「ここか・・・」
とある裏路地で戒翔は探査魔法を使って探し出した微弱な魔力反応を辿ってこの世界の問題の一つに当たる。
『別形態の魔法術式による閉鎖結界と考えて良いのかも知れないね。』
「そうだな。 形としてはベルカの封絶型の結界に似ているが・・・侵入が容易なのが違う所か」
そういって戒翔は路地裏の道を進む。
『戒翔! 結界が開くよ!』
「なにッ!?」
ナハトの警告と共に周囲の空間が歪み始める。 そして空間に取り込まれる際に戒翔は警戒態勢を取りながら周囲を観察する。
「・・・まるで落書き張の様な空間だな。」
周りの景色を見ながら戒翔はそんな感想を漏らしながら結界内を歩いて行く。
「あれは・・・まどかちゃんにさやかちゃん?」
暫く歩いて行くと目の前を戒翔が勤めている学校の生徒にして担当しているクラスの女子、鹿目まどかと美樹さやかの二人とそのさやかの腕に抱かれている奇妙な生物という組み合わせである。
『あの子達は・・・戒翔の行っている学校の生徒さんだよね・・・大丈夫かな?』
「大丈夫じゃないだろうな。 ・・・彼女達が何故この結界内にいるのかは分からないが、あの子達だけでは危険だな。」
ナハトの言葉に戒翔はそう短く応えて彼女達に危険が無いように彼女達の後を追う。
――――――――――――――
「ねぇ、さやかちゃん。 ここっていったいどこなのかな?」
「さ、流石のあたしでもここが何処だか分からないな。」
「知りたいのならボクと契約すれば簡単に分かるよ?」
薄暗い空間内を不安げに辺りを見回しながら歩いて行くまどかとさやか。 そしてなんの因果かは分からないがさやかの腕の中には真っ白な毛の見た事も無い動物が人語を介して二人に話し掛けていた。
「契約って・・・どういう事?」
「ボクと契約して魔法少女になればこんな空間でも安全に行動が出来るようになるんだよ。 そして魔法少女になってくれるのなら代わりになんでも願い事を叶えてあげる。」
「どんな願い事でも・・・?」
「まぁ、君達の可能性に左右されるけど大抵の事は叶ってしまうだろうね。 しかもまどか、君の場合は世界を変えられる可能性すら秘めている。 君が望めば世界を救うことだって出来るんだ。」
まどかの呟きに白い動物は嬉々として語る。
「世界とか規模がデカい願い事を叶えられるのか? 神でも無い身でか」
「うっひゃあぁー!!!!」
二人の後ろから現れた存在にさやかは驚き素っ頓狂な声を上げて飛び上がってしまう。
「さやかちゃん、大丈夫!?」
「だ、誰なのさ! さやかちゃんの後ろから話し掛けるなん・・・御坂先生!?」
「先生、なんでここに!?」
「よっ! いや、ここの所物騒だから近辺を調べていたら変な所に出くわして歩き回っていたんだがその時に2人が歩いて行くのが見えて追いかけて来た訳だ。」
戒翔の言葉にまどかとさやかは安堵の息を洩らす。 少女二人は自分達だけでは無く大人の戒翔がいるという事実に安堵する。
「で、さやかちゃんの抱えているその珍妙な生き物はなんだ? 見た事も無い生き物だけど・・・」
「ボクの名はキュウベエ。 インキュベーターであり彼女達の願いを叶えて魔法少女として契約して貰う為に一緒にいるんだよ。」
「願い事・・・ねぇ?」
白い生物・・・キュウベエの言葉に戒翔は胡散臭そうな表情で観察する。
「まず、貴様がまともな生物では無い事は確かだな。」
一瞬だが戒翔は自身の魔眼を使用してキュウベエの肉体構成を視てそう結論付ける。
「・・・君は何者なんだい? 普通の人間が・・・しかも魔法という素養を持たない者が結界に捕らわれる事は前例があまりないんだけど」
「さてな・・・貴様とは違い俺は種族としてなら人だからな。」
そう言って戒翔は前方を睨み
「おい、白いの。」
「なんだい? 僕の名前を告げたのに呼んではくれないんだね。」
「胡散臭い奴の事を名前で呼ぶほど俺は気安くないのでな。 目の前にいるあのヘンテコな生き物は」
「魔女の使い魔だよ。 敵意が無ければ無害だけど、例外というものもいるけど彼らはその魔女の使い魔としての役割を持っていてその魔女に割り振られた役割を忠実に行っているんだ。」
キュウベエの言葉に戒翔は納得する。
「・・・つまり今始末しなければ後々めんどくさい事になるって事か。」
そう告げて戒翔は近くにいた使い魔に接近して殴り飛ばす。 途端に殴られた使い魔は殴られた瞬間にその身を爆散させる。
「・・・え?」
「御坂先生ッ!?」
「危険だとわざわざ教えて上げたというのに自らその危険に飛び込むなんて訳が分からないよ。」
呆けた表情で目の前の出来事を見ているまどかとその戒翔の行動に驚き名を叫ぶさやか。 そしてそんな戒翔の行動を不思議そうに見て呟くキュウベエ。
「危険? ならそんな危険な場所に大事な教え子がいるのにゆっくりと出来る訳ないだろう?」
そうニヒルに笑って戒翔は攻撃した途端に敵と認識されたのか使い魔に囲まれつつあった。
「さて、魔女の使い魔の強さとやらを見せて貰おうか? ・・・
そう言って戒翔は構えてそう告げる。