妖精の尻尾の音竜   作:ハーフィ

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もう少しで試験だぁ…嫌だァ…

ちなみにアンケートは感想欄で伝えてくれもOKです!


空白の7年

目が覚めたら異世界でした、ではなく7年が経っていた。

 

最初こそ時間の変化に戸惑っていたアミク達ではあったが、持ち前の適応力であまり気にしなくなっていた。

 

そう、彼らは知っているから。

 

時代が変わっても妖精の尻尾(フェアリーテイル)の在り方は変わらないことを。

 

 

 

 

そして彼らは、アミク達────通称、天狼組の帰還を祝って宴会をすることにしたのだ。

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)といえば宴会なところあるしね。こういうのも変わってなくて良かった」

 

アミクはちびちびジュースを飲みながら騒ぐ面々を観察した。

 

 

「私達にとってはほんの数日ぶりなのに…残っていた人達はこういうのは7年ぶりなんだよね」

 

「そうなの。なんだか変な感じなの」

 

アミクの横では、マーチがケーキを突いていた。

 

「マカオがマスターだし、ラキは妙に色っぽくなっちゃったし、ドロイは太っちゃったし」

 

「最後が一番ショッキングだったの」

 

この7年。彼らの生活もあっただろうに、それでもずっとギルドを守ってくれていたのだ。

 

 

彼らには感謝してもし足りない。

 

 

「…やっと、帰ってこれたんだね…」

 

悪魔の心臓(グリモアハート)にアクノロギア。

 

脅威に続き災厄が来たせいで帰る事も叶わなくなるところであった。

 

 

でも、こうしてギルドに座っていると、「ああ、帰ってこれたんだ」と心の底から実感できる。

 

 

思わず涙が出てしまい、指でそっと拭った。

 

 

「…うん、アタシ達は帰って来たの」

 

その様子を見ていた隣のルーシィ。

 

彼女はそっとアミクの頭を撫でてくれた。

 

「そっかぁ…皆で帰れて良かっ───ぎゃああああああ!!!」

 

 

自分のツインテールに触れようとして…アミクは悲鳴を上げた。

 

 

彼女の悲鳴に全員が何事かと注目してくるが、気にしてられない。

 

 

「ツインテが!!私のツインテが!!」

 

 

触れた感触がなかったおかげでようやく思い出したが、アミクのツインテールの片方がアクノロギアの攻撃のせいでばっさり消えていたのだ。

 

 

さっきまでは色々あったので気にしてなかったが、考える余裕ができて思い出してしまったのだ。

 

 

「そういえばツインテールが短くなってるな…」

 

「アクノロギアに斬られたまんまだったわね」

 

グレイとルーシィがそう言っていると、アミクはメソメソ泣きながら残ったツインテールを弄る。

 

「私の…私のツインテールがぁ…」

 

「そんなにツインテール好きなの?」

 

「アミクは昔からツインテールに拘ってるの」

 

マーチがルーシィ達に説明していると、ルーシィが鍵を取り出した。

 

 

「そんな時は!キャンサー!!」

 

ルーシィの金の鍵が輝き、すぐにキャンサーが召喚される。

 

「久しぶりエビ」

 

「キャンサー…?キャンサーは髪を切る星霊じゃないの…?」

 

アミクがしょんぼりしながら聞くと、ルーシィが得意げな表情になる。

 

「まぁ、見てなさいって。キャンサー!アミクの髪を元に戻して!」

 

「了解エビ」

 

キャンサーは両手に持ったハサミを構えると、アミクの切られた髪に向かって目にも止まらぬ速さで振るう。

 

「『育毛スカルプケア』」

 

直後。

 

 

フサァ

 

 

「うわぁ!!戻ったぁ!!」

 

あっという間に切られた髪が復活したのだ。いつも通りの長いツインテールが嬉しそうに揺れた。

 

「やったぁ!!ありがとうルーシィ!!キャンサーもありがとう!!」

 

ぴょんぴょん飛び跳ねて大喜びするアミク。

 

「そんなこともできんのかよ」

 

「キャンサーはヘアメイクのプロなのよ。こんなこともお手の物よ」

 

「最近ヘアメイク目的で呼ばれることが多い気がするエビ」

 

 

ちょっとしょんぼりするキャンサー。ともかく、アミクの髪は無事元に戻った。

 

 

 

 

 

それからはテンションMAXになったアミクも交じってドンチャン騒ぎ。

 

 

「ロメオも火の魔法使えるようになったんだね!」

 

「またギルドの温度上がっちゃうの」

 

アミクが興奮気味にロメオに詰め寄ると、ロメオは得意げに掌に青い炎を灯した。

 

「冷たい炎も出せるぜ」

 

「へー!そんな炎も出せるんだ!…あれ?どっかで…」

 

冷たい炎なんて不思議なもの。以前誰かが使ってたような…。

 

「あと父ちゃんと同じ紫のくっつく炎と、変なニオイの黄色い炎」

 

「くっせー!」

 

ナツが鼻を摘まんで叫んだ。

 

 

「お父さんよりも優秀じゃん!鳶が鷹を産む、的な?」

 

「それ、マカオが聞いたら泣くの」

 

しかし、紫の炎はともかく、屁のような匂いがする炎といえば…そんなカラフルな炎の使い手が居たはず…。

 

「あ、思い出した!幽鬼(ファントム)に居たととと丸だ!!」

 

「『と』が1個多いよ、アミク姉」

 

幽鬼の支配者(ファントムロード)が攻めて来た時に、ジュピターの制御装置を守っていた元・エレメント4の一員だ。

 

ナツの炎さえ操って見せた実力者ではあったが、アミクとナツの前で敗れ去ったはず。

 

「そういえば居たなー、そんなヤツ。アイツの炎、色とりどりで面白かったんだよな」

 

「でも、なんでロメオがその炎を?」

 

「父ちゃんには内緒で、兎兎丸先生の魔法教室行ってるんだ」

 

なんと、彼は幽鬼の支配者(ファントムロード)が解散した後は魔法教室を開いていたらしい。

 

「あいつ…そんな事してたのか」

 

ガジルが嬉しそうに言う。彼がそんな表情をするのは珍しい。

 

元々仲間だった者の安否を聞いて安心するとは、彼も大分丸くなったものだ。

 

アミクは優しい笑みをガジルに向けた。

 

(その変化が、妖精の尻尾(フェアリーテイル)に居たお陰なら、嬉しいな)

 

「何笑ってんだよ。気持ち悪ぃ」

 

「酷い!!」

 

ただ、もうちょっとデリカシーを身につけてほしかった…。

 

「またアイツの炎喰ってみてーな!よし!オレも会いに行こーかな!」

 

「ごめん、ナツ兄の話は禁句なんだ」

 

「でしょうね…あれ、私は?」

 

「むしろ自慢してたよ。「私はあの『音竜(うたひめ)』と会ったことがある!」って」

 

「なんでや…」

 

 

とにかく、ロメオは魔導士として立派に成長したらしい。

 

 

「本当に大きくなったなー…背も高くなったね」

 

「そりゃあ、7年も経てば背も伸びるよ」

 

「それもそうだよね。でも、感慨深いなぁ…あんなに小さかったロメオが…こんなに立派になって…グスッ」

 

アミクが涙ぐみながらロメオの頭を撫でると、ロメオは「親戚のおばさんかよ…」と照れていた。

 

 

 

 

「で、そのロメオのお父さんがマスターなんだよね?大出世じゃん」

 

「そうじゃのう。4代目マスターじゃな」

 

「なーに言ってんだよ、こんなの代行みてーなモンだよ!今すぐこの座返すよ」

 

なんとなくカウンター席の方に行くと、マカロフとマカオが会話していたのでアミクも参加。

 

マカオはマカロフが居ない間の代理マスターみたいなものだから、もうマスターはやめてマカロフに返上する気のようだ。

 

「いや…面白いからしばらくマスター続けてくれい」

 

「面白いって…」

 

しょーもない理由にアミクが苦笑するが、マカオはなぜか恍惚とした表情をしていた。

 

 

「…先代がそう言うならもうしばらく…」

 

「このなんとも言えねーガッカリ感がウケんだけど」

 

「じゃろ? くぷぷ」

 

「あはは…」

 

デレデレするマカオにマカロフとワカバが面白そうに笑い、アミクは再び苦笑した。

 

 

 

 

「あの…リーダスさんこれ……」

 

「ウィ、オレなりにウェンディの7年間の成長を予想して描いてたんだ」

 

ウェンディが画用紙を見て震えていたのでアミクも覗きこんでみた。

 

 

「わ!これウェンディ!?すごーい!」

 

 

そこには今のウェンディが成長したらこんな感じになるであろう女性が居た。

 

 

「綺麗ー!やっぱウェンディは大きくなっても美人さんだね!」

 

アミクが朗らかに言うも、ウェンディの表情は優れない。

 

「あぁ……胸が……」

 

「ん?何か言った?」

 

「…ああ」

 

確かに、なんていうか、お胸が可哀想な事になっているが…。

 

 

「私…大きくなっても大きくならないんでしょうか…」 

 

「ウィ? 何か変なとこある? この絵」

 

ただ、描いた本人であるリーダスは全く悪意がない。だからこそ余計ウェンディの傷が抉られるというもの。

 

 

「だ、大丈夫だよ!あくまで予想だから!!ウェンディもまだまだ成長の見込みはあるよ!」

 

アミクが必死に慰めるも、ウェンディはアミクのたわわの胸を一目見て、更に目を潤ませた。

 

「…アミクさん…」

 

「牛乳!牛乳がよく効くんだって!!」

 

焦って迷信のような話をしてしまった。

 

疑いの眼差しを向けるウェンディから逃れるように顔を逸らすと…。

 

 

 

「ちなみに、ハッピー達のもあるぞ」

 

「ぶはあっ!!!」

 

 

めっちゃ噴いた。

 

 

マーチ達が見ている画用紙にはハッピー達の未来予想画が描かれてあったのだが…。

 

ハッピーとリリーは超ムキムキの筋肉マッチョになってるし(しかもリリーはふんどし)、シャルルとマーチも妙にグラマーな体つきになっていた。

 

ぶっちゃけ、コラ画像にしか見えない。

 

 

「あははははは!!ぶはははははは!!めっちゃウケるんだけど!!アハハハハハッ!!!」

 

アミクは手を叩きながら大笑い。

 

「気持ち悪いわ」

 

「こんなのになるくらいなら、普通に人型に変身する方がマシなの」

 

「なんでふんどしなのだ…」

 

エクシード達の反応もイマイチ。リーダスが無駄に画力が高いせいで余計に面白い。

 

「アハッ!!わははは!!いひひひひひ!!!あ、腹が痛い!!あはははは!!!」

 

「笑いすぎなの」

 

「笑いのツボを突いちゃったみたい」

 

笑い転げるアミクを少し引いた表情で見下ろすマーチ達。

 

アミクはしばらくそうしていると、笑い疲れたのか涙を拭って立ち上がった。

 

「あー、面白い。でも、さすがリーダスだね。絵の上手さは変わってないね…むしろ上達してる?」

 

「ウィ。ずっと絵を描いてたから」

 

「それに随分痩せちゃって…ストレス溜まってたの…?」

 

「いや、魔法で大きくなってただけだし…」

 

7年前までは丸くて大きなお腹をしていたリーダスだったが、彼はマカロフの巨人化の魔法により大きくされていただけなのだ。

 

 

「け…けけ…結婚したのか!お前達!!」

 

そこで、アミクの高性能の耳が興味深い話を聞き取った。

 

「結婚!!?」

 

バッと振り向くと、アルザックとビスカ、そして顔を赤くしたエルザが居た。

 

アミクは瞬時に彼らに食い付いた。

 

「なになになに!!?結婚って聞こえたけど、まさか…」

 

「そうなのよアミク、6年前に結婚したんだけど。聞いてよ、プロポーズ私からなのよ。アルってば…」

 

「その話はよせよ…」

 

幸せそうに笑い合うアルザックとビスカ。

 

 

それを見たアミクは涙をドバーッと流した。

 

 

 

「うわああああああ!!おめでとー!!遅れたけど祝福するよー!!わあああああん!!」

 

「な、なんで泣くのよ!?ありがとね!」

 

「あの初心だった2人が、け、けけけ結婚なんて!!嬉しくて涙出ちゃう!!」

 

アミクも彼らの事は応援していたので、無事に結ばれる事ができて大歓喜だ。

 

 

おめでたい!!

 

「お…おめでとう、不束者だがよろしく頼む」

 

「エルザ、なんかごっちゃになっとるで」

 

顔から煙を噴きながらも祝福するエルザ。その時、リサーナが質問する。

 

 

「素敵ね!子供は居るの?」

 

「娘が1人、アスカって言うんだ」

 

「マジか!!それマジ卍!!」

 

衝撃の情報の連続に動揺しすぎて何言ってんのか分かんなくなってきた。

 

 

 

娘と言えば…。

 

 

「つー訳で──オレがカナの親父だったんだわー!」

 

「コラ!!ベタベタ触んな!」

 

「だってよう、嬉しいんだもんよォ」

 

「その緩んだツラどうにかしろよ! てか下ろせ!!」

 

 

カナを抱き寄せてデレデレしているギルダーツ。カナは迷惑そうな表情をしているが、仕方なさそうな笑みを浮かべていた。

 

まさに、父親の溺愛ぶりに辟易する娘、と言った感じがしてこっちまで嬉しくなってきた。

 

 

「そういえば、エクシードの皆…7年間ずっと心配かけちゃったかな」

 

彼等ともずっと音沙汰なしだったので心配かけたかな、と思っていると。

 

「エクシードは人間とは『時』の感覚が違う」

 

「そうなんだ」

 

リリーからそんな説明が。確かに、マーチを見てると余り時間を気にしているようには見えないので、納得かもしれない。

 

 

「でもいつか会いに行かなきゃなー…ん?」

 

 

そこでアミクはギルドの外で響く足音に気付く。

 

 

「誰か来たね」

 

アミクがそう告げた直後。

 

 

何人かがギルドの戸を開け放って入って来る。

 

 

その人物達は。

 

 

「あー!蛇姫の鱗(ラミアスケイル)!?」

 

「みなさんのご帰還……愛を込めておめでとうですわ!」

 

 

リオンやシェリー、更にはジュラと言った蛇姫の鱗(ラミアスケイル)の面子がやって来たのだ。

 

 

「おおーん」

 

「犬ギレちゃん!それに極眉ちゃんも居る!!」

 

「懐かしいな、その呼び名…」

 

ガルナ島で会ったトビーやユウカも来てくれていた。

 

蛇姫の鱗(ラミアスケイル)に入ったんだっけ。リオンとジェリーは六魔将軍(オラシオンセイス)の件で会ってたけど、君達とは久しぶりだね」

 

「度合いが違ぇだろ。こっちは7年ぶりなんだよ。あとジェリーは誰だ」

 

確かに、アミクの体感からしたら1年にも満たない以前の出来事のようだが、彼らにとっては相当な時間が経っていたのだ。そういう所はちょっと寂しく感じる。

 

「心配したじゃねえかよ!!」

 

「キレんなよ」

 

この2人の漫才も久々だ。そこもお変わりないようでなにより。

 

 

「息災であったか?」

 

 

相変わらず目に眩しそうな頭をしているジュラ。顎には立派な長い髭がたくわえられて、7年前よりも貫禄あるように見えた。

 

 

「7年間歳をとってねえ奴等に言ってもな…」

 

苦笑するユウカ。アミクも釣られて笑った。

 

「また騒がしいギルドに逆戻りか」

 

 

リオンが腕を組みながら笑みを浮かべる。彼はアミクに気付くと嬉しそうな表情になった。

 

 

「アミクちゃん。また会える事ができて嬉しいぞ」

 

「どーも。リオンも元気で良かった」

 

あの告白から会ってなかったので気まずい思いでいたが、意外とリオンの様子が普通だったのでこっちも普通に対応できた。

 

というか、なんだかリオンの態度がどこか吹っ切れたような感じなのが印象に残った。自分を見る目も、以前のように情熱が籠ったものではなく、親しい者を見る目つきだ。

 

 

 

「天狼島の捜索には、天馬にも蛇姫(ラミア)にも世話になったんだよ」

 

「へー!元・連合軍には借りができちゃったね」

 

親交があったギルドが協力してくれたのは嬉しい。

 

 

「気にする事はない。天馬に先を越されたが、実力はオレ達の方が上だしな」

 

「そっちかよ」

 

 

リオンとグレイが話していると、シェリーがやって来て得意げに言い放った。

 

「だってこの7年間で私達蛇姫の鱗(ラミアスケイル)はフィオーレNo.2にまでのぼったんですもの。残念ですわ、アミクさん」

 

蛇姫の鱗(ラミアスケイル)がそこまで昇進するとは。素直に凄い。

 

「No.2!凄いじゃん!あれ、じゃあNo.1は?天馬?」

 

「そんな訳あるかよっ!!」

 

「キレんなよ。いや…天馬じゃないんだが…」

 

「まあ…そんな話はよかろう。皆、無事で何よりだ」

 

「おおーん」

 

蛇姫の鱗(ラミアスケイル)の思いやりに、アミクがまたしても涙が出そうになっていると…。

 

 

 

 

ジュビアの顔をじっと見つめるリオン。

 

 

ジュビアがキョトンとしていると…。

 

 

リオンの瞳が輝き、頬が赤く染まった。

 

 

「この感じ…アミクちゃんに惚れていた時の感覚と同じ…これが一目惚れというものか」

 

「…お?」

 

 

「え?え?え?」

 

 

そのままジュビアの肩を掴むリオン。

 

呆けた顔で目を白黒させるジュビア。

 

 

「わー、直球だねー」

 

 

それを顔を赤くしながら見るアミク。

 

 

「まためんどくせー事になってきた!!」

 

『リオン、意外と惚れっぽかったのか…』

 

グレイが頭を抱え、ウルもリオンの新しい一面を知って、嬉しいような悲しいような、複雑な気分。

 

 

 

「つーか!アミクはどうした!!」

 

 

「この7年の間で気持ちの整理が付いて、踏ん切りがついた。だが、だからと言ってあの頃の気持ちが色褪せるわけではない。

 あの時の恋は大切な思い出として心にしまってある」

 

「それに」とリオンは続けた。

 

「あの想いが、オレに新たな愛を導いてくれたのだ」

 

「だから!お前そんなキャラじゃなかっただろぉ!!」

 

グレイが頭を抱えて絶叫した。

 

 

「ちょ…ちょっとコレって…ジュビア…修羅場!!」

 

 

「かんべんしてくれ」

 

『こりゃ、また面白そうな事になったな』

 

 

またまた荒れそうなこの状況。よりによってジュビアを好きになってしまうとは。

 

(新しい恋が見つけられたようで良かった…)

 

振った側としてはちょっと罪悪感があったが、今のを見ると全然大丈夫そうだ。

 

 

ビリビリビリ…!

 

 

「なんだ?急に痺れが…」

 

リオンがキョロキョロ周りを見回すが、何もなし。アミクも首を傾げた。

 

「この謎現象、何なんだろ。たまにあるんだよね」

 

アミク達は知らぬことだが、これぐらいで済んで良かったと言うべきだろう。

 

これでリオンが未だにアミクに好意を持っていたら、どうなっていたか分からない。

 

リオンは命拾いしたとも言える。

 

 

 

 

その時。

 

 

「また誰か来た…」

 

アミクが再びギルドの外の足音を聞きつけた。

 

ドタバタと慌ただしい音がした直後、戸が開け放たれて二人の男が駆け込んできた。

 

「『妖精』が帰って来たって本当かよ!?ママも驚きすぎて腰を抜かすぜ!!」

 

「ウェルカムバック!!『妖精(フェアリー)』!!」

 

「何か来た―――!!」

 

アミク崇拝者の兄弟、バニッシュブラザーズのご来訪だ。

 

 

「誰ですの、この不躾な人達は?」

 

「2人組かよ!!」

 

「キレんなよ…あいつら、バニッシュブラザーズじゃねーか」

 

蛇姫の鱗(ラミアスケイル)が彼らをジロジロと見るが、バニッシュブラザーズはアミクを見つけると、バッと駆けつけてきた。

 

「わわわわ!!なに!?なに!?」

 

「会いたかったぜ妖精!!」

 

「再会できるとは真にハッピーだ!」

 

そして、抱きつかんばかりの勢いで飛び込んできて…。

 

 

バリバリバリ!!

 

 

「「ぎゃああああああ!!!」」

 

 

突然、何もない空間から放電が起こり、2人は痺れて白目を剥いた。

 

 

「わー!!なんなのさっきからー!!」

 

謎の人物達と謎の現象に頭を抱えるアミク。

 

 

 

彼女は近くのナブに聞いた。

 

 

「この人達、誰?スマッシュブラザーズとか言ってたけど。大乱闘する人達?」

 

「バニッシュブラザーズな。つーか憶えてねーのかよ。昔お前に救われたって言ってたぜ?」

 

救われた…?生憎、助けた人全てを憶えているわけではないのだが…。

 

 

 

「ほ、ほら!オレ達だよ!エバルーの屋敷で…」

 

「あー!はいはい思い出しました!!なっつかしーねー!」

 

何気にルーシィと初めて仕事に行ったやつだ。居ましたね、そんな人達。

 

 

「こいつらもオレ達のギルドを何度も助けてくれたんだ」

 

「本当!?マジ感謝!!ありがとー!!」

 

 

アミクは2人の手を取るとブンブン上下に振った。ちょっと怪我を治してあげただけで助けてくれるとは、この人達は良い人だ。

 

 

「あんたが帰って来るまで、せめてオレ達にできることをしようと思ってな」

 

「受けた恩は忘れない。これでも、まだ足りないくらいだ。これからも困った事があれば、いつでも我々を頼ってくれ」

 

ちょっと照れた様子の2人がそう言うと、アミクは嬉しそうに微笑んだ。

 

自分の起こした行動が妙な縁を作る事になるとは、何が起こるか分からないものだ。

 

 

「うおっ!?寒気が!?」

 

「ワッツ!?」

 

唐突にバニッシュブラザーズが震え上がったが、些細な事だろう。

 

 

それからはバニッシュブラザーズも交えて飲めや食えやの大騒ぎ。

 

 

そんな中。

 

 

「じゃーん!これがアスカ!」

 

 

「かーわーいーいー!!」

 

 

リーダスが描いてくれた娘の絵を見せてくるアルザック。

 

 

その名もアスカ。

 

 

凄く可愛らしい顔立ちをしていて将来が楽しみな子だ。

 

 

「これはぜひとも実物をお目にかかりたいねぇ…」

 

「アミク、おっさんくさいの」

 

あのアルザックとビスカの娘…一体どんな子なのだろうか。

 

 

「ほんと、ウェンディみたいにちっちゃくて可愛い!!」

 

 

アミクがそう誉めた瞬間。

 

 

ウェンディがショックを受けた顔になった。

 

 

 

「そんな…!!アミクさん、ひどい…!!」

 

 

「ふぇえええ!!?」

 

 

 

そして、顔を両手で抑えて泣きながらギルドの外に飛び出してしまった。

 

 

「何言ってんのよアンタは」

 

「あーあ、ウェンディ可哀想なの」

 

シャルルとマーチが責めるようにアミクを見ると、彼女は焦って首を振った。

 

「小さいって、胸の事じゃないよ!!誤解なんだよぉ!!」

 

 

 

過敏になっている彼女に迂闊な事を口走ってしまったアミクだった。

 

 

 

 

 

 

そうして、様々な人達にアミク達の帰還を喜ばれ、祝られた。

 

 

そして、彼らの変化を見て、本当に7年も時が経ったのだ、と実感したのだった。

 

 

 

 




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