2020年の最後の日に投稿するなんてちょっと幾ら何でもギリギリすぎ…
今回はそんなに長くないかもしれません。
その日のマグノリアの街はいつもよりも騒がしかった。
『彼ら』が帰ってきたからだ。
栄光の復活の証を携え、再起した『彼ら』が。
「来たぞ!!帰ってきた!!」「待ってました―――!!」「おかえり―――!!」
「みなさーん!! 大魔闘演武優勝ギルドをぉ、盛大な拍手で迎えましょう!!!」
その名も
「
なんと、住民たちを仕切っているのはあの
「たっだいま―――!!」
「あいさー!」
「…どうもー」
「なの!」
「すごい人の数…」
「マグノリア近隣からも集まっているようだな」
「イェーイ! 優勝じゃーい!」
皆が歓迎してくれる中、アミク達は街を歩いて行く。住民たちが左右に道を開けてくれるのでちょっとしたパレードみたいだ。
しかしこの盛り上がりようが尋常ではないのも当たり前だろう。
何せ、一度地の底まで堕ちたギルドが一気にてっぺんを取ったのだ。7年前まで屈指の人気を誇っていた
「応援ありがとーございまーす」
期待してくれたマグノリアの住民たちに手を振るアミク。しかし、彼女にはいつもの元気がないように見えた。
「あの…アミクさん、大丈夫ですか?」
そんなアミクを気にしたのか、ウェンディが恐る恐る声を掛けてきた。
「え…ああ、大丈夫だよ」
「…その、何だか悲しそうだから」
近くにいたから隠していた感情を気付かれたようだ。アミクは気まずそうに髪の毛を弄った。
「んー…うん、やっぱり大丈夫」
「そう、ですか…」
ウェンディは俯くと上目づかいでアミクを見上げた。可愛いかよ。
「でも、もし困っていることがあったらいつでも私達に相談してくださいね。私もできる限り力になります」
「健気やこの子…天使か…」
ウェンディを育てた人に言いたい。こんなに良い子に育ててくれてありがとう、と。
…グランディーネに会えたら言ってみようか。
勿論アミクの気分がよろしくないのはウルが理由だ。
少なくない時を共に過ごした仲間の消失。
アミクはまだ立ち直り切れていなかった。それでも、周囲に心配かけまいと無理にいつも通りに振る舞おうとしていた。
「アミク、ルーシィ、よくやったね!」
「あ! 大家さん!」
「だけど家賃の話は別!!」
「あはは、ブレないね」
まぁ、なんだかんだ祝ってくれているようで感謝である。
「アミクちゃーん!!ジュラ戦凄かったよ―――!!」
「いや、オレは
「やっぱ一番は双竜対決だろ!!」
アミクの闘いも大勢の人達が見てくれたようで、沢山の称賛と激励を貰った。
むず痒いが、褒められると嬉しい。
「街のみんなにいいモン見せてやるぞ」
ナツは鞄の中をガサゴソと探して「じゃーん!!」とあるものを取り出した。
「それ王様の王冠じゃん!!持って来ちゃったの!!?」
この前のあの王冠だった。まさかあのまま返してなかったのか。
「あ、これじゃねえや」
「ナチュラルに流すな!!ヤバいでしょそれ!!」
「あーしは知らないの。問題になったらナツの首を差し出すの」
何でもないことのように王冠をしまうナツ。そして代わりにトロフィーを取り出した。
「優勝の証!!国王杯!!」
ナツは皆に見せつけるように頭の上に掲げる。
フィオーレ№1の魔導士ギルドに返り咲いた証でもある。
「信じらんね…未だ信じらんねーよ」
「オレたちが優勝だぜ」
「ずっと最下位だったオレたちが…」
「「優勝したんだ―――!!」」
「「わーいわーい!!」」
やっと実感したのか、居残り組だった
たしかに、目の前に優勝した証があると「本当に優勝したのだ」という気分になる。
「ホラ!ロメオ、もっと高く上げろーっ!」
「オウ!!」
「わわっ、落とさないでよ!」
トロフィーを手に持って堪能するナツ達。する突然、ナツがアミクにトロフィーを投げてきた。
「ほーら、アミクパース!!」
「ギャ――――!!優勝の証投げるな―――!!」
慌ててキャッチ。ナツは笑いながら「もっと皆に見せてやれよ!」とアミクを肩車した。
「ひゃあ!!?私、今スカートなんだよ!?あと、みっともないから下ろして―――!!」
「へへっ、やっと元気が出たな」
そう言われてアミクはハッと動きを止める。
彼もアミクの様子がおかしい事に気付いていたのか。
…それもそうか。何年コンビやってきたと思っている。
だから、彼は彼なりにアミクを元気づけようと。
「…もう、ナツってばずるいんだから」
二カッと笑うナツの顔を見て。周りで嬉しそうにトロフィーを持つルーシィ達を見て。自分のことのように大喜びする住民たちを見て。
やっと、アミクは心からの笑みを浮かべた。
…そうだ。いつまでもウジウジしているのもウルが望んでいることではないだろう。
彼女もアミク達が健やかに笑顔で人生を生きていくことを願っているはずだ。
「よーし…天下取ったど――――!!」
アミクはトロフィを大きく上に掲げた。
空まで届くように。見えないほど遠くに居る誰かにも見えるように。
熱狂する住民たち。暑くなる空気。
そんな中、頬に冷たいものが降り立った気がした。
~~~~~~~
「えーこれより、マグノリア町長から記念品の贈呈です」
「コホン」
「あの男…
「なんであの人が仕切ってるんだろう…」
っていうか他の
「なんて手の平返しなの」
「まぁまぁ、あの人達も反省したんだよきっと」
改心したのだろうか…。ともかく、そのマスターが言うと、彼の前に町長が出てきた。
「記念品とな? そんな気を遣わんでも」
マカロフが照れながら町長に歩み出る。
「
町長が示した方向を見る。…まさか。
「え―――!!?」
アミク達の視界に映っているのは大きな建物。それは彼女達には馴染み深くて大切なもののはずだった。
「
今のボロ酒場ではなく、アミク達が7年前まで使っていたギルド。一度、再建もあったものの、昔からずっと使われていたギルド。
懐かしの
「わ―――い!!私達のギルドが返ってきた――――!!」
「カムバックなの―――!!しかも修繕済みなんてお得なの!!」
あの大きな建物の修繕なんて短期間では難しいはず。きっと、沢山の住民達も手伝って、しかも前々から修繕してくれたのだろう。
アミク達は諸手を上げて喜んだ。
「町長…あんたって人は…」
マカロフは号泣。町長に抱きつかんばかりだ。
だが、それ以上の純粋な善意だということも人々の様子から伝わってきた。
「ついに、帰ってきたんだね…私達の居場所!!」
「ああ…今度こそ本当のただいま、だ」
泣きそうになったアミクにナツも大きく頷いた。
「ワシはこの街が大好きじゃ~~~!!」
感激が限界突破したのかマカロフが号泣したまま想いを吐露した。
住民達の温かい気持ちが込もった贈り物。自分の事のように喜んでくれる彼ら。
この町の人々は素敵な心の持ち主ばっかりだ。それも7年前と変わっていない。
それが分かってアミクはますますマグノリアが大好きになったのだった。
2020年。今年は僕の悪い癖が出てあんまり投稿できませんでした…
それでも、この小説を読んでくれた方々に感謝を。
誠にありがとうございました!感想くださった方々もありがとうございます!モチベです!
来年こそはたくさん投稿できるように頑張ります!