性があった。彼女達を庇いながらあの男との戦闘は難しいと判断した故に、ラインハルトは上へと移動したのだ。
シルマが二人を優先的に狙う可能性を考えたが、それをすぐさま否定した。シルマは間違いなく、自分を追ってくる。明らかに危険視している存在を放置するようなヤツじゃないのは確かだ。
(早く!上へ!ヤツはエクスカリバーを警戒してる!それなら、真名解放を使えば、ヤツを吹き飛ばせる!その為に、誰もいないような場所にいかないとッ!!)
エクスカリバーの真名解放。
星の魔力と行っても過言ではない一撃は、未熟なものだったとしても、一瞬だけ直撃しただけでも、あの堕天使コカビエルすらも重傷へと至らせたのだ。
だからこそ、ラインハルトは上へと移動した。
(…………やるしかない。チャンスは一回!それでしかシルマを倒せない!!何とかエクスカリバーを直撃させる!)
「おや」
何階か登った所で、シルマは首を傾げた。工事中らしき壁などの仕切りで舗装されてない広間。そこの窓際に、目標の青年は立っていた。聖剣を後ろに隠すように、構えながら。
「もう逃げないのか?屋上まではまだあると思うがなぁ」
「…………あぁ、ここで十分だ。お前を倒すには」
「偉く自信があるな。エクスカリバーにでも期待を掛けてるのか?ま、どちらでも良いが」
カツン、カツン。
靴音を立てて、死神は歩み寄ってくる。比喩通り、ラインハルトの命を刈り取ろうと、自らの部位を殺しに最適化させて。
「抵抗しないと言うことは。大人しく殺されたいのかな?」
「それよりも、聞きたい事がある」
それよりも、と割り切った青年に、シルマは首を傾げた。数秒だけ考え込んでいたが、すぐに結論を出す。
「………ここで貴様を殺すのが良いと思うんだが?」
「どうせ殺すんだろ?それなら教えてくれよ。
お前たちの言う、祈りは何だ?父さんを利用したり、他の人達を巻き込んでまで、何を望むんだ」
鋭い視線を向けるラインハルト。彼の視線に圧され、シルマは今度こそ悩ましいと顔をしかめた。だが納得したように頷くと、
「我等の祈り、か。ま、少しくらいは構わないだろう。
我等が求めるのは神だ。異なる偉業を成し遂げた神代の神々ではない。そいつらよりは現代に近い、貴様ら信者達の信仰対象だ」
「……………まさか」
いち早く気付いたラインハルトが、目を見張る。シルマが言ったことは、神を求めているということだ。
神、それも神話のものではなく、最も現代に近い神。そして、ラインハルト達が信じる神。教会戦士として動いてた時の感覚が、大きく疼くのが感じられる。
それを無視してシルマは答え合わせをする。
「──────『聖書の神』、それを生き返らせる。少しは理解してくれたかな?」
改めて言われても、簡単に受け入れられる訳がなかった。コカビエルに『神の死』を告げられた時落ち着いていたのは、先生から教えられていたからだ。
だが、これだけは有り得なかった。『聖書の神』を復活させる。かつて滅んだ存在を生き返らせるなど、夢物語に近いだろうに─────
「我が主、“新条”様の願い────『聖書新生式』には、『聖書の神』の存在は不可欠。だからこそ、我等はその復活を望む」
冷静にかつ丁寧に告げていたシルマの顔に、笑みが張り付いた。それは邪悪なものとはかけはなれた、心からの嬉しさが隠しきれないような笑みを。
「そう!そして、聖書の神の力で!私達は戻るんだ!!人間に!!それで、皆に……………………………皆、ミンナ?」
そう言ってる内に、シルマは言葉に詰まった。無慈悲に染まっていた瞳が、不安定に揺れる。
怪訝そうなラインハルトの前でブツブツ、と呟きを漏らす。ラインハルトの存在など気付いていない、それよりも重要な事を意識していた。
自分自身が口にした、言葉を。
「人間に戻りたい?何を、言ってるんだ私は?邪龍である私達は人間とは違い、無敵の存在。それなのに、何故わざわざ矮小な人間に、戻りたいんだ?……………何で、何で何で何で何で何で何でナンでナンデナンデ、ナンデダッケ──────」
しかし突然、シルマの体が大きく震えた。彼の肌に浮かんでいた影が赤黒く発光したのだ。眼帯の隙間からも同じように光が漏れ、血管が浮き出していく。
それだけで。
一瞬にして。
シルマの瞳の色が元に戻った。しかし体調が優れないのか、眼帯の方を片手で押さえながらよろけている。カチカチカチと歯を鳴らして、シルマは冷徹な言葉を紡ぎ出す。
「……………邪龍たる我等が、『聖書の神』を傀儡とする。そうして聖書を軸とした世界に破滅をもらたすのだ」
(………………なんだ?)
そこで、ラインハルトは背筋に冷たいものが走ったのを感じた。シルマが口にした、最終的な目的にではない。彼の身に起こっていた現象が原因だった。
(さっきから言ってることがおかしい。どちらも嘘じゃなければ、二つの意見をシルマは持っていることになる。それに、人間に戻る?まるで
有り得ない、そう切り捨てたかった。
だって、人間が転生できるのは悪魔や天使のみ。天使が悪い感情に浸りすぎると堕天使になるが、その他の種族への転生は全く知らない。
それも龍、邪龍と呼ばれる存在になった人間なんて、聞いたことがなかった。もしそうだとすれば、それを実行できる者はただ者ではない。神に匹敵する力の持ち主しかない。
思考に明け暮れていたラインハルトの意識は────大きな破壊音によって打ち消される。シルマの尻尾がコンクリートの床の一部を打ち砕いたらしい。
「話は終わりだ。ここで貴様を殺す────どのみち、エクスカリバーの充填にはあと少し時間が足りないだろうしな」
「ッ!!」
「ふん、貴様にしては浅はかだな。この私がエクスカリバーの力を懸念すらしてないと思っていたのか?恐れているからこそ、キチンと視野に入れてるのさ」
やはり気付かれたか、とラインハルトは息を呑んだ。彼は今、無言詠唱でエクスカリバーの真名解放を行おうとしている。エネルギーはあと少しまで溜められているが、シルマにそれは気付かれていた。
「クソ!─────」
「遅いっ!貰ったぞぉ!!」
先にエクスカリバーを振りかざそうとするが、シルマはそれよりも先に触手を伸ばした。鉤爪状の先端が勢いよく飛来して、
「……がッ、ば」
ラインハルトの胸元を、容赦なく貫いた。心臓すら引き裂き、背中を突き破る。身体の内部を破壊された事で、口から大量の血が溢れだしていた。
思わず、シルマは邪悪な笑顔を浮かべる。今にも高らかに笑おうとしていた隻眼の男。そうするために、口を開こうとして、
(いや、こうもあっさりといくか?)
違和感が、脳裏に残る。
ラインハルトは人間、大した事はない。そう考えてはいたが、あまりにも単純すぎないだろうか?
エクスカリバーの時間稼ぎの為に話をさせようとしていた。それは分かる。しかし、自分の前に簡単に姿を見せられるのか?
そう思っていたシルマは、目の前の光景を目にして、言葉を失った。
触手に穿たれたラインハルトの姿が、かき消える。霧のように、辺りに粒子を散らして。
「なッ!?幻術だと!?」
(なら、本体は………!)
触手を引き戻して、慌てて周囲を見渡す。そこでいつの間にか、別の場所でエネルギーが増幅しているのが分かった。
「
「クッ、後ろか!?」
突如現れたラインハルトは、天井をぶち抜いてきた。それもシルマの後ろを取るような形で。
不意を突かれた事で対応に遅れたシルマ。その数秒の隙を、ラインハルトは決して─────見逃さない!!
「
星の光、それを束ねた極光が放たれる。しまった、とシルマは顔を歪めるがもう遅い。
一瞬で光に包まれ、苦痛の絶叫をあげながら光の中へと消えていった。
(…………やった、のか?)
膝をついたラインハルトは、発生した煙の奥に目を凝らす。しかしそれでも人の姿は見えてこない。完全に消し飛ばせたのだろう。
(上手く、いったみたいだ。精霊の皆に感謝しないと)
ラインハルトの幻術。彼に聖杯を託した湖の乙女と呼ばれる精霊達から伝授してもらった魔術、その一つ。あれは彼にとっても切り札の一つでもある。
範囲内の者に幻覚作用を見せる。しかし経験が足らず、複雑な幻覚は見せることが出来ない。精々、偽物の自分を作り出しておくぐらいだ。
屋内だからこそ威力を弱めたが、それでもあの男を完全に消し飛ばした。それ程の力を誇る聖剣を見て、ラインハルトはただ唇を閉ざす。
(きっと、あの人の使う聖剣は────これ以上なんだろうな)
差というものを噛み締め、ラインハルトは立ち上がった。まだやることは終わっていない、ゼノヴィア達を治療しに行かないと。
そう思っていたラインハルトの身体が、グラリと揺れた。思わずだったがすぐさま体勢を立て直して、額を押さえる。力の使いすぎで疲労が溜まったのだろう───そう思っていたが、それが違うことにすぐに気付いた。
彼の手首が、失くなっていたのだ。エクスカリバーを掴んでいた手首が。
「…………………………は?」
呆けて、自らの手首を見つめる。よく見ると、エクスカリバーが足元に落ちていた。視線を落として見ると、自分の手がそれを確かに掴んでいた。
切り落とされた。
自分の身に起きた事を脳が認識した直後。ラインハルトの全身の『痛覚』が、遅れて起動した。
「うッ、あ……あぁあああぁっ!!?がぁああああああああああぁぁあああああああぁぁぁぁぁ!!?」
血が噴き出し始める自分の手首を押さえ、ラインハルトは絶叫した。尋常じゃない苦痛に、耐えきれる筈がない。
そんな風に苦しむラインハルトの背後から。
カツン、と聞き覚えのある靴音がした。ラインハルトは振り返り、相手を睨み付ける。
「シル、マッッ!!」
「……………先程、教えただろう」
何故か無傷で、不思議なことに階段の方に立っていた男────シルマは真顔で言う。彼の背中の触手は先が刃へとなって、血に濡れていた。どうやら背後からラインハルトの腕を切断していたらしい。
だが、それでは説明できない。シルマがエクスカリバーの一撃を回避したことを。彼は明らかに直撃した。回避なんて出来ていない筈なのに、何故無事なのか。
「私は細胞による増殖と変異による再生と肉体強化を行っていると────ならば、細胞一つでもう一人の私を生み出す事も可能だとなぁ」
「分身、体ッ!?自分の細胞から、いや!?あの時の戦いで飛び散った肉体の一部から───自分自身を!?」
「貴様も使った技だ。まさか想像も出来なかったのか?………と言いたいが、流石に予想は出来ないか。自分自身を生み出すやり方は」
説明するならプラナリア、というものが近いだろう。
例え二つに切られたとしても、脳自体を作り出して二匹の生命体になるほどの再生力。もしそれが可能ならば、シルマだけで世界を滅ぼすことも可能性としては有り得る。
言うなれば、ラインハルトが全力で倒したのは作り出されたシルマだった。本体はラインハルトと同じように隠れて、隙を伺っていたのだ。
そして、作られたものを相手してると知らなかったラインハルトは躊躇なく全力で消し飛ばしてしまった。つまりもう、彼にシルマを倒す手段は無い───────
(………ダメだ、もう力が────)
「人間の身にしては努力した。その心意気と覚悟は心から誉めてやろう」
謙遜でも嘲りでもない、シルマはラインハルトに高い評価を下した。一度、偽物の自分を追い込み、消し飛ばした程の技術の使い道と覚悟を認めたのだろう。
しかし、評価は評価。危険な存在を見逃すことはない。殺すことには変わりない。どう足掻いても、それだけは変わらない。
「だが、私は邪龍だ。忘れたか?人が龍に敵うなど、神代の時代の英雄くらいだぞ?しかし、貴様は人間だ。エクスカリバーに選ばれただけの人間、英雄ですらない人間─────それだけで、我等を殺せると思っていたのか?」
簡単に終わるつもりはないと、ラインハルトは行動を起こした。切られた手首を押さえていたもう片方の手を、シルマへと向ける。五本指の先から、五色の球体が生じている。最後に一子報いようと、魔力を用いて魔術を放とうとする。
その覚悟を察したシルマが、口元を緩めた。優しく微笑みながら、一言。
「────死ね」
そして、街から離れた場所で。ヴァチカンへと送られていた【禍の団】、その一党の一人である少女は、遠くの方に目を向けた。
震えた声音で、彼女は呟く。虚空にかき消えるような、言葉を。
「───お兄、さま?」
建築途中のビル。
その高みに位置する階層。
そのホールに立つシルマは眼前から、視線を動かさない。ただ目の前にあるものを見据えていた。
自分の触手が穿ち殺したであろう、青年であったものを。己が流したであろう赤い池に沈んだものを、シルマは平然と見下ろす。
ラインハルト・ヴィヴィアン。
心臓を完全に破壊された青年の終わり。抵抗も叶わず、あっさりとその命を奪われた。
補足。
ラインハルトさんは魔術をある程度使えます。まぁ、熟練の魔術師よりかはちょい下。戦闘の最中に技として使うようなものなので、切り札とは言い難いですが。
ていうか、主人公がやられたのに補足とかしてる自分の感性を疑いたくなる…………躊躇、無さすぎだろ(自分自身に)
…………次回も、よろしく………お願いします。