妖精の尻尾の音竜   作:ハーフィ

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胸でかいのとケツでかいのどっちがいい?

ってか展開がアニメ版と漫画版と違う!

まぁ、アニメで男女混浴ガッツリやっちゃうと色々と問題あるからかも…


Song of the Fairies

無事に依頼を終え、村からウォーロッドの家に帰還中。

 

なのだが…。

 

 

「行きはよいよい帰りは何とやらってね」

 

「あの魔法、片道切符だったの」

 

アミク達を太陽の村まで運んでくれたウォーロッドの魔法は行きだけのもの。都合よく帰る時用の魔法が発動したりはしなかった。

仕方なく徒歩で帰る。

 

「でも今回の仕事はみんな大きな怪我もなかったしよかったよ。子供になったりはしたけど…」

 

「まさしくアレは『恐るべき子供達計画』だったの」

 

「んなわけあるかーい」

 

超強力なデバフ魔法なんてすごく恐ろしい魔法だった。グレイが倒してくれて良かったものの、あのままだったらどうなっていたことか。

 

「あ、すっかり忘れてたけどあのトレジャーハンター達どうなったんだっけ?」

 

「あたしとウェンディとフレアでぶっ飛ばしちゃった!」

 

途中から存在を忘れていたが、闇ギルドや変な鳥がいて彼らは無事だったのだろうか。彼らは善良な人間とは言えないかもしれないが死んで欲しいわけではない。

 

「まぁ、生きてたらまたどこかで会うでしょ」

 

「別に会いたいわけじゃないの…」

 

トレジャーハンターはともかく今回の仕事は色々と有意義だった。何よりフレアの笑顔が見れたことがよかった。結局別れる時まで名前で呼んでくれなかった気がするが、「緑髪ぅ…」って見送ってくれたフレアは可愛かったので良しとするか。

 

「早く帰って報酬なの。聖十大魔道だからお金もきっとガッポガッポなの」

 

「そういえば報酬の話はしてなかったね」

 

「報酬よりも成し遂げたことをまず誇りに思わねばな」

 

「難しいこと言うなよな」

 

「石頭だね」

 

「何か言ったか」

 

「アミクが!」

 

「ハッピー、後で表出ようか」

 

「ごめんなさい…」

 

人間とは現金なもので報酬の話をしてたら会話が弾み、すぐにウォーロットの家に着いたのだった。

 

 

 

「わはははははっ!やっぱり君たちに任せて正解だったよ。いやーよくやったよくやった!」

 

満足そうに笑うウォーロット。その表情から今回の件が解決できて心底嬉しそうなのが伝わってくる。

 

「色々ありましたけど、なんとか成し遂げました!」

 

「楽勝だったな」

 

「無事にウォーロッド様の依頼を達成できてホッとしています」

 

しかし改めて思い返してみても一筋縄じゃない案件だった。

 

「闇ギルド…それもバラム同盟の一角が関わってたみたいなんですよね…あのタルトタタンですよ」

 

「うむ…そのあたりは菓子職人に任せておけばよい。きっと美味しく仕上げてくれるじゃろうからな」

 

「そうですよね。りんごだって最高級のものを使ってくれるに決まって…何の話!?」

 

「アンタが発端でしょうが!!?」

 

アミクが目を剥くとルーシィのツッコミが差し込まれた。この3人でショートコントできそうである。

 

「わはははっ!!冗談じゃよ!!」

 

ウォーロットは愉快そうに大笑いする。やはり食えないお爺さんだ。

 

「前も思ったがあのじいさん、アミクのボケに付き合えるなんて…やるな」

 

「ああ…さすがイシュガル四天王の一人だ」

 

「関係ある?関係ないよね?」

 

この老人、只者ではないと思っていたが…これは上級者だ。アミクの天然ボケをこうも上手く料理してくるとは。タルトタタンだけに。

 

「おほん、冗談はさておき。冥府の門(タルタロス)の件は評議院が調査してくれるじゃろう。それより、君たちに報酬を渡さねばな」

 

「待ってましたー!」

 

「やるべきことはやったから、代償を頂くの」

 

「普通に報酬って言いなさいよ」

 

いよいよ報酬だ。一体どれくらいの金額なのだろうか。アミクはお金に困ってるわけではないが大金を手に入れるとなると期待する。

 

「ほい」

 

ウォーロッドが差し出したのは────

 

 

「…ナニコレ?」

 

一個のただのジャガイモに見えるが…いやまさか。そんなことはあるまい。あの依頼の報酬がたったジャガイモ一個だなんて────。

 

「ワッシの畑で採れたジャガイモ。うひゃひゃひゃひゃ!」

 

ウォーロッドが可笑しそうに笑うが、他は全然笑ってなかった。苦笑すらしてなかった。

言葉が出ない。空気が冷たい。

 

ただスベリじゃねえか。

 

 

「…というのは冗談じゃ」

 

「ですよねー、わかってますよー」

 

「それが本気だったらデクの木爺さんを地面に埋めて本物の木にするとこだったの」

 

「うっひゃっひゃっひゃっひゃ!!そうなったら日光浴が気持ち良さそうじゃのう!!新鮮な果実を実らせてやるわい」

 

マーチの恐ろしい発言にも動じずに笑い飛ばす。ヤベェ、強者だ。

 

「本当は隣の村で買ってきたジャガイモじゃ」

 

「よーし、シャベル寄越せなの!!」

 

「マーチダメだよー!!一応お偉いさんだよー!!?」

 

「どうどうどう!ステイステイ!ステイホーム!」

 

人型に変身したマーチが飛び出そうとするのを抑えるハッピーとアミク。他の人たちもこめかみがヒクついている。

 

「悪い悪い、冗談が過ぎた。今度こそ本当の報酬じゃ」

 

「やっとだぜ…」

 

「ちゃんとしてくれよ木のオッチャン」

 

ウォーロッドはガサゴソと懐を探っていたかと思うと大きい物を取り出して差し出す。

 

「ワッシの畑で採れたブロッコリーじゃ」

 

「おっしゃあああああああああああ!!!」

 

激しい動きでガッツポーズをして喜びを全身で表すアミク。荒ぶってらっしゃる。

 

「ウォーおじいちゃん分かってるぅ!!イシュガル四天王が育てたブロッコリーなんて最高の報酬だよ!!」

 

「ほっほっほ、喜んでもらえて嬉しいのう」

 

ただし、大喜びしているのはアミクだけだった。

 

「もちろん一個だけではないぞ?いくらでも欲しいだけ貰ってもよい」

 

「神様!?ブロッコリーの神様ですか貴方は!!ははー」

 

メッカに礼拝するイスラム教徒のようにウォーロットを崇めるアミクに、ウォーロットも気分良さそうに笑った。

 

「ほれ、お主らにもやろう」

 

にこやかな笑顔でブロッコリーを差し出すウォーロット。

彼を静かに見つめるナツ達。目が死んでいた。

 

 

「…伐採するの」

 

据わった目をして爪を伸ばすマーチ。エルザが無言でマーチの襟首を掴んで引き止める。悲惨な殺人事件が起こる寸前だった。

 

「わはははははっ!!」と大笑いするウォーロットとブロッコリーに頬ずりするアミク。それらを死んだ表情で見つめる仲間達。

 

そして我慢の限界がきたのか、ナツ達が絶叫した。

 

「ふざけんなぁーーー!!!」

 

「金よこせコラァーーー!!!」

 

「ぶった斬って薪にしてやるのーーー!!」

 

一人だけすごく殺意が高かった。

 

 

 

老人を恐喝して金を巻き上げようとするというヤバイ絵面があったその日の夜。

 

「おー!!」

 

「うわぁ、すごい!!」

 

「絶景だな」

 

「素敵ですね」

 

アミク達は温泉にきていた。周りは岩に囲まれ、お湯には葉っぱが浮いている。そして夜空には煌びやかな星々が輝いていた。

 

「あたたか〜い、気持ちぃ〜」

 

「さすがはウォーロッド様、こんな秘湯を知っておられるとは」

 

「健康にも美容にも良い温泉らしいの。あのデクの木爺さん、たまには良いことするの」

 

人間形態のマーチが少しトゲのある発言をする。よっぽどさっきの出来事を根に持っているのだろうか。

 

「仕事後の温泉はいいぞ〜。寿司の後の茶碗蒸しくらいにいいぞ〜」

 

「疲れた心と体を癒し、また明日に向けて気持ちを切り替えられるしな」

 

せっかくなので全力で温泉を満喫してやろう。

 

「でも…なんかナツさんやグレイさんに悪いですね」

 

「いーのよ。アイツらどうせ温泉になんか興味ないでしょうし」

 

「体さえ洗えればいい、って考えてそうだよね〜」

 

大体の男子は温泉に行っても女子のようにのんびりと寛がないイメージだ。サッと入ってサッと出るのがほとんどの男子ではないだろうか。

 

「いや…そうでもねえぞ」

 

「たまにはこういうのも気持ちいいモンだぜ」

 

「あい」

 

突如聞こえてきた声にアミク達は固まる。

 

「なんかいらっしゃる!!?」

 

ナツとグレイとハッピー。男性陣がジトーっとした目でアミク達の裸体を見ていた。

 

「「きゃあああああああ!!!?」」

 

「わー!!わー!!なんでいるのー!!?」

 

アミク達は悲鳴を上げて温泉の中に全身を沈めた。顔が赤いのは温泉の熱さだけではないだろう。

 

「先に入ってたのは俺達だ」

 

「お前らがあとから入ってきたんだろ!」

 

油断してた。あまり注意を払ってなかったとはいえ、アミクの聴覚にも引っかからなかったとは。

 

「この!この!」

 

「危ねーな」

 

アミク達が桶を投げつけるがヒョイヒョイと躱されてしまう。うう、憎たらしい。

 

「ってマーチ!!君はもうちょっと恥じらってよ!?」

 

一方、マーチは動じずに堂々とそのたわわな巨乳を見せつけるように強調していた。

 

「人間の雄に見られても減るもんじゃないの」

 

いや、こっちが困るんですけど。今の貴方、一応人間なんですよ?

ほら、ナツ達が「おお…」っておっぱいガン見してますよ。

 

「あれ? 言っとらんかったかの? 混浴じゃと」

 

「ギャーーーー!!!色んな意味でデクの木様!!?」

 

なんとウォーロットも参戦。隠そうともしてない。なんでこういう男ばっか。

 

「ちょっと男子は出ていきなさいよ」

 

「そうです!恥ずかしいです〜…」

 

「今の時代こういうの厳しいんだよ!?少年誌ではオッケーでもアニメ化したら改変されてたりするんだから!!」

 

一部、色々と危険な発言があったが女性達が抗議するとナツ達はなんてことなさそうに返す。

 

 

「お前らの裸なんか見飽きてる」

 

「新鮮味はねぇな」

 

「沈めるぞワレ」

 

ブロッコリー口に突っ込んで窒息させてやろか?うら若き乙女達になんてことを言うのだ。

 

 

「まあ落ち着けみんな…仲間同士だ、これくらいのスキンシップは普通だろ」

 

「普通の概念壊そうとしてます?」

 

普通ってなんだろう…?

 

「アミクも昔はよく一緒に入ってたではないか」

 

「昔の話ってヤツは分かるかな!?」

 

エルザがナツ達に近づく。そんな躊躇もなく堂々と!?貴方の乙女心はジェラール相手にしか発動しないんですか!?

 

「久しぶりに背中を洗ってやろう」

 

「いっ、いいよ!」

 

「もうガキじゃねえんだ!」

 

なんでナツ達は今更恥ずかしがってんねん。羞恥ポイントどこだよ。

 

それを見てアミクはピカーンと閃いた。

ははーん、見るだけならともかく接触されるのには慣れてないのでは?よし、やられっぱなしは癪だからちょっとやり返してやろう。

 

「ふ、ふふふ〜ナツ〜?だったら私が隅々まで洗ってあげるよ〜」

 

「ア、アミク!?」

 

恥ずかしさを堪えてタオルで前を隠しながらナツに近付く。流石のナツもいつもと違って積極的なアミクに少し動揺しているようだ。

 

「さぁ後ろ向いて。まずは背中かゆっくりじっくりと…」

 

「な、なんか怖ぇぞお前…」

 

ナツの背中に回ったアミクは彼の剥き出しの背中を凝視する。そんなに筋肉があるわけではないが、逞しく男らしい背中。所々細かい傷がある。アミク達を守ってきた暖かい背中。

そう思うとなんかドキドキしてきた。こう、変な気持ちに…。

 

「────っ!!やっぱ無理ぃ!!」

 

「おぎゃあ!!?」

 

バコーン!!と桶でナツの頭を叩く。ナツは目から星を出す勢いだ。

 

「ほっほっほっ、仲間というのはいいモンだのう」

 

騒がしいアミク達を見て楽しげなウォーロット。まるで自分も仲間の一員だとでも言っているかのようだ。

 

「ウォーおじいちゃんは別に私たちのギルドのメンバーじゃないですよね…」

 

「おや? そうか…まだ言っとらんかったか」

 

ウォーロッドはお湯に浸かっていた左腕を上げてアミク達に見せる。そこには…。

 

「ワッシはメイビスと共に妖精の尻尾(フェアリーテイル)をつくった創世期メンバーの1人────君らの大先輩じゃよ」

 

見慣れたマーク────妖精の尻尾(フェアリーテイル)の紋章があった。

 

脳でその言葉を処理するのに数秒を要して理解したと同時に驚愕する。

 

「えーーーーー!!!?」

 

「昔所属していたギルドって妖精の尻尾(フェアリーテイル)なの!!?」

 

まさかの事実。イシュガル四天王の一人である人物が自分達と同じギルドのメンバーだった…それどころか妖精の尻尾(フェアリーテイル)創始者の一人!!?

 

「だから…おじいちゃんがあんなに畏まってたんだね…」

 

依頼人の名前を見た時のマカロフは明らかにおかしかった。基本どんなに上の立場のものでも態度があまり変わらないマカロフなのに、あの時だけやたら「粗相のないようにしろ」とか言ってたのだ。

それはメイビスと同じような立場の人間だったからというわけか。

 

「…というのは」

 

「冗談なのか!!?」

 

「本当じゃ」

 

そこは冗談じゃないんかーい。紛らわしい。

でも、冗談でないなら彼の言っていることは本当だということになる。

 

「それでウチのナツとグレイを指名されたのですね」

 

「ウム、いかにも。君達がワッシの家を訪れた時、ほのかに懐かしきギルドの古木の匂いがした…というのは冗談じゃが」

 

「話進まないから冗談はやめてもらえません?」

 

アミクが頰を膨らませて睨むとウォーロットは「ほっほっほっ」と笑って誤魔化した。

 

「君達若き妖精に出会えて、ワッシは本当に嬉しいのだ。メイビスの唱えた『和』…血よりも濃い絆で結ばれた、魔導士ギルド『妖精の尻尾(フェアリーテイル)』。

 その精神は時が流れた今でも、君たちの心に受け継がれておる。それは仕事の成否にあらず、君たちを見た時に感じた事」

 

長い時が経とうとギルドの形が変わろうと、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の本質は変わらない。それはギルドの人々の心に根強く受け継がれるものだから。

 

「かつてメイビスは言った。『仲間』とは言葉だけのものではない。仲間とは心。無条件で信じられる相手」

 

その者のために喜び、その者のために泣き、その者のために怒ることができる。共に楽しみ、悲しみも幸せも分かち合うことができる。命を預けることができる。

 

それが仲間。

 

 

________

 

どうか私を頼ってください。私もいつかきっと、あなたを頼る事があるでしょう。

 

苦しい時も悲しい時も、私が隣についてます。あなたは決して1人じゃない。

 

空に輝く星々は希望の数。肌にふれる風は明日への予感。

 

さあ歩みましょう、妖精たちの(うた)に合わせて…

 

________

 

 

かつてメイビスはそう言った。

 

「…メイちゃん、良いこと言うね…ジーンって来ちゃったよ」

 

アミクは感慨深げにそう言った。

 

ゴシゴシ

 

 

…うん?

 

 

「あれ…なんでナツ、私の背中流してるの?」

 

「なんか成り行き」

 

「どういう成り行き!?自然すぎて逆に不自然だよ!!」

 

いつの間にかナツがアミクの背中を流していた。

 

「うー…」

 

ナツがアミクの素肌を摩っていると思うとなんかむず痒い。恥ずかしく顔を両手で覆ってしまう。

 

「つー事はあれか!?じっちゃんより歳上なのか!!?」

 

「失礼でしょ…でも、そういうことになるのかな?」

 

「もしかしてそんなに昔の人だとさ、ENDって悪魔の話知ってるかもしれねえだろ」

 

確かに。長生きなら何か少しくらい情報を持っているのかもしれない。

 

「END?終焉…」

 

ウォーロッドはその単語を聞いて思案する。

 

「ゼレフ書の悪魔らしい。オレの親父のドラゴンが倒そうとしてたみてーなんだ」

 

「ゼレフ書…また物騒な名前を…」

 

ウォーロッドの笑みはなくなり険しそうな表情だ。

 

「そのENDってのがなんなのか分かれば、イグニールの居場所のヒントになると思ってたんだけどな」

 

「アトラスフレイムが言ってた言葉ですね」

 

「ウム…すまんが知らんのう」

 

流石のウォーロッドも知識にないようだ。

 

「えっと、じゃあ『竜の巫女』は?」

 

「そういえばオッチャンそんなことも言ってたな」

 

今度はアミクが質問する。ENDとは直接関係ないかもしれないが、気になったので。だがウォーロッドは難しい顔だ。

 

「…竜の巫女…聞き覚えがないのう」

 

ウォーロッドも知らないとなるとますます謎に包まれる。

しかし、ウォーロッドはこう続けた。

 

「だが昼間、冥府の門(タルタロス)と聞いてこんな話を思い出した。奴等は正体が一切わからぬ不気味なギルド。本拠地も構成員の数も不明じゃ。

 だが何度か集会を目撃した者の話を聞く事がある。その者たちは口々にこう言う────あの集会は悪魔崇拝だと…」

 

「悪魔崇拝…」

 

背筋が寒くなってきたような気がした。体が冷めてしまったのか、また別の理由なのか。

 

「これは我々イシュガルの四天王の推測ではあるが、奴等は強力なゼレフ書の悪魔を保有している可能性がある」

 

呪歌(ララバイ)やデリオラみたいな悪魔をギルドが持ってるってことなの!?」

 

「その悪魔がENDの可能性もある、と…」

 

冥府の門(タルタロス)というギルドがますます恐ろしく、不気味なものになってきた気がする。

六魔将軍(オラシオンセイス)悪魔の心臓(グリモアハート)も危険で脅威的な闇ギルドだったが、冥府の門(タルタロス)は…触れてはいけないような────関わったら最後、底無し沼のようにズブズブと沈み込んで浮き上がってこれないような不安感がある。

 

そう、その名の通り冥府の門────地獄への入り口を開いてしまったような感覚だ。

 

「そっか…!どこにいるかわかんねーってんならやりようがねぇな!!くそっ!!見つけたら叩き潰して吐かせてやる!こうやってギッタンギッタンに────」

 

「痛い痛い痛い痛い」

 

「アミクー!!?」

 

ナツが衝動のまま拳を振り回すせいでめっちゃ殴られたんですけど。暴れるなら周囲確認してからにしてください。あ、そういえば大事なものを体に隠し持ってたはず────

 

グシャ

 

「お…?」

 

拳に違和感を感じて動きを止め、自分の手を見るナツ。そこには無残に潰れた何かの残骸が。

これは…卵か?

 

「あ、ああああああああああっ!!!?」

 

卵の成れの果てを見て絶叫するアミク。そしてナツさえ燃やしそうな激情の炎を宿した瞳でナツを睨む。

 

「ヤバ…」

 

「ひっ」

 

「終わったの…」

 

ルーシィ達がササッとアミク達から離れる。エルザでさえもだ。

 

アミクのツインテールは感情を表すかのように荒ぶっている。そして怨嗟の籠った声を放った。

 

「よくもよくもよくもよくもぉぉぉぉ!!!!」

 

「ちょっと待てぇー!!?どこに隠し持ってたんだよ!!?」

 

「せっかく温泉行くから温泉卵作ろうと思って持ってきたのにィィィ!!!貴様ぁぁぁぁ!!!」

 

「持ってくる方がおかしいだろ!!?」

 

これに関してはナツが正論である。まぁ、もっと言えば殴ってたナツが一番悪いのだが。

 

「問答無用!!」

 

しかし、彼女は聞く耳持たなかった。耳良いのに。

 

「貴様の罪を数えろ!!」

 

「ちょ、まっ────」

 

「ファーストブリッドォォォォォォォ!!!」

 

ナツの断末魔が夜空に響き渡った。

 

 

 

「…アミク。温泉卵はそういう意味ではないぞ」

 

エルザは静かに、今更の指摘をする。

 

そしてウォーロッドは目の前の惨状を見て密かに「アミクはブチギレさせないようにしよう…」と冷や汗を掻くのであった。

 

 

 




ちなみにタルトタタンとは

型の中にバターと砂糖で炒めた(キャラメリゼ)リンゴを敷きつめ、その上からタルト生地をかぶせて焼いたフランスの菓子。ひっくり返してリンゴの部分を上にして食べる。

〜Wikiより

一度食べてみたいっすね。
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