ハイスクールD×D'Catastrophe Longinus 作:虚無の魔術師
ていうか、この話を読む前に原作を読んだ方がいいですよね、コレ。
「これの何処が有名な御方の絵だ!?私は知らないぞ!!」
「何よ!あの商人のおじさんが嘘ついてたって訳!?」
「………………ハァ」
がむしゃらに頭をかきむしりたくなるラインハルト。美形、イケメンと称される顔には凄い疲労が見えている。
何故、こんな事になっているのか……まとめてみよう。
・全財産をイリナに預けて別々に行動していた。
・目を離した隙に変な絵(曰く有名な人が描かれたものらしい)を買ってた。
・全財産ゼロ/(^o^)\おわた ←今ここ
最早もの乞いをしそうな勢いにラインハルトは決断する。無駄のない動きで携帯を取り出し、パカリと開く。
「……ライン、何をしてるんだ?」
言い合いをしていたゼノヴィアがラインハルトの様子に気付く。振り返らずに携帯を操作しながら、ラインハルトは口を開く。
「あぁ、『あの人』に連絡する。それの方が───」
「「待って待って待って!!」」
喧嘩をしていた二人が携帯を耳に当てたラインハルトの腰にしがみつく。
「考え直すんだ!ライン!!師匠にこの事が知られたら不味いだろう!?」
「うるせぇ!オレだって嫌だよ!でもどうするつもりだ、こんな事黙ってたってバレたら間違いなく『死ね』って言われて斬られるぞ!?」
………そこまで言うのかと思うが、生憎それを知るのは彼らだけだ。最も、彼女たちの反応からして、そうである可能性が高い。
「お願い、ライン!何でもするから、それだけは!!」
「うん、だったらまず止めて!今のオレたちの状態ヤバイから!ヤバイことになってるから!」
そう、彼の言う通りだ。三人称で見てみると二人の美女に泣きつかれてるイケメンに見えなくもない、そしてイリナの何でもするという発言にラインハルトに対する視線が冷やかなものになっている。
「……………なにやってんだよ」
そんな状況の中、ラインハルト(及び彼女たち)は救いを得た。訝しげな視線でこの現状を見られてたが、彼は
「うまい!日本の食事はうまいぞ!」
「うんうん!これが故郷の味よ!」
「………ここファミレスだから故郷の味と言われましても」
ラインハルトがそう指摘するが、彼女たちは何も返さずに食事に夢中なっている。まぁ、そのラインハルトもステーキを頬張っていますが。
そんな中、一誠が意を決した様子でハッキリと言った。
「エクスカリバーの破壊に協力させてほしい」
「え?いいけど」
「まぁ、一本ぐらいはいいだろう」
「ちょっとライン、ゼノヴィア!?いいの、相手は悪魔よ?」
………意外な二人が許可を出した。その事に全員が唖然としていたが、我に戻ったイリナが驚きながら、引き留めようとする。
「私たち三人だけでは正直つらい…………私は無駄死にしたくないのでね」
「あの人も言ってたろ、死ぬことは許さないって………帰ってもすぐに斬られそうだけど(ボソッ)」
「じゃあ、悪魔ではなくてドラゴンの力を借りたことにすればいい。これなら文句は言われない」
今度こそイリナは少し不満げだったが、渋々納得する。協力が結べたことに一誠たちは素直に喜んでいた。
それから一誠は協力者を呼ぶといい連絡をしてから少し経ち、
「あのさ、お前の言ってたのって『漆黒の龍ヴェルグ』って奴だよな?」
そんな様子の一誠が怯えたように話しかけてくる。
「覚えときなよ、そいつは『二天龍』を圧倒した最強の龍なんだから…………きっと、お前の事を探してるかもしれないから」
マジか!!?と冷や汗をかく一誠。だが、彼らは知らない。
既に一誠はその『漆黒の龍』を宿す人間に監視されてることを。
「話は分かったよ」
聖剣を破壊するという話に駆けつけた木場はそう言いながら椅子に座る。そして、ラインハルトたちを睨み付けて皮肉げに言った。
「正直言うと、エクスカリバー使いに破壊を承認されるのは遺憾だけどね」
「………………ふぅん、そう言えるほど自分が強いと思ってるのか?」
木場の態度に威圧を向けるラインハルト。その言葉に動じるつもりのない木場に彼は十字架を見せつける。
そして、木場祐斗の真実に触れる事を告げる。
「お前のやってることは八つ当たりだ。ただ自分と仲間を殺そうとした聖剣が憎いだけの私怨だろう。ならそう言えばいい。死んでしまった仲間の無念を晴らす為とか、
死んだ人間の気持ちを代行する代行者のつもりか?イザイヤ」
「!!?」
完全に心臓が止まったと錯覚したのだろう。硬直した木場の喉からひゅうっと掠れた音が漏れる。
「どうして、その名前を」
「聖剣計画の生き残りはお前だけじゃないんだよ………まぁ、オレでもないけど」
ラインハルトはそれだけを言うとドリンクをグビグビと飲み干す。ラインハルトの言葉の真意に頭を捻らせていたが、話を進めるととある事実が分かった。
バルパー・ガリレイ。
皆殺しの司教の異名を持つその男が聖剣計画の黒幕であり、木場の復讐の相手だった。
一誠と子猫は木場の復讐に手助けをすると宣言する。彼らは仲間を失いたくないという事実を告げる。
そして木場の過去を聞いた匙とかいうのも感動したといい号泣していた。
皆で話し合い、互いに聖剣を破壊するチームを結成した。
これだけならいい展開だったのに………。
「俺の目標はソーナ会長とできちゃった結婚することだ!」
「俺の目標は部長の乳を揉み、吸うことだ!」
「君たち…………説教受けるか、聖剣で斬られるか選べよ」
この後、調子のった一誠と匙がいかがわしい談話をして、溜まりにたまったストレス故にぶちギレたラインハルトに説教されてるのを木場は子猫と一緒に苦笑いしながら見守っていた。
ファミレスで一誠たちとラインハルトたちが話し合ってる途中、近くの建物の屋上から彼らを見ている、いや話を聞いてる者がいた。
彼らの話し声が流れる手に収まるタブレット端末の電源を切る。そして、耳に付けたイヤフォンを起動させた。
「連絡だ、赤龍帝と聖剣使いが接触した。どうやら、互いに協力して教会の聖剣をへし折るつもりらしい」
『そうか…………だが、コカビエルはどうするつもりだ?アイツは仮にも大戦を生き延びた堕天使だ、無策で行くとは思えんが』
聞こえるのは男性の声。ダンディな男性と思わしき人物に青年は他の機械を片手で弄くる。
「聖剣使いに切り札があるらしい。万が一の場合、俺が行くつもりだ。……………だが、そんなことはどうでもいい」
青年は立ち上がり、睨み付ける。ラインハルトたちが所有するもの─────聖剣を。
そして、とんでもない事実を口にした。
「アンタの予想通り、教会の聖剣は
『…………やっぱりか』
耳に付けた機器から発せられた声は自然と納得していた。それから少し静かになっていたが、納得した理由を続ける。
『まぁ、分かってたんだがな。湖の精霊が簡単に王の聖剣を渡す訳がない、渡すくらいなら全力で抵抗する筈だ』
「あっさりと渡したことに違和感を持たない教会は相当の能天気かただの馬鹿のどちらかだろ」
結局は後者だろうがな、と青年は付け足す。面白かったのか機器から男性の笑い声が響く。
『だが、問題は本物はどうしたか、だ。一生懸命天界と教会が探してたエクスカリバーを精霊たちはあいつらの目から逃れて、何処に隠したのやら』
「まぁ、天界はともかく、教会が手にいれたとしても、ろくなことはしないだろうな。借り物とか言ってへし折って弄くってそのままパクる連中だ」
彼の言うことは分かる。かつて天界及び教会は大戦でエクスカリバーを折ってしまい、その折れた欠片を使い、八本の聖剣を作ったのだから。
自分から見ても信用できない、それが彼の意見だった。
『その町にヴァーリが向かってる。二人でコカビエルを連れ戻してくれ』
「あぁ、分かった。アザゼル」
そう言って青年は通信が切れたのを察する。そして視線を戻し、聖剣を振るうラインハルトに説教されてる二人を見て呆れたように、心底呆れたように呟く。
「あんなのが赤龍帝とか…………世も末だな」
聖剣が偽物という話ですが…………そもそも聖剣が簡単に折れるとかおかしくないですかねぇ?