ハイスクールD×D'Catastrophe Longinus   作:虚無の魔術師

25 / 42
今回は短いですね、すみません


新しい仲間

数時間後。

 

 

練によって何らかの基地に案内された女性達は困惑するままに、手術のような作業を受けることになった。何がどうなってるのか分からずにいる彼女達に、練は『悪魔の駒』を安全に取り除く手術だから大人しくして欲しいと言っていた。

 

 

詳しく聞くと、どうやら練の神器の力を使うものらしい。精密作業のようで一回でも疲れるようだが、彼はそのまま通して六人も『悪魔の駒』の摘出を行ってくれた。

 

 

「………はぁーっ。流石に、疲れが溜まってきたな」

 

作業の終わった後、彼女達は大広間らしき部屋に連れてこられた。大型テレビの前に並ぶ机とソファー、彼女達はそこに座らされていた。しかも、前のとは違う新しい服を着せて貰った上で。

 

 

あまりの厚待遇に年下の少女達ですら困っていた。そんな最中、人数分の手拭きを手にして、青色の髪を結んだ青年近づいてくる。

 

 

 

「皆様、御召し物をどうぞ」

「あ、ありがとうございます……」

「紅茶やミルクコーヒー等、様々な飲み物を用意できます。他に、茶菓子もあります故に。御声を掛けていただければ、用意は致します」

 

優しく微笑み掛け、彼はお辞儀をすると疲れているらしく天井を見上げている練の後ろに移動する。それを理解した後、練はゆっくりと姿勢を戻して、語り掛けてきた。

 

 

「………気分は、どうだ?」

「あ、大丈夫です……この度は、ありがとうございます」

「気にするな、それよりも体調はどうだ?実験でも問題は無いが、元の身体に戻すには負担がある。転生悪魔のように陽に当たっても問題ないが、少しばかり肉体的な強さが残る場合がある。嫌な場合は後日に報告を頼む」

 

 

 

そう言いながらも、練は何枚かの資料を机の前に出してくる。付け足すように、「これはお前達のカルテだ。もし体調が悪い者があれば、それを持って医務室に向かってくれ。博士か他の人が手を貸してくれる」と話し、彼女達はそれを素直に受け入れた。

 

 

資料を受け取った少女達を見届けた練は、突然訊いてきた。

 

 

「まずは、お前達の名前を聞いて良いか?」

「え?……は、はぁ?」

「後遺症があるかの問題もあるが、この施設で生活して貰う以上、名前を知らないのは不便だ。お互いの自己紹介をしておくべきだろ?」

 

 

練の言うことには一理ある。彼女達は『悪魔の駒』を摘出した直後、肉体はかつてのものへと戻っているが、完全という訳ではない。体調不良になった時の対処もするにはこの施設での生活は決まったものになる。

 

 

そう言ってきた練はすぐさま、ハッという表情を浮かべる。自分の発言に何かを感じたのか、謝罪を述べた。

 

 

 

「そうだったな。名前を聞くなら、最初に言うべきだった─────改めて、俺は黒月練。堕天使による組織 神の子を見守る者、『グリゴリ』に所属する人間の一人だ」

 

 

再度、自分の事を説明する練。

前と同じような紹介だからこそか、あまり頓着する事なく彼は自分の後ろに立っている青年を促す。

 

 

青年は短く受け取ると、前に歩み出してきた。端整な顔つき、執事のような服装をした青年が、ゆっくりと丁寧に、自己紹介を始めた。

 

 

 

「私は諸葛亮宗明(しょかつりょうそうめい)、練様の仲間の一人です。皆様には気軽に宗明と、お呼び戴ければ嬉しい限りです」

 

 

青年────宗明は背筋を整え、丁寧なお辞儀を行う。紳士的な態度の宗明は微笑み掛けると、何歩か後退して元いたように後ろに立っていた。自分は椅子に座るつもりはないらしい。

 

 

 

「この場にはいないが、あの時俺と一緒にいた神父っぽいのがフリード・セルゼン。元は悪魔祓いくずれで、今は俺の部下だ。性格はアレだが………色々と頼りになる奴だ。普通に接してやってくれ」

 

 

それだけ言うと練は渋い顔を浮かべる。

 

 

「他にもいるんだが───自由奔放な奴等でな。自室に引き籠ってたり、何処かで誰かに勝負挑んでたり、手の付けられないような奴等だ。時間があればお前達にも会わせたいと思う…………本当に難癖のある奴等だが」

 

 

最後の早口が、少しだけ不安になってくる。彼が言う難癖のある仲間達とは、一体どれだけなのだろうか?会ってみたいと思う反面、怖いなぁと彼女達の心境にあった。

 

 

 

「ありがとうございます………私はアイリス。魔法使いの生き残りです、そしてこの娘達が………」

「ゼリッシュ・フロイング。色々と世話をありがとよ、レンさん」

「──────白雪(しらゆき)、以上」

「えぇと!わたしは、咲葉です!アイリスお姉ちゃんやわたしたちをたすけてくれて、ありがとございます!」

「エマです………よろしく、です」

 

 

それぞれで挨拶を終え、礼を述べていく五人。

 

そうか、此方こそよろしく頼む、と練は快さそうな様子で告げ、同時に彼の後ろに立っていた宗明も会釈をする。

 

 

机の上に出されていたコーヒーを飲み、練は話を続ける。

 

 

「─────それで?お前らはこれからどうする気だ?」

「………これから、ですか?」

「申し訳無いが、お前らをずっと保護してる訳にもいかない。という事だから、これからどうしたいかを決めてほしい」

「えぇっと、具体的には?」

「俺の仲間になってもらう………っていうよりも、お前らには、帰るべき居場所がある奴もいるだろ。家族と離れ離れとかな」

 

 

あまり乗り気ではない様子でそう言う練。彼の言葉を聞いた五人は様々な反応を示す。

 

 

最初に声に出したのは二人、白雪と咲葉だった。

 

 

 

「そうですね。私もあの悪魔に勝手に連れてこられて転生させられましたから。家族はまだいますので」

「わたしもです!パパやママもさがしてるかも!」

 

感情があるのか判断しにくい程スラスラと語る白雪と天真爛漫といった様子で元気そうに声を上げる咲葉。

 

 

対照的に、アイリスとゼリッシュは暗い表情を浮かべる。隣でそんな二人を不思議そうに見るエマを撫で、アイリスは重い口調で語り出した。

 

 

「………両親はいません。家族はあの男に殺されてしまいました。ゼリッシュも、エマも………」

「………………悪かった。嫌な事を蒸し返したな」

 

 

頭を下げる練に、アイリスは慌てて宥めた。自分達の恩人に謝らせる事自体恐れ多いのか、彼女自身の良心が痛むのか。────どちらかと言えば、後者の方かもしれない。

 

 

気を取り直した練は、家族が残っているという二人に声をかけた。

 

 

「白雪、咲葉。お前達に関しては、自分の故郷を覚えてるなら詳しく教えてくれ。特定には時間が掛かるが、それでもいいか?」

「構いません、家族に会えるのなら」

 

 

即答する白雪、彼女の顔に迷いは無かった。満面の笑みを浮かべる咲葉を横目にしていたが、再度練へと向き直る。

 

 

分かった、と頷く練は端末らしきものを弄り、話を終えた。今度はアイリスへと視線を向け、言葉を紡ぎ出す。

 

 

 

「一応、訊いても良いか?」

「……なんでしょう」

「俺は一応チームを作りたいと思ってる。先輩達のような、特別なエージェントチームをな」

 

 

先輩達、という事にアイリスは気になるが、彼は次の事を話し始めていた。

 

 

「俺達はある目的の上で行動している。三勢力の和平は、俺の目的を叶える上で重要なものだ。だからこそ、俺はこの期を乗じて、目的を果たしたい」

 

 

「その、目的とは?」

「現魔王への直談判だ。この要求が通りにくいというのは理解している。だが、俺はそれをやらなければならない。誰かが動く必要がある事だ」

 

 

内容についても語るつもりはないらしい。アイリスは壁に寄り掛かるように立つ宗明に目を向けるが、彼は反応を示さなかった。

 

 

────彼もその内容を知らないのかもしれない。だが、戸惑いも躊躇も見られない。そこには揺るぎない忠義と信頼があった。

 

 

この人になら着いていけるという、純粋な覚悟が。

 

 

 

「そしてもう一つ────俺はある悪魔を追っている」

「ある、悪魔」

 

 

あぁ、と練は頷いた。

一見平然に見える彼の様子は、何処かおかしい。

 

 

原因はその瞳。ギラギラと煮え滾るような熱い感情が増幅しているのだ。

 

 

 

─────憎悪、という。

彼女達も何度抱いたか忘れてしまうほどの、ナニカへの憎しみを。

 

 

「俺は奴を追わなきゃいけない。これだけは、俺がやる必要がある、絶対に。だが、俺一人じゃあ出来ない。奴を探す事すら出来ない…………だから、仲間の力を借りるしかない」

 

 

彼としては、どうだったのだろう。

それほどの憎悪を抱く相手が────自分の手では探せない、自分の手では殺すに足りないと知った気持ちは。

 

 

いずれ探し出す、いずれ強くなる。

そうやったとしても、意味がないと知ったのだろう。だから彼は求めていたのだ。自分が心から信頼できる者達の集まり、大切な仲間を。

 

 

 

「勿論、強制じゃない、提案みたいなものだ。嫌なら嫌って断ってくれて構わない。お前達を助けて『悪魔の駒』を引き抜いたのは、仲間になって欲しいからじゃないしな」

 

 

────不思議に思ってしまった。

勧誘してるのかと思えば、別に入らなくても良いと助言してくる。

 

彼自身、他人を巻き込んで良いのか悩んでるのかもしれない。優しさか、単なる甘さか。

 

 

 

どちらでも構わないと、アイリスは口を開いた。

 

 

「練さん………私は、貴方に恩を返したいです」

「………」

「私は力不足になってしまうかもしれません、そんな私でも仲間に入れて貰えますか?」

「……………恩を返したいなら、他にも出来るだろ」

「えぇ。ですからお世話になりたいんです………駄目でしょうか?」

 

問い掛けてくるようで、真剣な声音の彼女の言葉に、練は何も言わない。言うことが出来ないのかもしれない。

 

 

そんな彼女に続くように、他の二人も声を上げる。

 

 

「あたしも、まぁ腕には自信があんだよ。こう見えても『戦車(ルーク)』だったしな!あんたの力に成れるなら構わないぜ!」

「………私も。『僧侶(ビショップ)』です………駄目ですか?」

 

 

三人の言葉を訊いて、練は片手で頭を押さえた。

 

 

「………………もうちょっと考えるべきじゃないか?お前達は悪魔に酷い扱いを受けていたんだろ?なら俺の事も疑うべきだ、そう簡単に決めて────」

「簡単じゃありませんよ、私達は真剣に考えて決めました」

 

 

アイリス達にとって、練は恩人だ。

自分達をあの劣悪な環境から救い出してくれただけではなく、元の生活を出来るようにもしてくれた人。彼が困っているのであれば、手を貸すのも吝かではない。

 

 

だが、少なくとも、アイリスは違った。何故だか分からないが、アイリスは練の力になりたいと思っている。それは恩だからだと思ったが、そうではないとは自分の中での勘が、そう告げていもいるのだ。

 

 

 

暫しの沈黙を後に、練は深い息を漏らした。そして、彼は手を伸ばした。アイリスも咄嗟にその手を取って、握手に応じる。

 

 

 

 

「分かった…………これからは、よろしく頼むぞ」




………駆け足過ぎたかもしれない。けど、そうしないと物語が進む気がしない。


分かりやすくしときますけど、前回助けた少女達の二人、白雪と咲葉ちゃんは故郷や家族の元に帰れて、アイリスさん、ゼリッシュちゃん、エマちゃんが練の新しい仲間になります。


一応本編で出てきた事を補足しておきます。


・宗明
練の仲間の一人です、フルネームからして分かりますが………有名な偉人の子孫です。あの某英雄派のリーダーよりも有名かもしれない人の。

・ある悪魔
練が追ってる悪魔。何が何でも殺したいと思ってる相手。一応ですけど原作にもいます。

・先輩達
練にとって憧れでもあり、尊敬している人達。いやー、一体某狗の人達なんだろうなー?


次回もよろしくお願いします!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。