がんばります。
「わははははは!!よーしもう1回行くぞー!!ソウルはいつでもワイルドォ…」
『フォ――――!!!』
「…って私達何やってんだろ…」
アミク達は昨日の酒場でバッカス達と共に過ごしていた。
エルフマンの漢気に惚れたバッカスがこの酒場にまで遊びに来たのだ。ちなみに付き添いでロッカーという男も一緒である。
「わははは!!アンタらいいノリしてるよ!」
「それはお互い様でしょー!」
「昨日アミクがやってたの見て楽しそうだって思ってたんだよな〜!」
「思い出させないでよ…」
「良いノリっぷりだったの」
周りでは酔い潰れたり疲れたりして眠っているメンバー達の姿。お祝いで浮かれすぎてしまったらしい。
バッカス達と楽しく談笑していると、そろそろ遅いのでロッカーが「宿に帰らねぇと」と言い出す。
「エルザはまだかよぉ!」
「そういえば、遅いね…」
「なんか用事があるとか言ってたけどな」
エルザが何処かに出かけて結構経つがまだ帰ってくる様子はない。用事が長引いているのだろうか。…襲われたりしてなければいいが。
「腕はもう大丈夫なの?」
「一晩寝ればどうにかなるって!」
「ワイルドだろぉ?」
「そのセリフをここで聞くことになるとは思わなかったよ…」
回復力の早さも驚異的、ということか。
「おっと、忘れるところだった」
いよいよ帰ろう、というところでバッカスが振り向く。
「エルフマン、つったよなぁ。アイツに伝えといてくれ。ワイルドなバトルだったぜ。また大会中に当たんの楽しみにしてるってな」
大分エルフマンの事が気に入ったらしい。
「伝えといてやるよ。オレもお前と闘ってみてぇしな」
「次もウチが勝つからね!」「プンプーン」
それにしても、このようにして
ギルドの垣根を超えて仲良くしているのを見ると嬉しくなる。
「オレはお前とも闘ってみてぇけどな、アミク」
「その機会があったらね。負ける気はないよ!」
「ハハッ、それでこそ魂が震えるってモンだろ?漢ォ―――!!」
『フォ――――!!』
なんだかんだノリの良いアミク達であった。
バッカス達は上機嫌に出て行った。
「そういえばじっちゃんは?」
「バッカスと飲み比べして酔い潰れてたよ」
「その辺に転がってんじゃねーか?」
話しながらなんとなくルーシィの顔を見てみると、彼女の表情が浮かないように見える。
「どしたの、ルーシィ。そんなブロッコリー踏んじゃったような顔して」
「アンタにしか当て嵌まらない例えはやめてくれる!?…セイバーの星霊魔導士のこと」
「ユキノさん…でしたよね」
今日の最後の試合で敗北した人の事だ。
「凄かったよねー、黄道十二門の二体同時開門にあのデカイ蛇の星霊!…結局負けちゃったけど」
アミクが苦笑すると、ルーシィは心配そうな顔になる。
「命を賭ける…なんて言ってたから、これからどうするんだろうと思って」
「ちょっとー…考えないようにしてたのに〜…気になってきたじゃん。あー!心配だな…」
アミクは気を紛らわすようにツインテールを弄った。
「他所の心配している場合じゃないんだけどな…」
『人が良すぎだよ、アンタ達』
グレイは呆れ顔。しかしナツはあっけらかんと不敵な笑みを浮かべた。
「なーに、まだ3日もあるじゃねぇか。ここからだ」
「だね。明日も今日の勢いに乗って頑張ろー!」
「プンプーン」
アミク達が意気込んでいると。
「おーい!おめぇらに客だぜ」
さっき帰ったはずのロッカーが戻って来てそんなことを告げたのだ。
「客?」
「此処だよ、此処」
ロッカーが誰かに手招きすると、その人物達が現れる。
「リオン!?と…アシュリー…だっけ?」
「シェリアさんですよ、アミクさん…」
リオンとシェリアが酒場に乱入してきたのだ。
『出たぞ色欲魔人め…』
ウルさん、弟子に向かってそれはどうかと。聞こえてないとはいえ。
「げぇえっ!!?」
グレイ、真っ白。面倒な奴が来ちまった!とでも思っているのだろう。しかもここにはジュビアもいるので修羅場になること間違いなし。
思った通りリオンはジュビアとグレイに絡みに行った。
そして、シェリアは。
「こんにちは!」
「あ、どうも…シェリアちゃん…だよね」
「シェリアでいいよ」
何故かアミクに話しかけてきた。
「昨日の試合、凄かったよ!魔法も凄かったけど、何より貴方の愛を感じた」
「ええ…あの闘いで…?」
愛を感じる要素などあったのだろうか。
「うん!ギルドに対しての愛が伝わってきたよ!」
「あ、なるほどね」
そりゃあ、ギルドのために闘っているからね。
しかしこの子も『愛』か。こういうとこはシェリーの従姉妹っぽい。
シェリーとシェリアとの類似点に理由もなく安心していると、シェリアが笑みを浮かべたまま問いかけてきた。
「ところで、あの黒い魔法…どこで覚えたの?」
黒い魔法?滅神魔法のことか。
「…実は、私もよく分かんないんだよね。いつの間にか使えてた、って感じ」
「…ふーん」
それを聞くとシェリアは難しい顔をして考え込んでしまった。…何か、滅神魔法について知っているのだろうか。
しかし、彼女はすぐに笑みを浮かべ直して顔を上げる。
「じゃあ次の質問!リオンの事は愛しているの?」
「ぶぶ!?」
ガタン、とラクサス達がいる方向から音が鳴った。
つい赤くなって顔を逸らすもシェリアの視線は答えるまで逃さない、と言っている。仕方なくアミクは答えた。
「愛してるってわけじゃないけど…ただ、友達としては好き…かな…?」
慎重に答えると、シェリアは満足したのか「そっか!」と大きく笑みを作る。
「それならいいの!それじゃ、もし大会で当たったらよろしくね!」
シェリアはアミクに手を振るとリオン達の方に混ざりに行った。
しかし、少し気になっていた少女から話し掛けられるとは。あっちもアミクから何かを感じたのだろうか。
シェリアと近くで接したことによって彼女の魔力もより強く感じられた。やっぱり、身に覚えのある魔力が漂ってきていた。
あと、気になったことと言えば…。
「…あの歳で胸でかくない?」
「はうっ!?」
無意識にアミクが呟くと、ウェンディがショックを受けた。
●
「ぷはーっ!! 食った食った」
「食べ過ぎだよ、ナツ」
「そういうアンタもブロッコリーと卵ばっかり食べすぎよ」
「満足なの」
アミク達は酒場から出てナツ達の宿に向かっていた。
「宿はこの辺りなんですか?」
「うん!もうすぐよ」
ウェンディはずっと医務室で過ごしていたので、宿に行くのは初めてである。
「もしかして、皆同じ部屋なんですか?」
「ホント、ナツはイビキうるさいし、グレイはすぐ裸になるし、エルザはあたしのベッドに入って来るし…」
ルーシィも色々苦労しているようだ。
「アミクの方はどうなのよ?」
「うーん、マシな方じゃないかな?時々ミラさんのベッドに潜り込むと抱き締めてくれるし」
「リサーナだと思ってるのかもね」
「『エルフマン…エルフマン…』って寝言言うんだけどね…」
「なんでそっちと間違えてるのよ!?」
アミクは全然筋肉質じゃないのに。
「ガジルもイビキうるさいけど私には関係ないし」
「それもそうね」
「謎なのはラクサスかな。この前、真夜中に起きたらラクサスが血走った目でガン見してきてたからビックリしたよ」
「大丈夫なのそれ!?」
「ラクサスがいつケダモノになってもおかしくないの」
「…?そんな時はミラさんも偶然起きてるんだよね。2人は気が合うのかな」
「ミラさんが抑止力になってる!?」
自分に関することになるとポンコツ化するアミク。
ルーシィ達はそんなアミクをめっちゃ心配そうな目で見つめた。
「大丈夫かしらこの子…。いつか襲われそうで不安で仕方がないんだけど…」
「ミラジェーンを信じるしかないわね…」
「もしもアミクに手ェ出したらあの顔面に傷を増やしてやるの!!」
「はう〜!…」
「プクク、ラクサスとアミクの赤ちゃんを想像したら笑えてきた…!」
ハッピーはマーチに無言で爪で引っ掻かれた。
「さっきからなんの話してんだ?」
「さぁ?襲われるとか言ってたからレイブンの話じゃない?」
ちょっとアホな子のアミクとナツ。
「…あ、一番ヤバイのはジュビアだね。ずっとジュビアのベットから『グレイ様…グレイ様…ぐふふ…』とか聞こえてくるから」
「怪奇現象かっ」
グレイが聞いていたら卒倒しそうな話である。
「そう言えばそのグレイとエルザは?」
「グレイは気の毒ね。乱入してきたリオンにつかまったみたい」
ついでにジュビアも混ざっていたのであれは長引きそうだ。
「エルザは?」
「そう言えば見てないわね」
ハッピーが口を押さえていやらしい顔になる。
「もしかして…ちゅっちゅちゅっちゅ」
「はぁ?」
「ハッピー、キモいの」
「ガーン…」
ハッピー、大ショック。
「1人になるなとか自分で言ってたのにね」
「エルザなら大丈夫でしょ」
「むしろエルザが1人だと止める人が居ないから、襲う人の方が危険だと思うの」
それは言えてる。
シャルルがハッと気づいたようにアミク達を見た。
「っていうか、なんでアンタ達がこっち来てるのよ?宿が違うでしょ」
「いいじゃん別に。私だってもう少しルーシィ達と一緒に過ごしたいし」
「寝る時はあっちに戻ればいいの」
アミクの宿は此処からそう離れてもいないし、大丈夫だろう。
「ん…?」
アミクは向こうの方に人影が見えることに気付いた。
「誰か居るよ?」
「ホントだ、あの人は…」
「目ぇ良いわね、アンタら」
その人影に近づいてよく見てみると。
「…あ!あの人はセイバーの星霊魔導士…?」
なんとユキノだった。
●
一旦宿屋にユキノを上げて話を聞いてみる事に。ルーシィとユキノが向かい合い、アミク達はルーシィの後ろで話を聞く。
ナツは
アミクが紅茶を出すと、ユキノは軽く感謝を述べて一口啜った。そして話し出す。
「用事?あたしに?」
彼女はルーシィに用があったそうだ。
「はい。ルーシィ様に大切な用事があり、伺いました」
「セイバーが何の用だよ」
「コラ、そんなこと言わないの。話だけでも聞いてあげよ?」
「あつかましい申し出ではありますが…」
ユキノはテーブルの上に何かを差し出した。それは、2つの金の鍵。
「これを──双魚宮の鍵と天秤宮の鍵。この2つをルーシィ様に受け取っていただきたいのです」
「え!?」
アミク達は二の句が告げなかった。星霊魔導士の生命線でもある鍵を、それも黄道十二門を手放すなんて。
しかし、ユキノの表情は本気だ。
「そんな…無理よ。貰えない」
当然、ルーシィは拒否する。だが、ユキノは言葉を募った。
「1日目、あなたを見た時から決めてました。大会が終わったら、この鍵をお渡ししようと」
「大会終わってねーじゃん」
まだ2日目が終わったばかりだ。まだまだこれからだという時になぜ。
「私の大会は終わりました」
「どういうことなの…?」
「もう、大会には出ないってこと?」
「はい」
アミク達はどう反応すべきか困り、互いを見あった。もしかして、今日の敗北のせいでチームから外されたのだろうか。
しかし、そんな微妙な空気にも構わずユキノは続けた。
「私の代わりにはおそらく、ミネルバ様が加わるでしょう。これで
最強の5人。そう言えばギルドでも似たような話を聞いたような気がする。
セイバーが強くなったのはマスターが変わったのと、もの凄い魔導士が5人加入したのがきっかけだと。
「貴方はその『5人』に入ってなかったの」
「私などはまだ新米でした。仕事中だったミネルバ様の代わりを任されたにすぎません」
ユキノの代わりにそのミネラルウォーターという人が入るらしい。
「いや、それはともかく。なんでルーシィに鍵を?大切な星霊なんでしょ?」
別にチームから抜ける事と鍵の件は全然関係ないはずだ。
「だからこそ、私より優れた星霊魔導士であるルーシィ様の許において頂いた方が、星霊達も幸せなのです」
覚悟の決まった瞳。それ中には星霊への愛情も確かに存在していた。だがルーシィは遠慮する。
「嬉しい申し出だけど…やっぱりあたしには…」
「あなたはすでに黄道十二門の鍵を10コも揃えています。この2つと合わせて──12の鍵全てが揃うのです。世界を変える扉が開く」
「世界を変える扉?」
なんだか大袈裟なワードが出てきた。
「どこでもドア?」
「それ、変わるのは世界というか世界観なの」
ですよね。
「ただの古い言い伝えです。私にもその意味は分かりません。もうお気づきかもしれませんが、この数年で星霊魔導士の数は激減しました」
それは感じている。滅多に見ない…というかルーシィの他の星霊魔導士なんてエバルーとエンジェルぐらいしか見た事ない。
今じゃ彼らも星霊魔導士ではなくなってるだろうし…。
(エンジェル…?)
そうだ。思い出した。ユキノの匂い。どこかで嗅いだことがあると思ったら彼女と匂いが似ているのだ。
よく見ると姿も似ている気がしなくもない。それに、星霊魔導士という共通点。
アミクの中での推測が信憑性の高いものへとなって行く。
ユキノはエンジェルの血縁者なのでは?
しかし…確固たる証拠がない。
(まぁ、例えそうだとしても何だって話だけど…この場で言うこともないしね)
伝えて何になるのかも分からないのに、迂闊なことは言えない。
とりあえず、このことは胸にしまって話の続きを聞く。
「もはや星霊魔導士は私達だけかもしれません。あなたは星霊に愛され、星霊を愛する方です。12の鍵を持って、星霊と歩むべきです」
ユキノなりにルーシィの事を認めているのだろう。それは嬉しい。しかし、ルーシィがどう答えるか…。
ルーシィはじっと机の上にある鍵を見て考え込んでいる。
いや、考えるまでもなかったかもしれない。
もう答えは決まっていたから。
「やっぱり受け取れない」
ユキノはハッと息を飲んだ。
「星霊魔法は絆と信頼の魔法…そんな簡単にオーナーを替わる訳にはいかない」
この星霊達とユキノの間にはルーシィ達のような深い絆がある。
ルーシィにはその絆を切れない…切りたくないのだ。
「──簡単……な決意ではないのですが」
その言葉はアミクだけに聞こえた。
「え?」
「いいえ…あなたならそう言うと思っておりました。いずれ時が来れば、おのずと12の鍵は再び揃うでしょう」
予言染みた言葉を言って、ユキノは笑みを浮かべた。ルーシィも微笑み返す。
「またお会いできるといいですね」
それだけを言い残してユキノは去ろうとした。
「ちょっと待って」
それをアミクが呼びとめる。
「君、さっきルーシィにあげた方が星霊達も幸せだって言ったよね?」
「は、はい…」
ユキノは首を傾げた。何か問題あったのだろうか。
「確かに、ルーシィの所に居たら星霊達は幸せだと思う」
「も、もう!」
ルーシィが照れた。
「でも、結局星霊が幸せかどうかを決めるのは君じゃなくて星霊自身だと思うんだ」
「…!」
ユキノは目を丸くした。確かに、ただ自分が勝手にそう思っていたが、星霊の気持ちは考えていなかった。
「君の星霊が君の元にいても幸せだって思うのなら、これからもずっと大切にしてあげて?一度話し合ってみなよ」
星霊達は大切な友人でもあり、大切な仲間なのだから。彼らの意思を踏みにじってはならない。
「…はい…ありがとうございます」
ユキノは嬉しそうに…少しだけ心が軽くなったように微笑むと、今度こそ宿を去ったのだった。
●
「お――――い!!」
「また呼び止めてごめんだけど、ちょっと待って――――!!」
ユキノは後ろから聞こえてきた声に振り返る。
「ナツ様、アミク様…それにハッピー様とマーチ様」
ユキノが立ち止まり、アミク達も彼女に追いつく。
ナツは頭を擦りながらユキノに話しかけた。
「いやぁ悪ィ悪ィ、お前悪ィ奴じゃねーんだよな」
「本当、ナツが感じ悪かったでしょ?気を悪くさせたらごめんね?私もさっき出過ぎた事言っちゃった気がするし」
アミク達が言うと、ユキノは目を見張った。
「ホラ…ナツってば
「ホント、ナツは単細胞なの」
「んだとコラァ!だからこーして謝りに来たんだろーが」
「…謝る?」
呆然とするユキノ。まるで今まで謝られたことなどないかのような反応。
ナツは二カッと笑う。
「ごめんなー」
「軽いっ!やり直し!地面に頭を付けて土下座!誠意を込めて!私も一緒に謝るから!」
アミクが口うるさいオバハンみたいになった。
「そ、そこまでやらなくても…」
「ごめんね、これでも少しは大人になったんだよナツは」
「なの。でもまだまだお子ちゃまだから世話が焼けるの」
「どーゆー意味だよそれっ!」
ユキノは呆然としたままナツ達の行動の意味を認識しようとしていた。
「わざわざその為だけに、私を追って…?」
「お前、ずいぶん暗い顔してっからさ。オレ、気分悪くさせちまったかな…って」
「ナツが人の顔色を窺った!?」
「そんなバカななの。あの無神経でデリカシーのないナツがなの。明日はきっと城が降ってくるの」
「お前らオレの事バカにしすぎだろ!?」
ナツがプンスカ怒りだした。
「…いいえ、すみません…」
「いやいやいやいや、謝られても困るんだけど」
「そうだよ!悪いのはナツなんだから」
ユキノの体が震えだす。ハッとしてユキノの顔を見ると、彼女の目から涙が流れていた。
「泣かれても困るんだけど―――!?」
「わわわっ!もしかしてどこか痛い!?」
「あーあ、ナツが泣かしたの!」
「オレが悪ぃのか!?」
急に泣き出したユキノの前で慌てていると、彼女がへたり込んだ。
「もう…ダメです。私…人にこのように気を遣われた事がないもので…」
いや、どんな不憫人生だよ。
と、ツッコミたくなるセリフだった。彼女は嗚咽しながらも続ける。
「私…ずっと
「ど、どういうこと!?」
「たった1回の敗北で…やめさせられたのです」
「え!?」
まさか、1回負けただけで…ギルドを辞めさせられた…?
「大勢の人の前で裸にされて…自らの手で紋章を消さねばならなくて…悔しくて、恥ずかしくて…自尊心も思い出も全部壊されちゃって…それなのに私には帰る場所がなくて…!!」
「そんな…!」
「なんなのそれ…!!」
だから、ルーシィに星霊を授けようとしていたのか。
自分には、もう居場所がないから。
ナツは歯を食いしばった。
「悪ィけど、他のギルドの事情はオレ達には分からねえ」
「ナツ!」
ハッピーが咎めるように声を出す。
「はい…すみません。私…つい…」
「他のギルドだけど…『同じ魔導士』としてなら分かるぞ」
ナツの言葉は静かだった。だが、燃えたぎる激情が込められているのをヒシヒシと感じる。
アミクは唇を噛んだ。そして、優しくユキノを抱き締める。
「アミ、ク様…?」
(こんなに震えて…)
よっぽど辛い思いをしたのだろう。彼女の体は酷く小さく感じた。
「辱められた上に紋章まで消されて…それも、1回負けただけで…?」
女の人の尊厳を奪っただけでなく、魔導士としての誇りも踏み躙るような真似を…。
「辛かったよね…悔しかったよね…悲しかったよね…仲間を泣かせるなんて…ギルドを、何だと思ってるの!?」
ユラユラとアミクの怒りに反応するようにツインテールが揺れる。
「そんなの…ギルドじゃねえ…!!」
ナツの瞳の奥には、煮え滾っている憤怒の炎が覗いていた。
(仲間…)
その言葉は、ユキノの心に深く染み込んだ。
今日初めてスマブラSPやりました。
難しかったです。小ジャンプ攻撃が難しい。