妖精の尻尾の音竜   作:ハーフィ

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なんとなく今回の結末は決まってるんだよね。でもやっとファントム編が見えてきた・・・。


仲違い

ルーシィを探していたハッピーとマーチはやっとの事でルーシィを見つけた。

 

「ルーシィ、見つけた、のー!」

 

「無事で良かった〜」

 

と近づいた。だが。

 

 

「・・・ハッピーとマーチか」

 

 

そこには後ろに阿修羅の幻影が見えそうなエルザが居た。

 

「エ、エルザぁぁぁぁ!!?」

 

「参りました、なの」

 

「早いよぉ!」

 

すぐに両手を挙げて降参ポーズをとるマーチ。

 

ハッピーはすぐに逃げようとするーーーーが。

 

「お前達には聞きたいことがある」

 

ハッピーの尻尾を掴んでぶら下げるエルザがそう言った。

 

 

 

 

 

 

「・・・エルザ」

 

アミクが少し震える声で呼ぶとエルザは貫きそうな視線を向けてきた。

 

「アミク、お前はやって良いことと悪いことの判別ができると思っていたのだがな」

 

いつもアミクに向ける優しい雰囲気は、そこには無い。

 

「今回の行動は目に余るぞ」

 

「・・・言い訳はしないよ。勝手に行ったのはどう考えてもこっちが悪いし」

 

「ア、アミクは何も悪くない!あたし達のことを止めようとーーーー」

 

「お前には話していない」

 

ルーシィが弁護しようとしたがエルザに冷たく切り捨てられる。

 

そして、アミクに剣を向けた。

 

「ギルドの掟に従わず、勝手にS級クエストを受けた。

 これがマスターへの裏切りにも等しいことは分かってるな?」

 

「・・・責任は全部私が受け持つよ」

 

「いや、全員に等しく責任がある。それにこれはお前1人が犠牲になればいい問題ではない。

 ギルド内の秩序の問題だ」

 

「・・・」

 

「確かに『妖精の尻尾(フェアリーテイル)』は自由なギルドだ。だがーーーー

 

 

 自由と好き勝手を履き違えるなよ」

 

 

何も言い返せない。エルザの言っていることはどれも正しい。

 

 

あまりエルザに厳しいことを言われたことのないアミク。

 

怒られる覚悟はあったが胸を抉るような言葉とエルザの雰囲気につい涙を浮かべてしまった。

 

「・・・ナツとグレイはどこだ。見つけたらすぐに帰るぞ」

 

だが、次の言葉を聞いて涙が止まった。

 

「・・・エルザ、この島の事情を知らないの?」

 

「いや、全部ルーシィ達から聞いた」

 

「だったらまず此処をどうにかしないとーーーー」

 

「ーーーー興味ないな」

 

それは普段のエルザとは思えない言葉だった。

 

「なんで・・・!?この島の住人達も苦しんでるんだよ!?それにデリオラだって・・・!」

 

「知らん。私の任務はギルドの掟を破った者を連れてくること。私が受けた依頼ではない」

 

「ーーーー!」

 

「これは正式に受理した者が解決するのが筋だろう。私達には関係ない」

 

「関係ない・・・?」

 

悲しみは吹っ飛び今度は怒りが湧き上がってきた。

 

 

「何それ・・・関係ないってなに・・・?じゃあ見捨てるってことなの・・・?」

 

「そうとは言っていない。私達が手を出すべきではないと言っているのだ」

 

「それこそ!関係ないよ!」

 

アミクの怒りの声にルーシィ達はビクッとなり、エルザも目を見開く。

 

「人が困ってたら助ける!当たり前でしょ!?」

 

「お前達がしている事は魔導士として道理に合わない」

 

「魔導士だけど!何よりも、人間だよ!」

 

「オイラ達は人間じゃないけど」

 

「余計なこと言わない、の」

 

アミクはキッとエルザを見据えた。

 

「・・・そんな冷たい人だとは思わなかった」

 

「・・・」

 

今度はエルザが黙る番だった。

 

「分からず屋のエルザなんか大っ嫌い!!」

 

 

アミクはそう叫ぶとエルザの横を通り、何処かに走って行った。

 

涙をポロポロと流しながら。

 

 

 

 

「エ、エルザ・・・?落ち着いて・・・」

 

残されたルーシィ達はエルザの尋常ではない雰囲気に呑まれていた。

 

「うわ・・・絶対怒ってるよあれ」

 

「い、今は様子を見る、の」

 

「こ、怖いよエルザ様・・・」

 

ルーシィ達がそう言っている前で、エルザは

 

 

「・・・嫌われてしまった・・・」

 

 

どこか落ち込んだ声でそう呟いた。

 

話し込んでいたルーシィ達はそれに気付かなかった。

 

 

 

「で、お前だけ動けるのか」

 

「おおーん、思ったより傷が浅くて」

 

トビーはなんとかリオンの所に戻っていた。

 

「ホッホッホ、しかしまさか全滅とは!」

 

「えーと、女子に負けたのは内緒の方向で」

 

「なんでもいい。氷はもうすぐ溶ける。それまで持たせるだけだ」

 

リオンは薄笑いを浮かべた。

 

 

 

 

 

翌日。

 

目を覚ましたグレイはエルザに聞いた。

 

「・・・ナツとアミクは?」

 

「ナツは私が聞きたい。アミクはーーーー知らん」

 

なぜか少しシュンとなって言った。

 

 

 

 

 

「んあ・・・?やば、寝過ごした!?」

 

アミクは慌てて飛び起きた。

 

「えーと昨日は泣き疲れて寝ちゃったんだっけ?」

 

木の上に登って泣いていたらいつの間にか寝てしまったようだ。

 

「・・・ふー、とりあえずエルザのことは今は忘れよう」

 

アミクは寝ていた木から飛び降り、地面に着地する。

 

「まずはあの遺跡に行こう。ナツもきっとあそこに居るはず」

 

アミクは遺跡を目指して走り出す。

 

 

 

 

 

グレイが自分を連れて帰ろうとするエルザに啖呵を切ったり、自分に向けられる剣を、血を流すのも厭わず掴んだりした後。

 

「・・・これでは話にならん。仕事を終わらせるぞ」

 

エルザがルーシィ達を縛っていた縄を斬った。

 

「エルザ!」

 

「全く、グレイといいアミクといい頑固な者ばかりだ」

 

エルザはそう言いながらも仕方なさそうに笑った。

 

「アミクー、待ってろ、なのー!」

 

マーチがフワフワと飛びながらグレイの後を追った。

 

 

 

 

 

ドオオオオン!

 

「うわ!なに!?」

 

アミクは急な轟音に驚いて遺跡を見た。もちろん轟音を食べるのも忘れない。

 

「・・・遺跡が、傾いてる!?」

 

なんと遺跡全体が30度くらい傾いてた。

 

「・・・そっか!これなら月の光が入ってこないね!」

 

これをやったのはおそらくナツだろう。戦闘面では頭の回転が速いナツ。

こんな無茶苦茶な発想をするとは・・・。

 

 

「さっすが、ナツだね!」

 

アミクは嬉しそうにそう言うと中に入った。

 

 

 

 

 

中ではリオンとナツが戦っていた。

 

 

「ナツ!おはよう!」

 

「おう、おはよう・・・って言ってる場合か!」

 

ナツはリオンの放った氷の鳥を避けながら叫ぶ。

 

「え!?氷の造形魔法!?・・・そっかリオンもウルの弟子だって言ってたね」

 

「そうだ、俺は『動』のアイスメイクを使う」

 

そう言うと片手を持ち上げて叫んだ。

 

「アイスメイク!『白竜(スノードラゴン)』!」

 

氷で作ったドラゴンがアミク達の方に向かう。

 

だが。

 

 

「『火竜の鉄拳』!」

 

「『音竜の響拳』!」

 

2人の攻撃により粉々に壊されてしまった。

 

滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)(ドラゴン)を仕向けるなんて無謀なことするね!」

 

「おい!アミク!コイツは俺が倒す!横取りするんじゃねぇ!」

 

「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!」

 

「俺の前で揉め事とは余裕だな」

 

リオンがまた片手を持ち上げた。

 

「アイスメイク・・・『大猿(エイプ)』!」

 

 

巨大な猿の形をした氷がアミク達を押しつぶそうとしてきた。

 

「音竜の『輪舞曲(ロンド)』!」

 

アミクが腕を振るって氷を割り壊す。

 

「零ちゃん!もうやめてよ!月の雫(ムーンドリップ)はもう当たらない!それにこんなことしたらーーーー」

 

ウルが溶ける、と言いたがったがグレイが本当はウルが生きていることを言わない、

ということは意味があるのだろうと思い黙っていた。

 

「お前さっき普通に呼んでただろ」

 

「黙れ、俺はウルを超えるんだ!こんなところでお前らに手間取ってる暇はないんだよ!」

 

「アミク、コイツは氷を溶かして師匠が倒せなかったデリオラ倒すんだってよ」

 

なるほど、そうやって自分がウルより強いのだと証明するのだろう。

 

「そんなことのために・・・・!」

 

ーーーウルを溶かすのか。知らないとはいえ自分の師匠を。

 

本当はリオンは薄々勘付いているのだが、それを知れば流石のアミクもキレるだろう。

 

 

「リオン!貴方は強さに取り憑かれてるだけ!もっと周りを見れば強さ以外にもーーーー」

 

「ーーーー凍れ」

 

「冷た!」

 

リオンが直接アミクの腕を凍らせた。腕が動かない。

 

「こんなもの!」

 

だが、衝撃波を発生させて壊す。

 

「・・・あっさり壊すか」

 

「氷は元々水!水分子を振動させて内側から壊せる!」

 

ただ、それをするには直接氷に触れだ方が成功しやすい。

 

「ちょっと凍傷できたかも・・・ナツの炎で瞬殺できると思ってたのに」

 

「俺の氷を舐めるな。ウルをも超える冷気だぞ」

 

「・・・そんなに師匠を超えることに執着してるけど、なんでそこまで・・・」

 

「俺にとってはウルが全てだった」

 

急にリオンが語り出した。

 

「俺は弟子時代、ずっとウルを超えることを目標にしてきた。

 だが、グレイはそんな俺の目標を奪ったのだ」

 

聞くところによると、グレイは幼少期にデリオラに襲われ、故郷を滅ぼされ、家族も皆殺しにされたらしい。

そこをウルに助けられ、弟子入りした。

 

そうしてリオンと共に修行していたある日、デリオラの情報を聞いた。

グレイはいても立ってもいられず敵討ちをしにデリオラの元へ向かう。

 

だが、結局返り討ちに遭い、ウルとリオンも駆けつけてくれたが歯が立たなかった。

 

そこで、リオンは諸事情によって意識がなかったが、後でグレイに問い詰めたところ、

ウルが『絶対氷結(アイスドシェル)』を使って死んだ、と言った。

 

 

「グレイがデリオラに挑まなければウルは死ぬことはなかった」

 

 

 

「・・・ああ、そうだよ。それは俺が背負うべき十字架だ」

 

後ろから声がして振り向く。そこにはグレイが居た。

 

「グレイ!怪我はもう大丈夫なの!?」

 

「ああ、お前が治療してくれたんだろ?助かった」

 

グレイはリオンの前まで来ると両腕を交差させる。

 

「な!お前・・・その構えは・・・!」

 

「ああ・・・『絶対氷結(アイスドシェル)』だ」

 

「え・・!?」

 

なぜここで。

 

 

「これが俺のケジメだ!ここでお前を止める!」

 

「・・・そんなものは脅しだ」

 

「脅しかどうかはその目で見てみろ」

 

瞬間、グレイの魔力が高まる。

 

「・・・!本気か、貴様!」

 

「俺は過去の罪を清算しなきゃならねぇ。

 

だから――――」

 

「てい」

 

「うごお!?」

 

それをアミクがチョップして止める。

魔力は霧散した。

 

「な、なにすんだてめぇ!」

 

「バーカバーカ変態露出魔」

 

「だからなんだって――――うげ!?」

 

「お前が馬鹿なことしようとしてるからだろ」

 

今度はナツがグレイを殴った。

 

「目の前で死のうとしてる仲間を止めないと思う?」

 

「・・・これは俺の問題だ。お前らに止められる筋合いはねぇ」

 

「ふざけないで!」

 

バチィィィン!!

 

とアミクが小さな衝撃波を発生させながらビンタした。

 

「いいいいいい!!?さっきから俺の顔を変形させる気か!!」

 

そこでアミクの顔を見たグレイは言葉を止める。

 

「こんの馬鹿ァ!!」

 

ポロポロと雫をこぼしながらアミクはグレイを罵倒する。

 

「グレイが死んだら、悲しむ人、いっぱい居るんだから!」

 

ごしごしと目を拭うと俯く。

 

「私だってそうだよ・・・」

 

グレイは何も言えずにいた。

 

「あのなー、お前のことは気に食わねぇし腹立つけどよ、でもお前が居なかったら張り合いねぇじゃねぇか」

 

ナツも言う。

 

「『妖精の尻尾(フェアリーテイル)』にはお前が居なきゃだめなんだよ。分かってねぇな」

 

ナツが小馬鹿にしたように笑った。それにグレイはカチンときてナツに突っかかる。

 

「んだと、分かってるわそんなもん!俺みたいな強者は皆から頼りにされんだよ!」

 

「なにぃ!?俺の方が強ぇ!常識だろ!」

 

「・・・ふふ、いつもの2人だ」

 

いきなり喧嘩を始めた2人にアミクはクスリ、と笑うと――――

 

「あ、れ?」

 

「うお、なんだ!?」

 

急に地鳴りがしたと思うとグイ、と床が傾いた。

 

否―――

 

元に戻った(・・・・・)

 

「はぁー!?なんでだよ!?」

 

「ほっほっほ、遺跡は戻しましたぞ」

 

「よくやった、ザルティ」

 

目の前でケンカされて唖然としていたリオンはやっと満足げな顔を浮かべる。

 

「あ、貴方がこれを!?」

 

「いかにも」

 

「てめぇ、余計なことしてくれやがったな!」

 

ナツがザルティに怒鳴り声を上げた。

 

「これじゃ、また月の雫(ムーンドリップ)が・・・!?」

 

「ほっほっほ」

 

ザルティは笑いながら通路の奥に消えた。

 

「だぁー!あいつぶっ飛ばす!」

 

「・・・グレイ!リオンはお願い!

 きっちりけじめを付けてきて!!」

 

アミクが真面目な顔をして言うとグレイは不敵に笑った。

 

「ああ・・・!」

 

「百万回ぶん殴る!!」

 

「途方もない時間がかかりそう・・・」

 

アミクとナツはザルティを追いかけた。

 

 

「ほっほっほ!」

 

「待ちやがれー!」

 

「や、やっぱりどこかで・・・」

 

アミクはザルティを追いかけながらも彼から漂う甘ったるい臭いに憶えがある気がした。

 

「くそー!逃げてばっかじゃねぇか・・・」

 

「・・・!ナツ!上!」

 

アミクが警告するとナツは咄嗟に上を向く。見ると天井の一部が崩れてナツに落ちてきている。

 

「なんのぉ!」

 

ナツがすかさず蹴りあげた。だが―――

 

 

「も、戻った!?」

 

何と崩れた天井が時間を捲き戻すかのように直っていったのだ。

 

「す、凄い魔法!」

 

「ほっほっほ!私の魔法は『時のアーク』。失われた魔法(ロストマジック)です」

 

「え?」

 

「貴方がたと同じ、ね」

 

(この人は・・・私を知っている!)

 

アミクは確信を持ってザルティに問いかけた。

 

「貴方・・・私と会ったことあるでしょ」

 

「ほっほっほ。はてさてどうですかな」

 

すっとぼけたように言うザルティ。アミクはじっと彼を見るが、それでも笑顔を絶やさない。

 

 

「なんだ?見たことあるのか?」

 

「見たことは無いけど、嗅いだ事はある」

 

「なんだそれ、変態みてぇだな」

 

「だまらっしゃい!って居なくなってるー!?」

 

ツッコンでる間にザルティがどこかに消えてしまった。

 

「どこ行きやがった!」

 

アミクはスンスン、と鼻を鳴らして臭いを辿ってみた。

 

「たぶんデリオラの所だよ!」

 

臭いがそこから続いている。アミク達は急いでそこに向かうことにした。




ゴメン今回あまり出来がよくないや。
やっぱり原作がないとだめっすね・・・。あと発想力。

楽園の塔だってやらなくちゃいけないし・・・せめて大魔闘演武まではいきたい。

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