妖精の尻尾の音竜   作:ハーフィ

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ドラゴンの登場だお!

ほんと強すぎだよなぁ…。


そしてバレバレな未来人。


絶望の扉

少し、時間は遡る。

 

 

既に未来ルーシィと邂逅していたジェラール達は未来ルーシィの他にもう1人、未来から来た人物がいる、と推測していた。

 

未来ルーシィが現代にやって来た日を考えると、ジェラールがゼレフの魔力を感じた時が噛みあわない時があったからだ。

 

 

だから、そのもう1人の目的が分からない未来人に不安を憶え、急いで城の方へ向かっているところだった。

 

 

「クソッ!もう少し早く気付いていれば…」

 

「今そんなこと言ったってしょうがないでしょ!」

 

「未来のルーシィ、無事だといいけど…」

 

彼らがもう1人の未来人の存在にもう少し早く気付いていれば、未来ルーシィは命を落とすことはなかったのかもしれない。

しかし、もうこの時には手遅れだったのだ。

 

しばらく走っていたジェラール達だったが…。

 

「…!止まれ!!」

 

ジェラールが鋭く叫んで急停止する。ウルティア達も慌てて足を止めた。

 

「ど、どうしたのよ…?」

 

ウルティアが問うも、ジェラールは答えずに前を睨んでいた。

 

ジェラールの視線の先には黒いコートを着てフードを被った人物が背を向けて立っていた。

 

 

 

そして…その人物からはあのゼレフに似た魔力を感じた。

ジェラールは直感する。

 

 

「未来から来た者だな」

 

 

ジェラールが確認するように言うと、ウルティアとメルディが息を飲んだ。確かに、未来ルーシィと似たような雰囲気がある。

 

 

フードの人物がゆっくりと振り返る。じっとこちらを見ているだけで何も言わない。

 

 

「誰だ!正体を明かせ!」

 

 

こんな所でもう1人の未来人と会えるとは思っていなかったが、僥倖。

目の前の人物が何の目的で未来から来たのかを教えてもらおう。

 

未来ルーシィと同じように未来を救いに来たのであればいいが…。

 

 

「…ジェラール…」

 

静かに出てきたその声は女性のもの。また女か、とジェラールは目を細めた。

 

それより…

 

(この声は…?)

 

彼女の声に聞き覚えがあるような。

 

 

「こんな所で会えるなんて…そっか…本当に…」

 

彼女はゆっくりとフードを外す。

 

そして、そこに現れた顔を見てウルティア達は勿論、「まさか」と思っていたジェラールも驚愕に目を見開いた。

 

 

「やはり、お前も…未来からやってきたのか!!?」

 

 

そう、彼らにとっては簡単には忘れられない顔であり、見間違うはずもないものだったのだ。

 

 

 

 

彼女の存在がこの現代にどう影響するのか。

 

 

それは、まだ分からない。

 

 

 

 

 

「ルーシィ…?」

 

「扉を閉めて!! 今すぐ!! その扉を開けちゃダメ!!」

 

ルーシィが必死に声を上げている。

 

今、まさにエクリプスの扉を開いている時に。

 

「どうしたの、ルーシィ?」

 

「何を言っている?」

 

他の者達は訝しげにルーシィを見た。ルーシィも先程のまで扉が開くのを見守っていたはずだ。

なのに突然180度意見を変えたのだ。困惑しないはずがない。

 

「お願い!!扉を閉めて!!今すぐ!!」

 

ルーシィが真摯に訴えた。しかし、ヒスイ姫を始めとした王国軍がルーシィを警戒し、ヒスイ姫が扉を守るように腕を広げる。

 

「なりません!これは大群のドラゴンに対抗できる唯一の兵器!!今、扉を閉じたらE(エクリプス)・キャノンは撃てない!!」

 

彼女にとって唯一の希望を潰すわけにはいかない。ヒスイ姫たちの反応も当然のように思えた。

 

「…理由があるんだよね?」

 

何の理由もなくそんなこと言うはずがない、とルーシィに視線を送ると、ルーシィは頷いた。

 

E(エクリプス)・キャノンなんて無い!!アレは『扉』、時間を繋ぐ扉なの!!」

 

「その蓄積された魔力を放出するのがE(エクリプス)・キャノンです!!」

 

「それは違う!!アレは兵器なんかじゃない!!」

 

言い合いをするルーシィとヒスイを尻目に、アミクはエクリプスを観察した。

 

ルーシィがあそこまで必死になって「閉めろ」と訴えているのだ。きっとあのエクリプスに『問題』があるはず。

アミクは少し扉に近付いてみた。

 

 

(…!!凄い魔力!!)

 

 

肌に叩き付ける魔力の奔流が凄まじい。そんな中、アミクはじっと扉の向こう側を見つめる。

光で溢れていて見通せない。

 

でも、それが余計に不吉な予感を昂ぶらせた。

 

 

「アミク!!危ないの!!」

 

「何をしているのですか!?」

 

エクリプスの近くに居る彼女に気付いたマーチとヒスイが焦ったように声を掛けてきた。

ルーシィも注意する。

 

「離れてアミク!!あの扉は、400年前と繋がって────」

 

400年前?

 

その意味を問い質すよりも早く。

 

 

 

ズゥウウン!!!

 

 

 

物凄い地響きがした。

 

 

 

 

扉の方から。

 

 

 

「なの!?」

 

 

まるで巨大な何かが近づいているような振動がアミク達を襲う。余りの揺れにマーチ達がよろけた。

 

 

地響きはどんどん大きくなっていく。比例するように不安感も増していく。

 

 

 

「くっ…!?」

 

アミクは揺れに耐えながら前を見て────絶句した。

 

 

「嘘…」

 

 

ズシーン、ズシーンと地を鳴らしながら扉から出てきた存在。

 

太い巨足。鋭い牙。並ぶ鱗。全てを覆うように大きい翼。

 

そう、その姿は紛れもなく────

 

 

(ドラゴン)…!?」

 

 

直近でその姿を見たのは竜の墓場で幽霊となったジルコニスを見た時か。

でも、目の前にいるのは幽霊などではない。実体があり、迫力も威圧も本物だ。

 

前にも経験したことあるような感覚が生まれる。

 

そう…アクノロギアと相対した時だ。あの時も、あまりの迫力に体が動かなかった。

 

 

 

アミクは目の前を覆い尽くすドラゴンを衝撃で固まったまま見上げていた。

 

 

「扉から、ドラゴンが…!!?」

 

ヒスイはアルカディオスに庇われながら呆然とする。こんな事態、考えもしてない。

 

 

 

────ガアアアアアアアア!!!

 

 

 

ドラゴンが吠える。

 

吠えただけで地面が抉れ、石像が破壊される。人も落ち葉のように舞った。

 

ドラゴンのすぐ目の前にいたアミクは咄嗟に咆哮による大音声を食べるが、衝撃までは防げず吹き飛ばされた。

 

「きゃああああああ!!!」

 

地面を跳ねながら転がっていったアミクはウェンディ達が踏ん張っている所で踏み止まる。

 

彼女達は捲れ上がった地面に掴まってなんとか耐えているようだ。

 

あ、軽いマーチ達が吹っ飛んだ。

 

「なの――――!!?」

 

「わあああああ!!?」

 

更にドラゴンは片腕を振り上げて思いっきり地面に振り下ろす。尋常ではない振動が起こり、衝撃が一直線に遠くまで迸った。

建物をも崩壊しながら衝撃が突き進み、痛々しい破壊痕を残す。

 

 

 

「これほど…なのか…」

 

アルカディオスは背筋が冷たくなるような感覚になる。一撃でこの威力。これが、太古に生きたドラゴン。

 

兵士達の間にも絶望の声が広がった。「こんなの勝てるわけない」と心が委縮する。

それはまだ幼いウェンディも一緒だった。

アミクの隣で儚げに震えている。

 

 

「ウェンディ!大丈夫だから…!!」

 

何の根拠もないが、アミクはウェンディを守るように抱きしめた。心許ないかもしれないが、少しでも恐怖を薄められればいいのだが…。

 

 

 

悲鳴と恐怖が蔓延する中、人々を更に絶望の奈落へ突き落とす出来事が踏襲する。

 

 

ドラゴンが出てきた扉。そこからもう一頭のドラゴンがのそりと姿を現した。

 

 

「また出た!?」

 

 

そして、この程度の絶望は生温いとばかりに、いま現れたドラゴンに続いて全身が真っ赤に燃え盛るドラゴンが出て来た。

我、君臨せし、と吠える炎のドラゴン。熱がここまで伝わってくる。

 

「あっつ…!!」

 

「火傷しそうなの!!」

 

 

ズシン

 

 

「ギャオオオオオオ!!!」

 

また、もう一頭。扉からその厳しい顔を出した。

 

 

「また出て来たぞー!!」「姫を守れー!!」「怯むなー!!」

 

ほとんどの兵士達はドラゴンを初めて見るはずだ。伝説上でしか聞いた事なかった強大な存在。

それを前にしても彼らは勇気を振り絞って任務を全うしようとしていた。

 

そして、守られるべきヒスイはただ呆然と目の前の出来事を、現実だと認める事を恐れるように見つめているだけだった。

 

 

 

ドラゴンを倒す兵器のはずの扉から、そのドラゴン達が次々と出てくる。

 

 

 

彼女達が信じたエクリプスは希望の扉などではなかった。

 

 

むしろ、破滅へと導く『絶望の扉』だったのだ。

 

 

 

(開かせるべきじゃなかった…!!)

 

 

そういえばE(エクリプス)・キャノン云々も未来ローグが伝えてくれたと言っていなかったか。

あの未来ローグの事だからこうなる事を狙っていた可能性が高い。

 

あんな邪悪で人の命を簡単に奪えるような人の話を鵜呑みにするべきではなかったのだ。

 

 

アミクが歯を噛み締めてドラゴン達を見ていると、ルーシィがボーッとしているヒスイの肩を掴む。

 

「扉をどうやって閉めるの!?」

 

ルーシィが聞くも、ヒスイは呆けたようにしているだけで、ルーシィの事も見えていないかのようだった。

ルーシィはもどかしそうに急かす。

 

「早く!!ボーッとしてる場合じゃないよ!!」

 

少し思考が戻ってきたのかヒスイは震える指で扉の近くを指差した。

 

 

「そ、そこの台座で…」

 

「台座…?アレね!」

 

ルーシィは台座に向けて走りだした。

 

 

台座に向かう途中、一頭のドラゴンが邪魔するように咆哮する。その衝撃でルーシィは吹き飛ばされかけた。

 

「ルーシィ!!」

 

しかし、アミクが咄嗟にルーシィを抱きとめる。意外と重い。

 

「うぐっ…!ルーシィ、急ごう!早く扉を閉めて!!多分、星霊魔導士じゃなきゃ閉じれない!!」

 

「う、うん!!」

 

 

アミクはルーシィの手を引いて台座に向かって駆けだす。

 

何たる皮肉か。

結局は未来ローグの言う通り、ルーシィが扉を閉めようとしている。

そうしなければ、絶望が大きく広がってしまうのだから。

 

世界を破滅させるのではなく、世界を救うために扉を閉じる。

 

 

(嘘ばっかり…!!)

 

 

未来を救うなんて真っ赤なウソではないか。アミクは益々未来ローグへの恨みを募らせた。

 

 

「私がルーシィを台座まで連れていくから…!後はお願い!」

 

「任せて!」

 

ドラゴン達が足を踏み鳴らすせいで揺れる地面を走る。度々飛んでくる瓦礫を弾き飛ばし、ルーシィを守った。

 

そうして、なんとか台座まで辿りつくことができた。台座にはトリガーが付いており、それを使って扉を開閉する仕組みだと思われる。

 

「それを引いて!」

 

「分かってる!」

 

アミクが吹き荒れる突風からルーシィを守りながら叫ぶと、ルーシィはトリガーに手を伸ばした。

 

星霊魔導士の魔力ならば、きっと閉まるはず…!

ルーシィが懸命にトリガーを引いている姿を見ながら、アミクはふと疑問に思って尋ねてみた。

 

「なんで扉が400年前に繋がってるって分かったの?」

 

「あたしじゃない!クル爺がずっと調べてたの!!」

 

クル爺と言えばルーシィの星霊の1人で、星霊学のエキスパート。言わば星霊百科事典のような人。

エクリプスが星霊魔法と関係あるため、彼なら何か分かるかも、と調べさせていたらしい。

 

「で、さっきこの扉の解析が終わった!これはゼレフ書の魔法と星霊魔法が合わさった装置なの!!」

 

「ゼレフ書の…そうなんだ」

 

ジェラールが言っていた「ゼレフに似た魔力」というのも、エクリプスにゼレフ書の魔力が混じっていたからなのだろう。

 

「本来なら時間座標を指定して時間を移動できるんだけど、今日だけは特別に…あの月が魔法を狂わす!!」

 

「今日…月蝕(ルナティック)

 

空には不気味に輝く真っ赤な月が浮かんでいた。

 

「そのせいでこの扉は制御がきかなくなってる!!400年前…つまりドラゴンの居る時代と繋がっちゃったの!!」

 

「そんな…話が違う!!」

 

大臣が動揺する。彼も未来ローグを信じるヒスイを信じてこの計画を実行したのに、この有様だ。

 

 

 

次々に出てくるドラゴンを見てアミクはようやく合点がいった。

 

(1万のドラゴンは過去に繋がったエクリプスから出てきたんだ!)

 

ドラゴンは現代のどこかから来たわけではない。あの扉を通じて過去からやってきていたのだ。

未来ルーシィの話だと、王国軍に捕まっている間にドラゴンに襲われたと言っていた。おそらく、その時にエクリプス計画を発動させてしまっていたのだろう。

 

ルーシィが牢にいるせいで扉を閉める者もいない。結果、開けっぱなしの扉から続々とドラゴンが出てきて一万という大群になったのだ。

 

逆に、未来ローグが話した未来だとルーシィは扉を閉める。そうなると1万のドラゴンは現れなくなるのだが…。

 

(…ってことはローグの言っていた1万のドラゴンに支配された云々も嘘ってことだよね…)

 

となると未来ローグの目的が何なのか引っかかるが、一旦置いておく。

 

つまり、2つの未来があった。

 

『エクリプスを開いてしまい、それを閉められずに1万のドラゴンに滅ぼされる未来』

 

『扉を閉めてドラゴンの出現を阻止した未来』

 

(でも、なんで別々の未来ができちゃったんだろう…ってそんなこと考察してる場合じゃない!)

 

思考に陥っていたアミクは慌てて目の前の状況に集中した。この状況に対する現実逃避だったのかもしれない。

 

 

ドラゴンが街中に降りて、闊歩し始めた。ドラゴンが歩くたびに道が壊れ、建物が崩壊する。

 

「ルーシィ!!まだなの!!?」

 

「ドラゴンがどんどん出てくるの!!」

 

ルーシィが必死にトリガーを引いているが、全く扉が閉まる気配がない。

 

「うっ…何で!?なんで扉が閉まらないの!?」

 

ビクともしない。ルーシィの力だけでは足りないというのだろうか。

 

「私の…私の選択ミスで…世界が終わる」

 

ヒスイは取り返しのつかない事をしてしまった、と涙を流した。この計画の実行を決断したのは自分だ。全責任は自分にある。

自分のせいで、国民が、世界が…。

 

 

ドォン!!とドラゴンが地を踏みしめた拍子に、物凄い風圧がアミク達を襲う。

 

「ああん!!」

 

「ふ、踏ん張れぇ!!」

 

吹っ飛ばされそうになったルーシィを支えてなんとか耐える。

 

「世界がドラゴンの怒りに染まる…」

 

全てを諦めたかのような、絶望した表情のヒスイ。

 

もう終わったつもりでいるヒスイにアミクはカッとなって叱咤した。

 

 

「しっかりしてよ!!諦めるのは早いって!!」

 

ヒスイはぼんやりした瞳でアミクの方を向く。

 

「王女様なんでしょ!!だったら、俯くな!!最後まで歯を食いしばって!!顔を上げて堂々としていてよ!!」

 

この国の王女として生まれてきたのなら、国民を守る義務がある。その義務を放棄して絶望に明け暮れるなど、許されない。

国の象徴が、そんな情けない姿を見せてはいけない。王族が立っていればこそ、国民と兵士の支えになるのだ。

 

「私達も手伝うから!!絶対に諦めないんだから!!」

 

アミクはトリガーを引いているルーシィの手に自分の手を重ねた。そして、思いっきり引っ張る。

 

「アミク…」

 

「んぎぎぎぎ…!!閉じろぉ…!!」

 

アミクは星霊魔導士ではないので、力になるかは分からないがやらないよりはマシだ。

 

「…もう1人のあたしの分まで生きるんだ…!!」

 

ルーシィが自分に言い聞かせるように言う。

 

「…うん」

 

「あたしの分まで泣いて…笑って…生きていくんだ!!」

 

「うん!!」

 

ルーシィの希望と強い意志の籠った声を聞いて、アミクは大きく頷く。

 

────未来ルーシィとも約束したのだ。

 

 

 

 

 

ナツ達が居る城内でもドラゴンが起こす振動を感じられた。3人目の未来人であるフードの女性は天井を見上げて焦ったような声を出した。

 

「この揺れ…まさかもう、ドラゴンが…!!」

 

「そんな!?ルーシィが扉を閉めるんじゃなかったの!?」

 

「間に合わなかったんだ…」

 

フードの女性は唇を噛む。

彼女の知っている未来はルーシィが無事に扉を閉めてドラゴンの襲撃を防ぐものだった。

 

しかし、この世界線では扉は開かれてしまったみたいだ。

 

(ジェラールは…間に合わなかったみたい)

 

ジェラール達にはドラゴンが扉を通って過去から来ると伝えてある。だから、もし扉が開きそうならそれを止めてほしいとジェラールに頼んだのだが。

彼らに事情を説明していた時間がタイムロスとなってしまったようだ。

 

どっちにしろ、大罪人であるジェラールの言う事などヒスイ達がまともに取り合わなかったかもしれないが…。

やっぱり、自分がエクリプスの方へ向かうべきだったか。未来人である自分なら信憑性があっただろうに。

 

後悔しかけたフードの女性はウルティア達の声でハッと意識を戻した。

 

「ナツ!!しっかりして!!」

 

意識がないのか、ピクリとも動かないナツはずぶずぶと影の沼に沈んでいく。

 

「ナツ…!!ダメだよ…!!貴方はこんな所で終わっていい人じゃない!!」

 

女性はナツを呑み込もうとしている影を見る。

 

 

────影なら…あの魔法でどうにかなるかな?

 

 

女性は形の良い口を開くと…誰もが聞き惚れる声で歌を歌いだした。

 

 

「~♪」

 

そして、何事かを呟くとナツ達を優しくも眩い光が包んだ。

 

「きゃっ」

 

思わず目を瞑るメルディ達だったが、次に見えた光景に目を見開いた。

 

「影が消えていく…!?」

 

邪悪な影が浄化されるように消えていっているのだ。

 

「ナツ…貴方にはまだするべき事があるでしょ?とても、大事な事…」

 

包む光に想いを乗せるように語りかける。優しく、いつまでも耳に残りそうな声。

 

「だから…立って。大丈夫…ナツはいつも通りにすればいいだけ」

 

その隠れた瞳には多大なる信頼が込められていた。先ほどからの言い方からするに、彼女はナツの事を知っているようだ。

しかし、どういった関係だったのだろうか。

 

「貴方は炎。運命を焼いて、未来を照らす明るい炎。それで皆を助けてあげて…」

 

「────任せろ」

 

 

ナツの手が女性の肩を掴む。

 

「行かないと───」

 

消えていく影から身体を引き抜く。影が浄化されたおかげでするりと抜けた。

 

「約束したんだ」

 

 

 

 

 

もっと冒険したかった彼女とした約束。

 

 

 

 

『未来を守る』

 

 

 

 

 

必ず果たすよ、ルーシィ。

 

 

 

 




ちなみにジェラールは一旦エクリプスが開いたのを見てから「間に合わない」と悟り、ラハール達に接触しました。
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