妖精の尻尾の音竜   作:ハーフィ

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未来ルーシィが…未来ルーシィが…


扉を閉める者

城内ではアミク達が未だに交戦中だった。

 

「『音竜の輪舞曲(ロンド)』!!」

 

「『森林帯』!!」

 

「またそれ!?」

 

ウオスケの地形を変える魔法が厄介でアミクの魔法の弱点を突いてこようとする。

 

「タイターイ、何度やっても同じっタイ」

 

「けど、それくらいは!『音竜の追複曲(カノン)』!!」

 

「タイ!!?」

 

アミクの両手から放たれた音の塊が森林を貫き、ウオスケにまで迫る。

 

「ひょ、『氷山帯』!!」

 

間一髪、ウオスケの目の前に出現した氷山に直撃して強烈な衝撃波を放った。

全てを防ぎきることはできずに衝撃波に巻き込まれたウオスケが後ろに吹っ飛ぶ。

 

「イタタ…あ、危なかっタイ…」

 

ヨロヨロと立ち上がるウオスケ。そんな彼を守るように兵士達がアミクの前に立ち塞がった。

 

「我々が相手します!」

 

「大人しくやられろ!!」

 

「もう!しつこいなぁ!」

 

 

 

 

「なのっ!!」

 

マーチを絡め捕ろうとしてくる植物を避ける。

 

「逃がさないわよ?子猫ちゃん」

 

コスモスはあちこちから植物を生やしてマーチに伸ばした。

 

「さっきから鬱陶しいの!!『マーチサイクロン』!!」

 

マーチは体を回転させて周りの植物を切り飛ばした。

 

「いい加減諦めろなの!」

 

「いけない子ね。往生際が悪いのは美しくないわ。貴方こそ諦めたら?」

 

次から次へと植物を生やしてくるコスモスに苛立つマーチだった。

 

 

 

 

正確な時間も分からない。窓の外を見るに暗くなっているから夜だとは思うが、どれくらい長い間戦っていたのやら。

 

「早くみんなに伝えないといけないのに…!!」

 

どんどん増援はやってくるし、アミク達も消耗するし。体力と魔力もそろそろキツイ。

 

「なの!?元に戻っちゃったの!」

 

マーチも変身を維持する魔力が尽きてしまったのか、猫の姿に戻ってしまった。

 

「あら、こんなにちっちゃくなっちゃって…可愛い♪」

 

「ぐぬぬぬ、なの…」

 

マーチが不利になってしまったのを悟って余裕たっぷりにマーチを見下ろすコスモス。

マーチは悔しげに歯噛みした。

 

 

「もう怒ったー!!処刑だー!!」

 

進展のない現状に頭にきたのかナツが苛烈に暴れだした。

 

「全員まとめて処刑だー!!」

 

「落ち着いて…」

 

怒りに任せて暴れてたらすぐに力尽きてしまう、と危惧したアミクがナツを宥めるが、彼女の声にも疲れが滲んでいる。

 

このままだとまずい。

 

「ハッピー!シャルル!貴方達は先に行ってみんなに伝えて!!」

 

「あいさー!」「分かったわ!」

 

彼らなら飛んで兵士達の間を通ることができる。だから先に行かせようとしたのだが。

 

「わあ!?」「きゃっ」

 

「タイターイ、そうはさせないタイ!」

 

ウオスケがハッピー達の重力を操って身動きをとれなくしてしまったのだ。

 

「またお前か!」

 

「お前達はこの城から決して───タイ?」

 

ウオスケは足元に違和感を感じて足を見下ろした。

すると、なんと不気味に蠢く黒い何かがウオスケの足を浸食していたのだ。彼だけではない、周囲の兵士達にもその異変は及んでいた。

 

「タイ!?これはいっタイ…!?」

 

困惑するウオスケ達。

 

「何これ…もしかして、影?影が動いてる!?」

 

困惑しているのはアミク達も同じだった。

 

影は浸食するだけに留まらず、兵士達を影の中に引きずり込み始めたのだ。

底なし沼のようにズブズブと沈んでいく恐怖で悲鳴を上げる兵士達。

 

「何事!?」

 

「影が、人を呑み込んで…!」

 

「何?魔法なの!?」

 

餓狼騎士団も戦闘を中断してその異様な光景を見つめていた。

 

「う、うわっ!?」

 

兵士達を呑み込んでいた影がさらに広がる。

影はもっと周囲の兵士や餓狼騎士団をも引きずり込もうとしていた。

 

なぜか、アミク達は対象外のようで影に呑み込まれていない。

 

「タイ?沈んでいくタイ!」

 

「離すなよウオスケ!パーン!」

 

共に沈みながらもウオスケを助けようとしていたネッパー。

その努力も空しく、2人の手が力なく離れてしまった。

 

「何なのよ、これ!」

 

「きゃ、きゃああ!!」

 

「カミカ!コスモス!!」

 

カマは沈んでいくコスモスとカミカを鎌に掴まらせて引きあげようとしたが、自分も影に浸食され、徐々に沈んでいってしまう。

 

「おのれぇ!!が、餓狼騎士団、これしきのぉ…!!」

 

「…あ…!」

 

アミクは反射的に手を伸ばした。邪悪な感じのする影に呑まれる彼らが、光のない闇に堕ちていくようで。

 

「ダメよアミク!アンタも巻き込まれちゃう!」

 

ルーシィがアミクの服を掴んで引き止める。

 

「でも…」

 

「もう…手遅れよ…」

 

カマが「姫様ぁ…!!」と断末魔を残して影に呑み込まれてしまった。

 

 

「何よ…これ…私は、こんなの知らない…!!」

 

未来ルーシィは呆然とその光景を見る。彼女の記憶には全くない光景だった。

 

「王国兵が皆…」

 

「影の中になの…!?」

 

結局見ている事しかできなかったナツ達。

アミク達を除いて呑み込んでしまった影がしばらく霧のようになってその場に留まる。

 

そして、その影の中から人影が覗いた。

 

 

「誰かいる!!」

 

「皆、気を付けてなの!」

 

あの人物がこれをやった張本人なのか。

アミク達は警戒を怠らずに人影が姿を現すのを待ち構えていた。

 

 

 

出てきたのは薄笑いを浮かべた男性。

 

「お前───誰だ?」

 

ナツが静かに問う。

 

 

「影が伸びる先は…過去か、未来か、人の心か…」

 

切れ長の瞳。頭の左側でポニーテールで纏めている長い白髪。また、右目から鼻までに大きな傷があった。

 

アミクにはその男に既視感を感じる。

 

誰かとそっくりだ…。それに匂いも覚えのあるものだ。

 

いや、待て。この匂いはまさか…。

 

「懐かしいな、ナツ・ドラグニル。アミク・ミュージオン」

 

そして、その声も。少し声変りはしているようだが声質は変わってない。

 

やはり、彼は…。

 

「オレはここより先の時間から来た───ローグだ」

 

彼はアミクの脳裏に浮かんでいた名前を告げた。

 

 

 

「ローグ…」

 

スティングのコンビ。剣咬の虎(セイバートゥース)の『双竜』の片割れ。

 

「ローグ…?お前、ローグなのか!?」

 

「あの剣咬の虎(セイバートゥース)の!?」

 

ナツ達も呆気に取られて男───未来ローグを見つめた。

 

確かに面影はある。しかし、何と言うか…今のローグと比べると何かが違う。

外面的な話ではなく、内面に違和感を感じた。

 

「未来から来たって言うの…?」

 

「あたし以外にも…」

 

未来ルーシィの他にも時間を渡って来た者がいたのは予想外だったが、すでに未来ルーシィという実例を見ていたアミク達の動揺は小さかった。

 

それより、気になるのは…。

 

「なんで、未来から来たの…?もしかして、ローグも未来を救いに?」

 

アミクの問いにローグは薄笑いを浮かべたまま答えない。

 

「王国兵を一掃して、助けてくれたのかい?」

 

「お前なんか雰囲気変わったな」

 

「答えてよ。…何しに、来たの?」

 

アミクが再度問うと、未来ローグが口を開く。

 

「扉を開く為」

 

「エクリプスの事!?」

 

知っているのか。エクリプスの事を。

 

ローグが説明する。

 

「エクリプスには2つの使い道がある。1つは時間移動。もう1つは攻撃用兵器、E(エクリプス)・キャノン。1万のドラゴンを倒せる唯一の手段」

 

それは初耳だ。扉が兵器になるなんて考えもしなかった。

 

「じゃあ話は早ェな、味方って事じゃねーか」

 

「やったー!!ドラゴンを倒せるんだね!」

 

「未来は救われるんですね!」

 

彼も未来を救いに来たのか。

まさかの解決方法に喜ぶナツ達だったが、未来ローグがぴしゃりと否定した。

 

「いいや…話はそんなに単純ではない」

 

「え…?」

 

「オレは今から7年後の未来から来た。7年後…世界はドラゴンによって支配されている」

 

ドラゴン達に支配された未来…。

 

「生存者は…?」

 

「生き残っている人類は1割にも満たない。もちろんエクリプスも現在ほどの力を持っていない」

 

「そんな…」

 

人類に希望などない絶望的な未来。そんな過酷な未来からローグはやってきたのか。

 

「今ここでドラゴンを止めなくば、この世界は終わる」

 

「だから扉を開けてぶっ放すんだろ?ドーンって!!単純じゃねぇか!」

 

語彙力の乏しいナツの言葉に更に否定を重ねるローグ。

 

「しかし7年前…つまり『現在』。扉を開くのを邪魔する者が居た」

 

「邪魔を…?なんで?」

 

そんなことしたら自分もドラゴン達に襲われちゃうだろうに。

世界滅亡を願う狂人とかか?

 

 

「そいつのせいで扉は開かなかった。1万のドラゴンに向かい、E(エクリプス)・キャノンを発射できなかった。世界を破滅へと導く者が居た」

 

そんな破滅に自ら進むような人が居ると。

 

「オレはそいつを抹殺する為に、此処に居る」

 

「抹殺…って…殺すってこと?」

 

ちょっと極端ではないだろうか。

 

「物騒なの。別に殺さなくても止めることはできると思うの」

 

「大きな『時』の接合点では、言葉で行動を制御できない。たとえ今説得できたとしても…そいつは必ず扉を閉める。そう決まっているのだ」

 

ローグには何らかの確信があるらしかった。だとしても、殺すのはやりすぎな気も…。

 

「運命からは逃げられない。生きる者は生き、死ぬ者は死ぬ、扉を閉める者は閉めるのだ。たとえ何があっても、生きている限り」

 

つまり、未来で起こることは必ず成されると言いたいのだろうか。

 

「めんどくさい話はともかく、扉を閉める人って誰?」

 

アミクの問いかけに未来ローグは一瞬黙り、視線をある人物へと向けた。

 

殺気が瞳に灯る。

 

 

この瞬間。

 

アミクの心に酷く嫌な予感が浮かんだ。

 

 

「お前だ────

 

 

 ルーシィ・ハートフィリア!!」

 

 

何の前触れもなく、未来ローグが手に影を纏った。

 

 

未来ローグの視線は真っ直ぐにルーシィを狙っている。

 

 

唐突過ぎて誰もが反応できなかった。

 

 

────アミク以外は。

 

 

「ルーシィ!!」

 

 

未来ローグの手から影の剣が飛び出た瞬間、考えるよりも先にアミクはルーシィを突きとばしていた。

 

 

「え…?」

 

 

狙われた本人であるルーシィも理解が追いついていなかった。床に倒れ込みながら、呆然とアミクの胸に迫る影の剣を見ている事しかできない。

 

 

「アミク!!」

 

 

やっと動いたナツが影の剣を止めようと必死に伸ばした手が影の軌跡を空しく掴む。

 

 

アミクも、ルーシィを守ることで精いっぱいで魔法を使う余裕がない。

 

 

ウェンディ達も動けない。

 

 

(あ────終わった)

 

 

アミクは妙に時間がゆっくり流れるような感覚の中で、影の剣が自分に向かって伸びてくるのを見ていた。

 

心臓の鼓動がやけに大きく聞こえる気がする。

 

こんな時に走馬灯が流れそうなものだが、それもない。ただ、自分の死に様を見せつけられようとしているみたいだった。

 

 

誰も、ルーシィの身代わりになるアミクを救う事はできない────はずだった。

 

 

視界の端に黒いコートがはためいた。金色の髪が揺れる。

 

 

 

ズブッ!!

 

 

 

生々しい音を立てながら、胸から血を噴きだした1人の少女が床に倒れた。

 

 

 

「あ…ああ…」

 

 

口から悲鳴のような声が漏れる。

震える体で床に倒れている少女を見ているのは───アミク。

 

 

そして、血を流してぐったりする少女は───未来ルーシィ。

 

「ルー…シィ…?」

 

呆然と呟いたアミクは、働かない思考のまま未来ルーシィに駆け寄った。

 

 

「ルーシィぃ――――!!」

 

 

ルーシィを庇おうとしたアミクを、更に庇った未来ルーシィ。

そんな彼女の周りにやっと何が起こったかを理解した仲間達が集まる。

 

「ちょっとアンタ…!!」

 

「ルーシィさん!!」

 

ナツはその光景を見てただ震えているだけだった。

 

 

「ルーシィが2人だと!?」

 

未来からルーシィが来ていたのは知らなかったのか目を見開くローグ。

 

 

「ああ、ルーシィ…!!今治療するから!!」

 

「しっかりして!!」

 

 

アミクは苦しげに咳き込む未来ルーシィに必死に治癒魔法を掛けた。何度も何度も。

 

 

過剰なくらいに。

 

 

「アミク…良かった…無事で…」

 

「無事だよ!無事だから…!!」

 

アミクを見つめて嬉しそうに微笑む未来ルーシィを何が何でも治そうと、治癒魔法を更に注ぎ込んだ。

 

 

なのに、現実は非情だった。

 

 

「なんで!?なんで治らないの!?」

 

良くなるどころかますます顔色を悪くさせる未来ルーシィ。

 

 

それでも、何かを言い募ろうとする彼女は途切れ途切れに言った。

 

 

「あたし…扉…なん…て…閉めて…ない…い」

 

「分かってる!!あたしはそんなこと絶対にしない!!」

 

ルーシィが未来ルーシィを抱き上げた。

 

アミクは痛々しい彼女の姿に涙が堪え切れずに雫を落とす。

 

「なんで…なんで私を…庇ったの…?」

 

彼女を責めるようなことを口にしてしまうが、そんなのは愚問だ。

 

「当たり前…でしょ…。親友…なんだ…から…。アンタが…無茶する事…くらいは…分かってた」

 

アミクが動いた瞬間、未来ルーシィは悟ったのだ。

 

この少女はどんな時代でも誰かを守るために身を張るのだと。

そして、そんな優しい友をまた死なせてたまるか、と決意したのだ。

 

「今度は…助けることが…できて…良かった…」

 

「こんなの…こんなのって…!!」

 

アミクはそれ以上言葉を紡げず、涙をポロポロと流した。

 

「自分に…看取られて…死ぬなんて…変な感じ…」

 

「あたしだって変な感じだよ!!死なないで!!」

 

ルーシィが必死に呼びかけた。自分だからこそ生きてほしい。

辛い未来から皆を救おうとやってきた自分には報われて欲しかった。

 

「アミク!治癒の魔法で早く治すの!!」

 

「やってるよ!!でも…この傷じゃ…」

 

 

分かっていた。でも認めたくなかった。

 

この致命傷では助からない事。

 

 

 

 

――――未来ルーシィが死んでしまう事。

 

 

「もう…いいの…二度と会えないと思ってた…皆に…もう1度会えた…あたしは…それだけで…幸せ…」

 

「やだよぉ…死んじゃやだよぉ…!!」

 

胸が引き裂かれるようだった。なんで彼女が死ななくてはならない。

 

あんまりではないか。

 

 

ああ、無力だ。

 

親友も救えない治癒魔法など役に立たないではないか。

 

 

 

泣きじゃくるアミクの頬に、未来ルーシィの手が添えられる。

その顔は涙を流しながらも満足そうで、今にも消えてしまいそうだった。

 

 

「あたしは…この時代…ううん…この世界の人間じゃ、ない。この世界のあたしは…仲間と一緒に生きていく…悲しまないで…」

 

「悲しいに決まってるよっ!!」

 

アミクは未来ルーシィの左手を掴んで叫んだ。想いを死に向かう未来ルーシィにぶつけんと。

 

 

「ルーシィはルーシィなんだよ!!未来から来たとか関係ない!!

 私の大事な親友で、仲間で…家族なの!!それは変わらないんだから!!」

 

 

彼女と過ごした時間は同じはずだ。ちょっと違う時間から来たからと言って彼女との絆が存在しないわけがないのだ。

 

だから…とても悲しい。

 

未来ルーシィは嬉しそうに笑みを浮かべ、ルーシィに「ねえ…ギルドマーク見せて」と頼んだ。

 

「え?」

 

戸惑いながらもルーシィは自分の右手にあるギルドマークを見せてあげる。

未来ルーシィはそれを大事なもののように撫でた。

 

懐かしむように。

 

 

「…ルーシィ…!!右手が…!!」

 

 

ああ。

 

 

何で気付かなかったんだろう。

 

 

未来ルーシィはずっと右手を見せていなかった。

 

 

 

いや…見せられなかったのだ。

 

 

 

既に消失していたから。

 

 

 

ルーシィが初めてギルドに来て、嬉しそうに見せてくれたギルドマークがあった右手が。

 

 

未来ルーシィにはなかったのだ。

 

 

「もっと…冒険したかった…な」

 

 

未来ルーシィの声が弱々しくなった。

 

命が尽きようとしている。

 

この世から離れようとしている。

 

 

「ダメ!!お願い!!逝かないで…!!」

 

 

未来ルーシィの魂を留めんとアミクは呼びかけた。

 

 

 

 

瞼が閉じられる。

 

 

 

アミクの頬にあった左手が力なく床に落ちる。

 

 

体の温かみが消えていく。

 

 

 

彼女の呼吸が止まる――――。

 

 

 

――――未来を…守って――――

 

 

 

 

「ああああああああああああああ!!!!」

 

 

慟哭した。

 

 

喪った悲しみが全身を駆け上る。

 

 

 

ただただ、辛かった。

 

 

 

何もできなかった悔恨と悲哀が胸の中で膨らむ。

 

 

 

 

 

 

未来から仲間を救いに来たルーシィ・ハートフィリアの冒険は、ここで幕を閉じたのだった。

 

 

 

 

 

「扉を閉めた自覚が無かった…?」

 

 

 

律儀にも待っていた未来ローグが呟く。それにかっとなったルーシィが涙を流して叫んだ。

 

 

「何が扉よ!!あたしはそんな事絶対しない!!なのに…!!」

 

「今は…な。だが…数時間後にはお前は扉を閉める」

 

未来ローグは主張を変えない。

人を1人殺しておいて、何の感慨もないようだ。

 

「あたしは扉なんか閉めない!!めちゃくちゃな事言ってアンタ…何が目的なの!!?」

 

未来ローグはギリッと歯軋りする。

 

「扉は閉まる、そう決まっている。お前が生きている限り」

 

頑なだ。愚かなまでに。

 

「未来のあたしが閉めないって言ったんだ!!あたしは自分を信じる!!!」

 

「お前の言葉に真実など無い!! 全ては運命によって決まっている事だ!!」

 

 

未来ローグの手に影が収束していった。今度こそ、ルーシィを殺すために。

 

 

 

 

「運命とか!!!クソ喰らえ!!!」

 

 

音が駆け抜けた。

 

 

目にも止まらぬ速さで未来ローグに迫ったアミクは巨大な衝撃波を彼に叩き付けた。

 

 

 

余りの衝撃に、床が捲れ上がる。

 

未来ローグは両腕でなんとかガードするが、勢いは殺しきれずに後退した。

 

 

「アミク・ミュージオン…!!邪魔をするな!!」

 

 

「ルーシィの未来は誰にも奪わせねえぞォ!!」

 

 

今度はナツが吠えて未来ローグに炎の拳をぶつけた。

 

 

「貴様もか…!」

 

 

それを防ぎながら未来ローグは忌々しげにアミク達を睨んだ。

 

 

 

 

 

 

彼女は願った。

 

 

 

未来を守って、と。

 

 

約束したのだ。

 

 

 

だから。

 

 

 

 

「約束は…守る!!」

 

 

どんなに胸が痛くとも。

 

 

どんなに悲しくて辛くとも。

 

 

彼女と約束したから。

 

 

 

 

アミク達は、戦う。

 

 

 




なんとかこれで落ち着けました。

どうしてもこのような展開にしたかたんです…。
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