フェイトの登場に一時呆然としていたまどか達であったが、戒翔の声で現実に引き戻され今後の話に戻る。
「それで、まどか達はこれからどうする? 魔法少女の危険性は今回の事でいやというほど分かったはずだ。」
「はい・・・」
「わたしももう少し考えてみるよ。」
「そうした方が良い。 無理に結論を出した所で後悔する事になるだろうからな。」
戒翔の言葉に先日にあった事を思い出したのか俯き気味になりながらも二人は返事をする。
「それだと僕が困るんだけどね」
「貴様の事など知った事か・・・インキュベーター。 俺は彼女達を護る。 だが、彼女達以外の事は知らん」
「・・・随分と薄情なんだね・・・僕達からすれば未知の力を有しているキミならば全てを救えると思うけど」
「全て? そんな物は幻想に過ぎん。 本当に護り、救えるのは自身の手に届く範囲と決めている。」
「そうかい。 ならその君の護りたい物とやらをジックリと見させて貰うよ」
そう言ってキュウべえは忽然と姿を消す。
「・・・さて、邪魔者が消えた所で・・・ほむらちゃん、杏子、マミちゃん。 君達が持っているソウルジェムを見せてもらえるか? 魔力の源のような物と見ているが詳しくみさせて欲しい」
「どうしてですか?」
「少し気になる事があってね」
「戒翔が言うなら」
「・・・私も別に構わないわ」
そう言って三人は黄、赤、黒の三色のソウルジェムを戒翔に手渡す。 ちなみに黄がマミ、赤が杏子、黒がほむらである。
「・・・【
戒翔は能力を使って自分の持っていたソウルジェムを杏子たちに返す。
「それで、何か分かったのかしら?」
「魔法少女と言うものがどういうものかが大体ね?」
「どういう事?」
「まだ確証は無いからね・・・これから裏付けを取らなければ話せないんだ。 ごめんね?」
「そ、そんな戒翔さんが謝る事じゃ」
「そ、そうですよ!」
戒翔が心底申し訳ないという表情で告げるがまどかとさやかが慌てて言う
「しかし・・・そうだね。 取り敢えず現状は魔女に対して
「・・・ソレの必要性があると?」
戒翔の言葉にほむらが疑問の声を上げる。
「先の魔女の事で君はこれから出て来る魔女について何か知っている様だけど、これまでの魔女とは訳が違うという事はそれだけ強大な力を有している魔女がこれから出て来るという事なんだろう? なら無理して一人で戦わずに協力する事が出来る様に魔導師組は索敵や防御結界に遠近共に優秀な魔法もある。 それに君達の様にグリーフシードで浄化する必要性も皆無だ。 だから君達魔法少女組と組ませて効率的にそして安全性からしてもこれが最良だと思うんだけど」
「確かにそうね。 けど、魔女の結界の発生する場所をどう特定するのかしら?」
「問題ない。 この町の至る所に魔法技術を使った移動監視カメラの様な物を飛ばし、異常空間を察知すれば自動的に分かるようになっている。」
そう言って戒翔は頭上にホロウィンドウを展開し見滝原市全域のマップが映し出される。
「あ、私たちの街だ」
「・・・これは」
「これが先ほど言ったサーチャー、観測用魔法を使った探し方と言うものだ。 何か動きがあれば連絡を入れよう。」
戒翔の言葉に一応の納得をしたほむらは自身の疑問を口にする。
「アナタはいったい何者なの?」
「何者か・・・答え辛い質問をするんだなキミは」
それに対して戒翔は苦笑しつつも続ける。
「俺の話をする前に君達は神様についてどう考えているかな?」
「質問を質問で返さないで欲しいわね」
「それは俺の質問に答えてから言ってくれ。 ・・・キミは、キミ達は神様についてどう考える?」
「生憎と私は無神論者なものだから知らないわ。」
「わ、私は神様はいると思います!」
「わたしもまどかと一緒です。」
「アタシは元々信じちゃいねぇーな。」
「・・・そうか。 ならこういった現象は初めてかな?」
戒翔の言葉の後に感じた空気がガラリと変わった事に気が付いたほむらとマミが咄嗟に構え、杏子はまどか達と一緒になって唖然としていた。
「・・・なにをしたの?」
「キミなら感じている筈だよ。 俺と似て非なる力を持つキミならね」
その言葉にハッとしたほむらは席を立ち店の扉を開いてその先にある光景に絶句する。
「なっ!?」
「ほむらちゃんどうした・・・」
「これは・・・」
「車が不自然に止まってる?」
「それだけじゃないわ。 人も空を飛んでいる鳥もよ。 でもこれはいったい」
「これが俺の力の一端にして神としての権能でもある。」
後ろから聞こえた戒翔の言葉に外を見ていたまどか達が戒翔の方を見る。
「分かったかな? 俺の正体は」
「本当にあなたは神なの?」
「信じられないのは分かるが、理解し易い様にキミ達だけを避けて停止領域を展開したのだからね。」
「・・・そう。 それであなたが神だとしてどうだというの? 今まで何をしていたのかしら」
「まぁ、この世界に来たのはほんの数週間前だけど他の世界も渡り歩いているから色々な技術や系統の違う魔法や本当に奇跡と呼べる力も知っている。 だから断言させてもらう。 きみのきみ達の事は俺が護る。 護る事・・・それが俺が神となった時に誓った物だ。」
そう言った戒翔の背中には八対の白と黒の相反する色合いの翼が背中から生え、一度だけ軽く羽ばたく。
「それは・・・」
「俺は最初はただの学生だった。 だけどある出来事があって転生する事になった」
戒翔は止まった世界の空を見上げて昔を少し語り始める。
「その転生して世界を回る内の殆んどが醜い世界、悲しい世界、酷い時には世界そのものが崩壊するものまであった。 そんな事を数千数万・・・数える事さえ億劫に成るほどの世界を渡っても救えた世界もあったが救えなかった世界もあった。 そして、繰り返し世界を渡る内に神となる為の器が出来上がり神となった俺が立てた誓いがどんな事があろうと自身の手が届く範囲だけでも人々を護り抜く・・・そして世界を守護する・・・最初の目的からかなり変わってしまったが今の俺の目指すものは皆が普通に笑いあえる世界を護る事だ。」
「・・・それがあなたが神になった理由」
「まぁ、夢物語のような物だけど・・・俺はそれを実現させる為なら人すら止める事を厭わなかったからね。」
「人じゃ無くなって後悔とかってありますか?」
「・・・実際の所後悔をした事なんて無いって言えば嘘になるけど・・・後悔なんてしてたら今まで俺の事を応援してくれた奴等に顔向けできなくなる。 だから後悔している暇があるなら最善の方法を探し出してハッピーエンドを迎える事を考えるね。」
そう言って戒翔は背中の翼を霧散させ、世界の時を戻す。 すると世界は音を取り戻し一時停止された映像を戻すかのようにして街に音が戻って行く。
「・・・ならあなたならこの世界の悲劇の螺旋を止められる?」
力を解いた戒翔の正面に位置取りをしていたほむらが試す様にして戒翔に問う。
「そこに悲劇があるのなら・・・止めて、護ってみせるさ。」
ほむらの言葉に不敵な笑みで答える戒翔
「そう・・・なら見させて貰うわ。 神様としてのあなたの手腕とやらを」
そう言ってほむらは戒翔の店から完全に出て行く。
「・・・あの子は(タイムリープ・・・時間系かそれとも時空間系の魔法を持っている子か・・・そして螺旋と言った意味は彼女が歩いて来たと言う事か・・・)中々に難儀な事だな。」
そう言った戒翔は何処までも変わらない青空を見上げながら困ったような表情をしていた。
変わって戒翔とほむらが会話していろ時にまどか達はフェイトに連れられて店内に戻っていた。
「戒翔の正体と話を聞いて戸惑っているかも知れないけど、彼は本当に自分が傷付くのを厭わずに自分自身に課した目的を果たすの。 こっちがどれだけ心配しても・・・ね。」
フェイトはまどか達が席に着くの見て、開口一番にそう告げる。
「・・・どうして御坂先生はそこまで」
「それは分からない。 わたし達も戒翔といてそれなりに長いけど、戒翔は異常に自身の過去をあまり語りがらないんだ。 それに戒翔はどんなに重症でも無理矢理に動いて自分で護ろうとするからこっちはいつも心配させられっぱなしなんだけどね?」
不安な表情をするまどかにフェイトは首を横に振り儚げでそれでいて寂しそうな表情をする。
「・・・御坂先生ってけっこう馬鹿なのかな?」
「さやかちゃん?」
「だってそうでしょ? こんなにも美人な奥さんがいるのに怪我だらけになっても止まらないで・・・心配ばかりさせるなんて・・・わたしだったら力づくにでも止めてやるのに」
「最初はそうしようとしたんだけどね・・・変な所で戒翔って優しいからね・・・わたし達相手だと確実に手を抜くんだよね。 それでいてわざと負けたと思ったらいつの間にかいなくなって事件とか解決させちゃうから始末に困っちゃうんだよね。」
「戒翔の奴は昔からそんな無茶をしてるのか?」
「そうだね。 シュテル達の時にも最初はボロボロにされて治療に専念した方が良いって言っても聞かずに飛び出して助けに行っちゃうくらいだから無茶な行動は筋金入りかな?」
杏子の言葉にフェイトは思い出す様に言葉にしながら苦笑をする。
「シュテルちゃん達を助ける? シュテルちゃん達に何が」
「わたし達の許可なく過去を語って欲しくはありませんね。」
まどかの言葉に静観していあ筈のシュテルがジト目でフェイトを見つつ非難の言葉を口にする。
「あ、あははごめんね?」
「まどか達もそろそろお暇した方がよろしいのではないでしょうか・・・そろそろ夕刻でしょうし」
苦笑しながら謝るフェイトをちらりと一度だけ一瞥したシュテルは店に立てかけてある振り子時計を見やれば時計は夕刻の五時を指すところであった。
「あ、そうだね・・・また寄らせてもらいますね?」
「うん、いつでも歓迎するよ。 シュテル達の友達だしね?」
「また来るね、シュテルちゃん!」
「学校でも会いますが・・・また来て下さい。 まどか達なら歓迎します。」
「美味しい紅茶をありがとうございます。」
「アレは戒翔が教えた事を実践しただけだから」
「それでも淹れて下さったのはフェイトさんですから」
「ん~、ならどういたしましてと言っておくのかな? またいつでも来てね?」
「はい、また寄らせて頂きます。」
そう言ってまどか、さやか、マミの三人は店の外にいた戒翔にも声を掛けてから帰路につく。
これからどう動くのかは誰も想像は尽かず・・・その先にある未来に希望を乗せ、絶望するのか見事救済されるのか・・・それは誰にも分かる事では無い